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165話、たとえ、神が邪魔しに来たとしても

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 サニーが私の笑顔を取り戻してくれて、脱衣場で髪の毛を風魔法で乾かし、部屋へ戻ったほぼ同時。アルビスが、ちょうど買い物から帰ってきた。
 布袋を大量に携えたアルビスを認め、『おかえりなさい、アルビスさん!』とサニーが言ったので、私も『おかえり、アルビス』と追った後。
 私に顔を合わせたアルビスの表情が、驚愕したものへと変わり、今度は柔らかくほくそ笑み、『そうか。アカシック・ファーストレディという女性は、そんなに麗しく笑えるんだな』と、どこか嬉しそうに話してきた。

 突然の事に、私の顔が一気に熱くなってしまったが……。すかざす『お世辞はやめてくれ』と返したものの、あいつは涼しい顔をしながら『お世辞なものか。もし貴様がドラゴンだったら、余は完全に一目惚れしてたぞ』と追撃してきた。
 アルビスの奴め。本音を言う時は、本当に怖い物知らずだ。逆に私が、もっと恥ずかしくなってしまった。……一目惚れか。そんな事を言われたのは、生涯で生まれて初めての事だ。
 しかし、アルビスは私を想ってか。サニーに手招きをして、両耳を塞ぐと『その貴様の笑顔、早くピース殿にも見せてやりたいな』と、私の気持ちを鼓舞するように言ってきてくれた。
 それに間髪を容れず、『今日は我ら家族にとって、とてもめでたい日になったな。夕食は、期待してろよ?』と急に張り切りだし、上機嫌に鼻歌まで歌い始める始末。

 私が笑えるようになれたからって、少々大袈裟な気がするのだけれども。正直な所、悪い気にはならなかった。
 さてと。私の笑顔を、真っ直ぐ過ぎる感想で褒め倒してくれたウィザレナとレナも加わり、豪勢が極まった暖かな夕食を堪能した事だし。私の体から新薬の副作用を取り除いてくれたシルフに、お礼を言っておかないと。









「ちょっと、夜風を浴びてくる」

 全員で夕食の後片付けを済ませ、落ち着いて談笑し始めた頃を見計らい、扉に手を掛ける。

「む、そうか。夜は危ないから、あまり遠くまで行くんじゃないぞ?」

「分かってる。行ったとしても、例の泉までにしとく」

 アルビスに行く場所を伝え、外に出てから明るい夜空を仰いでみた。星々が埋め尽くす夜空を、ぼんやりと照らす月。私の体を撫でるように通り過ぎていく、ややひんやりとした夜風。
 新薬の副作用が私の体から消えてから、初めて外に出てみたけど、風の冷たさもちゃんと分かる。薄いローブしか着ていないので、夜になるとちょっと肌寒いな。これからは、私専用の防寒着も買っておかないと。
 懐かしい感覚に身震いし、夜風の冷たさを嚙み締めつつ、『水鏡の扉』に向かって歩き出す。

 水面のような見た目をしていて、中心から幾重にも波紋を立たせている『水鏡の扉』を通り抜けてみれば。
 泉から生まれたばかりの薄水色した飛光体群が、私を出迎えてくれた。
 やはり『精霊の泉』に来るのは、日中よりも夜の方が断然いい。まるで、赤ん坊の星が夜空を目指し、健気に昇っていっている様よ。いつ見ても幻想的で、目を奪われるほどに美しい光景だ。

「ここでいいか」

 ウンディーネ様が居ない事を確かめてから、首飾りに注目してみる。真上から見て右隣りに、六角柱の形をした紺碧色の『水の証』が。
 更にその隣には、同じく六角柱の形を成した、月明かりを帯びた若草色の宝石がはめ込まれていた。たぶんこれが『風の証』だろう。
 私が寝ている間に、ちゃんと契約を交わしてくれていたようだ。よし、この宝石に魔力を流し込み―――。

『よう、アカシック! 待ってたぜ!』

「ふぉあっ!?」

 『風の証』に魔力を流し込んだ途端。シルフの大声が頭の中に響いたせいで、体に大波を立たせる私。

『……お前、私をずっと見てたな?』

『ああ、目が覚めてからずっと見てたぜ! やっと昔のお前みたいに、笑えるようになれたじゃねえか』

 昔の私みたいに。そうだ。シルフは、私が『はいはい』し出した頃から直に見ていたんだっけ。

『その節は本当にありがとう、シルフ。お前にはいくら感謝しようとも、返し切れない恩が出来てしまった』

『恩~? さぁ~て、一体なんの事だか。俺にはサッパリ分からねえぜ』

『私の体から新薬の副作用を取り除いてくれたのは、もうお前だって分かってる。そうやって、しらを切らないでくれ』

『へへっ。流石にバレちまってたか』

 これ以上、はぐらかすのは無理だと悟ったのか。頭の中から、シルフの嬉しそうにしている笑い声が響いてきた。

『その通りだ。餞別だって言って、緑の矢と一緒に白い矢を放っただろ? あれのお陰だぜ』

『やっぱりな。効果は一体何なんだ?』

『効果は『万能治癒』。ありとあらゆる病、状態異常、傷を治せる矢だ。めちゃくちゃ便利な反面、欠点も大きくてよお』

 万能治癒? 詠唱も無しに召喚した矢だというのに、そんなにすごい効果があったとは。しかし……。

『欠点?』

『あの矢を一本生成すんのに、俺でも数年を要するんだ。しかも、一本を維持させとくのがやっとだから連発も出来ねえ。もし出来たら、俺がこの世で最強になれるんだけどなあ』

 風を司る大精霊シルフですら、数年の時間を要してしまうのか。効果が効果なだけ、仕方がないのだろうけども。

『すまない、シルフ。そんなに大事な矢を、私なんかに使ってくれて』

『謝るんじゃねえよ。むしろ、お前に為に使えてよかったと思ってるぜ。……けどよお、一つだけ残念な事があんだわ』

 急にばつが悪くなったシルフの声色に、私の視野が若干狭まった。

『残念な事?』

『そっ。お前の体に、まだ最後の副作用が残ってんだろ?』

『最後の副作用? ああ、不老か。それがどうしたんだ?』

『それなー、お前の体に完全に定着しちまってるらしくてよお。あの矢ですら、治す事が出来なかったんだわ。すまんっ、アカシック』

 『パンッ』という手を合わせたような音の後に、シルフがやや申し訳なさそうに謝ってきた。不老は、『不死鳥フェニックスのくちばし』と『女王の包帯』を調合した薬を飲んだ際、一番最初に私の体に出た副作用だ。
 副作用が出たのは、八十年以上も前になる。けど、この副作用があったからこそ、今の今まで二十四歳という年齢を保ったまま、生きてこられたんだ。
 この副作用だけは、逆にまだ手放したくない。手放す時が来るとしたら、ピースを生き返らせる事が出来た時だけだろう。

『いや、何の問題も無い。だから謝らないでくれ。この副作用だけは、まだ残しておきたいんだ』

『あ? なんで?』

『ほら。私はまだ、ピースを生き返らせる事が出来てないだろ? それに、この副作用がなければ、私はもっと昔に寿命が尽きて死んでただろう。だから、ピースを生き返らせる事が出来るその日まで、手放したくないんだ』

『だったら、なおさら治しといた方がよかったじゃねえか』

『へっ?』

 あっけらかんと返ってきたシルフの言葉に、今度は私の視野が大きく広がった。

『な、なんでだ?』

『なんでって。少なくとも、後数年でピースを生き返らせる事が出来るからだよ』

『……はい? あと、数年で……?』

『ああ~っ、いっけねぇ~。これは、まだ言っちゃいけねえやつだったわぁ~。つい口が滑っちまったぜぇ~』

 なんともあざとく、ねったりとしたシルフの声が響いてきたけれども……。一体、どういう事だ? ピースを、あと数年で生き返らせる事が出来る? なぜシルフは、そう断言出来るんだ?

『なあ、シルフ』

『おっと、もうこれ以上の質問は受け付けねえぜ。今の暴露は、相当マズイやつだったからな』

『グッ……、またか』

 普通に暴露だと言ってしまったな、シルフの奴。これも、私を想ってくれての事なのだろうか?

『今の話、絶対だろうな?』

『お前のやる気次第だぜ? アカシック。聞いちまったからには、ぜってえ諦めるんじゃねえぞ? 分かったな?』

 今までとは打って変わり、凄まじい圧を感じるシルフの真面目な声。一度だけ心が折れかけてしまった事はあるけど、もう諦めるだなんて絶対にありえない。
 どんな分厚い壁だろうが、困難を極める道のりだろうが、全部打ち砕いて必ず乗り越えてみせるさ。

『お前の顔を見る限り、どうやら余計な心配だったようだな。安心したぜ』

『当たり前だろ? 諦めるという選択肢は、元より無い。たとえ、神が邪魔しに来ようともな』

『いいねえ、その熱い覚悟。俺の大好きなやつだわ。なら、もし神が邪魔しに来たら、俺を召喚してくれよ。一緒に暴れ倒してやっから、運命を決めようとしてくる神をぶっ飛ばしてやろうぜ』

『すごく頼もしいな。ありがとう、シルフ。もしその時が来たら、必ずお前を召喚するよ』

『へへっ、待ってるぜ』

 神をもぶっ飛ばす、か。なんとも頼り甲斐のある言葉だ。私の心が、熱く高ぶってしまう程に。そんな宣言をしてくれたシルフが、『でだ』と続ける。

『アカシック。悪いけど両手を前に伸ばして、手の平を上に向けてくれ』

『む? こうか?』

 シルフに指示に従い、空いていた手と、首飾りに魔力を流し込んでいた手を前に伸ばした。
 あれ? これだと、私の声がシルフに届かなくなるんじゃないか? いや、普通に話せばいいか。

「シルフ、聞こえるか?」

『聞こえる聞こえる。んじゃ、落とすぞー』

「え? 落とすって、何を―――」

 とてつもなく嫌な予感がしたので、シルフに質問し返そうとした矢先。伸ばしていた手の平の上から、突然、緑色の光を帯びた二つの小さな魔法陣が出現。
 何かをされるのかと勘繰り、体だけ仰け反らせた後。両手の平に、何か軽い物が落ちてきたような感触が走った。

「うっ……! ん? こ、これは……?」

 役目を終えたのであろう、二つの魔法陣が粒子状と化し、風に乗って消えていったかと思えば。
 私の右手には、両端が尖っていて、透明に近い若草色をしており、六角柱の形をしたマナの結晶体らしき物が。
 左手には、全体が鮮やかな黄色で滑らかな曲線を描いた、かなり大きな何かの欠片が置かれていた。あまりに大きくて、私の左手がすっぽりと覆い隠されている。

「もしかして、これ……。不死鳥のくちばしの欠片、か?」

『その通り! ちゃんと別個体の不死鳥から貰ってきたぜ。大事に使ってくれよな』

「ほ、本当に貰ってきたのか!? はぁ……、とんでもなく大きいな」

 大きさもそうだが、なんて軽いんだ。まるで羽毛でも持っているかのような感覚だ。
 ピピラダから貰おうとした奴より、倍以上の大きさがあるというのに。それに、まさか本当に別個体から貰ってきてくれるとは……。

「お前には、何度も迷惑と手間を掛けさせてしまったな……。本当に申し訳ない」

『気にすんじゃねえよ。俺がやりたくてやった事だ。それと右手には、『最上級の風のマナの結晶体』を置いといたぜ。杖にでも装着して、大いに使ってくれ』

「やっぱり、マナの結晶体だったか。分かった、ありがとう。土の大精霊様と戦う時になったら、必ず使わせてもらうよ」

『だな。ウンディ姉も言ってたが、土や氷の大精霊との戦闘だけは避けられねえ。あいつら、いくら言っても聞かねえんだよなあ。早くお前と、一戦交えてみてえってよ』

 いくら言ってもという事は、シルフ達も一応止めに入ってくれているようだ。その愚痴だけ、なんとなく気疲れしているような声色だったし。たぶん、精霊の間でも問題児なのかもしれないな。

「頼む、シルフ。せめて急襲だけはやめてくれと、御二方様に伝えておいてくれ」

『それについては大丈夫だ。あいつらの性格上、急襲だけは絶対やらねえ。最初の攻撃は、必ず真正面からしてくる。けど、いきなり各『瞑想場』に飛ばされる可能性はあるから、それだけ気を付けてくれな』

「急襲はないけど、襲撃紛いな事はあるんだな……」

『だな』

 即答で響いてきた、どこか諦め気味なシルフの声。心の準備だけはさせてほしいのだが……。叶いそうにもないので、すぐさま臨戦態勢に入り、状況を見極めるしかないな。

「な、なるべく予兆を見逃さないよう、気を配っとく」

『そうしてくれ。一応、やれる事は尽くしといた。大体無駄に終わったけどな』

「お前達も、かなり苦労してるんだな……」

『ああ。分かってくれるだけでも、すげえありがてえぜ』

 今までハキハキとしていたシルフの声が、あからさまにどんどん低くなっていく。私の為に、ここまでやってくれたんだ。せめて私も、シルフ達の為に何かをしてやりたい。

「し、シルフ? 何か、私に出来る事はないか?」

『出来る事? どういう意味だ?』

「ほら。私なんかのせいで、お前達にさんざん苦労を掛けてしまっただろ? だから、何かしてやりたいと思ったんだ。私に出来る事は、本当に微々たるものなんだが……。美味しい料理をご馳走したりだとか。最上級の光属性の魔法で、疲れを癒してやりたいだとかな」

『料理、ねえ。俺達精霊は……、いや、待てよ?』

「どうしたんだ?」

『ああ、いやな? 精霊は基本的に、飲み食いをしねぇんだがよ。人間に変身すりゃあ、それが出来るなって思ってな』

「あ……。そう言われてみれば、そうだな」

『でよ? 俺やウンディ姉も、前から気になってたんだよ。アルビス、ヴェルイン、サニー。種族は違えど、どいつもこいつも必ず唸らせた、お前のシチューにな』

「シチュー、か」

 ウィザレナはエルフなので、乳を使った料理が食べられない。レナはユニコーンだが、ウィザレナを想い、共に同じ料理しか口にしていないから、二人共シチューを食べ事がないけれども。
 シルフが言った三人は、今でも美味しそうに食べてくれている。アルビスに至っては毎日の楽しみだと、微笑みながら言ってきてくれるんだ。

『そうそう。まっ、お前の言葉に甘えるのも悪くねえ。んじゃ、美味い料理とやらを振る舞ってもらおうかなあ』

「そ、そうか! すまない、シルフ。精霊のお前に無茶を言ったのにも関わらず、変身魔法まで駆使して合わせてもらって」

『いちいち謝るんじゃねえよ。仲間だろ? 俺達。あまり気ぃ使うな』

「仲間……。うん、そうだな。ありがとう」

 かなりぎこちない返答をしてしまったが。まだ実感が湧いていないし、恐れ多いとたじろいでしまっているけど、左胸に暖かいものを感じる言葉だな。

『いいって事よ。ああ、そうだ。アカシック。ウンディ姉も、お前の家に連れていっていいだろ?』

「もちろんだ。ウンディーネ様にもかなりお世話になってるし、日頃のお礼もしたいから、必ず連れて来てくれ」

『分かったぜ。ウンディ姉の事だ、相当はしゃぐだろうな。で、いつ行けばいい? 俺達は、いつでも行けるぞ』

「そうか。なら、善は急げというし、早い方がいいな。明日の夕方頃とかは、どうだ?」

『明日の夕方ね、大丈夫だ。へへっ。まさか、俺達が食卓を囲む日が来るだなんてな。楽しみだぜ』

「ああ、私もだ」

 冷静に考えてみると、とんでもない約束を交わしてしまったな。大精霊の二人を私の家に呼び、料理を振る舞うだなんて。ちょっと、緊張してきてしまった。
 けど、それだけじゃない。シルフ達の疲れも癒してあげないと。あと、まだ思い付いていないだけで、出来る事はまだまだ沢山あるはず。
 これについては、アルビス達にも相談した方がよさそうだな。
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