[全221話完結済]彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる

野花マリオ

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蜂鉢怪異談∞

205話「観覧車」

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「1」

 ーー「野花高校4階屋上」ーー

 私は八木楓。日差しが少し強い梅雨明け。
 私、永木桜、黒木あかね、野花手鞠、そして夢見亜華葉の5人で一緒に昼食を摂っていた。

「ねー?今度の日曜日みんなでどこかに出かけない?」

 と、亜華葉の提案にみんなは、、、

「行く行く♪久しぶり遊びに行きたい♪」

 桜は乗り気である。

「僕もその日は空いてるから行けるよ」

 と、手鞠も同じ。

「まぁ、たまにはいいかもね」

 ドケチのあかねも珍しいな、おい。

「楓さんは?」

 私はもちろん。

「特に何も予定はないから大丈夫わよ。ところで」

「ん?なーに?八木さん」

 一応大事な事を伝えなければならない。

「桜さんはその日、バイトがある日じゃないかしら?」

「あ」

 と、ここで合唱部3人組の代わりに私と桜以外が行う。

「いち」は手鞠が。

「にーの」は亜華葉が。

「さん、ハイ!」はあかねが担当してそこから、

「「「「ガーン♪」」」」

 と、みんなでガーンをした。

「うぉぉぉぉん!?しまった。私としたことがこんな事あるならシフト入れるじゃなかった。ううう」

 桜はひどく落ち込んだ。

「まぁ、次の機会があれば一緒に行きましょう」

「ほ、本当!?約束だよ!!」

「ええ」

 と、何気なく私と桜に約束を取り付けるのである。

「そろそろいいかな?放課後、このメンバー4人でどこに行くか決めましょう♪」

「「「「ラジャー」」」」

「……桜さんあなたは行けないでしょ?」

「あ、うん」と、トボトボと私たちの輪に離れて食事を再開した。
 本当に大丈夫かしらね。

「2」

 ーー「野花遊園地」ーー

 休日なのかカップルや家族連れなど人だかりが出来ている。
 私たちはこの野花市が運営する野花遊園地に来ていた。
 この遊園地は特に特色もないが野花市の住民にとっては近くで気軽に遊べるから、私たちにとっては馴染みの娯楽施設である。
 そして私たちは、カーレース、釣り堀、メリーゴーランド、俳句読み(?)などいくつか施設を制覇した後、そろそろ夕方遅くになった所で最後の締めに観覧車で帰宅することを決めた。

 ーー「観覧車内」ーー

「わーー♪いい見晴らしの景色だね」

「そうね」

 私と手鞠は観覧車内から見える広大な景色に眺めていた。
 一応私たち(亜華葉除く)はあらかじめ観覧車に乗り込む取り決めしており。
 私と手鞠。
 亜華葉とあかねで相席となった。
 あかねは大軌ほどではないが一応霊能者であり、亜華葉の人差し指を阻止はできる。(その代わりに昼食は奢ると約束をしている)
 とりあえずは一安心だ。

「ねー。楓さん」

 と、私に呼びかける手鞠。

「何かしら?手鞠」

「怪異談聞きたくなってきたかな。なんかない?」

 と、私はふと考えてみる。
 そこにちょうど観覧車に関しての怪異談がひとつあったので披露してみることにした。

「あるわよ。一応怪異談観覧車ちなんだ観覧車ね」

「ははは。そのまんまだね」

「そのまんまね」

 と、私は怪異談観覧車を披露した。

「3」

 ーー「メリーゴーランド内」ーー

「ねー?こっち向いて。芳樹」

「ん?ああ」

 と、愛香は俺のスマホ片手に俺が乗ってる木馬をスクショする。
 俺の名前は高杉芳樹。28歳で会社員。
 そして俺にスクショ撮った彼女は紫乃川愛香。28歳で仕事はバスガイドをしてる。ちなみにスマホは自宅で忘れてきたらしいこと。
 俺と愛香はこの日有給とり、遊園地にデートの約束を取り付けた。何でも愛香の強い希望であり、俺もなんなく従ったままのこと。
 ちょうど8年の付き合いだからな。結婚に関してはまだ踏み切れてはないな。
 と、メリーゴーランドは止まった所でお昼にする。
 俺が昼代が持つが愛香はお腹空いてるのか遠慮なくハンバーガーをたくさん食べているのは相変わらずだな。

「ねー。次、観覧車乗らない?」

「観覧車でもなんでもいいぞ。今日1日はゆっくり遊べるからな」

「……」

「ん?どうした?」

「……なんでもないわ。これ食べたら行きましょう」

「ん、ああ」と俺は手に止めていたハンバーガーを食べ始めた。
 一瞬だけ、愛香は思い詰めていたのは気のせいだと俺は思っていた。

「4」

 ーー観覧車内ーー

 俺たちは早速、観覧車に乗り込むと、愛香は景色を眺めていた。
 しばらくすると愛香は文句を言った。

「ねー?芳樹。私とデートするときはスマホいじるのやめてよね」

「あ、あー。悪い悪いな」

 俺はつい暇な時はスマホをいじる癖がある。デート中でもスマホをいじるのをよく愛香に注意される。
 俺もこの見晴らしがいい観覧車から見える景色を眺めていた。
 施設や人も小さく見える。
 その時にふいに愛香は思い詰めて尋ねてくる。

「ねー、芳樹覚えてる?この日」

「ん?なんだもう一度言ってくれ」

「今日は何の日?」

「うーん。今日は水曜日の「そうじゃなく特別な日」えーと」

 と、特別な日だと言われても特に平日だしな。
 わからないなと答えようとする時観覧車が揺れて運行を停止する。

『お客様方に申し上げます。ただいま観覧車の運行中にシステム上エラートラブルがありました。今からシステムチェックの後、運行再開しますので今しばらくお待ち下さいますようお願いいたします』

「はぁー。ついてないな」

「……」

「ん?どうした?」

「……本当に覚えてないの?あの日のこと」

 と、俺はため息を吐く。

「あの日やこの日なんか覚えてるわけないよ。わからないから」

「ダメ!ちゃんと思い出してあの日あんな事あったじゃない」

 と、しつこくせがむので俺はイラついて。

「はぁ?だからわからないて、教えてくれよ。あんな事とかいちいち覚えてないて!」

「ちゃんと思い出して!!」

 俺と愛香は些細なことで口喧嘩になり、口論になってしまった。しばらくして長い沈黙になって気まずい雰囲気になった。

 ーーーーーー

『お待たせしました。システムチェック完了により、問題なく運行を再開します』

 長い沈黙から1時間のこと。観覧車は再度動き出して、その間は俺たちはずっと景色を眺めていた。
 そろそろ終点近くまで俺たちは降りようとしたときに愛香は、、、

「もう少しいさせて」

「は?何を、、、」

 愛香は俺の右腕に掴んで観覧車から降りるの拒もうとする。
 その時、俺は愛香を目視するとその顔が、、、

 骸骨になっていたから。

「うわあああああ!!!?」

 俺は彼女の掴む手を引き離して慌ててスタッフが扉を開けた同時に降りる。
 その時、スタッフは愛香がいるにも関わらず扉を閉めてそのまま観覧車に居残る。
 愛香は俺のことをずっと見ていてそして愛香が確認できない場所まで辿り着くとそこで記憶がふっと蘇るのだった。

 ーーそう、愛香はすでに亡くなっていることに。

 俺は思い出したのだ。
 今日は愛香にとっては特別な日。
 それは彼女の命日だったから。
 そして彼女の命日が近くなると彼女が死んだこと忘れてその日デートの約束に誘われる。
 そして、観覧車が一周しても愛香は乗ってなかった。
 俺は彼女に謝罪しながら来年も忘れずにその日は必ず伝えようと心がけた。

「5」

「ねー?楓さん。あれ見て」

 と、観覧車が頂上に辿り着いたところに地上付近に桜がいた。

「あら、バイトは終わらせたみたいですね」

 桜は手を振っているが、、、そのそば近くには……。

「……ねー。アレ見えるよね」

「ええ。バッチリと」

 そう、私と手鞠は体質なのでバッチリ見える。
 桜が手を振ってるそば近くには無数の青白いひとたちがいたから。

「桜さんには教えないでおきましょう」

 私はスマホを取り出してあかねに通話する。そこで一旦桜にわからないようお祓いしてもらい後から桜から奢ってもらうことにした。そして桜は今月のバイト代を使い果たして金欠に嘆いていた。

 観覧車  完
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