【ドーン・オブ・ウィザード〜霊魂融合〜】知る人ぞ知る名作RPGの操作キャラクターと魂ごと融合した初見の俺だが、平穏に生きたいと思っている

アルファルファ

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転生編

転生、 ゲーム、異世界

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 俺の名前は池永平夫いけながひらお
 俺は今、「ドーン・オブ・ウィザード」通称「DoW」というゲームを始めようとしている。
 DoWというのは、魔法学校が舞台のファンタジーRPGだ。
 あまり有名ではないが、それでも知る人ぞ知る名作として一部界隈では人気になっている。
 ちなみになぜDoWを始めようとしたかというと、同僚に勧められたからだ。

「さっそく始めるか」

 俺はゲームを起動し、キャラクリエイトを始める。
 DoWのキャラクリエイトは結構自由度が高いようで、髪型や瞳の色、服装まで変えられるようだ。
 俺は完全に初見だったから、キャラクリエイト画面を見て驚いた。
 とりあえず性別は女にしてみる。
 別にネカマをしていても大丈夫なはずだし、どうせネカマしている人だって世の中にはたくさんいる。
 もしかしたら現実と同じ性別でやっている人の方が少ないかもしれない。

「名前はニコラにしよう」

 ニコラというのは、好きなアニメの好きなキャラの名前だ。
 キャラクリエイトは適当に金髪ロングヘアーと金色の瞳にしておいた。
 服装は青いパーカーと白いシャツだ。
 ちなみに、アニメのニコラとは全くもって似つかない。

「では、ゲームスタート!」

 そう言いながら「物語を始める」ボタンを押す。
 するとパソコンの画面が真っ白になり、しばらくして自室らしき場所にニコラが立っていた。
 いろいろ確認する前に、俺はとあることに気がついた。

「あれ? なんかメニューのところが赤く光ってる」

 メニューボタンの右上に、赤い丸があるのだ。
 こういう時は何かメッセージとかそういうのがきている時にあるものだ。
 きっと、運営からの初心者用スターターキットの配布に違いない。
 メニューを開くと、手紙のマークのボタン(多分メッセージボックス)に赤い丸があった。
 早速開いてみよう。

「え? 『融合』?」

 メッセージボックスに入っていたメッセージには、「融合」とだけ書かれていた。
 宛先に「運営」と書かれてないので、運営からのメッセージでもないらしい。
 しかし気になって仕方がない。
 ちょっと怖いけど、開くしかない!
 そう思い俺は「融合」とかかれたメッセージを開く。

「あれ? 何もかかれてない……いたずらかな?」

 そう思ったのも束の間、床に魔法陣らしきものが現れる。

「あ、これ異世界転移とかそういう奴や……逃げなきゃ!」

 そう思って逃げようとするが、体が鉛のように重い。
 きっと魔法陣の力で肉体を拘束しているのだろう。
 そう馬鹿なことを分析しているうちに、俺は意識を失った。



「ゆ、夢......? この声一体なに!?」

 そう叫びながらベッドから飛び起きる。
 しかし、寝ていたベッドは俺の寝室にある布団ではなく、俺の口から奇妙な……少女のような声が出た。
 しかも、この部屋はどこかで見たような……?
 そうか、これって、DoWを始めた時の初期部屋だな!?
 ……そして俺の体はどうなってしまったのだろう?
 部屋の中を見渡すと、隅に鏡がある。あまり高級そうな鏡ではないが、そんなことはあまり関係ない。
 
「鏡に映る俺の姿を見てみよう……俺はどうなったんだろう? もしかして……?」

 嫌な予感がしたが、それを押しのけて鏡の前に行った。
 鏡を見てみると……その「嫌な予感」は的中していた。

「マジでニコラじゃね?」

 そう、目の前にいるのは確かにニコラだった。
 好きなアニメのキャラクターであるニコラではなく、俺がキャラクリエイトしたニコラだ。
 もしかして、これはよくあるゲーム世界転生なのだろうか?
 それしか思いつかないので、そう思うことにしよう。

「とにかく、ここからどうすればいいのだろう……?」

 と呟いたが、その状況では呟いてもおかしくない。
 チュートリアルも終えずにこの世界に来たのだから、何も知らない。
 そう戸惑っていると、近く……いや、脳内に直接女の子らしき声が話しかけてきた。
 
『ん? ……誰よ!?』

 え? もしかして転移前のニコラの魂が残ってる?
 とりあえず、名前を聞いてみよう。

「それはそっちのセリフだって! ……名前はなんなのさ?」
『私? ニコラ・アーネスト』

 どうやら、俺のニコラで間違いないらしい。(アーネストという俺のつけていない名字があるが)
 そういえば、このニコラには俺がキャラクリエイトしたニコラと外見で違う点が一つある。
 それをニコラに聞いてみることにした。

「そういえば、この傷はなんなんだ? どっかでぶつけたのか?」

 そう、今のニコラには右目に垂直になるような直線状の傷がついていた。
 こんな厨二臭いキャラクリエイトなんて俺ぐらいの歳になってしたら恥ずかしいので、俺はこんなキャラクリエイトはしなかったはずだ。
 じゃあこの傷はなんだろう?

『ああ、それ? 物心ついた時からずっとついているの。もう治らないとおもうわ。……とにかく! あんた誰よ!』
「俺の名前は池永平夫。ヒラオと呼んでくれ」

 とりあえず現世にいた時の名前で通しておこう、特に何もいい名前が思いつかないからな。

『よろしくね、ヒラオ……今の状況、どうなってるんだろう? 私の予想だと神話や伝説でしか語られていない「霊魂融合」だと思うの』
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