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野薔薇怪異談Main story04
29話「牙のせい」
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「①」
ーー田中駄菓子屋ーー
「いらっしゃい」と、いつもと変わらず元気な店主のおっちゃん。
俺、鼻木和馬。
今日は部員一同連れて昔懐かしい駄菓子屋に行った。
「おー!草山名物、クサリイカだー!!俺の大好物」
「安眠グミですの!?こ、これは買わなくては」
と、初めて入る駄菓子屋に部員一同は興味深々だった。
そんな時に早苗が壁に貼り付けてある般若のお面に注目する。
「あそこに飾られている般若のお面に牙が生えてますね」
早苗の指摘に皆が注目するとたしかに鋭い牙が生やしていた。
「そうだろう。このお面はひいきにしてるお客様がもらったんだけどね。……最初は牙は生やしてなかったんだよ」
その場にいた蜜柑はゾクッと背筋がピンと猫肌が猫耳と尻尾が逆立ちした。
「おっちゃん。それ詳しく教えてくれないか?」
と、おっちゃんはうなずき語ってくれた。
「②」
「田中さん。いらっしゃいますか?」
常連客の吉川さんが訪れてきたので足腰がガタついてる私は杖をついて応対する。
「いらっしゃい。吉川さん」
「お元気そうですね」
「いやぁ。だいぶ足腰が弱くなったよ」
私と吉川さんは他愛もない世間話をする。
話題は吉川さんが先月の旅行先に盛り上がる。
「そうそう、田中さん。近くの裏山市でお土産に購入した物ですが。どうですか?」
吉川さんは手提げたお土産袋から取り出した。
「ほぅ。立派な般若のお面ですな」
その迫力がある馴染みの般若のお面だった。
「よかったら、差し上げます」
「そうですか。喜んで店の壁に飾っておきます」
私はひいきにしてる吉川さんのご好意に頂戴することになった。
ーー????ーー
寝静まる晩に物音がする。
ふと、私は何事かと起きて周辺内を見廻りすると、そこにはーー、
般若のお面を被った妙な青白い人型のようなモノがアレを咥えていた。
私はそれを見て悲鳴をあげて意識を失った。
次の早朝、飾られている般若のお面が鋭い牙のようなモノが生えていた。
ーーーーーー。
「③」
「……と、まぁそれ以来アレが寄り付けなくなったじゃよ。でも、まぁわしにとっては守り神じゃからな。この店にとってのな」
俺たちは信心深さに般若のお面を拝見した。しかし、途中部長が少し悲鳴あげて驚いてた。なんでも般若のお面の顔が動いてたらしいが、正直見てないからなんとも言えなかった。俺たちは駄菓子屋でめぼしい物を購入した後は店を出て各自解散して帰宅した。
ーー????ーー
真夜中の晩。
そこに飾られている般若の牙の面。
そこにチュウチュウと鳴いて迷い込んだネズミ。
何かめぼしい餌がないか彷徨っているとーー、
ーーその般若の面がゆっくりと動き、青白い人型を形成してその腕が触手のように伸ばしてネズミを捕らえる。そこで般若のお面の生やした牙を食らいつき、咀嚼する。
ゴリゴリとゆっくり噛み砕く咀嚼音。
その噛み砕く悲鳴は打ち消される。
そして食べ終えた般若のお面はそのまま、元の壁の隅に戻る。
そして何事もなく、その般若のお面のおかげでネズミによる害獣の被害が全くないがお面が飾られて以降一度も泥棒の空き巣に狙われてない。
もしかしたら、この店に彼らが寄りつかないのはこのお面の牙のせいかもしれない。
牙のせい 完
ーー田中駄菓子屋ーー
「いらっしゃい」と、いつもと変わらず元気な店主のおっちゃん。
俺、鼻木和馬。
今日は部員一同連れて昔懐かしい駄菓子屋に行った。
「おー!草山名物、クサリイカだー!!俺の大好物」
「安眠グミですの!?こ、これは買わなくては」
と、初めて入る駄菓子屋に部員一同は興味深々だった。
そんな時に早苗が壁に貼り付けてある般若のお面に注目する。
「あそこに飾られている般若のお面に牙が生えてますね」
早苗の指摘に皆が注目するとたしかに鋭い牙が生やしていた。
「そうだろう。このお面はひいきにしてるお客様がもらったんだけどね。……最初は牙は生やしてなかったんだよ」
その場にいた蜜柑はゾクッと背筋がピンと猫肌が猫耳と尻尾が逆立ちした。
「おっちゃん。それ詳しく教えてくれないか?」
と、おっちゃんはうなずき語ってくれた。
「②」
「田中さん。いらっしゃいますか?」
常連客の吉川さんが訪れてきたので足腰がガタついてる私は杖をついて応対する。
「いらっしゃい。吉川さん」
「お元気そうですね」
「いやぁ。だいぶ足腰が弱くなったよ」
私と吉川さんは他愛もない世間話をする。
話題は吉川さんが先月の旅行先に盛り上がる。
「そうそう、田中さん。近くの裏山市でお土産に購入した物ですが。どうですか?」
吉川さんは手提げたお土産袋から取り出した。
「ほぅ。立派な般若のお面ですな」
その迫力がある馴染みの般若のお面だった。
「よかったら、差し上げます」
「そうですか。喜んで店の壁に飾っておきます」
私はひいきにしてる吉川さんのご好意に頂戴することになった。
ーー????ーー
寝静まる晩に物音がする。
ふと、私は何事かと起きて周辺内を見廻りすると、そこにはーー、
般若のお面を被った妙な青白い人型のようなモノがアレを咥えていた。
私はそれを見て悲鳴をあげて意識を失った。
次の早朝、飾られている般若のお面が鋭い牙のようなモノが生えていた。
ーーーーーー。
「③」
「……と、まぁそれ以来アレが寄り付けなくなったじゃよ。でも、まぁわしにとっては守り神じゃからな。この店にとってのな」
俺たちは信心深さに般若のお面を拝見した。しかし、途中部長が少し悲鳴あげて驚いてた。なんでも般若のお面の顔が動いてたらしいが、正直見てないからなんとも言えなかった。俺たちは駄菓子屋でめぼしい物を購入した後は店を出て各自解散して帰宅した。
ーー????ーー
真夜中の晩。
そこに飾られている般若の牙の面。
そこにチュウチュウと鳴いて迷い込んだネズミ。
何かめぼしい餌がないか彷徨っているとーー、
ーーその般若の面がゆっくりと動き、青白い人型を形成してその腕が触手のように伸ばしてネズミを捕らえる。そこで般若のお面の生やした牙を食らいつき、咀嚼する。
ゴリゴリとゆっくり噛み砕く咀嚼音。
その噛み砕く悲鳴は打ち消される。
そして食べ終えた般若のお面はそのまま、元の壁の隅に戻る。
そして何事もなく、その般若のお面のおかげでネズミによる害獣の被害が全くないがお面が飾られて以降一度も泥棒の空き巣に狙われてない。
もしかしたら、この店に彼らが寄りつかないのはこのお面の牙のせいかもしれない。
牙のせい 完
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