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88話、最初に戻ってきた感情は、“怒”り
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ヴェルインが私の名前を呼んでくれたお陰で、朦朧としていた意識がハッキリとしてきた。けれども、まだ呼吸がしづらい。目に映る景色が微かに赤く、頭痛と眩暈がする。
心臓が全身を打ち付ける様に強く鼓動していて、何度も嘔吐きそうだ。おぼつかない足もそう。サニーの様子を見に行きたいのに、私の意思に反して前へ勝手に進んで行く。
私の感情が、私の身体の中にある全てが、“怒”りの感情に塗り潰されているんだ。意識が飛び飛びになっていたのも、そのせいだろう。
私は、この感情に二度の覚えがある。一つ目は、ピースが『アンブラッシュ・アンカー』に首を刎ねられた時。
もう一つは、サニーがヴェルインに喰われたと勘違いした時。とどのつまり私は、激昂すると感情の抑制が出来なくなり、瞬時に頭に血が上って暴走してしまうのだ。
そして私は、サニーを拾ってから三年目の時にはもう、サニーの事を無自覚で愛していたし、気付かぬ内に怒りの感情が戻ってきていたんだな。
外へ続く出入口の前に着き、緩やかな登り坂を見上げる。
アジト内の壁や天井は全て青白いのに対し、目先にある登り坂は、黒、黒、黒。ぞわぞわと蠢く黒一色。まだこんなに居るのか、鬱陶しいにも程がある。
「邪魔だ」
遠回しな死の宣告を告げ、風の杖を雑に振り上げる。すると、目前に緑色の魔法陣が出現。現れるは、視認出来る程の高密度で、乱暴な螺旋のうねりを上げる竜巻。
登り坂に飛び込んだ竜巻は、蠢く黒を粉微塵になるまで切り刻み、跡形も残らず押し上げていった。
安全を確保出来た所で私も歩き出し、指を鳴らして壁に炎を灯しながら先を進む。
第二波を警戒していたが、一向に来ず。そのまま上っていくと、出入口付近の状況を認めるや否や、私の視野が狭まった。
「それで塞いだつもりか?」
唯一の出入口を塞いでいるのは、不規則な木漏れ日を作っている蜘蛛の集団。チラチラと汚らわしい光を発している。
それなりに統率力と知性はあるようだが、知能は皆無のようだ。塵と化した仲間が吹き飛ばされてきた時点で、逃げ出していればよかったものの。あれじゃあ、殺して下さいと言わんばかりの恰好の的だ。
あいつらの願いを叶えるべく、火の杖に持ち変え、横に振る。同時に汚らわしい白の木漏れ日が、紅蓮の赤へと染まる。
その炎の壁に巻き込まれた蜘蛛達は、体が蒸発して影に変わり、空間に残った影さえも炎に飲まれていった。
木漏れ日が、常に差し込んでくる大きな光に変わり、太陽の光で白に支配されている外へと出た。
やや遅れて目が光に慣れてきて、白の世界がぼんやりと色付き出す。が、視界に映り込んできたのは、開けた山々の景色ではなく、再び黒い壁だった。
呼吸をしているかの様に、膨らんでは縮んでいく壁。その壁には枝を思わせる太さで、光を浴びて白みを帯びた毛みたいな物が、ビッシリと生え揃っている。
空を仰ぐ前に、左右に顔を移してみる。沼地帯に続く坂道も、アルビスが住んでいる頂上へ続く登り坂にも、蠢く黒がどこまでも続いているし、追加の蜘蛛が崖から這い上がって来ていた。
やっと私に恐れを成したのか。距離を一定に保っている蜘蛛達を認めた後、視界を上に持っていく。
最初に視界に入ったのは、鎌状のでかい何かが二本。蜘蛛の口か? その上に、上下に四つずつある虹色の艶を走らせている八個の黒い丸。あれは目だろうか?
一つ一つの目が、私の体よりも遥かに大きい。上段の中央二つは更に巨大だ。アルビスがドラゴンの姿に戻ったとしても、すっぽりと収まってしまいそうな程に。
そうか。全容が確認出来ないけども、私の目の前に居るのは、山の様に巨体な蜘蛛という訳か。という事は、こいつが小蜘蛛にサニーとヴェルイン達を襲うよう仕向けた、全ての元凶。
「お前か? ワシの可愛い子供達を焼き殺した餌は?」
まるで、山が直接叫んでいる様な声量だ。一言一言が、大気と地面をビリビリと揺らしている。こいつが絶叫した日には、鼓膜が弾け飛んでしまいそうだ。
「ヴェルイン」
「いいっ!? な、なんだよ……? 俺達が居るの、分かってたのかよ」
近くに居ない事を確認したのに、背後からヴェルインの声が聞こえてきてしまった。宝物部屋で留まっていてほしかったのだが……。
来てしまったのであれば仕方ない。全員居るか確認しておきたいので、このまま続けてしまおう。
「気配で分かってた。お前の仲間は、全員そこに居るのか?」
「ああ、居るぜ」
「当然サニーも居るんだろうな?」
「居るし、安心しろ。今はスヤスヤ眠ってるぜ」
「そうか。サニーが起きたら、すぐに知らせてくれ」
「あいよ」
サニーが眠っているなら好都合だ。これから私は、性根をアルビスと戦っていた頃までに戻す。
そんな闇に飲まれていた頃の私なんて、サニーには絶対に見せたくないからな。
「おい、ワシを無視するな」
「驚いた。最近の山は、泥みたいに汚らしい声で喋るんだな。それに酷い刺激臭だ。すっかりと汚染されてるじゃないか。私が綺麗に掃除してやろうか?」
「盲目がやっとワシを視認できたかと思えば、急に囀りやがって。かなり活きがいい餌だ。霞にもならない量だが、食い応えがありそうだな」
「僅かな知性はあるようだが、知能の無さを自ら露呈させてるぞ? 私を餌と認識してる辺りがいい証拠だ」
「ああ?」
攻撃性のある短い怒号を放つ山蜘蛛。あいつの感情に感化されたのか、私の足元からふつふつと禍々しい殺気が湧き出してきた。
たった二度の稚拙な挑発で、臨戦態勢に入るとは。拍子抜けだ。こいつは、本能のままに行動する獣と何ら変わりがない。ただ体が規格外に大きいだけ。たったそれだけの事だ。
「ふざけやがって。ワシの可愛い子供達よ、餌の時間だ。そこに立ってる愚かな餌を、骨すら残さず食い散らかしてやれ」
辺りを漂っている殺気に、とてつもない圧迫感が生まれた。私を包囲している蜘蛛達も殺気立ったようだ。
だが、私はここから一歩たりとも動かない。サニーとヴェルイン達を守る役目がある。それに、背後にある山には『奥の手』を使用した、はず……。
記憶が曖昧なせいで定かではないが、一回だけなら空振りしても問題無い。徐々に殺気の壁が迫り来る中。私は山蜘蛛を見据えたまま、氷の杖を手に引き寄せる。
氷の杖を握ると同時に、杖先で地面を叩くと『コォーン……』と透き通った音が反響し、下から微風が舞い上がった。
そして、辺りから物が瞬時に凍るような『パキパキ』とした音が鳴り出し、殺気を薄めながら遠ざかっていく。
数秒もすれば、辺りに充満していた殺気は無くなり、風の音すら聞こえない無音の世界に包まれた。
「……山が、凍った?」
目前にある山蜘蛛が、私の背後にある山の現状を認めた様なので、私も視界を左右へ移す。左側、氷の下に沈んでいる蜘蛛の大群。右側も同じ光景が広がっている。
やはり『奥の手』は便利だ。使用した魔法は下位の氷魔法だというのに、山全体が凍りついてしまった。新手が来ない事を確認した私は、目の前にある無傷の山蜘蛛に視線を戻した。
「ワシの可愛い子供達が、どうしたって?」
「グッ……!」
「いいか? よく聞け。その可愛い子供達とやらに、私のたった一人の愛娘が殺されそうになったんだ。それを聞いた時は、怒り狂って我を失ったよ。なのにお前なんだ? 数百以上の子供を目の前で殺されたっていうのに、最初に出た言葉が『山が凍った』? 聞いて呆れる。自分の子供を駒みたいな使い方しやがって。お前から産まれた子供達が可哀想だよ。こんな薄情な母親の命令のせいで、命を無駄に落としてしまったんだからな」
この挑発は、私の心にも突き刺さる挑発だ。人の事をとやかく言える立場じゃない。サニーを拾ってから間もない頃、私もサニーをぞんざいに扱ってしまっていたのだから。
挑発を重ねようとも、山蜘蛛は微動だにしない。恐れを成したか。それとも、我が子を殺されたという現実から目を逸らしているのか。はたまた、逃げる算段を考えているのか。
どれにせよ、こいつだけは絶対に逃がさない。こいつは、サニーを殺そうとした元凶だ。たとえ地の果てまで逃げようとも、どんな手を使ってでも追い詰めて必ず殺してやる。
「反論しないのであれば、もういい。終わりにしよう。どっちみちお前を逃がすつもりは毛頭ない。せめてもの情けだ。子供達もろとも、まとめてあの世に送ってやる」
そう言った途端。山蜘蛛の口元から、赤く発光した線が体中に走り出した。ギザギザに分かれていく線は胴体を駆け、足先まで広がっていく。ようやく怒り出したようだ。
その証拠に、全身から白い湯気が昇り始めている。怒りで血か体液が沸騰しているな。まるで活火山だ。その活火山が、一番前にある左前足を上げ、背後に回していった。
「貴様ァ……! すり潰して氷山の一部にしてやらあッ!!」
左前足の攻撃よりも、暴風の怒号に体が飛ばされそうになり、すぐさま風魔法で相殺する私。そのまま土の杖を左手に持ち、活火山にかざした。
心臓が全身を打ち付ける様に強く鼓動していて、何度も嘔吐きそうだ。おぼつかない足もそう。サニーの様子を見に行きたいのに、私の意思に反して前へ勝手に進んで行く。
私の感情が、私の身体の中にある全てが、“怒”りの感情に塗り潰されているんだ。意識が飛び飛びになっていたのも、そのせいだろう。
私は、この感情に二度の覚えがある。一つ目は、ピースが『アンブラッシュ・アンカー』に首を刎ねられた時。
もう一つは、サニーがヴェルインに喰われたと勘違いした時。とどのつまり私は、激昂すると感情の抑制が出来なくなり、瞬時に頭に血が上って暴走してしまうのだ。
そして私は、サニーを拾ってから三年目の時にはもう、サニーの事を無自覚で愛していたし、気付かぬ内に怒りの感情が戻ってきていたんだな。
外へ続く出入口の前に着き、緩やかな登り坂を見上げる。
アジト内の壁や天井は全て青白いのに対し、目先にある登り坂は、黒、黒、黒。ぞわぞわと蠢く黒一色。まだこんなに居るのか、鬱陶しいにも程がある。
「邪魔だ」
遠回しな死の宣告を告げ、風の杖を雑に振り上げる。すると、目前に緑色の魔法陣が出現。現れるは、視認出来る程の高密度で、乱暴な螺旋のうねりを上げる竜巻。
登り坂に飛び込んだ竜巻は、蠢く黒を粉微塵になるまで切り刻み、跡形も残らず押し上げていった。
安全を確保出来た所で私も歩き出し、指を鳴らして壁に炎を灯しながら先を進む。
第二波を警戒していたが、一向に来ず。そのまま上っていくと、出入口付近の状況を認めるや否や、私の視野が狭まった。
「それで塞いだつもりか?」
唯一の出入口を塞いでいるのは、不規則な木漏れ日を作っている蜘蛛の集団。チラチラと汚らわしい光を発している。
それなりに統率力と知性はあるようだが、知能は皆無のようだ。塵と化した仲間が吹き飛ばされてきた時点で、逃げ出していればよかったものの。あれじゃあ、殺して下さいと言わんばかりの恰好の的だ。
あいつらの願いを叶えるべく、火の杖に持ち変え、横に振る。同時に汚らわしい白の木漏れ日が、紅蓮の赤へと染まる。
その炎の壁に巻き込まれた蜘蛛達は、体が蒸発して影に変わり、空間に残った影さえも炎に飲まれていった。
木漏れ日が、常に差し込んでくる大きな光に変わり、太陽の光で白に支配されている外へと出た。
やや遅れて目が光に慣れてきて、白の世界がぼんやりと色付き出す。が、視界に映り込んできたのは、開けた山々の景色ではなく、再び黒い壁だった。
呼吸をしているかの様に、膨らんでは縮んでいく壁。その壁には枝を思わせる太さで、光を浴びて白みを帯びた毛みたいな物が、ビッシリと生え揃っている。
空を仰ぐ前に、左右に顔を移してみる。沼地帯に続く坂道も、アルビスが住んでいる頂上へ続く登り坂にも、蠢く黒がどこまでも続いているし、追加の蜘蛛が崖から這い上がって来ていた。
やっと私に恐れを成したのか。距離を一定に保っている蜘蛛達を認めた後、視界を上に持っていく。
最初に視界に入ったのは、鎌状のでかい何かが二本。蜘蛛の口か? その上に、上下に四つずつある虹色の艶を走らせている八個の黒い丸。あれは目だろうか?
一つ一つの目が、私の体よりも遥かに大きい。上段の中央二つは更に巨大だ。アルビスがドラゴンの姿に戻ったとしても、すっぽりと収まってしまいそうな程に。
そうか。全容が確認出来ないけども、私の目の前に居るのは、山の様に巨体な蜘蛛という訳か。という事は、こいつが小蜘蛛にサニーとヴェルイン達を襲うよう仕向けた、全ての元凶。
「お前か? ワシの可愛い子供達を焼き殺した餌は?」
まるで、山が直接叫んでいる様な声量だ。一言一言が、大気と地面をビリビリと揺らしている。こいつが絶叫した日には、鼓膜が弾け飛んでしまいそうだ。
「ヴェルイン」
「いいっ!? な、なんだよ……? 俺達が居るの、分かってたのかよ」
近くに居ない事を確認したのに、背後からヴェルインの声が聞こえてきてしまった。宝物部屋で留まっていてほしかったのだが……。
来てしまったのであれば仕方ない。全員居るか確認しておきたいので、このまま続けてしまおう。
「気配で分かってた。お前の仲間は、全員そこに居るのか?」
「ああ、居るぜ」
「当然サニーも居るんだろうな?」
「居るし、安心しろ。今はスヤスヤ眠ってるぜ」
「そうか。サニーが起きたら、すぐに知らせてくれ」
「あいよ」
サニーが眠っているなら好都合だ。これから私は、性根をアルビスと戦っていた頃までに戻す。
そんな闇に飲まれていた頃の私なんて、サニーには絶対に見せたくないからな。
「おい、ワシを無視するな」
「驚いた。最近の山は、泥みたいに汚らしい声で喋るんだな。それに酷い刺激臭だ。すっかりと汚染されてるじゃないか。私が綺麗に掃除してやろうか?」
「盲目がやっとワシを視認できたかと思えば、急に囀りやがって。かなり活きがいい餌だ。霞にもならない量だが、食い応えがありそうだな」
「僅かな知性はあるようだが、知能の無さを自ら露呈させてるぞ? 私を餌と認識してる辺りがいい証拠だ」
「ああ?」
攻撃性のある短い怒号を放つ山蜘蛛。あいつの感情に感化されたのか、私の足元からふつふつと禍々しい殺気が湧き出してきた。
たった二度の稚拙な挑発で、臨戦態勢に入るとは。拍子抜けだ。こいつは、本能のままに行動する獣と何ら変わりがない。ただ体が規格外に大きいだけ。たったそれだけの事だ。
「ふざけやがって。ワシの可愛い子供達よ、餌の時間だ。そこに立ってる愚かな餌を、骨すら残さず食い散らかしてやれ」
辺りを漂っている殺気に、とてつもない圧迫感が生まれた。私を包囲している蜘蛛達も殺気立ったようだ。
だが、私はここから一歩たりとも動かない。サニーとヴェルイン達を守る役目がある。それに、背後にある山には『奥の手』を使用した、はず……。
記憶が曖昧なせいで定かではないが、一回だけなら空振りしても問題無い。徐々に殺気の壁が迫り来る中。私は山蜘蛛を見据えたまま、氷の杖を手に引き寄せる。
氷の杖を握ると同時に、杖先で地面を叩くと『コォーン……』と透き通った音が反響し、下から微風が舞い上がった。
そして、辺りから物が瞬時に凍るような『パキパキ』とした音が鳴り出し、殺気を薄めながら遠ざかっていく。
数秒もすれば、辺りに充満していた殺気は無くなり、風の音すら聞こえない無音の世界に包まれた。
「……山が、凍った?」
目前にある山蜘蛛が、私の背後にある山の現状を認めた様なので、私も視界を左右へ移す。左側、氷の下に沈んでいる蜘蛛の大群。右側も同じ光景が広がっている。
やはり『奥の手』は便利だ。使用した魔法は下位の氷魔法だというのに、山全体が凍りついてしまった。新手が来ない事を確認した私は、目の前にある無傷の山蜘蛛に視線を戻した。
「ワシの可愛い子供達が、どうしたって?」
「グッ……!」
「いいか? よく聞け。その可愛い子供達とやらに、私のたった一人の愛娘が殺されそうになったんだ。それを聞いた時は、怒り狂って我を失ったよ。なのにお前なんだ? 数百以上の子供を目の前で殺されたっていうのに、最初に出た言葉が『山が凍った』? 聞いて呆れる。自分の子供を駒みたいな使い方しやがって。お前から産まれた子供達が可哀想だよ。こんな薄情な母親の命令のせいで、命を無駄に落としてしまったんだからな」
この挑発は、私の心にも突き刺さる挑発だ。人の事をとやかく言える立場じゃない。サニーを拾ってから間もない頃、私もサニーをぞんざいに扱ってしまっていたのだから。
挑発を重ねようとも、山蜘蛛は微動だにしない。恐れを成したか。それとも、我が子を殺されたという現実から目を逸らしているのか。はたまた、逃げる算段を考えているのか。
どれにせよ、こいつだけは絶対に逃がさない。こいつは、サニーを殺そうとした元凶だ。たとえ地の果てまで逃げようとも、どんな手を使ってでも追い詰めて必ず殺してやる。
「反論しないのであれば、もういい。終わりにしよう。どっちみちお前を逃がすつもりは毛頭ない。せめてもの情けだ。子供達もろとも、まとめてあの世に送ってやる」
そう言った途端。山蜘蛛の口元から、赤く発光した線が体中に走り出した。ギザギザに分かれていく線は胴体を駆け、足先まで広がっていく。ようやく怒り出したようだ。
その証拠に、全身から白い湯気が昇り始めている。怒りで血か体液が沸騰しているな。まるで活火山だ。その活火山が、一番前にある左前足を上げ、背後に回していった。
「貴様ァ……! すり潰して氷山の一部にしてやらあッ!!」
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