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29話、孤児の魔女と人間
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サニーが足し算を覚えた後。私はすぐさま街へ行き、聖水を購入した。理由はもちろん、死にまみれた手を一時的に清める為である。
教会で懺悔をする手もあったが、穢れきった今の私では行く権利は無いと己に言い聞かせ、我慢して家に帰宅。
もし、彼と共に育った、今は無き教会跡に行ったら、とうの昔に枯れ果ててしまった私の涙は、再び流せるようになるのだろうか?
「ママ、絵本読んでっ!」
「む、どれがいいんだ?」
サニーに『足し算』を教えてからというものの。すぐに『引き算』まで我が物にしてしまい、二日後には五十までの数字を覚えた。
私の教え方がいいのか、サニーの記憶力が凄まじいのか。数日もすると、知識を取り込む事に魅入られてしまい、色んな物に興味を示す様になってきた。
例えば、本棚に入っている書物。読み書きもかなり出来る様になり、本について軽く教えてみれば『読みたい』と言い出したので、絵本を大量に購入した。
年齢に見合った絵本をサニーに与えてみれば、そのまま物語に没入。少しすると、私に読んでと言い始め、サニーが寝る前に絵本を読むのが日課にまでなってしまった。
「これ!」
寝る前とは思えない程はしゃいでるサニーが、一冊の白い本を私に差し伸べてくる。手に取って題名に目をやれば、“孤児の魔女と人間”と記されていた。
「なんだこの題名は?」
「はやくっ、はやくっ!」
ベッドの中に潜り込み、準備万端の様子で催促してくるサニー。かなり興奮しているが、その状態で本当に寝れるのだろうか?
「分かった」
催促に応えた私は、鼻からため息を漏らしつつベッドに座り、何かと違和感のある絵本を開く。
「読むぞ。“孤児の魔女と人間”。とある昔、寂れた教会に孤児の魔女と人間が居ました。魔女と人間には物心がついた時から親が居なかったので、名前がありませんでした。頼れる人間は、天使のように優しい神父様、ただ一人でした」
私は違和感の正体が掴めぬまま、次の頁を捲る。
「名前が無い二人に神父様は可哀想だと思い、神父様は人間に名前を。人間は、魔女に名前を授けました。そこから三人は、貧しいながらも楽しく暮らしていきました」
……なぜだろうか。この物語の登場人物である魔女は、幼少時代の私と似てる気がする。
「はやくっ、次よんでっ」
「……ああ」
違和感が徐々に膨らんでいくも、サニーを待たせる訳にはいかない。早く頁を捲ってしまおう。
「すくすくと育っていった魔女は、自分が魔女だという事を自覚した頃。一つの決心をし、人間に伝えました。『決めた。私達のような子供や大人が少しでも幸せになれるように、私が作った薬や魔法で、みんなを幸せにしてあげるんだ』と。魔女の決心に人間は、『とても君らしい、すごく素敵な考えだ。邪魔になるかもしれないけど、僕も何か手伝いをしてもいいかい?』と、微笑みながら答えました」
「うんうんっ」
「そこから二人は神父様にお願いし、勉学を沢山していきました。魔女は、癒しの効果がある光の魔法を。人間は、薬草の種類や効力の事について。沢山沢山、大人になるまで勉学をしていきました」
やはり、この魔女は私なのかもしれない。しかしなぜ、私の過去が絵本に綴られているんだ? もし、結末が私と同じなのであれば、人間の方は―――。
「ままっ、また止まってるっ」
「む……」
絵本からサニーに顔を向けてみれば、サニーは口を尖らせつつ頬を膨らませていて、プリプリと怒っていた。
何回も読む口を止めてしまったのだ。怒る気持ちは分からなくもない。だが、これ以上この絵本を読みたくない自分がいる。
「サニー、別の絵本にしないか?」
「やだ、これがいいっ!」
「どうしてもか?」
「うんっ!」
「……そうか」
ほぼ確信出来る予想の結末が、頁を捲る私の手を鈍らせていく。この魔女が私なのであれば、人間の方は私の大切な彼である、『ピース』だ。
間違いなくこの後、魔女は教会に来た人達を光の魔法で癒し。人間は山で取ってきた薬草で薬を作り、恵まれない人達に配っているだろう。
予想が外れている事を願いつつ、頁を静かに捲る。
「大人になった二人は、勉学を沢山した後。魔女は、教会に来た人達を、優しくて温かな光の魔法で癒し。人間は、培った知識で体に良い薬を作り、自分達と同じような人達に配っていきました」
外れてほしかったのに、予想は見事に当たってしまった。物語となった私の過去を語る声が、僅かに震え出していく。
「そこから数年すると、見返りを求めない善意活動が風に乗って王様の耳に届き、王様は教会に大臣を向かわせました。そして、その大臣は、目が眩む程の褒美を三人に授け、お城へ帰って行きました」
そう。あの時の私達は、こんなに受け取れないと断固して断ったが、結局は言いくるめられて受け取ってしまった。
褒美の内容は、善人の心を堕としかねない量である金貨。もちろん、ほとんどはお世話になった神父様に寄付をした。
そして、その金貨は食べ物や服へと変わり、恵まれない人達の元へ。
「大臣がお城へ帰ってから、三人はこの褒美の山をどうするか、三日三晩話し合いました。魔女が言います。『この褒美は、私達を育ててくれた神父様が貰うべきだよ!』。魔女の言い分に神父様は『いやいや。この褒美は、君達がやってきた素晴らしい活動の結果だ。私が受け取る権利はないよ。神様からの贈り物だと思って、君達が受け取りなさい』と言い返します。そして人間は『それじゃあ、ほんの少しだけ貰うので、残りは神父様が受け取って下さい』と言い、引き下がりません」
「……みんな、やさしいなぁ……」
何も知らないでいるサニーが、掠れた声で感想を言ってくるも、私はもう語る口を止めない。
「二人の熱意に押されてしまった神父様は、『負けました。それでは、残りは私が受け取ります。ですが、私は一切使いません。恵まれない人達の為に使います。構いませんね?』と念を押して言ってきました。魔女と人間は笑顔になり、声を揃えて『はい!』と答えました」
「……ままぁ」
「なんだ?」
「ままがおいしそうに食べてるの、ゴーレムさんだよぉ……」
「は?」
サニーが突然あまりにも不可解な事を言ってきたので、目線を絵本からサニーに持っていく。
そのサニーはというと、既に安らかな寝息を立てていて、何かの夢でも見ているのだろうか、涎を垂らしながらにへら笑いをしていた。
「寝たのか。……よかった」
語り部から解放された私は、深い安堵の篭ったため息を吐き、過去が綴られた絵本を閉じる。
手から離してみると、絵本から題名が溶けるように消えていき、何の変哲もない一冊の白い本へと姿を変えた。
「最近の書物屋は、とんでもない本を売ってるな……。お陰で、忘れてた決心を、全て思い出してしまったじゃないか……」
私の決心。それは絵本に綴られていた通り、光の魔法で私達と同じ立場に居る人達を癒し、少しばかりの幸せを分け与えていく事。
しかしその決心は、迫害の地に来てからというものの。最初から決めていなかったようにさえ思える程、頭の片隅にすら残っていなく、完全に忘れていた。
同時に九十年以上前の記憶を、昨日のように次々と思い出していく。湧き水の如く溢れ返り、罪悪感に蝕まれた頭の中を満たしていく。
そして、もうあの時には戻れないと悟ってしまい、耐え難い強烈な孤独感が、全身を覆い尽くしていく。この孤独感は、サニーすら浄化しきれないだろう。
体に満ちていけば、行き場を失った孤独感は外に出ようとしたのか、私の乾いた視界を歪ませていった。
「ピース……。私はいつになったら、お前に逢えるんだ……?」
震えた弱々しい本音を口にし、自分の体を抱きしめる私。だが、ピースはとうの昔に首を斬られて殺されてしまい。怒り狂った私が、全てを焼き払ってしまった。
だから、二度死んでしまったピースにはもう、私の声も手紙も想いも届かない。いくら願おうとも。いくら、涙を流そうとも。
教会で懺悔をする手もあったが、穢れきった今の私では行く権利は無いと己に言い聞かせ、我慢して家に帰宅。
もし、彼と共に育った、今は無き教会跡に行ったら、とうの昔に枯れ果ててしまった私の涙は、再び流せるようになるのだろうか?
「ママ、絵本読んでっ!」
「む、どれがいいんだ?」
サニーに『足し算』を教えてからというものの。すぐに『引き算』まで我が物にしてしまい、二日後には五十までの数字を覚えた。
私の教え方がいいのか、サニーの記憶力が凄まじいのか。数日もすると、知識を取り込む事に魅入られてしまい、色んな物に興味を示す様になってきた。
例えば、本棚に入っている書物。読み書きもかなり出来る様になり、本について軽く教えてみれば『読みたい』と言い出したので、絵本を大量に購入した。
年齢に見合った絵本をサニーに与えてみれば、そのまま物語に没入。少しすると、私に読んでと言い始め、サニーが寝る前に絵本を読むのが日課にまでなってしまった。
「これ!」
寝る前とは思えない程はしゃいでるサニーが、一冊の白い本を私に差し伸べてくる。手に取って題名に目をやれば、“孤児の魔女と人間”と記されていた。
「なんだこの題名は?」
「はやくっ、はやくっ!」
ベッドの中に潜り込み、準備万端の様子で催促してくるサニー。かなり興奮しているが、その状態で本当に寝れるのだろうか?
「分かった」
催促に応えた私は、鼻からため息を漏らしつつベッドに座り、何かと違和感のある絵本を開く。
「読むぞ。“孤児の魔女と人間”。とある昔、寂れた教会に孤児の魔女と人間が居ました。魔女と人間には物心がついた時から親が居なかったので、名前がありませんでした。頼れる人間は、天使のように優しい神父様、ただ一人でした」
私は違和感の正体が掴めぬまま、次の頁を捲る。
「名前が無い二人に神父様は可哀想だと思い、神父様は人間に名前を。人間は、魔女に名前を授けました。そこから三人は、貧しいながらも楽しく暮らしていきました」
……なぜだろうか。この物語の登場人物である魔女は、幼少時代の私と似てる気がする。
「はやくっ、次よんでっ」
「……ああ」
違和感が徐々に膨らんでいくも、サニーを待たせる訳にはいかない。早く頁を捲ってしまおう。
「すくすくと育っていった魔女は、自分が魔女だという事を自覚した頃。一つの決心をし、人間に伝えました。『決めた。私達のような子供や大人が少しでも幸せになれるように、私が作った薬や魔法で、みんなを幸せにしてあげるんだ』と。魔女の決心に人間は、『とても君らしい、すごく素敵な考えだ。邪魔になるかもしれないけど、僕も何か手伝いをしてもいいかい?』と、微笑みながら答えました」
「うんうんっ」
「そこから二人は神父様にお願いし、勉学を沢山していきました。魔女は、癒しの効果がある光の魔法を。人間は、薬草の種類や効力の事について。沢山沢山、大人になるまで勉学をしていきました」
やはり、この魔女は私なのかもしれない。しかしなぜ、私の過去が絵本に綴られているんだ? もし、結末が私と同じなのであれば、人間の方は―――。
「ままっ、また止まってるっ」
「む……」
絵本からサニーに顔を向けてみれば、サニーは口を尖らせつつ頬を膨らませていて、プリプリと怒っていた。
何回も読む口を止めてしまったのだ。怒る気持ちは分からなくもない。だが、これ以上この絵本を読みたくない自分がいる。
「サニー、別の絵本にしないか?」
「やだ、これがいいっ!」
「どうしてもか?」
「うんっ!」
「……そうか」
ほぼ確信出来る予想の結末が、頁を捲る私の手を鈍らせていく。この魔女が私なのであれば、人間の方は私の大切な彼である、『ピース』だ。
間違いなくこの後、魔女は教会に来た人達を光の魔法で癒し。人間は山で取ってきた薬草で薬を作り、恵まれない人達に配っているだろう。
予想が外れている事を願いつつ、頁を静かに捲る。
「大人になった二人は、勉学を沢山した後。魔女は、教会に来た人達を、優しくて温かな光の魔法で癒し。人間は、培った知識で体に良い薬を作り、自分達と同じような人達に配っていきました」
外れてほしかったのに、予想は見事に当たってしまった。物語となった私の過去を語る声が、僅かに震え出していく。
「そこから数年すると、見返りを求めない善意活動が風に乗って王様の耳に届き、王様は教会に大臣を向かわせました。そして、その大臣は、目が眩む程の褒美を三人に授け、お城へ帰って行きました」
そう。あの時の私達は、こんなに受け取れないと断固して断ったが、結局は言いくるめられて受け取ってしまった。
褒美の内容は、善人の心を堕としかねない量である金貨。もちろん、ほとんどはお世話になった神父様に寄付をした。
そして、その金貨は食べ物や服へと変わり、恵まれない人達の元へ。
「大臣がお城へ帰ってから、三人はこの褒美の山をどうするか、三日三晩話し合いました。魔女が言います。『この褒美は、私達を育ててくれた神父様が貰うべきだよ!』。魔女の言い分に神父様は『いやいや。この褒美は、君達がやってきた素晴らしい活動の結果だ。私が受け取る権利はないよ。神様からの贈り物だと思って、君達が受け取りなさい』と言い返します。そして人間は『それじゃあ、ほんの少しだけ貰うので、残りは神父様が受け取って下さい』と言い、引き下がりません」
「……みんな、やさしいなぁ……」
何も知らないでいるサニーが、掠れた声で感想を言ってくるも、私はもう語る口を止めない。
「二人の熱意に押されてしまった神父様は、『負けました。それでは、残りは私が受け取ります。ですが、私は一切使いません。恵まれない人達の為に使います。構いませんね?』と念を押して言ってきました。魔女と人間は笑顔になり、声を揃えて『はい!』と答えました」
「……ままぁ」
「なんだ?」
「ままがおいしそうに食べてるの、ゴーレムさんだよぉ……」
「は?」
サニーが突然あまりにも不可解な事を言ってきたので、目線を絵本からサニーに持っていく。
そのサニーはというと、既に安らかな寝息を立てていて、何かの夢でも見ているのだろうか、涎を垂らしながらにへら笑いをしていた。
「寝たのか。……よかった」
語り部から解放された私は、深い安堵の篭ったため息を吐き、過去が綴られた絵本を閉じる。
手から離してみると、絵本から題名が溶けるように消えていき、何の変哲もない一冊の白い本へと姿を変えた。
「最近の書物屋は、とんでもない本を売ってるな……。お陰で、忘れてた決心を、全て思い出してしまったじゃないか……」
私の決心。それは絵本に綴られていた通り、光の魔法で私達と同じ立場に居る人達を癒し、少しばかりの幸せを分け与えていく事。
しかしその決心は、迫害の地に来てからというものの。最初から決めていなかったようにさえ思える程、頭の片隅にすら残っていなく、完全に忘れていた。
同時に九十年以上前の記憶を、昨日のように次々と思い出していく。湧き水の如く溢れ返り、罪悪感に蝕まれた頭の中を満たしていく。
そして、もうあの時には戻れないと悟ってしまい、耐え難い強烈な孤独感が、全身を覆い尽くしていく。この孤独感は、サニーすら浄化しきれないだろう。
体に満ちていけば、行き場を失った孤独感は外に出ようとしたのか、私の乾いた視界を歪ませていった。
「ピース……。私はいつになったら、お前に逢えるんだ……?」
震えた弱々しい本音を口にし、自分の体を抱きしめる私。だが、ピースはとうの昔に首を斬られて殺されてしまい。怒り狂った私が、全てを焼き払ってしまった。
だから、二度死んでしまったピースにはもう、私の声も手紙も想いも届かない。いくら願おうとも。いくら、涙を流そうとも。
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