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野薔薇怪異談Prologue01
06話「つぶどく。」
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「①」
ーー部室内ーー
「あーー。暇だなぁ」
高波は思わず本音を漏らす。
「そうだなぁ」
俺、鼻木和馬も同意する。
「お、おい!?おまえらちゃんと怪異談披露しなきゃダメじゃないか!?」
部長はそう言うけどな。この場は致し方ない。
「部長、それはそうなんですけど……あまりネタが枯渇してるじゃないですか?」
「ううう」
新部員の星田先輩がそう指摘する。
そう、怪異談を披露していくうちにネタが枯渇気味になってしまった。
まぁ、ほとんどが俺と高波が披露してるモノなんだがネタの使い回しが半端なかったからな。
ちなみに高波が披露するフェチズム怪異談は動物に関するモノだったが彼女の語る怪異談はどこか幼いので怖さもそれなりだな。
「そ、そうだ。この際だから私のとって「トイレの怪異談もう結構ですよ」そう」
部長は何故かしおらしくなるがそこが可愛いと言うとキレるのであえて本音は言わない。
「あたし。素振りでもしようかにゃ」
「俺も小説書いとくかな」
と、梅田と猫見は席を立ち、部室に出ようとすると、そこに髪がボサボサの女子生徒が立っていた。
「ん?何かようか?」
と、その女子生徒は目を見開き言った。
「おおおお!!!いえいえ!!突然なことで申し訳ないですとも。わたくしこれより入部するためにやってきた所でございます。貴方様は部員さまさまでございますか?わたくしこれよりも……」
突然マシンガントークにより、場を狼狽える部員達。
そこで頭を手で押さえる部長。
実に個性的なキャラクターだな。……ふむふむ胸はCと微乳てところかな。あが!?
うしろからアイアンクローをかますのはやめてください部長。
あがががががががががが!?
※しばらくお待ちください。
「閑話休題」
「はい。美衣子ありがとう」
さてさて、また三途の川が見えたという所で新キャラクターの紹介である。
「初めましてございまする。わたくし真夜の大親友以上恋人未満の毒川里美でございます。なおフグッ!?」
「もう喋るな」
部長が里美の口を閉じさせる。
さてさて、この濃いキャラクターはクラスのみんなから電波系少女とあだ名がつけられていて一旦しゃべり出すと止まらないのである。なお名前が毒川だから独特の毒舌で喋るのが特徴である。
「フガッフガッ!?……」
「部長!里美さん息が出ないみたいですよ?」
「おっ。悪いな」とようやくゼェゼェと肩の息を鳴らす。
「まよっち。もうすぐのところで花畑に向かうところでやんす。さてはて、自己紹介のところでわたくしの怪異談を聴きとうございまするか?そうでやんすか?聴きたいのでやんすか。なら……」
なんか急に怪異談を毒川が披露することになったが……まぁ、暇なんで聴いてみるか。
「怪異談つぶどく。どうぞご清聴ください」
毒川は怪異談を披露した。
「②」
俺の名前は桂山粒壱、8歳。そして弟の桂山粒時、8歳。俺たちは一卵性の双子である。
弟は口癖はつぶやくところだ。
しかし、人前でつぶやくと何故か周囲の人達は苦しみ出すのだ。
「つぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶ」
そして公園前でつぶつぶつぶやくと周囲の人たちは急激に苦しみ出すのだ。
「おい!?辞めろ!!あれほどつぶやくなと言ったろ!!」
「つぶつぶ……」と粒時は辞めてくれた。
粒時は生まれた時からつぶつぶしか言わないのである。
俺は家族から粒時に見張るようにと付きっきりである。
そんな貧乏クジ引かされた俺は常にそばにいさせたのである。
「③」
「ただいま!」
「……」
俺たちは帰宅すると、早速テレビをつけてお笑いライブの番組にチャンネルを合わす。
俺たちは昔からお笑いが好きだった。
いずれかは俺はお笑い芸人になって人前で笑わすのが目標である。
「……」
大人になったら、上京してお笑いをやりたいが粒時のこともあるのでそれまでには粒時がつぶやくの辞めさせるようにしないといけなかったから。
ーー野原小学校ーー
「どうも。桂山粒壱でーす」
「どうも。崎山花道でーす」
「「2人そろってやまやまでーす♪」」
俺と親友である花道とクラス内でお笑いライブをやった。
クラスの反応というとそれなりに受けていた。
そこに弟はいない。
家族は常に弟のそばにいろと言われてるが無視していた。
なぜなら、弟はむしろ腫れ物扱いしていた俺。
しかし、それが俺を苦しめる事態となる。
……そう、クラスメイト全員泡を吹いて倒れたから。
俺は礼察に補導された。
「④」
ーー礼察署内ーー
「君はどうやら心の中でつぶやくと毒舌になるようだ」
「え?」
軽視さんから俺について事情を語ってくれた。
「家族はきちんと君の症状を教えなかったみたいだ。だから君の弟が常にそばにつかせていたんだよ。君が余計なつぶどくを吐かないようにね」
「そんな……」
俺は信じられなかった。
その後、軽視さんから何か言われたがその後、両親から迎えがきた。俺はあまりにもショックで不登校になり家にひきこもるようになった。
「⑤」
「……」
一カ月経過した。
俺は家族や友人さえも無視していた。
俺はずっと部屋で布団でこもっていると粒時が俺の元へやってきた。
「つぶつぶ」
相変わらずつぶつぶしか言わない弟。
でも、その時無言で優しく抱きしめてくれた。
「つぶつぶ」
粒時はつぶつぶ言いながら泣いてる。
もしかして俺のために泣いてるのか?
こんなどうしようもない俺のために……。
「ぶつーー!!」
「グゲっ!?」
粒時の口から拳大の煙がぶつけられた。
粒時に殴られたみたいな感じでつい笑ってしまった。
そしてこの日以降、俺と粒時は常にそばにいるようになった。
「⑥」
「という怪異談でございまする。いかがでしたか。あーん」
と、怪異談披露した毒川は泣いてるし、部長も泣き喚いてるのはあんたもか。
ま、それなり怪異談はよかったので俺たちは喜んで毒川の加入を正式に受け入れていた。
俺たちの怪異談はこれからも鳴かせていく。
つぶどく。完
ーー部室内ーー
「あーー。暇だなぁ」
高波は思わず本音を漏らす。
「そうだなぁ」
俺、鼻木和馬も同意する。
「お、おい!?おまえらちゃんと怪異談披露しなきゃダメじゃないか!?」
部長はそう言うけどな。この場は致し方ない。
「部長、それはそうなんですけど……あまりネタが枯渇してるじゃないですか?」
「ううう」
新部員の星田先輩がそう指摘する。
そう、怪異談を披露していくうちにネタが枯渇気味になってしまった。
まぁ、ほとんどが俺と高波が披露してるモノなんだがネタの使い回しが半端なかったからな。
ちなみに高波が披露するフェチズム怪異談は動物に関するモノだったが彼女の語る怪異談はどこか幼いので怖さもそれなりだな。
「そ、そうだ。この際だから私のとって「トイレの怪異談もう結構ですよ」そう」
部長は何故かしおらしくなるがそこが可愛いと言うとキレるのであえて本音は言わない。
「あたし。素振りでもしようかにゃ」
「俺も小説書いとくかな」
と、梅田と猫見は席を立ち、部室に出ようとすると、そこに髪がボサボサの女子生徒が立っていた。
「ん?何かようか?」
と、その女子生徒は目を見開き言った。
「おおおお!!!いえいえ!!突然なことで申し訳ないですとも。わたくしこれより入部するためにやってきた所でございます。貴方様は部員さまさまでございますか?わたくしこれよりも……」
突然マシンガントークにより、場を狼狽える部員達。
そこで頭を手で押さえる部長。
実に個性的なキャラクターだな。……ふむふむ胸はCと微乳てところかな。あが!?
うしろからアイアンクローをかますのはやめてください部長。
あがががががががががが!?
※しばらくお待ちください。
「閑話休題」
「はい。美衣子ありがとう」
さてさて、また三途の川が見えたという所で新キャラクターの紹介である。
「初めましてございまする。わたくし真夜の大親友以上恋人未満の毒川里美でございます。なおフグッ!?」
「もう喋るな」
部長が里美の口を閉じさせる。
さてさて、この濃いキャラクターはクラスのみんなから電波系少女とあだ名がつけられていて一旦しゃべり出すと止まらないのである。なお名前が毒川だから独特の毒舌で喋るのが特徴である。
「フガッフガッ!?……」
「部長!里美さん息が出ないみたいですよ?」
「おっ。悪いな」とようやくゼェゼェと肩の息を鳴らす。
「まよっち。もうすぐのところで花畑に向かうところでやんす。さてはて、自己紹介のところでわたくしの怪異談を聴きとうございまするか?そうでやんすか?聴きたいのでやんすか。なら……」
なんか急に怪異談を毒川が披露することになったが……まぁ、暇なんで聴いてみるか。
「怪異談つぶどく。どうぞご清聴ください」
毒川は怪異談を披露した。
「②」
俺の名前は桂山粒壱、8歳。そして弟の桂山粒時、8歳。俺たちは一卵性の双子である。
弟は口癖はつぶやくところだ。
しかし、人前でつぶやくと何故か周囲の人達は苦しみ出すのだ。
「つぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶ」
そして公園前でつぶつぶつぶやくと周囲の人たちは急激に苦しみ出すのだ。
「おい!?辞めろ!!あれほどつぶやくなと言ったろ!!」
「つぶつぶ……」と粒時は辞めてくれた。
粒時は生まれた時からつぶつぶしか言わないのである。
俺は家族から粒時に見張るようにと付きっきりである。
そんな貧乏クジ引かされた俺は常にそばにいさせたのである。
「③」
「ただいま!」
「……」
俺たちは帰宅すると、早速テレビをつけてお笑いライブの番組にチャンネルを合わす。
俺たちは昔からお笑いが好きだった。
いずれかは俺はお笑い芸人になって人前で笑わすのが目標である。
「……」
大人になったら、上京してお笑いをやりたいが粒時のこともあるのでそれまでには粒時がつぶやくの辞めさせるようにしないといけなかったから。
ーー野原小学校ーー
「どうも。桂山粒壱でーす」
「どうも。崎山花道でーす」
「「2人そろってやまやまでーす♪」」
俺と親友である花道とクラス内でお笑いライブをやった。
クラスの反応というとそれなりに受けていた。
そこに弟はいない。
家族は常に弟のそばにいろと言われてるが無視していた。
なぜなら、弟はむしろ腫れ物扱いしていた俺。
しかし、それが俺を苦しめる事態となる。
……そう、クラスメイト全員泡を吹いて倒れたから。
俺は礼察に補導された。
「④」
ーー礼察署内ーー
「君はどうやら心の中でつぶやくと毒舌になるようだ」
「え?」
軽視さんから俺について事情を語ってくれた。
「家族はきちんと君の症状を教えなかったみたいだ。だから君の弟が常にそばにつかせていたんだよ。君が余計なつぶどくを吐かないようにね」
「そんな……」
俺は信じられなかった。
その後、軽視さんから何か言われたがその後、両親から迎えがきた。俺はあまりにもショックで不登校になり家にひきこもるようになった。
「⑤」
「……」
一カ月経過した。
俺は家族や友人さえも無視していた。
俺はずっと部屋で布団でこもっていると粒時が俺の元へやってきた。
「つぶつぶ」
相変わらずつぶつぶしか言わない弟。
でも、その時無言で優しく抱きしめてくれた。
「つぶつぶ」
粒時はつぶつぶ言いながら泣いてる。
もしかして俺のために泣いてるのか?
こんなどうしようもない俺のために……。
「ぶつーー!!」
「グゲっ!?」
粒時の口から拳大の煙がぶつけられた。
粒時に殴られたみたいな感じでつい笑ってしまった。
そしてこの日以降、俺と粒時は常にそばにいるようになった。
「⑥」
「という怪異談でございまする。いかがでしたか。あーん」
と、怪異談披露した毒川は泣いてるし、部長も泣き喚いてるのはあんたもか。
ま、それなり怪異談はよかったので俺たちは喜んで毒川の加入を正式に受け入れていた。
俺たちの怪異談はこれからも鳴かせていく。
つぶどく。完
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