林檎を並べても、

ロウバイ

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それから少しして

本当は?

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自己中心的な感情に気がついても、そういう化け物は俺の体の中で暴れ狂っているみたいだ。胃がぐちゃぐちゃにかき混
ぜられるようで、心臓をチクチク刺されているようだった。

堪えられなくて、ついにポタリと目の縁から涙が垂れてカフェの机を叩く。泣いてしまったことを理解すると、ダムが崩壊してしまったように溢れて、頭がめちゃくちゃになったような気持ちだった。

「大丈夫?!トキ!」

こちらを心配してくるソウは、やっぱりソウだけどあのソウじゃない。
記憶を失ったことで、俺が大好きだったソウがこの世界からはいなくなってしまったことは、ずっと前からわかっていた。それでも、ソウという人間を悲しませたくないっていう俺の本能みたいなものが瞬時に最適解を導き出す。

「はは、すまんすまん。嬉しくてさ…」

真っ赤な嘘を吐きながらも、無理に顔を笑わせるから変な笑顔になっているんだろう。すごく苦しい。引き攣っていて痛い。泣き笑いみたいな、綺麗な顔とは程遠い笑顔。そんなものとてもじゃないけど見せれる気がしなくて、ずっと俯いていた。

「そっか…それだけ喜んでくれると俺も嬉しい」

そう言いながら、にっこりとソウは笑う。
はくり、と意味をなさない息の音が口からこぼれるだけだった。

そっか。
もう、今目の前にいるこいつは、ソウじゃないんだ。
 
大好きなはずのソウの声で紡がれるその言葉がただただ憎たらしい皮肉にしか聞こえなくて、俺の心を突き刺すナイフは増える一方で。とにかく、今はソウとは一緒に居れないと思った。
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