彼女ノ怪異談ハ不気味ナ野薔薇ヲ鳴カセルPrologue

野薔薇怪異談Main story04

32話「看晩矢」

「①」

　ーー野薔薇家ーー

「ばぁちゃん！大丈夫か？」
　最近、風邪熱で寝込んでるばあちゃん。
　ここんとこ寝たきりで食事にも喉が通らないらしい。
「ケホケホ、すまないねぇ。真理亜」
「水臭いこと言うなよ。ばあちゃん。大丈夫だここを乗り切れば……あれ？」
　俺はふとばあちゃんの枕元に青白い矢が刺さっていた。
「ケホケホ。そうか私にも迎えが来たかい」
「え？」
「真理亜、いいかい？今日の晩は誰も来させないようにするんだよ？おまえもだ」
　ばあちゃんの強い忠告に俺はしぶしぶ従った。

　次の日の朝、ばあちゃんが亡くなった。
　その時ばあちゃんの身体に青白い矢が刺さっていたから。
　遺言状には、野薔薇家を運営、財産などは代理人の弁護士に頼み俺が将来社会人になった時に引き継ぐことになった。
　そしてそのほかにもばあちゃんは最期に残した怪異談看晩矢ことが書かれていた。
　そう、この矢は最期に看取るときに矢を放たれて最期はその命日の晩に刺さるらしい。

「②」

「以上だ」
　部員一同は拍手するが表情は暗い。
「大丈夫か？真理亜」
　和馬は真理亜のことを気にかけていた。彼なりに身内の不幸に慰めたかったから。
「大丈夫だぜ。ばぁちゃんもあの世の國でもしっかりとやっていけるさ」
　と、真理亜は意気込んでいた。
　その時、暗い気持ちでいる夜尻真夜はその怪異談について少し思いつめていた。

　ーー夜尻家ーー

「ただいま」
　真夜は帰宅すると自分の部屋に向かう。
　自分の寝室のベッドの枕元に青白い矢が刺さっていた。
　彼女はすでに残された時間がなかったのだ。
「……」
　真夜は死を受け入れていた。
　最後は自分の部屋で心よく看取ると。
　気かがりなのは部活だが副部長に和馬が指名したので彼なりやっでいけるだろうと。
「高波もうすぐお前のところへ向かうからな」
　と、真夜はいつものように普段着に着替えて家族と最後の晩餐して早めに就寝した。

「③」

　ーー？？？？ーー

　私は夢を見ていた。

　そこに必死に呼びかける彼。

　私はよく確認すると、どうやら胸に青白い矢が刺さっていたようだ。

　そうか。もうお迎えに来るのだろうと。

　その時に何か引っ張られる感覚が来て急激に濁流の川のようにモノすごいスピードで吸い込まれていった。

…………。

「④」

ーー？？？？ーー

「部長！？」

俺は目を覚まして部長を呼びかけた。
しかし、誰もいなく俺は1人だった。
俺はまた、救えることはできなかった。
俺は、、、ん？
どこか見慣れない部屋だな。
なんつーか？女の子ぽい部屋。
そして身体がおかしい。
なんか胸が膨らんでる。
こ、これはもしやおっ……ぱい
うぉぉえああああああ！？
て、待てよ。
ひょっとすると俺は……。
俺はいつのまにか部長に成り代わっていた。

看晩矢   完

出演登場人物紹介

鼻木和馬

夜尻真夜

猫見蜜柑

毒川里美

小野姫子

片原早苗

梅田虫男

野薔薇真理亜

酢鈴武煮部流

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