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蜂鉢怪異談∞
208話「鐘縛り男」
しおりを挟む「1」
ーー「石山県鐘技市蜂鐘町」ーー
江戸時代からあまり変わらない古い伝統ある街並み。
人通りも長く在住してる住人か観光客である。
そこにかすかにポツポツと雨が降り雨傘を差して黒い着物を着込むアルビノである彼女もこの街に訪れる。
彼女の名前は鐘技友紀。今年15になったばかり。
高校受験終えたばかりの友紀は遠縁でゆかりのある鐘技つぶ寺に向かう最中である。
鐘技つぶ寺には鐘楼堂があり、そこで1日時刻に合わせて8回も鐘を鳴らすのである。
今日もその場所付近には鐘が鳴り響いていた。
ーー「鐘技つぶ寺」ーー
「ああ、よくお越しになりました。ささ、こちらへどうぞ」
「お邪魔するべや」
鐘技つぶ寺のつぶ住職鐘山三郎の案内により寺内に友紀は入る。ここでも友紀は独特の訛り癖は健在であり、気を許すとその口調になる。
その近くで鐘楼堂があり、鐘技市が誇る鐘があった。
そこで友紀は三郎から怪異談鐘縛り男を教わる。
「2」
~♪
俺は茶菓子屋を散策しながら食べ歩きしている。
俺の名前和田吉、32歳。
この古い伝統街並みには数多くの江戸時代から続く店がある。
なので趣味として茶菓子屋を見てまわってるのである。
(ゴーン、ゴーン)。
と、ちょうど鐘が鳴り響くがその時、俺の身体中の中電流がはと走るのだ。
(う、動けない!?)
立ってられないほどビリビリと痺れるのだ。
他の通行人と俺と同じように痺れて身動きが取れなかったのだ。
(ゴーン、ゴーン)
(く、クソ動け!!)
俺は痺れる身体をなんとか身体全体動けと念じるが思うように動かなかった。
そんな時である。
(ゴーン、ゴーン)
ピタ、ピタ、ピタと足音が聞こえて来る。
俺が周囲を見渡すと後方からゆっくりと引きずる奇妙な黒服のカエル頭の男がやってくる。
(!?ッ)
俺が思わず悲鳴が上がる。そいつはあたり構わず、通行人達を大口を開けて喰らいつくすのである。
(クソ!?う、動けよ!俺の身体!?)
そいつはゆっくりと俺の方向に向き近づいてくる。
だから、俺は必死に念じたのだ。
動け!動け!動けと……。
その時に鐘が鳴り響くの止めると慌てて俺は身体が身動き取れるようになりカエル黒服男から逃れることができるようになった。
「3」
俺は帰宅するとそのまま寝室に向かいベッドに潜った、
あの出来事が起きてから、俺は食欲がなかった。
最近、頭痛が酷くなっており、あのカエル黒服男を目撃してから、頻繁に酷くなっていた。
俺は頭痛を感じながら、そのまま床についた。
ーーーーーー
しばらくあの場所に近づいてなかったがあのカエル黒服男が気になり再び訪れていた。
もしかしたらあのカエル黒服男は気のせいかもしれないし見間違いだろうと思っていたからだ。
そして今日は珍しく頭痛は全くなかったので気軽に調査をできるからな。
(ゴーン、ゴーン)
また、あの鐘が鳴り響いた。
するとまたあの鐘縛りが起きるのだ。
周辺には俺1人しかいなかった。
その時にヤツが再びやってくる。
ピタ、ピタ、ピタと引きずるような不快な足音が。
そう、見間違いじゃなく気のせいではなかったのだ。
その奇妙な気味悪いカエル黒服男が……。
俺はすごく後悔したのだ。
来るんじゃなかったと。
だがそれも後の祭りであるから、俺は身体全体痺れる中、必死に身体を動かそうとするがカエル黒服男は俺に向かいゆっくりと近づいてくる。
ピタ、ピタ、ピタとすでに目の前の先である。
(クソ!?クソ!?)
ピタ、ピタ、ピタとその時カエル黒服男は俺に近づいた同時、そのまま喰われるんだろうと思っていた……が、そのカエル黒服男は俺を無視してそのまま何もせずに通過して去っていた。
「た、助かったのか?」
その去るカエル黒服男の背中を見て俺は安堵した。
ーーーーーー
「ただいま」
俺はあの後帰宅したが汗は掻いてないが急激に疲れを感じていた。
そのまま寝室に戻り、一眠りしようと寝室のドアを開ける。
その時、なぜ俺が助かった理由がわかったのだ。
ーーその寝室のベッドに仰向けながら白眼をむいて見開きのまま倒れてる姿を見た。
そいつは俺自身だから。
そう、俺はすでにこの世の存在しないモノだったから。
「4」
カァー、カァーと沈む夕陽に向かって鳴くカラスの群れ。
友紀も自宅に戻り帰路を向かう最中だった。
(ゴーン、ゴーン)
ちょうど鐘が鳴り響いた時に1匹のカラスが身動きが取れなくなる。
友紀の周辺には通行人や観光客も誰もいなかった。
そこにピタ、ピタ、ピタと引きずる足音がする。
と、その遠くからゆっくりと近づくカエルの頭をした奇妙な黒服男が近づいてくる。
そして身動き取れないカラス1匹に近づくとそのまま大口を開いて喰らった。
ちょうど鐘の鳴る音も止んでそのカエル黒服男は消えた。
「……長居は無用ね」
ぽつりとつぶやいた友紀は足早とその現場から立ち去っていた。
鐘縛り男 完
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