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野薔薇畑怪異談Sub story08

57話「家の柱のキズ」

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「1」

 ーー「野薔薇屋敷邸」ーー

「いただきます♪」

 野薔薇家では食事は一般家庭と変わらない質素な和食で食事する。使用人もわずかであり、料理するのは当主自ら振る舞う。
 そんな中、好き嫌いせずに毎日平らげてる真理亜は食事の後、いつもやっている背比べする。それは家の柱にキズをつけるというものだ(当主にはキチンと許可を得てやっている)。
 しかしながら小学6年から身長は止まったままであり、現在でも変わらずそのままである。
 そんなキズの背比べである怪異談を真理亜が所属する部活で部員達の前に披露することになった。


 ーー「深川家」ーー

 木造一戸建て一軒家。
 そこに住む家族はごく普通の一般家庭で4人暮らしであり、父、母、兄、弟である。
 その兄弟の子供達は毎月伸びる身長の背比べしていて家の柱にキズをつけていた。

「やったー。兄ちゃんよりも背が伸びたぞ」

「そ、そんなわけないぞ?俺はまだまだ越してないからな!」

 と、兄の威厳に保つために背筋を伸ばしているがそれでも弟の身長にギリギリ届かなかった。
 そこで兄は弟に負けないように身長を伸ばそうと躍起になっていた。

 ーーーーーー

「に、兄ちゃん!!」

「……」

 冷たくなった布団に眠る兄。
 一家一同悲しみに明け暮れる。
 兄は不知の病により、帰らぬ人になってしまった。
 その時に弟はショックで背比べをやめてしまった。
 そして長い年月経過して弟も成人になり独立して家を離れて過ごした頃。弟はふと、兄が背比べした時、思い出して兄弟が過ごした実家に戻り、家の柱を見ると、、、

 そこにあったのは無数の引っ掻きキズの柱が無数につけられていたのだ。

 その両親に聞くと知らないと答えるのでその時、弟が思い出したのだ。そのキズの背は当時兄が最期に背比べしたキズに似ていることに。

 そして数十年経過した。
 両親もすでに旅立てられており、弟は実家に住み込み長いこと寝たきりになっていた。その寝ている近くの家の柱にはその弟に合わせた柱のキズがつけられていた。

 ーーそのキズの後、弟の寝静まる晩に勝ち誇った少年らしき人物がずっと弟を見つめていた。

 家の柱のキズ   完
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