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蜂鉢怪異談∞
206話「子猫のワル通ー2 八木楓視点side」
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「1」※この怪異談は八木楓が体験した恐怖怪異談である。
ーー「10年前の八木家」ーー
いつものように土砂降りの雨が降りそそぐ。
石山県ではほとんど天候は曇りのち雨であった。
そこにポツンと昭和初期に建てられている一軒家がある。
そこに住んでいるのは江戸時代から家系が続いてる八木家である。
八木家は現在裏から石山県全体実行支配する家柄である。
その当主美月は8年一度石山県の実行支配をかけた怪異談語りを完全無敗を誇る女傑でもある。
その彼女はジメジメとした湿気にも関わらず次期当主になる長女八木楓にその術を怪異談語りを叩き込むのである。
「じゃあ、もう一度」
「あれは、そう私がーー」
まだ小学生になる我が愛しい娘であっても容赦なく厳しい指導する美月。
これは八木家に恥じないよう立派な跡取りするためである。
「ダメ!もう一度最初から」
「あれは、私がーーえと」
楓は周囲に応えようと怪異談語りや厳しい家柄のしきたりをなんなく従っている。しかし周囲は怒られることはあっても褒められる行為は一つもなかった。おまけに当時人見知りであった彼女は気軽に相談など打ち明ける親しい友人や家族はいなかったから。
「もういいわ。明日からも怪異談語りやるわよ」
「……はい。お母様」
美月から指導を解放すると、そのまま八木家の行事関する書類仕事に戻った。一方で楓はそそくさと自分の部屋に戻り引きこもっていた。
「2」
「ねー?カエデちゃん。私怪異談語り上手くなってた?……うん。そうなんだ。あのね」
楓はいつも1人のせいか、1人遊びするようになった。その1人遊びでしてるうちに架空の友人を妄想するようになり、いつも鏡の前で自分自身映る姿を親しい友人と思い込むようになっていた。
彼女自身映る姿は「カエデ」と呼んで美月から指導や習い事などない場合はいつも1人遊びをしていたからだ。
「楓。そろそろ怪異談語りをするわよ」
「はい。お母様」
この1人遊びしてる限り、彼女の精神心情は保っていた。
それは逆に言えば人見知りが強くなりカエデ以外の友人や家族も誰も打ち解けないまま進行する意味もあったのである。
「3」
ーー「美月と鮫長の寝室」ーー
夜分遅くに寝静まる晩。
美月は夫である鮫長に楓のことについて相談した。
「ねぇ。あなた楓のことなんだけど」
「ん?楓がどうかなさいましたか?」
「あの子、いつも1人遊びしてるのよ。鏡の前でつぶつぶしてるのよ」
鮫長はふと考えてみてから問いかけてみた。
「ふむ。少し楓に自由気ままにやらせた方がいいかもしれませんね。あの子は人見知りしてますが私ら共がしきたりや習い事などを厳しく強要してるせいもありますからね」
ふと、美月はふと思いつめて、楓自身の将来性を考えてみた。その当主の立場と次期当主の期待感で耐えきれなくなっているんじゃないかと、常日頃から感じていた。
「……少し考えとくわ」
この日の晩は答えを出さずにしばらく様子見をすることに美月は決めた。
その予感が楓を恐怖体験に巻き込まれるとは八木家一同誰も思わなかった。
「4」
とある日の雨曇りの晩のこと。
美月と鮫長は幼い妹瑠奈が熱を出して病院に連れて行って楓が1人でお留守番してる頃だった。
いつものように洗面台の鏡の前で1人遊びしてる時だった。
「じゃあ、次は楓ちゃんね」
「うん。わかったカエデ」
この頃、楓自身も違和感なく会話しており、カエデ自身も意思があるかのように会話する。
幼い頃の楓もその違和感なく接していたからだ。
「そろそろ。おやすみの時間だから、おやすみなさいカエデ」
と、眠くなった楓は鏡の前から出ようとすると、、、、
ガシッと腕が捕まえられてしまう。
「!?ッ」
「もう少し遊ぼうよう楓。一緒に遊ぼうよ遊ぼうよ遊ぼうよ」
鏡の中からカエデの腕が飛び出して楓の右腕をきっちり離さないのである。
「いや!?は、はなして!!やだやだやだやだ!!」
楓自身も必死に抵抗してその腕をつかむモノを外そうとするががっちりとしまり、離さない。
「ただいま。楓?まだ起きてたの?」
その時、当主美月が帰宅して楓の悲痛な叫びに気づいて、洗面台の鏡の前に向かってその光景に驚愕する。楓につかむそのモノを引き離した後、鏡を割って事なき得た。
「お母様!!」
「楓。もう心配ないわ。1人にさせてごめんね」
美月は泣き喚く楓の身体をやさしく抱きつく。この一件以来、八木家のしきたり、次期当主の教育方針を見直して伸び伸びと自由にやらせることにした。
「5」
ーー「美月と鮫長の寝室」ーー
「そうでしたか。楓に怖がらせてしまいましたね」
「やはり、無理に楓に押しつけするのもダメね」
「ははは。やっぱり楓の自由にさせましょう」
「そうね。あなた」
と、寝室にノックする音がしたので誰かなと思えばそこに楓がいた。
「どうしたの?楓」
楓はヤギの人形を抱えながら言った。
「……一緒に寝てもいいですか?お母様」
と、すでに美月に怒られそうな雰囲気で泣きそうな楓だったがその当人である美月は、、、、
「いらっしゃい楓」
楓は明るくぱーとなり、美月の隣のベッドですやすやと眠った。
その時いつも楓のそばにいる瑠奈もやってきて久しぶり家族4人一同ぐっすりと眠った。
「6」
ーー「10年後」ーー
「はっ!?つい眠ってしまったわ」
久しぶりの家事で居眠りしていた美月。
そこのこたつのある居間でぐっすりと寝るほど疲れが溜まっていたようだった。そして懐かしく夢をみていたがその記憶も薄れて忘れていたようだった。
「ただいま」と夫の鮫長と居候の梅田虫男も夕方遅く帰宅して玄関先に出迎えた美月を見て笑った。
「あらあら、美月あんた。またやられたわね」
「ん?それ、どういうこと」
「鏡みてなさい」
と、美月は洗面台の鏡の前を立つとそこに落書きされた顔があったから。そんな美月はピリッと静電気を発生してイタズラした子猫さんたちの部屋に向かった。
そんな子猫のワル通ーー。
子猫のワル通ー2八木楓視点side 完
ーー「10年前の八木家」ーー
いつものように土砂降りの雨が降りそそぐ。
石山県ではほとんど天候は曇りのち雨であった。
そこにポツンと昭和初期に建てられている一軒家がある。
そこに住んでいるのは江戸時代から家系が続いてる八木家である。
八木家は現在裏から石山県全体実行支配する家柄である。
その当主美月は8年一度石山県の実行支配をかけた怪異談語りを完全無敗を誇る女傑でもある。
その彼女はジメジメとした湿気にも関わらず次期当主になる長女八木楓にその術を怪異談語りを叩き込むのである。
「じゃあ、もう一度」
「あれは、そう私がーー」
まだ小学生になる我が愛しい娘であっても容赦なく厳しい指導する美月。
これは八木家に恥じないよう立派な跡取りするためである。
「ダメ!もう一度最初から」
「あれは、私がーーえと」
楓は周囲に応えようと怪異談語りや厳しい家柄のしきたりをなんなく従っている。しかし周囲は怒られることはあっても褒められる行為は一つもなかった。おまけに当時人見知りであった彼女は気軽に相談など打ち明ける親しい友人や家族はいなかったから。
「もういいわ。明日からも怪異談語りやるわよ」
「……はい。お母様」
美月から指導を解放すると、そのまま八木家の行事関する書類仕事に戻った。一方で楓はそそくさと自分の部屋に戻り引きこもっていた。
「2」
「ねー?カエデちゃん。私怪異談語り上手くなってた?……うん。そうなんだ。あのね」
楓はいつも1人のせいか、1人遊びするようになった。その1人遊びでしてるうちに架空の友人を妄想するようになり、いつも鏡の前で自分自身映る姿を親しい友人と思い込むようになっていた。
彼女自身映る姿は「カエデ」と呼んで美月から指導や習い事などない場合はいつも1人遊びをしていたからだ。
「楓。そろそろ怪異談語りをするわよ」
「はい。お母様」
この1人遊びしてる限り、彼女の精神心情は保っていた。
それは逆に言えば人見知りが強くなりカエデ以外の友人や家族も誰も打ち解けないまま進行する意味もあったのである。
「3」
ーー「美月と鮫長の寝室」ーー
夜分遅くに寝静まる晩。
美月は夫である鮫長に楓のことについて相談した。
「ねぇ。あなた楓のことなんだけど」
「ん?楓がどうかなさいましたか?」
「あの子、いつも1人遊びしてるのよ。鏡の前でつぶつぶしてるのよ」
鮫長はふと考えてみてから問いかけてみた。
「ふむ。少し楓に自由気ままにやらせた方がいいかもしれませんね。あの子は人見知りしてますが私ら共がしきたりや習い事などを厳しく強要してるせいもありますからね」
ふと、美月はふと思いつめて、楓自身の将来性を考えてみた。その当主の立場と次期当主の期待感で耐えきれなくなっているんじゃないかと、常日頃から感じていた。
「……少し考えとくわ」
この日の晩は答えを出さずにしばらく様子見をすることに美月は決めた。
その予感が楓を恐怖体験に巻き込まれるとは八木家一同誰も思わなかった。
「4」
とある日の雨曇りの晩のこと。
美月と鮫長は幼い妹瑠奈が熱を出して病院に連れて行って楓が1人でお留守番してる頃だった。
いつものように洗面台の鏡の前で1人遊びしてる時だった。
「じゃあ、次は楓ちゃんね」
「うん。わかったカエデ」
この頃、楓自身も違和感なく会話しており、カエデ自身も意思があるかのように会話する。
幼い頃の楓もその違和感なく接していたからだ。
「そろそろ。おやすみの時間だから、おやすみなさいカエデ」
と、眠くなった楓は鏡の前から出ようとすると、、、、
ガシッと腕が捕まえられてしまう。
「!?ッ」
「もう少し遊ぼうよう楓。一緒に遊ぼうよ遊ぼうよ遊ぼうよ」
鏡の中からカエデの腕が飛び出して楓の右腕をきっちり離さないのである。
「いや!?は、はなして!!やだやだやだやだ!!」
楓自身も必死に抵抗してその腕をつかむモノを外そうとするががっちりとしまり、離さない。
「ただいま。楓?まだ起きてたの?」
その時、当主美月が帰宅して楓の悲痛な叫びに気づいて、洗面台の鏡の前に向かってその光景に驚愕する。楓につかむそのモノを引き離した後、鏡を割って事なき得た。
「お母様!!」
「楓。もう心配ないわ。1人にさせてごめんね」
美月は泣き喚く楓の身体をやさしく抱きつく。この一件以来、八木家のしきたり、次期当主の教育方針を見直して伸び伸びと自由にやらせることにした。
「5」
ーー「美月と鮫長の寝室」ーー
「そうでしたか。楓に怖がらせてしまいましたね」
「やはり、無理に楓に押しつけするのもダメね」
「ははは。やっぱり楓の自由にさせましょう」
「そうね。あなた」
と、寝室にノックする音がしたので誰かなと思えばそこに楓がいた。
「どうしたの?楓」
楓はヤギの人形を抱えながら言った。
「……一緒に寝てもいいですか?お母様」
と、すでに美月に怒られそうな雰囲気で泣きそうな楓だったがその当人である美月は、、、、
「いらっしゃい楓」
楓は明るくぱーとなり、美月の隣のベッドですやすやと眠った。
その時いつも楓のそばにいる瑠奈もやってきて久しぶり家族4人一同ぐっすりと眠った。
「6」
ーー「10年後」ーー
「はっ!?つい眠ってしまったわ」
久しぶりの家事で居眠りしていた美月。
そこのこたつのある居間でぐっすりと寝るほど疲れが溜まっていたようだった。そして懐かしく夢をみていたがその記憶も薄れて忘れていたようだった。
「ただいま」と夫の鮫長と居候の梅田虫男も夕方遅く帰宅して玄関先に出迎えた美月を見て笑った。
「あらあら、美月あんた。またやられたわね」
「ん?それ、どういうこと」
「鏡みてなさい」
と、美月は洗面台の鏡の前を立つとそこに落書きされた顔があったから。そんな美月はピリッと静電気を発生してイタズラした子猫さんたちの部屋に向かった。
そんな子猫のワル通ーー。
子猫のワル通ー2八木楓視点side 完
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