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146話、子供達が気になるハルの生態
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「ま、まさか、カスリもしなかっただなんて……」
「まあ、しゃーない。それが普通だよ」
魔王ハルと対峙する前みたいに、『ヤッタァメン』の鼓動を探り、精神力を削ってまで引いたというのに。結果は惨敗で、蓋の裏にはひらがなで『はずれ』と記されていた。
百円らしき強い鼓動を感じたけれども、まさかの『はずれ』だなんて。せめて『もう一コ』を引いて、場を盛り上げたかったなぁ。
「メリーお姉ちゃん、惜しかったね」
「もう一コと百円を引いただけでも、ぜんぜんすごいよ!」
「二人共……、ありがとう」
コータロー君とカオリちゃんが、新たに購入した『ぺぺろんちーの』を食べながら、励ましてきてくれた。でも正直、ちょっと悔しい。
百円の当たりを引けなかったというよりも、みんなの期待に応えられなかったという理由でね。ちなみに、みんなも揃って『はずれ』を引いていた。
「あっ。おいしいわね、これ」
お湯を入れて三分間待った後。お湯を捨てず、そのままかやくを入れるラーメン風。逆にお湯を捨てて、かやくを半分ほど入れるパスタ風と、二種類の食べ方が選べる『ぺぺろんちーの』よ。
私は、パスタ風をチョイスして食べてみたけど。思わずご飯をかき込みたくなるぐらい、ニンニクと塩味が利いている。このすごいパンチ力、私が大好きなやつだ。
風味も、そう。ニンニクの味に慣れてくると、後から唐辛子に似たピリッとした刺激、食欲を沸き立たせる強めのスパイス、ふわりと香る爽やかなバジルも感じてきた。
六十円とお手頃価格な割に、麺の量がそれなりにあるので、一つに対しての満足度も高い。三時のおやつに、ちょっとガッツリ食べたい時にいいかも。
「久しぶりに食べたけど、このクセになる濃さがたまらないなぁー。後でラーメン風も食べちゃおっと」
私と同じく、パスタ風で食べていたハルが、ニコニコ顔で舌鼓を打つ。
「じゃあ、私もおかわりしちゃおっと」
「二人共、よくそんなに食えるよな。おれなんか、二つ食べたらお腹いっぱいになっちゃって、夜ご飯が食べらなくなっちゃうのに」
「わたしもー。でも、つい食べたくなっちゃうんだよね」
「なー」
まだ子供がゆえに、胃袋の小ささを嘆く二人が、ラーメン風の『ぺぺろんちーの』をすする。確かに、子供にはちょうどいい量かもしれないわね。
「そういやさ、メリーお姉ちゃん。家にいる時のアカ姉って、どんな感じなの?」
「ん? 家に居る時のハル?」
「あっ、わたしも聞きたい! メリーお姉さん、聞かせて聞かせて!」
コータロー君の質問を聞いていたのか。耳を大きくさせたハルが、私の方へ横目を流してきた。
私が何を言おうとしているのか、相当気になっているらしく、眼差しが真剣そのものだ。
家に居る時のハル、ねぇ。ごっこ遊びをしていた時のテンションを除けば、ほぼ普段と変わりない様子だったかしら。良くも悪くも、表裏が無いって感じね。
「うーん……。テンションは控えめだけど、ここに居る時と、あまり変わりないかしら?」
「へぇ~、そうなんだ。だったら一緒にいると、ずっと楽しそうだね」
「そうね。一緒に居るとなんだか安心感があって、いつも変わらず優しいし、何気ない日常がすごく楽しいわ」
「へへっ。おいおい、急にそんな褒めたって何も出ないゾっ。食べたいお菓子があったら、何でも言ってちょうだい! 無限に奢りますぜぇ!」
私が思っていた事を、そのまま二人に伝えるや否や。照れ笑いをしつつ、鼻の下を指で擦っていたハルが、力強く親指を立てた。
お茶目な笑顔になっているし、相当嬉しがっていそうだわ。
「春茜お姉さんって、どこでも変わらず優しいんだね。いいなぁ、メリーお姉さん。春茜お姉さんと一緒に住んでて」
「なー。ずっと一緒にいたら、ずっと楽しいもんな。あーあ。アカ姉が、おれの姉ちゃんだったらよかったのに」
「ほーう? そんな事言っていいのかい? 毎朝毎朝、目覚ましが鳴るよりも早くコータロー君の部屋に行って、叩き起こしちゃうぞ~?」
「ごめん、アカ姉。やっぱいいや」
そうそうに折れたコータロー君が、素っ気なく前言撤回した。ハルって、朝起きるのがとんでもなく早いのよね。
確か、六時ぐらいだったかしら? 朝起きるのが弱い私にとって、毎朝そんな時間に叩き起こされるのは、地獄の所業そのものだわ。
「メリーお姉さん。ほかに、春茜お姉さんについて何か知ってる?」
「カオリちゃんまで、めっちゃ私を探ってくんじゃん。なに、私に興味でもあるの?」
「うんっ、すごくある!」
「ま、マジか。そこまでキッパリ言われると、教えざるを得なくなっちゃうじゃん……」
子供の真っすぐな好奇心に気圧されて、口元を軽くヒクつかせるハル。ほんと、子供達から大人気よね。
そんなハルの情報。ちょっと長引きそうな話題だし、そろそろ『ぺぺろんちーの』が無くなっちゃうから、何か駄菓子を購入した後に話そうかしら。
「まあ、しゃーない。それが普通だよ」
魔王ハルと対峙する前みたいに、『ヤッタァメン』の鼓動を探り、精神力を削ってまで引いたというのに。結果は惨敗で、蓋の裏にはひらがなで『はずれ』と記されていた。
百円らしき強い鼓動を感じたけれども、まさかの『はずれ』だなんて。せめて『もう一コ』を引いて、場を盛り上げたかったなぁ。
「メリーお姉ちゃん、惜しかったね」
「もう一コと百円を引いただけでも、ぜんぜんすごいよ!」
「二人共……、ありがとう」
コータロー君とカオリちゃんが、新たに購入した『ぺぺろんちーの』を食べながら、励ましてきてくれた。でも正直、ちょっと悔しい。
百円の当たりを引けなかったというよりも、みんなの期待に応えられなかったという理由でね。ちなみに、みんなも揃って『はずれ』を引いていた。
「あっ。おいしいわね、これ」
お湯を入れて三分間待った後。お湯を捨てず、そのままかやくを入れるラーメン風。逆にお湯を捨てて、かやくを半分ほど入れるパスタ風と、二種類の食べ方が選べる『ぺぺろんちーの』よ。
私は、パスタ風をチョイスして食べてみたけど。思わずご飯をかき込みたくなるぐらい、ニンニクと塩味が利いている。このすごいパンチ力、私が大好きなやつだ。
風味も、そう。ニンニクの味に慣れてくると、後から唐辛子に似たピリッとした刺激、食欲を沸き立たせる強めのスパイス、ふわりと香る爽やかなバジルも感じてきた。
六十円とお手頃価格な割に、麺の量がそれなりにあるので、一つに対しての満足度も高い。三時のおやつに、ちょっとガッツリ食べたい時にいいかも。
「久しぶりに食べたけど、このクセになる濃さがたまらないなぁー。後でラーメン風も食べちゃおっと」
私と同じく、パスタ風で食べていたハルが、ニコニコ顔で舌鼓を打つ。
「じゃあ、私もおかわりしちゃおっと」
「二人共、よくそんなに食えるよな。おれなんか、二つ食べたらお腹いっぱいになっちゃって、夜ご飯が食べらなくなっちゃうのに」
「わたしもー。でも、つい食べたくなっちゃうんだよね」
「なー」
まだ子供がゆえに、胃袋の小ささを嘆く二人が、ラーメン風の『ぺぺろんちーの』をすする。確かに、子供にはちょうどいい量かもしれないわね。
「そういやさ、メリーお姉ちゃん。家にいる時のアカ姉って、どんな感じなの?」
「ん? 家に居る時のハル?」
「あっ、わたしも聞きたい! メリーお姉さん、聞かせて聞かせて!」
コータロー君の質問を聞いていたのか。耳を大きくさせたハルが、私の方へ横目を流してきた。
私が何を言おうとしているのか、相当気になっているらしく、眼差しが真剣そのものだ。
家に居る時のハル、ねぇ。ごっこ遊びをしていた時のテンションを除けば、ほぼ普段と変わりない様子だったかしら。良くも悪くも、表裏が無いって感じね。
「うーん……。テンションは控えめだけど、ここに居る時と、あまり変わりないかしら?」
「へぇ~、そうなんだ。だったら一緒にいると、ずっと楽しそうだね」
「そうね。一緒に居るとなんだか安心感があって、いつも変わらず優しいし、何気ない日常がすごく楽しいわ」
「へへっ。おいおい、急にそんな褒めたって何も出ないゾっ。食べたいお菓子があったら、何でも言ってちょうだい! 無限に奢りますぜぇ!」
私が思っていた事を、そのまま二人に伝えるや否や。照れ笑いをしつつ、鼻の下を指で擦っていたハルが、力強く親指を立てた。
お茶目な笑顔になっているし、相当嬉しがっていそうだわ。
「春茜お姉さんって、どこでも変わらず優しいんだね。いいなぁ、メリーお姉さん。春茜お姉さんと一緒に住んでて」
「なー。ずっと一緒にいたら、ずっと楽しいもんな。あーあ。アカ姉が、おれの姉ちゃんだったらよかったのに」
「ほーう? そんな事言っていいのかい? 毎朝毎朝、目覚ましが鳴るよりも早くコータロー君の部屋に行って、叩き起こしちゃうぞ~?」
「ごめん、アカ姉。やっぱいいや」
そうそうに折れたコータロー君が、素っ気なく前言撤回した。ハルって、朝起きるのがとんでもなく早いのよね。
確か、六時ぐらいだったかしら? 朝起きるのが弱い私にとって、毎朝そんな時間に叩き起こされるのは、地獄の所業そのものだわ。
「メリーお姉さん。ほかに、春茜お姉さんについて何か知ってる?」
「カオリちゃんまで、めっちゃ私を探ってくんじゃん。なに、私に興味でもあるの?」
「うんっ、すごくある!」
「ま、マジか。そこまでキッパリ言われると、教えざるを得なくなっちゃうじゃん……」
子供の真っすぐな好奇心に気圧されて、口元を軽くヒクつかせるハル。ほんと、子供達から大人気よね。
そんなハルの情報。ちょっと長引きそうな話題だし、そろそろ『ぺぺろんちーの』が無くなっちゃうから、何か駄菓子を購入した後に話そうかしら。
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