彼女達ノ怪異談ハ不死議ナ野花ト野薔薇ヲ世マゼル

蜂黒須怪異談∞X∞

0032話「ネットイレ」

　


　

　
「1」

　ーー「百万獄祭り・午前11時20分」ーー

　あの世の魑魅魍魎達を祝う生者と死者を祀る火賀百万獄祭り。
　県外問わず住人や観光客がこの祭りを見たさに多く訪れる。
　そこに八木楓、鳴沢朱音、黒木あかね、星田星夏、鬼村星華も見に訪れてきた。
　と、黒木あかねがそわそわしてるの見て楓が諭した。

　楓「あかねさん。今行くなら今のうちですよ？」

　あかね「……あ、うん」

　朱音「よんだ？」

　楓「いえ、黒木さんの方ですよ」

　と、黒木あかねはスマホに取り出して何やらアプリを開いてどこかへ立ち去った。

　星華「ねー？あかねさんのアレはなにかしら？」

　朱音「え？私のアレとは？」

　星夏「黒木さんですよ。朱音さん」

　朱音「あ、うん」

　楓「それはですね。このアプリですよ。イシヤマ県内の設置してある地図上のトイレを巡るネットイレです」

　星華「ネットイレ？」

　星夏「わたくしも愛用してますわ。このアプリでトイレしたいときにはこのアプリで開くと地図上に設置してあるトイレをナビしてくれますわ」

　朱音「へー。便利なモノね。わたしは幽霊だから必要ないけどね」

　楓「このネットイレにもいくつか怖い話や恐怖体験談の怪異談ありますが披露する前に……みなさん」

　星夏＆星華＆朱音「はい？」

　楓「呼び名きちんと決めません？」

　と、同名である彼女達の呼び名を決めることしたが話し合いは平行線に辿り、しばらく保留することになり、ちょうどあかねが戻ってきた所で怪異談を披露した。

「2」

　俺の名前は米田光一、24歳。
　俺はネットイレのアプリを愛用するトイレマニアでありいつも休日はよくネットイレでトイレ巡りするほどだ。そして今日も外出してトイレ巡りしている。
　このネットイレのアプリは石山県内の地図上に設置してあるトイレに表示される。一般的には介護や車イスや多目的トイレに使用する方のために作られているが一般人の方にも使用されてる。公共施設、コンビニ、スーパー、ドラッグストア、飲食店施設など多数登録している。
　また、混み時間や口コミ、ナビもあるのでネットイレユーザーは気持ちよくトイレができる。
　生成AIチャットで話しかけるネットイレのネトイレ女神ちゃんがナビしてくれるからな。
　さっそく生成AIチャットで「誰も知られてないトイレ」で検索するとナビが表示されたので早速向かうことにした。

「3」

　ナビの指示通りに向かうとちょうど黒須駅前の公園のトイレだった。
　トイレに入るとそこそこ綺麗だったので中に入り、仕切りの便座トイレに入りズボンを脱いで用を足そうとすると、トイレの明かりが点滅する。そして真っ暗になり、途中からずっしりと身体が重くなり、そこの仕切りの天井に覗くモノがいた。

　髪の長い女性がじぃーと睨んでいた。

　俺は慌てて脱いだズボンを履いてトイレの外に出ると公園ではなく墓地だった。先程の出たトイレは何もなかった。
　そしてネットイレのアプリを開くと指示されたナビは先程の場所じゃなく遠く離れた違う場所にあった。
　ひょっとすると俺は導かれたのであろうかとーー。

「4」

　鬼村星華もこのネットイレアプリをインストールして取り込み、愛用していた。ちょうどお化粧直しにネットイレを使用するときにナビを指示した場所は見慣れない公園のトイレだった。そこに青白い人達が溢れていた。それを見た星華は青ざめて苦笑いした。
　このネットイレはごくたまにあの世に繋ぐトイレも繋がるので幽霊や霊能者にとっては重宝するアプリであるから。

　ネットイレ  完