[全221話完結済]彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる

野花マリオ

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蜂鉢怪異談∞

214話「ご主人様はおこる」

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「1」

 ーー「亜季田礼奈の部屋」ーー

 部屋中にはオカルト魔術本や奇妙な観葉植物や飼育箱に蟲が飼われている。
 ベッド近くに置かれている不気味なサルのピエロの人形みたいな目覚まし時計が鳴り響く。
 その寝ている少女亜季田礼奈が身体を起こしその目覚まし時計を止めた。
 そこで閉め切った窓カーテンに向かいカーテンをオープンしてのびのびとお日様を浴びた後は、2階にいる自分の部屋に下りて洗面所に向かい歯磨きと顔を洗った。

 ーー「キッチンルーム」ーー

「おはよう」
「おはよう、礼奈」「おはよう。ゴホン」
 礼奈はムスッとしながらも母親が用意されているトーストと目玉焼き、ミルクを食べ始める。母親はフライパンで自分の目玉焼きを焼いていて、父親は礼奈に目線を合わせないよう新聞を開き読みながら食べ始めているが新聞が逆さまになっていることに気がついてない。
 礼奈はここんとこ不機嫌だった。
 それは、とある彼女の仕打ちであるからだ。
 そのため機嫌がいつも悪く、彼女を目線を合わさないようにして部活も休んでいた。

「そろそろおこるの許してあげたら?」

 両親に打ち明けてる礼奈だが、その母親の問いかけに「私はおこってないから」とトーストにマーガリンを塗りながら言った。
「そう、ならいいんだけど」と、ちょうど母親の目玉焼きも焼き上がり皿によそって朝食を食べ始める。父親は空気を読んで無言を貫いていた。
「ごちそうさま」と礼奈は先に朝食終えると、自分の部屋に向かい制服に着替えて身だしなみを整えた後はカバンを持ち玄関先で靴を履いて「いってきます」と、学校へ向かった。

 ーー「鐘技高校2年3組教室内」ーー

「ねー?礼奈機嫌なおしてよ?」
「……」

 礼奈はずっと休み時間帯は机でふて寝していた。
 その友人達にさとしているがムシしていた。
 その元凶である彼女は学校を休んでいた。
 その礼奈がおこる理由は部活内のちょっとしたささいな出来事である。それはその日たまたま部長の友紀が外せない用事でいなく、部長代理で彼女が選ばれた。彼女の進行は問題なく動いていたが最後のしめに礼奈が先に手を挙げたのに煮部流が選ばれてしまったのである。それ以来、礼奈とその彼女の間で確執が起きてしまったのである。
 それを戒めこめて怪異談をこの場で披露することを決めた。
「怪異談ご主人さまはおこる。あれはそうーー」
 友人達は机でふて寝してる礼奈が語られる怪異談に背筋を正して聞くのであった。

「2」

 ーー「石山県鐘技市犬丸町」ーー

 僕の名前はブン太。オス5歳。
 僕は人じゃなく飼われている飼い犬だよ。一応種類は雑種犬。
 そしてリードを繋いでいるご主人様は菊田洋子。歳は3……26歳だよ。
 ご主人様はいつも僕に対して優しいだけどね。でも……。

「おい!!きおつけろよ。ぶわぁかやろう!」

「すみません」と、急に荒っぽい車を運転するおじさんに謝るご主人様。

 でも、すぐよ。

 そのおじさんの車が突然逆さまになったから。

 その場で人だかりになるけどご主人様は笑っていた。

「いくわよ。ブン太」

 そう、ご主人さまはおこると何かがのである。

 ーー「菊田家」ーー

「ただいま」

 僕の家はご主人様の実家である。
 ちょうどご主人様の両親は畑仕事をしている頃だな。
 ご主人様は僕を浴室に連れて優しく汚れた足を洗ってタオルで拭いた後草山名物草ブッギーをくれた。これは好きなんだけど臭いけど病みつきなる不思議。
 そしてテレビをつけるとニュースをやっていた。なんでも不祥事を起こした芸人さんがいたんだけど全然反省してなかったのでそれを見たご主人様を流石によ。
 記者会見中にその芸人が心臓麻痺して亡くなったよ。
 おこったですよ。
 その時、ご主人様は笑っていた。
 僕はますますおこらせないよう注意していた。

「3」

 ーーーーーー

 ご主人様と両親は買い物に出かけて僕1人お留守番していた。
 僕は部屋の中でおしっこしたくなっていた。
 そこでご主人様に教えられた場所でおしっこするが僕はミスをしていた。
 なんとそこにご主人様が大事にしてるブランド鞄におしっこをかけてしまった。
 どうしよう。おこられると思った。
「ただいま。忘れ物……しちゃった!?あーーー!?」

 ご主人様はおこる。
 家の中でグラグラと揺れている。
 僕もグラグラと。
 うーん。バタン。
「ブン太!?しっかりして!?ねーブン太!!」
 僕は意識を失い動物病院に運ばれた。

 ーー「????」ーー

「ストレスか何かようですね」

「ストレスですか……」

「最近このこにつよくしかりおこってませんか?」

「おこることはありますがブン太にたいして直接怒ってはません」

「そうですか?ブン太くんも神経質なようなのであまり怒らないでくださいね」

「わかりました」

 ーーーーーー

「ブン太まちなさい!まって!?」

 僕はいつも散歩中は駆け巡る。
 そう、ご主人様が全くおこらなくなったから。
 だから自由気ままにやりたい放題していた。

「……ブン太お願いだから」

 知らないよ。ばーか。
 そういえばまた振られたんだよね。
 もうすでに100回超えそうな勢いだね。

「……ギリ」

 ねー。何か言ったらどうなんだよ?

 その時僕はいつもより調子を乗っていた。

 そう、僕の言葉丸聞こえだったから……。

 僕は上空を見上げるとそこに雨雲が出来ていた。

 そこから大きな雷が落ちて僕がいた場所は深いクレーターになり僕は忽然とチリになり消失した。

「4」

「礼奈!!」と勢いよく教室の引き戸を開けて壊した彼女は馬具野絵瑠胃奈だった。
「なにかよう?」
「これ礼奈に!!」
 馬具野が手渡されたのは礼奈が以前欲しかったグチャグチャゾンビロックスターのキーホルダーだった。
 その時ふと礼奈は笑って彼女に免じてゆるそうと思った。
「もういいわ。許す」
「ありがとうございます!!」と一気に爆でかい大音量の叫び声によりその場にあったキーホルダーを吹き飛んでしまい、再び礼奈はおこってしまった。
「許してください!!」
「ゆるすかーー!!さっさと探してこい!!」
 と、勢いよく馬具野は教室に出てキーホルダーを探しに出かけた。

「ご主人様はまたね」
「本当だべな」
 と、友紀達はそれを見て笑った。

 ご主人様はおこる   完
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