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蜂黒須怪異談∞X∞

0031話「黒の日」

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「1」

 ーー「????」ーー

 灰色の雨雲り空。
 景色は灰色だが家や建物、人や虫も鳥もモノクロである。
 今日この村だけの特別な日。
 そのため、村人達はこの日だけ特別な外出はせずに自宅に引き篭もる。
 その理由はーー。


 ーー「石山県黒須市黒野村」ーー

 私は鐘技友紀。
 夏休みシーズンである今日は日傘を差して黒須市内の山奥の集落である黒野村に訪れてきてる。
 メンバーは私、八木家の分家である双子姉妹の穴本八枝、穴本鵺、神木童心神社の神主の娘である神木命。そして保護者として付き添いに来てくれた星田美冬さんにも来てもらった。
 そこでこのメンバーになったのは後から説明するとして、私たちがこの村に訪れてきたのは、この村の特別な日である「黒の日」について調べに来たのである。
 その黒の日について調べていると今回宿泊宿を貸していただける村長に話を聞くことができた。

 ーー「黒野村の村長宅」ーー

 村長「特に何もありませんがよろしければどうぞ」

 美冬「おかまいなく」

 村長に出された黒茶とコオロギ煎餅をくつろいで飲み食いしてる美冬さんは遠慮とはほど遠い。
 外の景色は灰色で虫のかすかな鳴き声がする。もうすぐ夜中で黒の日が迎えることになる。


 友紀「それでどうしてここの村人達はなると外出を控えるんですか?」

 と、私がその事を言うと村長さんは重苦しい言葉で言った。

 村長「それはですね。わしらの祖父代々伝わる習わしなんですが、黒の日にはくれぐれも外に出たモノは喰われるんですよ。……どうも黒の日には"アイツ"が現れるですよ。わしも姿も見てませんがな」

 ピリッと虫のかすか鳴き声が急に止まった。私たちの周囲にモノクロの背景がなったことから、ちょうど黒の日を迎えたことになる。

 鵺「それ、詳しく教えてくださらないでしょうか?」

 八枝「私もきになりますね」

 鵺達もその黒の日が気になるようだ。
 ちょうど命は席を外してお手洗いに向かう。
 美冬さんは相変わらずマイペースで居眠りしてる。

 村長「ええ。いいですよ。詳しい話というより、怪異談になりますがそれでよければ語りましょう。ーーあれは」

「2」

 ーー「8年前」ーー

 サトル「なぁ、本当にあんのかよ?」

 フミヤ「ああ、間違いないだろう。この村にはな」

 エリカ「約束やぶちゃってもしらなーい」

 アカリ「陰気臭いし虫いやだ。早く帰りたいな」

 とある、大学生4人組グループはこの黒い日という村の慣わしに調査しにやってきた。
 どちらかと言うと冷やかしに来ていてこの黒の日当日にSNSや動画配信サイトにあげて知名度あげようと試みた。
 そして村の村長宅にお世話になる時に「絶対、黒の日は外出してはいけませんよ」という警告を無視して彼らは外に出た。

「3」

 外に出た大学生4人組以外、人おろか虫や生物らしき姿はいなかった。外の景色は灰色のモノクロだった。

 アカリ「ねー?なんか景色が変じゃない?」

 サトル「これが噂の黒の日かな?」

 フミヤ「なんだか大したことなさそうだな」

 エリカ「ねー?アレ見て」

 と、エリカが指す方向に上空に浮かぶ奇妙なイソギンチャクのようなクラゲ雲があった。

 そのクラゲ雲の中心に気味悪い目のようなモノが見開き、その大学生4人組グループの2人に向かって触手のようなモノで一気に捕える。

 アカリ「エリカ!?フミヤ!?」

 サトル「な、なんなんだよ!!あれ!?」

 そのエリカとフミヤは異形な化け物によって雲に吸い込まれて喰われてしまった。

 残りの大学生2人は慌てて逃げる。

 そのクラゲ雲もゆっくりと彼らに向かって近づいてくる。

 大学生2人はいくつか閉ざされている家に助けを求めているが無視していた。

 そしてすぐその場で彼らは異形なクラゲ雲の触手により捕えられてしまった。

 そしてその場にいた彼らの場所は黒い血痕の跡のようなモノが残っていた。

「4」

 友紀「なるほど。では確かめに外へ行きましょうみなさん」

 村長「お待ちください!?わしの話を聞いてませんでしたか?」

 村長の慌てぶりに友紀一同うなずく。

 友紀「ええ。創作怪異談としてはいい出来でしたよ?」

 村長「ング!?」

 八枝「45点ですね。実話怪異談ならば、なぜ一度も外出してないはずの姿

 鵺「手厳しいですね。姉さん」

 村長「……」

 友紀「では参りましょう」

 村長「お待ちください!!喰われてしまいますぞ!?」

 と、友紀達は村長の警告を無視して外に出た。

 友紀「これがそうですね」

 命「小さいですね」

 たしかにその張り付いているクラゲ雲のようなイソギンチャクのようなモノが張り付いていて霧を噴射していたが子犬サイズで小さかった。

 八枝「これが村に呼び込む曰く付きのヤツなんて笑えないわね」

 村長「ンググググ!?ば、バカにしないでくださいよ!!これは村の守り神さまなんですよ!!」

 村長は憤慨してるが友紀は無視して懐から針を出して刺すとそのクラゲ雲は活動停止して死んだ。

 それを見た村長はショックで気絶をしていた。
 そして友紀はスマホを取り出して然るべき所で礼察に通報した。

「5」

 村長だけでなく村人全員、礼察に捕まり連行されていた。
 この村では、若い男女を村に誘き出して夜な夜な黒の日に食事などに眠り薬を入れて家の中に出さないよう生贄を捧げていたようだ。眠り薬はあえて別のモノにあらかじめ鵺が取り替えている。それだけでなく悪霊犯罪や詐欺犯罪グループを村ぐるみで行われていたので余罪はかなりあるようだ。
 そして友紀達は礼察の依頼によりあらかじめいくつか監視カメラを設置して数週間前に訪れていたことを村人達は知らなかったみたいだった。そして監視カメラを充分チェックして証拠と身の安全であると確認した彼女達は潜入したのである。そして村に曰く付きの守り神様と村人達がいなくなると廃村となり、ネット上には石山県で消えた村の一つとして数えられるようになった。

 友紀「じゃあ、帰りましょうか?」

 命「なんか大事なこと忘れてるような?」

 ????「みんな~酷いじゃない!?わ、私を置いて忘れるなんて!!」

 と、そこに現れたのは星田美冬。
 彼女の顔の周囲には黒い蟲がたくさんこびりついていた。

 友紀達一同は悲鳴があがり、このあと美冬から逃れるために夜のフルマラソンになった。

 黒の日  完
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