165 / 384
55話-1、郷に従わぬ人間は、心の中で何を思う
しおりを挟む
周りに居る人達からバレずに男性トイレから脱出した花梨は、座敷童子に変化したせいか、ジーパンのポケットから着物の袖に移動していた携帯電話を取り出し、自分の安否を知らせる為に河童の流蔵に電話を掛ける。
相手も花梨の電話を待ち構えていたのか、最初のワンコール目で音が途切れ、流蔵の荒らげた声が聞こえてきた。
「どうしたお前さん! 大丈夫か!?」
「は、はいっ。なんとか無事に終着駅まで運転できました」
「そ、そうか……。なら安心したわ……。しかし、これからどうやってこっちに戻ってくるんや?」
「座敷童子に変化したので、誰にもバレないで戻れるかと思います。今からそちらに帰りますね」
「そうか。気をつけて帰ってくるんやで?」
「はい! あっ、そうだ。ゴーニャはどうしていますか?」
「ん? ああ。一回起きてお前さんの事を探しとったが、トイレに行っとるって言ったら、安心したのかまた寝てもうたわ」
「そうですか、それじゃあ早く帰らないとですね。それでは!」
流蔵に無事だという事を伝えてから電話を切ると、「ふうっ」と小さく息を漏らし、携帯電話を袖にしまい込む。
そして、全員がいる駅事務室に戻るべく、近くにあった階段を上り、反対側にあるホームへ向かう事にした。
体がかなり小さくなったせいか、階段の一段一段がとても高くなっており、行き交う人々のようにスムーズには上がれず、一段ずつ四苦八苦しながら上がっていった。
「むう~、体が小さいと色々不便だなぁ。壁を歩いていったり、一気にジャンプでもして飛び越えていきたいけど、そうしたら周りの人達が驚くだろうし……」
折角、座敷童子という妖怪の姿になっているのにも関わらず、能力を活かせない現状にモヤモヤを募らせつつ、段差が高い階段を上がっていく。
やっとの思いで上り切ると、狭い通路を歩いている人達に混ざり、反対のホームへ進んでいき、再び大きな段差の階段を一段一段ゆっくりと下りていった。
反対のホームに着くと同時に、目的地の駅を通る電車がホーム内に進入してきて、近くまで来た扉が開くと、電車とホームの隙間から落ちないよう、小さくジャンプしながら電車に乗り込んだ。
車両内には人がまったくおらず、悪巧みを思いついた花梨は口元をニヤつかせ、フカフカの座席に飛び乗って立ち膝をし、窓を流れる景色を眺め始める。
「むっふっふっふっ。子供の姿なら、ちょっとはしゃいじゃってもいいよねぇ」
子供の体になったせいか、意気揚々として心までもが童心へと帰り、窓にベダッと両手を突けて、高速で流れていく街並みを堪能していく。
先ほどまで居た駅から最寄りの駅に戻るのは、約数年振りともあってか、見慣れた景色は所々変わっており、真新しい建物が目に入るたびに花梨の心が弾んでいった。
「あれっ? あそこの建物の看板が変わってるや。前の店は潰れちゃったのかな? コンビニがすごい増えてるなぁ。どこを見ても目にはい―――」
「ママー。前の席にいる女の子、一人で電車に乗ってるのかなー?」
「前の席……? なに言ってるの、誰もいないじゃない」
「えっ? 白い変な服を着た女の子が、一人で外を見てるじゃんか」
「あまり気味が悪い事を言わないでちょうだい。この車両には、私達しかいないでしょ?」
「……えっ?」
景色に目を奪われていた花梨は、不意に聞こえてきた会話に不穏な違和感を覚え、目を丸くさせながら振り返る。
そこには、気がつかない内に電車に乗り込んで来たのか、親子らしき人物達が対面の座席に座っている。
母親と思われる女性は男の子を抱えていて、その男の子に顔を合わせると、恐怖からか体を大きく波立たせ、青ざめた顔を母親に向けた。
「ほら、いるよ! いま、目が合ったもん!」
「私には何も見えないけど……。なんか怖いから、車両を移動しよっか」
「早くっ、怖いから早く行こっ!」
「あっ! ちょっと、待って……」
花梨は困惑した手を親子に差し伸べるも、その制止は母親には届かなかったのか、親子達は駆け足で隣の車両に移動していく。
後を追いたい衝動に駆られるも、男の子が自分の姿を見て、酷く怯えた表情をしていた事が頭の中に過ぎると、差し伸べていた手を下ろし、しょぼくれている顔を窓に戻した。
「なんで、男の子には私の姿が見えて、母親には見えてなかったんだろう……? それに、男の子は私を見て、すごく怯えていたなぁ……」
昂っていた気持ちが一転、親子の表情や言動により意気消沈し、小さな手を窓に突き、重いため息を吐く。
そのまま、浮かない顔で夕焼けに染まる街並みを眺めていると、電車がトンネルに入ったのか、目の前の景色が急に黒く塗り潰される。
そして、その黒く染まった窓を見た瞬間。花梨は唖然とし、目を限界まで見開いた。
「わ、私の姿が……、窓に、映って、ない……?」
窓に触れていた手が震え出し、驚愕して呼吸が乱れていく花梨の目に映った光景は、背後にある同じく黒く染まった窓だけであった。
本来映るべきである自分の姿はどこにもなく、思わず白い着物を身に纏っている体に視線を移し、体が消えていない事を確認する。
「……ある、体はちゃんとある。じゃあなんで、私の姿が窓に映ってないの……? ……あっ」
頭の中が、初めて味わう不可解な出来事により混乱している中。ふと、ぬらりひょんと初めてショッピングモールに行く時に、車両内で交わしたやり取りの内容を思い出す。
あの時のぬらりひょんは、今の花梨と同じように、黒く染まっている窓には体はおろか、ふかしているキセルの煙さえも映っていなかった。
「そ、そうだ……。私は今、人間じゃないんだ……。座敷童子という、妖怪の姿になっていたんだった……」
原因を突き止めて納得はしたものの、男の子から向けられた恐怖で怯えている表情が脳裏に焼き付いており、花梨の弱っている心を無残にも傷つけていく。
チクチクと痛み始めた左胸を握り締めると、混乱が収まりつつある頭の中に、また温泉街に来たばかりであるメリーさん、ゴーニャの顔が思い浮かんだ。
「ゴーニャは、生まれてから私に出会うまでの数ヶ月もの間、こんな思いをしながら過ごしてきたんだ……」
花梨は小刻みに震えている手を窓に添え直し、涙で滲んでいるオレンジ色の瞳を、自分の存在を否定するかのように映らない窓に向ける。
「誰にも目を向けてもらえず、もし向けてくれたとしても、化け物扱いをして、心を傷つけて逃げていく……。生まれたばかりで何も知らないで、自分を普通の人間の子供だと思っていたのに、それを全て否定され、何もしていないのに忌み嫌われていく……。そんな、そんな残酷すぎる生活、私には到底無理だ……。一週間も耐えられないよ……、ゴーニャ……」
まだ名前が無く、身近に頼れる存在すら誰もおらず、自分の生まれた理由さえ分からないまま、ずっと一人で寂しく生きていたゴーニャ。
まだメリーさんだった頃のゴーニャの生活を思うと、花梨の目頭はだんだんと熱くなっていき、耐え切れなくなったのか、大粒の涙を流し始める。
ゴーニャの過去は既に聞いていたが、実際に疑似体験してみるとなると、その話の内容が段違いに重くなり、折れかけている花梨の心に重くのしかかっていく。
人間として生を受けた花梨には、最初から祖父という頼れる存在が身近に居て、鵺という親しい上司がおり、最後には温泉街に沢山の仲間が出来た。
しかし、ゴーニャは生まれた瞬間から頼れる存在がおらず、ありったけの勇気を振り絞らなければ、心の拠り所である花梨と出会く事はまず無く、永遠に一人で彷徨い続ける羽目になっていた。
そんな暗くて不埒な事ばかり考えていると、座敷童子になっている今の自分の姿を、過去のゴーニャの姿と重ねてしまい、自ら心を痛めつけていく。
そして、誰もいない車両内で一人。一駅一駅の間が無限のように長く感じる時の中で、座敷童子の姿のまま孤独に蝕まれた涙を流し続けた。
相手も花梨の電話を待ち構えていたのか、最初のワンコール目で音が途切れ、流蔵の荒らげた声が聞こえてきた。
「どうしたお前さん! 大丈夫か!?」
「は、はいっ。なんとか無事に終着駅まで運転できました」
「そ、そうか……。なら安心したわ……。しかし、これからどうやってこっちに戻ってくるんや?」
「座敷童子に変化したので、誰にもバレないで戻れるかと思います。今からそちらに帰りますね」
「そうか。気をつけて帰ってくるんやで?」
「はい! あっ、そうだ。ゴーニャはどうしていますか?」
「ん? ああ。一回起きてお前さんの事を探しとったが、トイレに行っとるって言ったら、安心したのかまた寝てもうたわ」
「そうですか、それじゃあ早く帰らないとですね。それでは!」
流蔵に無事だという事を伝えてから電話を切ると、「ふうっ」と小さく息を漏らし、携帯電話を袖にしまい込む。
そして、全員がいる駅事務室に戻るべく、近くにあった階段を上り、反対側にあるホームへ向かう事にした。
体がかなり小さくなったせいか、階段の一段一段がとても高くなっており、行き交う人々のようにスムーズには上がれず、一段ずつ四苦八苦しながら上がっていった。
「むう~、体が小さいと色々不便だなぁ。壁を歩いていったり、一気にジャンプでもして飛び越えていきたいけど、そうしたら周りの人達が驚くだろうし……」
折角、座敷童子という妖怪の姿になっているのにも関わらず、能力を活かせない現状にモヤモヤを募らせつつ、段差が高い階段を上がっていく。
やっとの思いで上り切ると、狭い通路を歩いている人達に混ざり、反対のホームへ進んでいき、再び大きな段差の階段を一段一段ゆっくりと下りていった。
反対のホームに着くと同時に、目的地の駅を通る電車がホーム内に進入してきて、近くまで来た扉が開くと、電車とホームの隙間から落ちないよう、小さくジャンプしながら電車に乗り込んだ。
車両内には人がまったくおらず、悪巧みを思いついた花梨は口元をニヤつかせ、フカフカの座席に飛び乗って立ち膝をし、窓を流れる景色を眺め始める。
「むっふっふっふっ。子供の姿なら、ちょっとはしゃいじゃってもいいよねぇ」
子供の体になったせいか、意気揚々として心までもが童心へと帰り、窓にベダッと両手を突けて、高速で流れていく街並みを堪能していく。
先ほどまで居た駅から最寄りの駅に戻るのは、約数年振りともあってか、見慣れた景色は所々変わっており、真新しい建物が目に入るたびに花梨の心が弾んでいった。
「あれっ? あそこの建物の看板が変わってるや。前の店は潰れちゃったのかな? コンビニがすごい増えてるなぁ。どこを見ても目にはい―――」
「ママー。前の席にいる女の子、一人で電車に乗ってるのかなー?」
「前の席……? なに言ってるの、誰もいないじゃない」
「えっ? 白い変な服を着た女の子が、一人で外を見てるじゃんか」
「あまり気味が悪い事を言わないでちょうだい。この車両には、私達しかいないでしょ?」
「……えっ?」
景色に目を奪われていた花梨は、不意に聞こえてきた会話に不穏な違和感を覚え、目を丸くさせながら振り返る。
そこには、気がつかない内に電車に乗り込んで来たのか、親子らしき人物達が対面の座席に座っている。
母親と思われる女性は男の子を抱えていて、その男の子に顔を合わせると、恐怖からか体を大きく波立たせ、青ざめた顔を母親に向けた。
「ほら、いるよ! いま、目が合ったもん!」
「私には何も見えないけど……。なんか怖いから、車両を移動しよっか」
「早くっ、怖いから早く行こっ!」
「あっ! ちょっと、待って……」
花梨は困惑した手を親子に差し伸べるも、その制止は母親には届かなかったのか、親子達は駆け足で隣の車両に移動していく。
後を追いたい衝動に駆られるも、男の子が自分の姿を見て、酷く怯えた表情をしていた事が頭の中に過ぎると、差し伸べていた手を下ろし、しょぼくれている顔を窓に戻した。
「なんで、男の子には私の姿が見えて、母親には見えてなかったんだろう……? それに、男の子は私を見て、すごく怯えていたなぁ……」
昂っていた気持ちが一転、親子の表情や言動により意気消沈し、小さな手を窓に突き、重いため息を吐く。
そのまま、浮かない顔で夕焼けに染まる街並みを眺めていると、電車がトンネルに入ったのか、目の前の景色が急に黒く塗り潰される。
そして、その黒く染まった窓を見た瞬間。花梨は唖然とし、目を限界まで見開いた。
「わ、私の姿が……、窓に、映って、ない……?」
窓に触れていた手が震え出し、驚愕して呼吸が乱れていく花梨の目に映った光景は、背後にある同じく黒く染まった窓だけであった。
本来映るべきである自分の姿はどこにもなく、思わず白い着物を身に纏っている体に視線を移し、体が消えていない事を確認する。
「……ある、体はちゃんとある。じゃあなんで、私の姿が窓に映ってないの……? ……あっ」
頭の中が、初めて味わう不可解な出来事により混乱している中。ふと、ぬらりひょんと初めてショッピングモールに行く時に、車両内で交わしたやり取りの内容を思い出す。
あの時のぬらりひょんは、今の花梨と同じように、黒く染まっている窓には体はおろか、ふかしているキセルの煙さえも映っていなかった。
「そ、そうだ……。私は今、人間じゃないんだ……。座敷童子という、妖怪の姿になっていたんだった……」
原因を突き止めて納得はしたものの、男の子から向けられた恐怖で怯えている表情が脳裏に焼き付いており、花梨の弱っている心を無残にも傷つけていく。
チクチクと痛み始めた左胸を握り締めると、混乱が収まりつつある頭の中に、また温泉街に来たばかりであるメリーさん、ゴーニャの顔が思い浮かんだ。
「ゴーニャは、生まれてから私に出会うまでの数ヶ月もの間、こんな思いをしながら過ごしてきたんだ……」
花梨は小刻みに震えている手を窓に添え直し、涙で滲んでいるオレンジ色の瞳を、自分の存在を否定するかのように映らない窓に向ける。
「誰にも目を向けてもらえず、もし向けてくれたとしても、化け物扱いをして、心を傷つけて逃げていく……。生まれたばかりで何も知らないで、自分を普通の人間の子供だと思っていたのに、それを全て否定され、何もしていないのに忌み嫌われていく……。そんな、そんな残酷すぎる生活、私には到底無理だ……。一週間も耐えられないよ……、ゴーニャ……」
まだ名前が無く、身近に頼れる存在すら誰もおらず、自分の生まれた理由さえ分からないまま、ずっと一人で寂しく生きていたゴーニャ。
まだメリーさんだった頃のゴーニャの生活を思うと、花梨の目頭はだんだんと熱くなっていき、耐え切れなくなったのか、大粒の涙を流し始める。
ゴーニャの過去は既に聞いていたが、実際に疑似体験してみるとなると、その話の内容が段違いに重くなり、折れかけている花梨の心に重くのしかかっていく。
人間として生を受けた花梨には、最初から祖父という頼れる存在が身近に居て、鵺という親しい上司がおり、最後には温泉街に沢山の仲間が出来た。
しかし、ゴーニャは生まれた瞬間から頼れる存在がおらず、ありったけの勇気を振り絞らなければ、心の拠り所である花梨と出会く事はまず無く、永遠に一人で彷徨い続ける羽目になっていた。
そんな暗くて不埒な事ばかり考えていると、座敷童子になっている今の自分の姿を、過去のゴーニャの姿と重ねてしまい、自ら心を痛めつけていく。
そして、誰もいない車両内で一人。一駅一駅の間が無限のように長く感じる時の中で、座敷童子の姿のまま孤独に蝕まれた涙を流し続けた。
1
お気に入りに追加
82
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
狼神様と生贄の唄巫女 虐げられた盲目の少女は、獣の神に愛される
茶柱まちこ
キャラ文芸
雪深い農村で育った少女・すずは、赤子のころにかけられた呪いによって盲目となり、姉や村人たちに虐いたげられる日々を送っていた。
ある日、すずは村人たちに騙されて生贄にされ、雪山の神社に閉じ込められてしまう。失意の中、絶命寸前の彼女を救ったのは、狼と人間を掛け合わせたような姿の男──村人たちが崇める守護神・大神だった。
呪いを解く代わりに大神のもとで働くことになったすずは、大神やあやかしたちの優しさに触れ、幸せを知っていく──。
神様と盲目少女が紡ぐ、和風恋愛幻想譚。
(旧題:『大神様のお気に入り』)
真夜中の仕出し屋さん~料理上手な狛犬様と暮らすことになりました~
椿蛍
キャラ文芸
「結婚するか、化け物屋敷を管理するか」
仕事を辞めた私に、父は二つの選択肢を迫った。
料亭『吉浪』に働いて六年。
挫折し、料理を作れなくなってしまった――
結婚を断り、私が選んだのは、化け物屋敷と父が呼ぶ、亡くなった祖父の家へ行くことだった。
祖父が亡くなって、店は閉まっているはずだったけれど、なぜか店は開いていて――
初出:2024.5.10~
※他サイト様に投稿したものを大幅改稿しております。
オレは視えてるだけですが⁉~訳ありバーテンダーは霊感パティシエを飼い慣らしたい
凍星
キャラ文芸
幽霊が視えてしまうパティシエ、葉室尊。できるだけ周りに迷惑をかけずに静かに生きていきたい……そんな風に思っていたのに⁉ バーテンダーの霊能者、久我蒼真に出逢ったことで、どういう訳か、霊能力のある人達に色々絡まれる日常に突入⁉「オレは視えてるだけだって言ってるのに、なんでこうなるの??」霊感のある主人公と、彼の秘密を暴きたい男の駆け引きと絆を描きます。BL要素あり。


下っ端妃は逃げ出したい
都茉莉
キャラ文芸
新皇帝の即位、それは妃狩りの始まりーー
庶民がそれを逃れるすべなど、さっさと結婚してしまう以外なく、出遅れた少女は後宮で下っ端妃として過ごすことになる。
そんな鈍臭い妃の一人たる私は、偶然後宮から逃げ出す手がかりを発見する。その手がかりは府庫にあるらしいと知って、調べること数日。脱走用と思われる地図を発見した。
しかし、気が緩んだのか、年下の少女に見つかってしまう。そして、少女を見張るために共に過ごすことになったのだが、この少女、何か隠し事があるようで……
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる