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147話、冥府の門
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『枯れぬ命の花を抱き、天に昇る術を求め続け、死を渇望せし者へ無常の風を送らん、森羅万象の終点へ誘う『冥府の門』に告ぐ。現世へ降り立ち、慈悲なる死を与えたまえ』
アルビスが呪文を唱え始めると、メリューゼの背後に漆黒の点が現れ。景色を塗り潰すように縦へ落ち、姿を線に変えていく。
なんだ? あのおぞましい線は? 見ているだけで呼吸が乱れてきて、体中が勝手に震え出してきた。……怖い。ここから逃げ出したくなるほどの恐怖を、あの線から感じる。
「アカシックさん。水鏡の中に居れば安全ですから、気を確かに持って下さい」
「は……、はい」
隣にウンディーネ様が居るという事実が、私の乱れ切った呼吸を少しだけ整えてくれた。それでも、気持ちはまるで落ち着かない。
体のどこかを動かしていないと、不安でしょうがない。体が硬直してしまい、今にも死んでしまいそうな気分だ。
だんだん過呼吸気味になってくると、景色をなぞっていた黒い線がピタリと止まり、線を起点として歪な波紋が空間に立ち始め。
まるで水中から浮上してきたかの様に、何も無い所から限りなく黒に近い赤紫色をした巨大な門が、音も無く現れた。
石のようで、木のようで、骨の集合体にも見えなくはない、首を上下に動かさなければ全容を認める事が出来ず。簡素ながらも、どこか複雑な構造で、思考が砂嵐に襲われて何も考えられなくなってくる、おどろおどろしい巨大な門。
……苦しい。いくら呼吸をしても体が満たされない。そもそも私は、呼吸をしているのか? 私は今、生きているのか? なんだか、目の前がだんだん霞んできたような……。
「……嫌だ。死にたく、ない……」
「アカシックさん」
「……誰か、誰か……、助け―――」
どこからか、助けを求める私の声に似た何かを聞いている最中。背中と左肩を触られたような気がして、白くなり始めた意識がハッキリとしてきた。
視線を左側に持っていくと、肩に紺碧色の華奢な手が乗っていて。右側を向いてみれば、ウンディーネ様が私に寄り添ってくれていた。
「……ウンディーネ、様」
「大丈夫、私が傍に居ます。ですので、ご安心を」
「……ハァ、ハァ、ハァ……。あ、ありがとう、ございます……」
ウンディーネ様の抱擁に甘えてしまい、清らかな体に身を預ける私。呼吸をする度に、体の中が満たされていく感覚がする。震えも収まってきた。私は今、ちゃんと生きている。よかった……。
「あの扉は、まさに死そのもの。対象者では無いあなたが、意識を飲み込まれかけていましたよ。らしくありませんね」
「すみませんでした、精進します……」
どうやら具現化した死を目の当たりにして、私は錯乱していたらしい。それを自覚すら持っていなかっただなんて。ウンディーネ様に、醜態を晒してしまった。みっともないなぁ……。
呼吸が正常に戻り、体の震えが完全に収まるとほぼ同時。『冥府の門』から『ガコン』という重厚な音が木霊し、身の毛がよだつ軋んだ音を立たせながら開き始めた。
扉の隙間から溢れ出してきたのは、先が拝めないほど濃い紫色をした煙。たぶん、あの煙は瘴気だ。現世へ降り立ったばかりの瘴気が、重力に囚われて下へ流れていく―――。
「な、なんだ……、あれ?」
扉の裏側が見えてきたかと思えば。その裏側には、隙間なく埋まった石像群の姿があった。下半身と両腕は、扉の裏側に沈んでいて。
上半身だけが外へ伸びていて、顔は全員無表情。パッと見ただけで色んな種族の石像があるけども、どの石像にも、なんだか変な違和感がある。
「なるほど。いきなりあの世へ逝ける訳ではないのですね」
「え?」
どこか理解した様なウンディーネ様の声を聞き、顔を右へやる。移り変わった視界先に、目を細め、どこか哀愁が漂う表情をしたウンディーネ様が居た。
「どういう意味ですか?」
「あの石像達から、微弱ながら生命の力を感じます。そして、ほとんどの方々が不死族。つまり、あれらは石像ではありません。石化した者達です」
「せ、石化した、者達……」
―――直接あの世へ逝っても、我ら不死は死なん。あの世で生き続ける事になる。なのであの世へ逝く前に、ここで肉体を消滅させて、魂だけの存在にならねばならん。
どこか嬉々としているメリューゼの捕捉に、私は顔を『冥府の門』へ戻した。その、静かに死を待つメリューゼの背後。冥府の門から覗いている深淵。
一寸先も拝めない闇の中から、半透明で薄紫色した無数の手が生え伸びてきては、メリューゼの全身至る箇所を鷲掴んでいった。
―――おっと。そろそろ、妾も扉と一体化する時間か。アルビスよ。
不可解な手の群れに全身を掴まれたのにも関わらず、まったく意に介してないメリューゼが、目線をアルビスへと合わせる。
その間に、右扉の一番左下にあった人型の石像が外へ飛び出し、扉の中央へ向かっていく。
「は、はい!」
―――万謝する。汝と出会えた事を、幸福に思う。生涯でかけがえのない誇りとして、心に刻み込んでおこう。
「……余には、あまりにも勿体なきお言葉でございます、メリューゼ様」
メリューゼの体が扉へ引き込まれ出したので、私は指をそっと鳴らし、メリューゼを磔にしていた『水剛槍』と、くちばしに巻き付いた『水縄』を砕いた。
―――汝は、妾にとってそれまでの事をしてくれた。しかと受け取ってくれ。汝に、妾以上の幸福が訪れん事を、切に願う。
これから死ぬというのに、自分よりもアルビスの身を案じたメリューゼが、右扉の一番右上にまで引っ張られていく。
足先が扉に触れると、扉全体に水面に走る様な波紋を立たせ、メリューゼの体を沈ませていった。そして、息が詰まる静寂が訪れてから、数秒後。
メリューゼが引っ張り出されてきたかと思えば。出てきた頭部は全て綺麗に石化していて、首元まで露になると、メリューゼを掴んでいた薄紫色の手が離れ、深淵の底へ還っていった。
「メリューゼ、様……」
アルビスが呼ぼうとも、メリューゼだった石像からの返答は無し。五秒、十秒待てども、ただ聞こえてくるのは、戻って来た平和を噛み締めている風の音だけ。
時の流れが、やたらと長く感じる。一秒が十秒にも一分にも、どこまでも間延びしていって、来たるべき今という瞬間が私から離れていく。
……アルビスに、なんて声を掛けよう。早くあいつを励ましてやって、気を少しでも紛らわせてやりたいというのに。
口を開けようにも、アルビスに右手を伸ばそうとしても、声は出ず。伸ばした右手は、勝手に私の胸元に戻ってきて、左胸を強く握り締めていた。
ウンディーネ様に顔を向けるも、あの人はただ一点を静かに見据えていて、口を固く閉ざしている。やはりここは、私がアルビスに何かを言ってやらないと。
顔をアルビスの背中へやり、目を閉じる。音が出ないように深呼吸をすると、肩の力が僅かに抜けていく感覚がした。……よし、声を掛けるぞ。
「アルビ―――」
あいつに声を掛けようとした矢先。『ピシッ』という、何かに亀裂が入った様な音が割って入った。なんだ、今の不穏な音は? 石像でも割れたのか?
けれども、扉の左右を埋め尽くしている石像には、どこも変化が見受けられない。しかし、例の音がまた一回鳴り、二回三回と数を増やしていく。
大体の石像を確認し終えたので、門の中央へ飛び出していった人型の石像に注目してみた。どうやら音の発生源は、その石像からだったようで。
やや遠目で分かり辛いけど、至る箇所に細い亀裂が入っていた。
「あの後ろ姿、もしかして……」
「む?」
みるみる増えていく亀裂音の合間を縫う、久しぶりにも感じたアルビスの声。
「……ベルラザ?」
アルビスが呪文を唱え始めると、メリューゼの背後に漆黒の点が現れ。景色を塗り潰すように縦へ落ち、姿を線に変えていく。
なんだ? あのおぞましい線は? 見ているだけで呼吸が乱れてきて、体中が勝手に震え出してきた。……怖い。ここから逃げ出したくなるほどの恐怖を、あの線から感じる。
「アカシックさん。水鏡の中に居れば安全ですから、気を確かに持って下さい」
「は……、はい」
隣にウンディーネ様が居るという事実が、私の乱れ切った呼吸を少しだけ整えてくれた。それでも、気持ちはまるで落ち着かない。
体のどこかを動かしていないと、不安でしょうがない。体が硬直してしまい、今にも死んでしまいそうな気分だ。
だんだん過呼吸気味になってくると、景色をなぞっていた黒い線がピタリと止まり、線を起点として歪な波紋が空間に立ち始め。
まるで水中から浮上してきたかの様に、何も無い所から限りなく黒に近い赤紫色をした巨大な門が、音も無く現れた。
石のようで、木のようで、骨の集合体にも見えなくはない、首を上下に動かさなければ全容を認める事が出来ず。簡素ながらも、どこか複雑な構造で、思考が砂嵐に襲われて何も考えられなくなってくる、おどろおどろしい巨大な門。
……苦しい。いくら呼吸をしても体が満たされない。そもそも私は、呼吸をしているのか? 私は今、生きているのか? なんだか、目の前がだんだん霞んできたような……。
「……嫌だ。死にたく、ない……」
「アカシックさん」
「……誰か、誰か……、助け―――」
どこからか、助けを求める私の声に似た何かを聞いている最中。背中と左肩を触られたような気がして、白くなり始めた意識がハッキリとしてきた。
視線を左側に持っていくと、肩に紺碧色の華奢な手が乗っていて。右側を向いてみれば、ウンディーネ様が私に寄り添ってくれていた。
「……ウンディーネ、様」
「大丈夫、私が傍に居ます。ですので、ご安心を」
「……ハァ、ハァ、ハァ……。あ、ありがとう、ございます……」
ウンディーネ様の抱擁に甘えてしまい、清らかな体に身を預ける私。呼吸をする度に、体の中が満たされていく感覚がする。震えも収まってきた。私は今、ちゃんと生きている。よかった……。
「あの扉は、まさに死そのもの。対象者では無いあなたが、意識を飲み込まれかけていましたよ。らしくありませんね」
「すみませんでした、精進します……」
どうやら具現化した死を目の当たりにして、私は錯乱していたらしい。それを自覚すら持っていなかっただなんて。ウンディーネ様に、醜態を晒してしまった。みっともないなぁ……。
呼吸が正常に戻り、体の震えが完全に収まるとほぼ同時。『冥府の門』から『ガコン』という重厚な音が木霊し、身の毛がよだつ軋んだ音を立たせながら開き始めた。
扉の隙間から溢れ出してきたのは、先が拝めないほど濃い紫色をした煙。たぶん、あの煙は瘴気だ。現世へ降り立ったばかりの瘴気が、重力に囚われて下へ流れていく―――。
「な、なんだ……、あれ?」
扉の裏側が見えてきたかと思えば。その裏側には、隙間なく埋まった石像群の姿があった。下半身と両腕は、扉の裏側に沈んでいて。
上半身だけが外へ伸びていて、顔は全員無表情。パッと見ただけで色んな種族の石像があるけども、どの石像にも、なんだか変な違和感がある。
「なるほど。いきなりあの世へ逝ける訳ではないのですね」
「え?」
どこか理解した様なウンディーネ様の声を聞き、顔を右へやる。移り変わった視界先に、目を細め、どこか哀愁が漂う表情をしたウンディーネ様が居た。
「どういう意味ですか?」
「あの石像達から、微弱ながら生命の力を感じます。そして、ほとんどの方々が不死族。つまり、あれらは石像ではありません。石化した者達です」
「せ、石化した、者達……」
―――直接あの世へ逝っても、我ら不死は死なん。あの世で生き続ける事になる。なのであの世へ逝く前に、ここで肉体を消滅させて、魂だけの存在にならねばならん。
どこか嬉々としているメリューゼの捕捉に、私は顔を『冥府の門』へ戻した。その、静かに死を待つメリューゼの背後。冥府の門から覗いている深淵。
一寸先も拝めない闇の中から、半透明で薄紫色した無数の手が生え伸びてきては、メリューゼの全身至る箇所を鷲掴んでいった。
―――おっと。そろそろ、妾も扉と一体化する時間か。アルビスよ。
不可解な手の群れに全身を掴まれたのにも関わらず、まったく意に介してないメリューゼが、目線をアルビスへと合わせる。
その間に、右扉の一番左下にあった人型の石像が外へ飛び出し、扉の中央へ向かっていく。
「は、はい!」
―――万謝する。汝と出会えた事を、幸福に思う。生涯でかけがえのない誇りとして、心に刻み込んでおこう。
「……余には、あまりにも勿体なきお言葉でございます、メリューゼ様」
メリューゼの体が扉へ引き込まれ出したので、私は指をそっと鳴らし、メリューゼを磔にしていた『水剛槍』と、くちばしに巻き付いた『水縄』を砕いた。
―――汝は、妾にとってそれまでの事をしてくれた。しかと受け取ってくれ。汝に、妾以上の幸福が訪れん事を、切に願う。
これから死ぬというのに、自分よりもアルビスの身を案じたメリューゼが、右扉の一番右上にまで引っ張られていく。
足先が扉に触れると、扉全体に水面に走る様な波紋を立たせ、メリューゼの体を沈ませていった。そして、息が詰まる静寂が訪れてから、数秒後。
メリューゼが引っ張り出されてきたかと思えば。出てきた頭部は全て綺麗に石化していて、首元まで露になると、メリューゼを掴んでいた薄紫色の手が離れ、深淵の底へ還っていった。
「メリューゼ、様……」
アルビスが呼ぼうとも、メリューゼだった石像からの返答は無し。五秒、十秒待てども、ただ聞こえてくるのは、戻って来た平和を噛み締めている風の音だけ。
時の流れが、やたらと長く感じる。一秒が十秒にも一分にも、どこまでも間延びしていって、来たるべき今という瞬間が私から離れていく。
……アルビスに、なんて声を掛けよう。早くあいつを励ましてやって、気を少しでも紛らわせてやりたいというのに。
口を開けようにも、アルビスに右手を伸ばそうとしても、声は出ず。伸ばした右手は、勝手に私の胸元に戻ってきて、左胸を強く握り締めていた。
ウンディーネ様に顔を向けるも、あの人はただ一点を静かに見据えていて、口を固く閉ざしている。やはりここは、私がアルビスに何かを言ってやらないと。
顔をアルビスの背中へやり、目を閉じる。音が出ないように深呼吸をすると、肩の力が僅かに抜けていく感覚がした。……よし、声を掛けるぞ。
「アルビ―――」
あいつに声を掛けようとした矢先。『ピシッ』という、何かに亀裂が入った様な音が割って入った。なんだ、今の不穏な音は? 石像でも割れたのか?
けれども、扉の左右を埋め尽くしている石像には、どこも変化が見受けられない。しかし、例の音がまた一回鳴り、二回三回と数を増やしていく。
大体の石像を確認し終えたので、門の中央へ飛び出していった人型の石像に注目してみた。どうやら音の発生源は、その石像からだったようで。
やや遠目で分かり辛いけど、至る箇所に細い亀裂が入っていた。
「あの後ろ姿、もしかして……」
「む?」
みるみる増えていく亀裂音の合間を縫う、久しぶりにも感じたアルビスの声。
「……ベルラザ?」
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