[全221話完結済]彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる

野花マリオ

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空ノ蝉怪異談S【完結】

187話「ブラックバス停留所」

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 ※この怪異談はブラック社会風刺が含まれています。この作品はフィクションです。事実、事件、出来事などを正確に執筆したモノでありません。作者の個人的な解釈など含まれています。

 「1」

 ーー「石山県野花市黒丸市」ーー

 俺の名前は黒田ジョージ。
 今日もバス停留所のベンチに座り、新聞を読みながら、乗り込むバスを待つ。
 そこで俺と同じバスに待つ住人と他愛のない日常会話をする。
 しかし、彼らの認識には多少があったのだ。それはーー。

 ーーーーーー。

 よー、久しぶりだな。ブラザー。
 ははは、元気にしてたか?
 そうか、そうか。
 相変わらずおまえ新聞読んでるな。
 へ?俺は新聞取るのは辞めたぞ?
 そもそも情報はSNSやネットニュースからじゅうぶんだしな。
 まぁ、フェイクニュースやAI生成動画など問題あるけどな。
 それでも情報の速さで言えばそれがいいしな。
 最近特に新聞社もデジタル化やAI文章生成でかなり進んでるし、おまけに地方紙では少子高齢化や若者離れにより、合併や休刊などが相次いでるしな。
 最近、わざわざ外にベンチで新聞を読んでるのは、中高年かお前くらいだな。
 お?ちょうどバスが来たな。
 またな。

 と、青年は黒塗りバスに乗り込んだ後、バスは走り出した。

 「2」

 あ、こんばんわ。
 あなたも小説書いてるの?
 ふふふ、私もよ。
 最近特に本も売れなくなってるわね。
 まー、活字離れ?ていうやつかな。
 私もあまり本屋で本を買うことはなくなったわ。
 だってさ、場所とるじゃない?
 それなら、場所取らない電子書籍買った方がマシね。
 まぁ、本買わなくてもネットで検索して調べればそれなりに情報得られるし、ガセ情報などもあるけど本に書かれてる内容とほぼ変わらないわよ。
 そうそう、小説を本業してる方は一握りよ。
 わたし?わたしの場合はね、自分の書いた小説は小説投稿サイトであげてるわよ。一応アマチュアだけどそれなりに稼いでるわよ。投げ銭などとかあるからね。
 最近、小説大賞ではAI生成した小説の応募が殺到してるし、禁止の所もあるわね。
 まぁ、わたしは出版なんか考えてもいないし、趣味くらいでじゅうぶんね。
 ふふふ。ありがとう。
 じゃあ、バスが来たから。またね。

 と、彼女は黒塗りバスに乗り込んだ後、バスは走り出した。

 「3」

 初めましてこんばんはです。
 あなたも外国人ですか?
 あ、すでに帰化したのですか。
 私は帰化するか悩みますね。
 私は〇〇から来ました。
 伝統文化に興味持ちましてね。
 はい。そうですね。
 でも、日本人て危機感全くありませんよね。
 国際競争力も落ちてもあまり騒がないですね。
 少子高齢化はそうですけど、なんだか他人事にしか見えないですよね。
 私の国では家族や友人達の前でも政治の話題たまにしますし、なによりこれが当たり前だと思ってますが日本は違うのですね。
 それに、永木財閥と賢木財閥の本社海外移転に野薔薇証券の会長が説得して阻止したのを国内は話題すらないですしね。
 もっと野薔薇会長の評価を国内外大々的に取り上げてもいいのですがね。
 では、バスが来たのでこの辺で。
 え?あ、そうですか。
 このバスは乗らないようにしますね。

 と、異国の青年は黒塗りバスには乗らず、次の市営バスに乗り込んだ。

 「4」

 あー。金がないなぁ。
 やー。こんばんは。
 なんかさー。金になる仕事があるかなぁーて。
 まぁ、聞いてくれよ。
 俺、実は体質なんだよな。
 そうそう、いい職場ないかと先ほどハローワークで探してたんだよ。
 なかなか見つからないだよな。
 特に体質で正社員があるところは限られてるし、理解してる会社は少ないからな。
 中には体質を隠して働いてるやつもいるからな。
 体質は特に幽霊犯罪とかオカルト関連に巻き込まれると対応しきれない会社もあるし、ゴースト感染対策はじゅうぶんに気をつけないといけないからさ。
    まぁ、生活保護があるから、それで凌ごうかな。
 お?そろそろバスが来たな。
 わかってるよ。黒塗りのバスは乗るわけないよ。

 と、青年は次の市営バスに乗り込むと、バスは走り出した。

 「5」

 どうか?しましたか。
 ……そうですか。
 まぁ、昔も今も同じですよ。
 私はどちらかと言うと今が好きですね。
 貧しいわけでもなく贅沢でもない。
     最近便利なモノがあふれていますからね。
 それなりに暮らしてけばいいですね、私は。
 そろそろバスが来ましたね。
 はい。大丈夫ですよ。
 今日はあの日ですからね。
 では、また。

 と、着物を着た若い女性は魑魅魍魎が溢れている黒塗りバスに乗り込みどこかへ走り出して煙のように消えた。

 「6」

 俺は黒田ジョージ。
 今日もバス停留所で新聞を読んで迎えのバスを待つ。
 そして再び彼女に出会えることを待ち続けている。
 そして今日も明日も明後日も来週も来月も待ち続けてるが……こない。
 ……。
 帰ろう、グスン。

 ーー「八木家」ーー

「くしゅん!」

「おねーちゃん風邪?」

「ただのくしゃみよ」


 ブラックバス停留所   完
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