ぶっきらぼう魔女は育てたい

桜乱捕り

文字の大きさ
上 下
167 / 301

164話、四年越しに果たせた約束

しおりを挟む
 サニーの暖かな体を抱きしめて、心身が心地よい幸せに満たされてから、何分ぐらい経っただろうか。
 溢れ出して止まらなかった涙が、すっかり乾いているから、十分以上は経ったかもしれない。
 その間は、サニーも私もずっと無言だった。そろそろ暇を持て余しているかもしれないし、いい加減離れないと。
 身を切る思いで決意した私は、そっとサニーから距離を離す。しかし、サニーは棒立ちしたままで、目を瞑ってゆっくり呼吸していた。

「サニー?」

「……ふぇっ?」

 不思議に思って呼び掛けてみると、サニーの体がピクンと反応し、両目を薄っすらと開けた。

「あっ、おかーひゃん……」

「もしかして、寝てたのか?」

「うん。すごく気持ちよかったから、うとうとしてたぁ」

 そう言って右目を擦り、大きなあくびをするサニー。口をむにゃむにゃさせているけど、私の心をくすぐってくる可愛い仕草だな。

「あれ? 右肩が冷たいや」

「む?」

 サニーが何か異変を察知したようなので、私もすぐにサニーの右肩に注目してみた。その右肩はというと、他の部分と見比べても、明らかに水を浴びたようなずぶ濡れ状態になっていた。
 もしかして、私の涙が原因なのか? 肌が透けて見えているし、そこまで泣いていたんだな、私。

「す、すまない。たぶん、私が泣いてたせいだ」

「そこまで泣いてたんだね。背中まで冷たいから、着替えちゃおっかな」

「そうか。待ってろ、今替えを用意す―――」

 待てよ? サニーの体は、私が流した大量の涙によって汚れてしまっている。ならばここは、一回風呂に入った方がいいんじゃないか?
 私も病み上がりで、お湯で濡らした布で体を拭いてもらっていただけなので、副作用が治ってから一度も風呂に入っていない。
 なら、私も一緒に入った方がいいな。なによりも、今の私ならお湯の温かさが分かるし、サニーと一緒に入ったら絶対に楽しいはずだ!

「サニー!」

 立ち上がった矢先。再びその場に屈み、サニーの両肩に両手を置く私。

「わっ! どうしたの、急に?」

「今から、私と一緒に風呂に入ろう!」

「お風呂? まだお昼にもなってないけど、入っちゃっていいの?」

「ああ、風呂はいつでも入っていいものだ! ちょっと待ってろ、今すぐ沸かしてくる!」

 サニーの返答を聞く前に決定付けた私は、バッと立ち上がり、全速力で風呂場に駆けていく。
 朝食後、アルビスが風呂場を掃除していたから、水を張ってくれているはずだ。
 確信しながら脱衣場を駆け抜け、浴室に入り、浴槽の蓋を開けてみれば。予想通り、綺麗な水が並々張られていた。

「よし! ありがとう、アルビス! あとは焚くだけだ!」

 アルビスは、風呂を掃除して水を張った後、水を沸かす為の薪も必ず用意してくれている。薪の位置は感覚で分かるので、指を鳴らし、無詠唱で下位の火属性魔法を発動させた。
 すると、窓の外から『ボッ』という音が鳴り。パチパチと木が燃える音も、後を追って鳴り出した。あの音がするということは、ちゃんと薪に着火した証だ。
 しかし、これだけでは圧倒的に火力が足りない。ちゃんと沸くまで、少なくとも一時間以上は掛かる。早くしないと、サニーが私の涙のせいで風邪をひいてしまう。
 『不死鳥の息吹』は、無詠唱でも浴室ごと蒸発してしまうし。ここは単純に、浴槽の中に下位の火属性魔法を複数個使い続けて、中からも沸かしてしまおう。

「出て来い、“火”」

 右手を前へかざし、火の杖を召喚して掴み、杖先を浴槽へ向けた。

『火の精霊よ、我に力を貸したまえ』

 数十年振りに基礎の詠唱を唱えると、浴槽内の様々な箇所から、ゆうに二十を超す火の玉が現れた。最初にこの詠唱を唱えたのは、私が五歳ぐらいの時だったか。
 小さい火の玉ながらも、数が多いお陰か。数十秒もすれば、水面から白い湯気が昇り始めた。流石に早いな。今後、すぐ風呂に浸かりたい時が訪れたら、また活用してみよう。

「お湯の温度は……。うん、ちょうどいい」

 自分の肌で温度を確認出来たのも、ずいぶん久しぶりだ。なんだか感慨深いものがある。本当は、これが普通なのだけれども。
 浴槽に入れていた手を出し、数回振って水気を切る。元から乾いていた手で指を鳴らし、浴槽に沈んでいた火の玉と、火の杖を同時に消した。

「よし、サニーを呼ぶか」

「私ならここにいるよ」

「む」

 準備が整ったので、サニーを呼んでこようした直後。脱衣場からサニーの声が聞こえてきたので、顔を右側へやる。
 移り変わった視線の先には、入口の前で、こっそりと浴室を覗いているサニーが居た。

「なんだ、見てたのか」

「うん、ずっと見てた。もう沸いたの?」

「ああ、ちょっと工夫してみたんだ。これからは、一分以内に風呂を沸かす事が出来るぞ」

「わあっ、すごく早いね! それじゃあ、入ろっか」

「ああ、そうしよう」

 ニコリと微笑んだサニーの顔が引っ込んだので、私も着ているローブを脱ぎながら脱衣場に戻っていく。

「お母さん。私とどっちが服を脱ぐのが早いか、競争しようよ」

「すまない、もう脱ぎ終わってる」

「えっ? わっ、本当だ! お母さん、早すぎるよ~」

 勝負を出来ず仕舞で不燃焼気味になったサニーが、しかめっ面をしながら頬をプクッと膨らませる。

「昨日まで寝てただけだし、ローブしか着てなかったからな。ほら、サニーも早く脱げ」

「もう~、とうっ!」

 そう不満そうに唸るも、目にも留まらぬ早さで服を脱ぎ捨てたサニーが、したり顔で腰に両手を当てた。

「どうっ? 私も早かったでしょ?」

「とんでもない早さだったけど……、アルビスやヴェルインには見せるなよ?」

 一向に前を隠してくれないので、いそいそとサニーの体に布を巻く私。

「アルビスさんの前で何回かやった事あるけど、毎回顔を逸らしちゃうから、見ててくれないんだよね」

「へ? や、やったのか……?」

「うん。三回目ぐらいにね、頼むから普通に脱いでくれって、アルビスさんに怒られちゃった」

「だろうな……」

 結構前から、私の手が空いていない時に、アルビスがサニーの相手をしてくれてはいたが……。そんな経緯があったとは。後でアルビスに謝っておかないと。
 私もサニーをやんわりと叱りつつ、湿気がこもり始めた浴室へ入る。窓を開けているから換気はされているけど、むわっとした蒸し暑さを感じるな。これも懐かしい感覚だ。

「わーい! 一番風呂だーっ!」

 いきなりはしゃぎ出したサニーが、浴槽へ飛び込み、湯しぶきを豪快に撒き散らした。
 すごい勢いだ。湯しぶきが天井まで届いている。なんだか、今日のサニーは終始楽しそうにしているな。
 頭まで潜ったサニーが浮上し、浴槽のへりに頭を預け。とろけ切った表情になり、「はぁ~っ」と至福そうなため息を漏らした。

「気持ちいい~……」

「飛び込んだら危ないだろ? ちゃんと気を付けて入れ」

「ごめんにゃしゃ~い……」

 腑抜けた声で謝るも、サニーは既に心ここに有らず。目を閉じて、ふやけた顔を天井に向けている。まあ、一回叱った事だし。これ以上とやかく言うのはやめておこう。

「さて、私も入るか」

 約九十年振りに入る、お湯の温かさがちゃんと分かる風呂だ。そう思ってしまったからには、私の心も弾み出してきた。楽しみだな。
 サニーが手前で浸かっているので、足を奥まで伸ばしてお湯に沈めていく。この時点で、とんでもなく気持ちよく感じる。あまり緊張する場面でもないが、鼓動まで早くなってきた。
 へりに手を付きつつ、両足で立つ。そして、サニーの邪魔にならないよう、体をお湯に沈めていった。

「あ゙あ゙あ゙ぁぁ~~っ……。にゃんだこれぇ~、きんもちぃぃ~……」

 あまりに気持ち良すぎたせいで、とんでもなくしゃがれた声を発してしまった。全身を満遍なく包み込む、柔らかなお湯の抱擁よ。たまらなく気持ちがいい。
 まだ体の芯に残っていた疲れが、お湯に溶け込んでいくのを感じる。体を外側からじんわりと暖め、内側へと浸透していく。そうだ、これが風呂だ。
 まだピースと一緒に居る時は、風呂も大好きだったな。子供の頃は、必ず一緒に入り。体が大きくなる度に、風呂が狭くなり。とうとう一緒に入れなくなった時は、ちょっぴり寂しい思いをしたっけ。

「ふっ、ふふっ」

「にゃにわりゃってりゅんだぁ~、しゃにぃ~……」

「お母さんが、おばあちゃんみたいな声を出してるなって、思って」

「ゔっ……!?」

 今、私の心に凍てついた鋭い刃物で刺されたような、致命傷になりかねない痛みが走った。……おばあちゃん? 私はサニーに、おばあちゃんと言われたのか?
 実質、百十歳を超えているけども。体の成長や年齢は、新薬の副作用のお陰で止まっているので、事実上二十四歳という若さを保ち続けている。
 悪気は無い、悪気は無いはずだ。……しかし、愛娘の言葉ともあってか。今の一撃は、流石に効いたし堪えた。アルビスの、どの攻撃よりも痛かった。
 大人げないのは分かっている。けどサニーは、私のもっとも触れてはいけない部分に触れてしまった。先ほどからおいたが過ぎているし、ちょっと罰を与えよう。

「言ったな? ほれっ」

「わぷっ!?」

 愛娘への罰。それは、お湯を掛ける事だ。すっかり油断している所、両手を駆使してお湯を顔面に掛けてみれば。
 不意の出来事のせいで飲み込んでしまったのか。慌てて飛び起きたサニーが、苦しそうな咳を何度もし出した。

「ゲホッ、ケホッ……! もう~、やったな~っ!」

「ぶっ、このっ」

 躍起になったサニーが仕返しをしてきたので、応戦してお湯を掛け返す私。サニーめ、どれだけ多くのお湯を飛ばしてきているんだ?
 私も両手を止めずに飛ばしているせいで、もう湯しぶきしか見えない。一向に止む事のない、温かな豪雨。激流に似た、浴室内に反響する水の激しい衝突音。
 そういえば、こんなに激しくなかったけども。昔はピースやレムさん達と、よくこうやってお湯を掛け合っていたなぁ。
 それに、私がここまではしゃぐのも、その時以来になるだろうか。なんだか、童心に帰った気分になってきた。サニーと私、互いにムキになっているが、すごく楽しいや。

 お湯の壁が出来始めてから、数十秒ぐらい経っただろうか? 慣れない動きをし続けたせいで、だんだん腕が重くなってきた。
 たぶん、サニーも疲れてきたのだろう。私に掛かってくる湯しぶきに、勢いがなくなりつつある。
 私も息が乱れてきたので、両手をゆっくり止めてみれば。どうやら、サニーも気付いて両手を止めたようで。
 天井から滴ってくる大量の水滴を挟み、肩で息をしているサニーが、遊び疲れたような顔を私に向けていた。

「ふぅ、ふぅ、ふぅ……」

「はぁ、はぁ、はぁ……。ふふっ」

「ふぅ……。ははっ」

「ふ、ふふっ……、あっはっはっはっはっはっ」

「あっはっはっはっ、ああーーーーっ!! お母さんが笑った!!」

「はっはっはっ、え?」

 何かを見て、驚愕したサニーに指を差されている事を認めた視界が、下へ滑り落ち。数回瞬いてから、意に反してサニーの方へ戻った。

「今、私……、笑ってた、よな?」

「笑ってた! すっごく素敵な笑顔で笑ってたよ!!」

 ずぶ濡れの青い瞳を眩く輝かせ、両腕を上下にぶんぶんと振るサニー。
 あまりにも自然に笑っていたせいで、自分でも気が付かなかった。……ああ、そうか。私、笑ってたんだ。笑えるように、なれたんだ。

「やっと……、やっとサニーの前で、笑えるようになれたんだ」

「ほらっ、また笑った! んん~っ、やったーー! やっとお母さんが笑ってくれたーーっ!!」

 喜びが爆発したサニーが、満面の笑顔でバンザイをした。なんて弾けた笑顔なんだ。本当に嬉しそうにしている。
 あそこまで喜ぶのも、無理もないか。サニーが四歳になった時、細い色棒を贈って私を描いてくれた後。私の笑顔を取り戻すのは、お前の使命だと言って、サニーと約束したもんな。
 もしかしたら、それからずっと私の笑顔を取り戻す為に、サニーなりに頑張っていてくれていたのかもしれない。約束を交わした、四年以上も前から。

「ありがとう、サニー。私が笑えるようになれたのは、お前のお陰だ」

「えへへ。だって、そういう約束をしたもん。私が絶対に、お母さんを笑わせてあげるってね」

「やっぱり覚えてたんだな」

「うん! 一回も忘れた事はないよ。早くお母さんの笑ってる顔を見たかったし、いっぱい描いてみたかったからね」

 私にとっても嬉しい事を明かしてくれたサニーが、無垢な笑みをふわりと送ってきた。一回も忘れた事はない、か。そうまでしてサニーは、私の笑顔を取り戻そうとしてくれていたんだな。
 きっと、日々陰で努力をしていたに違いない。私を笑わせようと、色々試してくれていたのだろう。
 ……そんなサニーの努力に応える事が出来ずに、四年以上も待たせていたとは。なんだか、悪い事をしてしまったな。

「すまない、サニー。長い間、待たせてしまって」

「本当だよ。もう、くたびれちゃった」

 やや私の心が痛む文句を垂れると、サニーは私の元に近づいてきて、太ももに座ってから背を向ける。
 そのまま寄りかかってくると、顔を見上げ、私に不満そうにしている細まった目を合わせてきた。

「だから少しの間だけ、私のわがままを聞いてほしいな」

 サニーがここまでキッパリと、自己主張をしてくるのは極めて珍しい。鬱憤も相当溜まっているだろうし、原因を作った私が全て晴らしてやらないと。

「分かった。しばらくは、私を好きに使ってくれ。なんでも叶えてやる」

「ほんとっ!? じゃあ、じゃあっ! 今すぐお風呂から出て、お母さんの笑ってる顔をいっぱい描きたい!」

「ははっ、言うと思った。なら、すぐ上がろう。沢山描いてくれよ?」

「うんっ!」

 即座にわがままを聞き入れ、サニーを抱っこしながら立ち上がる私。自分が笑っている顔はまだ見れていないから、とても楽しみだ。
 さあ、ここからは長丁場になる。シルフにお礼を言うのは、今日の夜中にやるとして。新しい秘薬を作る為の材料集めは、また今度でいいか。
 しばらくは、私の笑顔を取り戻してくれた、最愛なる娘のわがままを叶え続けていよう。もちろん、感謝を込めてな。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

処理中です...