78 / 384
21話-2、一人だった二人は、共に同じ道を歩み始める(後日談)
しおりを挟む
正式な家族となり、姉妹となった花梨とゴーニャは、一家団欒で夜飯を楽しみ、夢の中でも出てきたショートケーキに舌鼓を打って完食し、元気よく声を揃えて「ごちそうさまでした!」と叫んだ。
そして、タオルを持ちながら食器類を一階の食事処へと返却し、仲良く手を繋いで『秋夜の湯』へと向かっていく。
頭と身体を洗った後に露天風呂に浸かると、ゴーニャは姉となった花梨の体に寄り添い、顔を見上げながらふんわりと微笑む。
妹になったゴーニャをずっと見ていた花梨も、満面の笑みを返すと、ゴーニャの背中に手を回してそっと寄り添った。
いつもより温かく感じる露天風呂を満喫している中。ふと夜空に流星群が流れ始め、それに気がついた二人は一斉に願い事を唱え始める。
「このままずっと、この幸せが続きますように」
「このままずっと、この幸せが続きますようにっ」
二人が綺麗に声を揃えて同じ願い事を唱えると、お互いにハッとしてから顔を見合わせる。何回か目をパチクチとさせると、肩を震わせて周りを一切気にせず、流星群が流れている夜空に向かい、喉が枯れるほど明るく笑い続けた。
体も心も芯までポカポカに温まると、家族になってから初めての露天風呂から上がり、脱衣場で服に着替えて自分達の部屋へと戻っていった。
そして、お互いに微笑み合いながら歯を磨き終え、二人はパジャマに着替えるとゴーニャはベッドの上に座り、花梨はテーブルで日記の続きを書き始める。
実際に会って話してみたいんだけど……。たぶん、この願いは絶対に叶わない。そんな気がする。それと、この夢の続きはもう見たくない。このままで終わってほしいし、忘れてしまいたい。
うまくは言えないけど、この後とても
こんな暗い話は一旦やめっ!!
それよりも、私に念願だったかもしれない家族が出来たんだ! 名前は『秋風 ゴーニャ』。とっても可愛くて私の大事な大事な妹だ!
嬉しいなぁ、本当に嬉しいっ!! 私はずっと、家族が欲しかった。そう心のどこかで、ずっと思っていたのかもしれないなぁ……。
私達の事を、中の良い人間の親子やら姉妹が、手を繋いで歩いていると噂している人がいたようだけど、これからは本当の家族として、本当の姉妹として、堂々とゴーニャと手を繋いで歩いてやるんだ!
誰が最初にそんな噂をしたんだろう? その人に心の底から感謝したいなぁ。本当にありがとうございます、見知らぬ恩人の方。
「家族、かぁ……。嬉しいなぁ」
「花梨っ、今度は何を書いているのかしら? とっても嬉しそうな顔をしてるわっ」
「えへっ、そう? 秘密っ」
「あっ! 隠しっこ無しって言ったばっかじゃないっ! もうっ」
そう言ったゴーニャが頬をプクッと膨らませると、花梨は日記をカバンの中に入れて「へへっ」と笑う。
「ゴーニャと家族になれて、本当に嬉しかった。そう書いたんだよ」
「ほんとっ!? 私も花梨と家族になれて本当に嬉しいわっ!」
お互いにまったく偽りの無い言葉を交わすと、花梨はベッドに歩み寄っていく。ベッドの上に座っているゴーニャの頭を優しく撫で、開いている窓へと向かっていき、身を乗り出して辺りを見渡した。
「今日は纏姉さん来ないのかなぁ? いつもならもう来てるハズなんだけど……。駅事務室に行ってるのかな?」
心地良い秋の夜風が、露天風呂で火照った体を包み込んでいる中。花梨は温泉街の街並みや左右の壁、屋根の方を探しても纏の姿は見つからず、乗り出した体を部屋の中へと戻していった。
携帯電話で現在の時刻を確認してみると、夜の十一時を過ぎており、時間を確認したせいか急に強い眠気が襲ってきた。
「う~ん、十一時過ぎかぁ」
「纏が来ないなら、今日は二人で寝ましょっ!」
「そうだね、そうしよっか」
そう決めた花梨がベッドに潜り込むと、ゴーニャが纏のポジションである花梨の右側を陣取り、体を思いっきりギュッと抱きしめた。
「やったっ! 花梨を独占よ!」
「独占……、すごい言い方だなぁ。よーし、今日は私もゴーニャを抱きしめて寝ちゃうぞー!」
普段は、仰向けで寝る事を余儀なくされている花梨も、今日はゴーニャがいる方向に体を向け、小さな体を包み込むように優しく抱きしめる。
すると、頭しか見えなかったゴーニャが、花梨の体に甘えるように頬ずりをすると、腕の隙間から顔を覗かせてふわっと微笑んだ。
「花梨の体、とっても温かいわっ。おやすみ、花梨っ」
「うんっ、おやすみゴーニャ」
家族となり姉妹になった二人は、お互いの温かな体温を感じながらゆっくりと眠りに落ちていき、幸せそうな表情で静かに寝息を立て始めた。
そして、タオルを持ちながら食器類を一階の食事処へと返却し、仲良く手を繋いで『秋夜の湯』へと向かっていく。
頭と身体を洗った後に露天風呂に浸かると、ゴーニャは姉となった花梨の体に寄り添い、顔を見上げながらふんわりと微笑む。
妹になったゴーニャをずっと見ていた花梨も、満面の笑みを返すと、ゴーニャの背中に手を回してそっと寄り添った。
いつもより温かく感じる露天風呂を満喫している中。ふと夜空に流星群が流れ始め、それに気がついた二人は一斉に願い事を唱え始める。
「このままずっと、この幸せが続きますように」
「このままずっと、この幸せが続きますようにっ」
二人が綺麗に声を揃えて同じ願い事を唱えると、お互いにハッとしてから顔を見合わせる。何回か目をパチクチとさせると、肩を震わせて周りを一切気にせず、流星群が流れている夜空に向かい、喉が枯れるほど明るく笑い続けた。
体も心も芯までポカポカに温まると、家族になってから初めての露天風呂から上がり、脱衣場で服に着替えて自分達の部屋へと戻っていった。
そして、お互いに微笑み合いながら歯を磨き終え、二人はパジャマに着替えるとゴーニャはベッドの上に座り、花梨はテーブルで日記の続きを書き始める。
実際に会って話してみたいんだけど……。たぶん、この願いは絶対に叶わない。そんな気がする。それと、この夢の続きはもう見たくない。このままで終わってほしいし、忘れてしまいたい。
うまくは言えないけど、この後とても
こんな暗い話は一旦やめっ!!
それよりも、私に念願だったかもしれない家族が出来たんだ! 名前は『秋風 ゴーニャ』。とっても可愛くて私の大事な大事な妹だ!
嬉しいなぁ、本当に嬉しいっ!! 私はずっと、家族が欲しかった。そう心のどこかで、ずっと思っていたのかもしれないなぁ……。
私達の事を、中の良い人間の親子やら姉妹が、手を繋いで歩いていると噂している人がいたようだけど、これからは本当の家族として、本当の姉妹として、堂々とゴーニャと手を繋いで歩いてやるんだ!
誰が最初にそんな噂をしたんだろう? その人に心の底から感謝したいなぁ。本当にありがとうございます、見知らぬ恩人の方。
「家族、かぁ……。嬉しいなぁ」
「花梨っ、今度は何を書いているのかしら? とっても嬉しそうな顔をしてるわっ」
「えへっ、そう? 秘密っ」
「あっ! 隠しっこ無しって言ったばっかじゃないっ! もうっ」
そう言ったゴーニャが頬をプクッと膨らませると、花梨は日記をカバンの中に入れて「へへっ」と笑う。
「ゴーニャと家族になれて、本当に嬉しかった。そう書いたんだよ」
「ほんとっ!? 私も花梨と家族になれて本当に嬉しいわっ!」
お互いにまったく偽りの無い言葉を交わすと、花梨はベッドに歩み寄っていく。ベッドの上に座っているゴーニャの頭を優しく撫で、開いている窓へと向かっていき、身を乗り出して辺りを見渡した。
「今日は纏姉さん来ないのかなぁ? いつもならもう来てるハズなんだけど……。駅事務室に行ってるのかな?」
心地良い秋の夜風が、露天風呂で火照った体を包み込んでいる中。花梨は温泉街の街並みや左右の壁、屋根の方を探しても纏の姿は見つからず、乗り出した体を部屋の中へと戻していった。
携帯電話で現在の時刻を確認してみると、夜の十一時を過ぎており、時間を確認したせいか急に強い眠気が襲ってきた。
「う~ん、十一時過ぎかぁ」
「纏が来ないなら、今日は二人で寝ましょっ!」
「そうだね、そうしよっか」
そう決めた花梨がベッドに潜り込むと、ゴーニャが纏のポジションである花梨の右側を陣取り、体を思いっきりギュッと抱きしめた。
「やったっ! 花梨を独占よ!」
「独占……、すごい言い方だなぁ。よーし、今日は私もゴーニャを抱きしめて寝ちゃうぞー!」
普段は、仰向けで寝る事を余儀なくされている花梨も、今日はゴーニャがいる方向に体を向け、小さな体を包み込むように優しく抱きしめる。
すると、頭しか見えなかったゴーニャが、花梨の体に甘えるように頬ずりをすると、腕の隙間から顔を覗かせてふわっと微笑んだ。
「花梨の体、とっても温かいわっ。おやすみ、花梨っ」
「うんっ、おやすみゴーニャ」
家族となり姉妹になった二人は、お互いの温かな体温を感じながらゆっくりと眠りに落ちていき、幸せそうな表情で静かに寝息を立て始めた。
1
お気に入りに追加
82
あなたにおすすめの小説
隣の家に住むイクメンの正体は龍神様でした~社無しの神とちびっ子神使候補たち
鳴澤うた
キャラ文芸
失恋にストーカー。
心身ともにボロボロになった姉崎菜緒は、とうとう道端で倒れるように寝てしまって……。
悪夢にうなされる菜緒を夢の中で救ってくれたのはなんとお隣のイクメン、藤村辰巳だった。
辰巳と辰巳が世話する子供たちとなんだかんだと交流を深めていくけれど、子供たちはどこか不可思議だ。
それもそのはず、人の姿をとっているけれど辰巳も子供たちも人じゃない。
社を持たない龍神様とこれから神使となるため勉強中の動物たちだったのだ!
食に対し、こだわりの強い辰巳に神使候補の子供たちや見守っている神様たちはご不満で、今の現状を打破しようと菜緒を仲間に入れようと画策していて……
神様と作る二十四節気ごはんを召し上がれ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
公主の嫁入り
マチバリ
キャラ文芸
宗国の公主である雪花は、後宮の最奥にある月花宮で息をひそめて生きていた。母の身分が低かったことを理由に他の妃たちから冷遇されていたからだ。
17歳になったある日、皇帝となった兄の命により龍の血を継ぐという道士の元へ降嫁する事が決まる。政略結婚の道具として役に立ちたいと願いつつも怯えていた雪花だったが、顔を合わせた道士の焔蓮は優しい人で……ぎこちなくも心を通わせ、夫婦となっていく二人の物語。
中華習作かつ色々ふんわりなファンタジー設定です。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

後宮浄魔伝~視える皇帝と浄魔の妃~
二位関りをん
キャラ文芸
桃玉は10歳の時に両親を失い、おじ夫妻の元で育った。桃玉にはあやかしを癒やし、浄化する能力があったが、あやかしが視えないので能力に気がついていなかった。
しかし桃玉が20歳になった時、村で人間があやかしに殺される事件が起き、桃玉は事件を治める為の生贄に選ばれてしまった。そんな生贄に捧げられる桃玉を救ったのは若き皇帝・龍環。
桃玉にはあやかしを祓う力があり、更に龍環は自身にはあやかしが視える能力があると伝える。
「俺と組んで後宮に蔓延る悪しきあやかしを浄化してほしいんだ」
こうして2人はある契約を結び、九嬪の1つである昭容の位で後宮入りした桃玉は龍環と共にあやかし祓いに取り組む日が始まったのだった。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる