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223話、かけがえのない光を取り戻す君へ、どうしようもない絶望を
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「───ビス。おい、アルビス。早く起きろ」
「んっ……。ハッ!?」
意識が闇の中へ落ちていくも。すぐさま誰かに呼ばれ、出来立ての闇を振り払うべく、いつの間にか閉じていた瞼を開けてみれば。
まだ理解が追い付いていない視界の先には、目をきょとんとさせたアカシック・ファーストレディが居て。余と目が合うと、柔らかくほくそ笑んだ。
「やっと起きたか。おはよう、アルビス。あとは、プネラとフローガンズだけだな」
アカシック・ファーストレディが手を差し伸べてきたので、細くて華奢な手を掴み、上体を起こす。なんだ? この妙な胸騒ぎは。
余より先に、アカシック・ファーストレディが起きていたという事は、手筈通りに動き、ウンディーネ様とシルフ様へ『伝心』をしてくれたはず。
しかし、その御二方はどこにも居なければ。アカシック・ファーストレディの後ろで、シャドウに抱えられ、未だ眠りに就いているプネラの姿が見え。
フローガンズの行方を捜してみると、余の背後に、横たわったフローガンズが居た。何故、この二人だけは、目を覚ましていないんだ?
「すまないね、アカシック君。どうやらプネラは、長期間に渡り治療を行っていたせいで、疲れ果てて眠りに就いてしまったらしい。なので、無理に起こさないでおくれ」
「分かってます。プネラには、あとでお礼を言っておかないと。ほら、シャドウ様! 見て下さい。凝りも解してくれたので、全身が嘘みたいに軽くなりました」
「クフフフフ。そうかい、それはよかったね」
体の状態を嬉々と語り、両肩を大きく回すアカシック・ファーストレディ。本来なら、微笑ましいやり取りなのだが。胸騒ぎは止まるどころか、溢れんばかりに増幅していっている。
「では、アカシック君。君に話したい事がいくつかあるから、一旦外へ出よう」
「はい、分かりました。アルビス。そこで寝てるフローガンズを、背負ってきてくれないか?」
「ふ、フローガンズを……?」
「そうだ。頼んだぞ」
そう素っ気なく頼み事をしてきたアカシック・ファーストレディは、一人入口へ向かうシャドウを追わず、余を監視するかの様に見据えたまま。
違う、見据えているんじゃない。見下しているんだ。一秒が惜しいと、早くフローガンズを背負えと、冷めた眼差しで命令してきている。
「アカシック……、ファーストレディ? 貴様は、外に行かないのか?」
「お前を待ってるんだよ、悪いか?」
「い、いや。別に、悪くないが……」
「そうか。なら、早くそいつを背負え。どんくさいにも程があるぞ? 多忙のシャドウ様を待たせるな」
普段のぶっきらぼう、とはあまりにも掛け離れた喋り方。苛立ちが目立つ言葉遣いは荒く、急かし方の棘も鋭い。この場合、何もしていない余に原因があるのだが。何か、何かおかしい。
今のアカシック・ファーストレディに、変な違和感がある。表情、仕草、雰囲気、喋り方など、細部において本人らしからぬ印象が窺えるんだ。
本当に些細で、注視していないと見逃してしまいそうな、ほんの僅かな違和感。一回抱いてしまえば、違和感は言い知れぬ不安に変わり、あってはならない警告が心の中で鳴り響き始めた。
抑え切れない胸騒ぎが、アカシック・ファーストレディに集約していく。本能が、ここは危険だと叫んでいる。垂れ下がっていた右手が、首飾りを目指して動き───。
「おい、アルビス。なに、シルフに『伝心』しようとしてるんだ?」
「え?」
「ノームを使って、彼らの意識を私達から外したというのに。ここで彼らを呼ばれたら、計画が全て台無しになってしまうじゃないか。これは忠告だ、アルビス君。最悪の事態を招きたくなければ、そこで大人しくしていたまえ」
「……あ」
わざわざ正体を明かしてくれたアカシック・ファーストレディが、口角を吊り上げて「クフフフフ」と笑った。
心に抱いていた違和感が、不安が、どす黒い液体状に変化し。見出した希望を、見えてきた活路を、望んでいた終わりを塗り潰していく。
「……お願いです、シャドウ様。アカシックは、余の大事な、家族なんです。彼女に手を出すのだけは、やめて、下さい……。そ、それに、話が違うじゃ、ないですか。……あの約束は、嘘だったんです、か?」
「ああ、とても良い表情をしているねぇ。僕は、その歪んだ君の顔が見たかったんだ。それに君も、なかなかの薄情者だねぇ。アカシック君が無事ならば、他の者が犠牲になっても君は厭わないと?」
「ほ、他の……?」
まさか、プネラとフローガンズがずっと起きないのは、そのせいだったのか?
「ああ。シルフ君とウンディーネ君を除いた、君、ノーム君、プネラ、フローガンズ君。沼地帯に居るサニー君、ヴェルイン君、カッシェ君、ファート君、ウィザレナ君、レナ君、ゴーレム君達、ゴブリン君達の事だよ」
……おい、待ってくれ。なんでシャドウは、余や関係の無い人達の名前まで挙げているんだ?
「クフフフフ。何故、プネラとフローガンズ君だけに留まっていないんだと、言いたげな顔をしているねぇ。よかろう。そろそろ、君にトドメを刺してあげようじゃないか。今挙げたのは、既に僕が体内へ侵入している者達の名だよ」
「は……?」
「それに君は、夢の中でプネラを通して、僕の動向を探っていたじゃないか。もちろん、君との無意味な約束は守っていたよ。元より破る必要が無かったからねぇ」
闇の精霊は、頭まで侵入しないと夢には介入出来ないと、プネラは言っていた。しかしシャドウは、余とプネラが交わした会話の内容を把握している。
つまり余らは、夢の中へ入る前から、体内にシャドウを宿していた事になる。いつ、どこで、どの瞬間で? ……いや。もうそれらは、いくら考えても遅い問題だ。
夢の中での会話は、筒抜け状態。シルフ様に助け求めれば、沼地帯に居る者達が危険に晒される。シャドウの手に堕ちた皆が、殺されてしまう。
「……貴方様の目的は、一体なんなんですか?」
「僕の目的かい? そうだね、ここなら朴念仁からの監視も外れている。しかし、いずれかけがえのない光を取り戻す君に、話す道理なんてどこにもない」
「ひ、光?」
問い返す事しか出来ないでいる中。アカシック・ファーストレディに憑りついたシャドウが、愉悦に浸った微笑面を近づけてきた。
「そうだ。後数百日もすれば、君はどれだけ濃い闇が襲い掛かって来ようとも、いとも容易く振り払ってしまう光を取り戻す。それはとても眩しくて、君にとっては暖かな希望に満ち溢れた光だ。僕は、それが心底つまらないと思ってねぇ。だから僕は、先に君へ、どうしようもない絶望を贈ろうと決めたんだ。クフフフフ、今から楽しみでしようがないよぉ。君がどんな風に鳴いてくれるのか、想像しただけでゾクゾクしてしまう。クフフフフ……」
口で笑っていようとも、目が笑っていないアカシック・ファーストレディの顔が、ゆっくり遠ざかっていく。こいつの言っている事が、何一つとして理解出来ない。
分かっている事は、ただ一つ。シャドウという大精霊は、吐き気を催す邪悪な存在という事だけ。……なんだか、意識が朦朧としてきた。
体の体温が、急激に下がっていく様な感覚がする。手や足に、力が入らない。アカシック・ファーストレディの顔から、色という色が剥がれ落ちていく。
「さあ、アルビス君。時間が惜しい。そろそろ、アカシック君と交代しようじゃないか」
「こう、たぃ……?」
「そう。二回目の治療を行う為にね」
「にか……!? い、いや、だ……!」
「ああ、そうそう。君の主導権は全て僕が握らせてもらうけど、せめてもの慈悲だ。意識だけは奪わないでおくよ。何も出来ないまま僕の中で、泣き喚き続けていておくれ」
事切れた様に、アカシック・ファーストレディが膝から崩れ、地面に倒れた。口が開かなければ、体も動かせない。
色を失った視界が、倒れ込んだアカシック・ファーストレディを拡大していく。感覚の無い余の物だった右手が、アカシック・ファーストレディの肩に触れた。
「んっ……。ハッ!?」
意識が闇の中へ落ちていくも。すぐさま誰かに呼ばれ、出来立ての闇を振り払うべく、いつの間にか閉じていた瞼を開けてみれば。
まだ理解が追い付いていない視界の先には、目をきょとんとさせたアカシック・ファーストレディが居て。余と目が合うと、柔らかくほくそ笑んだ。
「やっと起きたか。おはよう、アルビス。あとは、プネラとフローガンズだけだな」
アカシック・ファーストレディが手を差し伸べてきたので、細くて華奢な手を掴み、上体を起こす。なんだ? この妙な胸騒ぎは。
余より先に、アカシック・ファーストレディが起きていたという事は、手筈通りに動き、ウンディーネ様とシルフ様へ『伝心』をしてくれたはず。
しかし、その御二方はどこにも居なければ。アカシック・ファーストレディの後ろで、シャドウに抱えられ、未だ眠りに就いているプネラの姿が見え。
フローガンズの行方を捜してみると、余の背後に、横たわったフローガンズが居た。何故、この二人だけは、目を覚ましていないんだ?
「すまないね、アカシック君。どうやらプネラは、長期間に渡り治療を行っていたせいで、疲れ果てて眠りに就いてしまったらしい。なので、無理に起こさないでおくれ」
「分かってます。プネラには、あとでお礼を言っておかないと。ほら、シャドウ様! 見て下さい。凝りも解してくれたので、全身が嘘みたいに軽くなりました」
「クフフフフ。そうかい、それはよかったね」
体の状態を嬉々と語り、両肩を大きく回すアカシック・ファーストレディ。本来なら、微笑ましいやり取りなのだが。胸騒ぎは止まるどころか、溢れんばかりに増幅していっている。
「では、アカシック君。君に話したい事がいくつかあるから、一旦外へ出よう」
「はい、分かりました。アルビス。そこで寝てるフローガンズを、背負ってきてくれないか?」
「ふ、フローガンズを……?」
「そうだ。頼んだぞ」
そう素っ気なく頼み事をしてきたアカシック・ファーストレディは、一人入口へ向かうシャドウを追わず、余を監視するかの様に見据えたまま。
違う、見据えているんじゃない。見下しているんだ。一秒が惜しいと、早くフローガンズを背負えと、冷めた眼差しで命令してきている。
「アカシック……、ファーストレディ? 貴様は、外に行かないのか?」
「お前を待ってるんだよ、悪いか?」
「い、いや。別に、悪くないが……」
「そうか。なら、早くそいつを背負え。どんくさいにも程があるぞ? 多忙のシャドウ様を待たせるな」
普段のぶっきらぼう、とはあまりにも掛け離れた喋り方。苛立ちが目立つ言葉遣いは荒く、急かし方の棘も鋭い。この場合、何もしていない余に原因があるのだが。何か、何かおかしい。
今のアカシック・ファーストレディに、変な違和感がある。表情、仕草、雰囲気、喋り方など、細部において本人らしからぬ印象が窺えるんだ。
本当に些細で、注視していないと見逃してしまいそうな、ほんの僅かな違和感。一回抱いてしまえば、違和感は言い知れぬ不安に変わり、あってはならない警告が心の中で鳴り響き始めた。
抑え切れない胸騒ぎが、アカシック・ファーストレディに集約していく。本能が、ここは危険だと叫んでいる。垂れ下がっていた右手が、首飾りを目指して動き───。
「おい、アルビス。なに、シルフに『伝心』しようとしてるんだ?」
「え?」
「ノームを使って、彼らの意識を私達から外したというのに。ここで彼らを呼ばれたら、計画が全て台無しになってしまうじゃないか。これは忠告だ、アルビス君。最悪の事態を招きたくなければ、そこで大人しくしていたまえ」
「……あ」
わざわざ正体を明かしてくれたアカシック・ファーストレディが、口角を吊り上げて「クフフフフ」と笑った。
心に抱いていた違和感が、不安が、どす黒い液体状に変化し。見出した希望を、見えてきた活路を、望んでいた終わりを塗り潰していく。
「……お願いです、シャドウ様。アカシックは、余の大事な、家族なんです。彼女に手を出すのだけは、やめて、下さい……。そ、それに、話が違うじゃ、ないですか。……あの約束は、嘘だったんです、か?」
「ああ、とても良い表情をしているねぇ。僕は、その歪んだ君の顔が見たかったんだ。それに君も、なかなかの薄情者だねぇ。アカシック君が無事ならば、他の者が犠牲になっても君は厭わないと?」
「ほ、他の……?」
まさか、プネラとフローガンズがずっと起きないのは、そのせいだったのか?
「ああ。シルフ君とウンディーネ君を除いた、君、ノーム君、プネラ、フローガンズ君。沼地帯に居るサニー君、ヴェルイン君、カッシェ君、ファート君、ウィザレナ君、レナ君、ゴーレム君達、ゴブリン君達の事だよ」
……おい、待ってくれ。なんでシャドウは、余や関係の無い人達の名前まで挙げているんだ?
「クフフフフ。何故、プネラとフローガンズ君だけに留まっていないんだと、言いたげな顔をしているねぇ。よかろう。そろそろ、君にトドメを刺してあげようじゃないか。今挙げたのは、既に僕が体内へ侵入している者達の名だよ」
「は……?」
「それに君は、夢の中でプネラを通して、僕の動向を探っていたじゃないか。もちろん、君との無意味な約束は守っていたよ。元より破る必要が無かったからねぇ」
闇の精霊は、頭まで侵入しないと夢には介入出来ないと、プネラは言っていた。しかしシャドウは、余とプネラが交わした会話の内容を把握している。
つまり余らは、夢の中へ入る前から、体内にシャドウを宿していた事になる。いつ、どこで、どの瞬間で? ……いや。もうそれらは、いくら考えても遅い問題だ。
夢の中での会話は、筒抜け状態。シルフ様に助け求めれば、沼地帯に居る者達が危険に晒される。シャドウの手に堕ちた皆が、殺されてしまう。
「……貴方様の目的は、一体なんなんですか?」
「僕の目的かい? そうだね、ここなら朴念仁からの監視も外れている。しかし、いずれかけがえのない光を取り戻す君に、話す道理なんてどこにもない」
「ひ、光?」
問い返す事しか出来ないでいる中。アカシック・ファーストレディに憑りついたシャドウが、愉悦に浸った微笑面を近づけてきた。
「そうだ。後数百日もすれば、君はどれだけ濃い闇が襲い掛かって来ようとも、いとも容易く振り払ってしまう光を取り戻す。それはとても眩しくて、君にとっては暖かな希望に満ち溢れた光だ。僕は、それが心底つまらないと思ってねぇ。だから僕は、先に君へ、どうしようもない絶望を贈ろうと決めたんだ。クフフフフ、今から楽しみでしようがないよぉ。君がどんな風に鳴いてくれるのか、想像しただけでゾクゾクしてしまう。クフフフフ……」
口で笑っていようとも、目が笑っていないアカシック・ファーストレディの顔が、ゆっくり遠ざかっていく。こいつの言っている事が、何一つとして理解出来ない。
分かっている事は、ただ一つ。シャドウという大精霊は、吐き気を催す邪悪な存在という事だけ。……なんだか、意識が朦朧としてきた。
体の体温が、急激に下がっていく様な感覚がする。手や足に、力が入らない。アカシック・ファーストレディの顔から、色という色が剥がれ落ちていく。
「さあ、アルビス君。時間が惜しい。そろそろ、アカシック君と交代しようじゃないか」
「こう、たぃ……?」
「そう。二回目の治療を行う為にね」
「にか……!? い、いや、だ……!」
「ああ、そうそう。君の主導権は全て僕が握らせてもらうけど、せめてもの慈悲だ。意識だけは奪わないでおくよ。何も出来ないまま僕の中で、泣き喚き続けていておくれ」
事切れた様に、アカシック・ファーストレディが膝から崩れ、地面に倒れた。口が開かなければ、体も動かせない。
色を失った視界が、倒れ込んだアカシック・ファーストレディを拡大していく。感覚の無い余の物だった右手が、アカシック・ファーストレディの肩に触れた。
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