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空ノ蝉怪異談S【完結】
182話「にぃ妻」
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「1」
僕が去年籍に入れた新妻文香なんだけどね。2人いるんだよね。
そうそう、いわゆるドッペルゲンガー?ていうやつかな。
そのドッペルゲンガーが対面すると本人は死んでしまうて言われてるけど、文香の場合はもう1人の自分自身と意気投合したんだよね。
ははは、今でもお互い仕事や家事やプライベートで交代しながら上手くやっているよ。
でもねー。僕は見てしまったんだよねー。
その文香達が車のトランクにもう1人の文香の死体をね。
その文香達が言うには知らないふりをしてるのか僕に何も言わないし、その死体はどこに遺棄してるのかわからないし。もっとも死体が発見されても現に本物の文香達がいるからね。
ーー「山吹甘味処」ーー
「僕の話は以上だね」
「ありがとうございます。夜山さん」
楓はボイスレコーダーの録音を切るとあんみつを食べ始めた。
楓と虫男は楓の父親の所属する野花劇団のスタッフである夜山から怪異談を聴くことができた。
虫男は保護者の付き添いである。
「じゃあ。僕はそろそろ家に戻るよ。これは僕のおごり」
と、夜山の財布からお会計にあわせたお勘定を出して店に出た。
楓達はお礼を言って久しぶりの甘味に味わっていた。
「2」
ーー「????」ーー
ふふふははは。
あーおかしいな。
楓さん達にはまだ言ってないけどもう1人妻文香を殺したのは僕だ。
というより本体かな?
彼女はもう1人の自分に耐えきれなくてドッペルゲンガーの文香達を殺そうとして止めようとした僕は誤って殺したからね。
本体の文香は肉体をバラバラにして崩した後燃やして海に遺棄したからね。まー、見つかっても大丈夫だろ。文香達がいるからな。
ふふふ2人とも可愛がってやるからな。
「やぁ、もう1人の僕」
「!?」
僕は自宅に戻る最中にもう1人の自分自身に呼びかけられた。
大丈夫だこのもう1人の僕は殺されることはないなぜならーー。
そいつは僕を見てにぃとニヤついて笑った。
ーー「夜山家」ーー
「ただいま帰りました」
「「おかえりなさい」」
と、2人の妻文香が玄関先に見送ってくる。
あーあ。汚れてしまったな。
なぜならもう1人の僕に手こずっていたからな。
「あなた、それ洗濯しますからお風呂に入ってね」
「ええ。そうよ。すでにあなたは風呂に浸かってますから」
「ああ。そうするよ」と僕は浴室に向かい汚れた服を洗濯機に脱ぎ捨て風呂に浸かった。
ーー「風呂場」ーー
「おい。せまいよ」
「仕方ないだろ」
2人が入る浴槽は狭かった。
あの後、もう1人の僕が来なかったら、本体の僕に殺されるところだったな。これで邪魔者するモノはいないから、僕ら偽物同士は上手いことやっていけるな。
と、僕はくしゃみをしたので深く浸かろうとした。
にぃ妻 完
僕が去年籍に入れた新妻文香なんだけどね。2人いるんだよね。
そうそう、いわゆるドッペルゲンガー?ていうやつかな。
そのドッペルゲンガーが対面すると本人は死んでしまうて言われてるけど、文香の場合はもう1人の自分自身と意気投合したんだよね。
ははは、今でもお互い仕事や家事やプライベートで交代しながら上手くやっているよ。
でもねー。僕は見てしまったんだよねー。
その文香達が車のトランクにもう1人の文香の死体をね。
その文香達が言うには知らないふりをしてるのか僕に何も言わないし、その死体はどこに遺棄してるのかわからないし。もっとも死体が発見されても現に本物の文香達がいるからね。
ーー「山吹甘味処」ーー
「僕の話は以上だね」
「ありがとうございます。夜山さん」
楓はボイスレコーダーの録音を切るとあんみつを食べ始めた。
楓と虫男は楓の父親の所属する野花劇団のスタッフである夜山から怪異談を聴くことができた。
虫男は保護者の付き添いである。
「じゃあ。僕はそろそろ家に戻るよ。これは僕のおごり」
と、夜山の財布からお会計にあわせたお勘定を出して店に出た。
楓達はお礼を言って久しぶりの甘味に味わっていた。
「2」
ーー「????」ーー
ふふふははは。
あーおかしいな。
楓さん達にはまだ言ってないけどもう1人妻文香を殺したのは僕だ。
というより本体かな?
彼女はもう1人の自分に耐えきれなくてドッペルゲンガーの文香達を殺そうとして止めようとした僕は誤って殺したからね。
本体の文香は肉体をバラバラにして崩した後燃やして海に遺棄したからね。まー、見つかっても大丈夫だろ。文香達がいるからな。
ふふふ2人とも可愛がってやるからな。
「やぁ、もう1人の僕」
「!?」
僕は自宅に戻る最中にもう1人の自分自身に呼びかけられた。
大丈夫だこのもう1人の僕は殺されることはないなぜならーー。
そいつは僕を見てにぃとニヤついて笑った。
ーー「夜山家」ーー
「ただいま帰りました」
「「おかえりなさい」」
と、2人の妻文香が玄関先に見送ってくる。
あーあ。汚れてしまったな。
なぜならもう1人の僕に手こずっていたからな。
「あなた、それ洗濯しますからお風呂に入ってね」
「ええ。そうよ。すでにあなたは風呂に浸かってますから」
「ああ。そうするよ」と僕は浴室に向かい汚れた服を洗濯機に脱ぎ捨て風呂に浸かった。
ーー「風呂場」ーー
「おい。せまいよ」
「仕方ないだろ」
2人が入る浴槽は狭かった。
あの後、もう1人の僕が来なかったら、本体の僕に殺されるところだったな。これで邪魔者するモノはいないから、僕ら偽物同士は上手いことやっていけるな。
と、僕はくしゃみをしたので深く浸かろうとした。
にぃ妻 完
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