[全221話完結済]彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる

野花マリオ

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俗ノ花怪異談X【完結】

174話「黒魂(くろだま)」

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「1」

 ーー「????」ーー

 私は自分の部屋に目を覚ますと、目の前の天井に黒い丸い塊が浮かんであった。
 その塊はゴルフボールサイズと同じくくらいあった。
 私はふと気になり右手で触れようとするとその黒い塊はバチッと静電気のような音を出して私の視界は暗転する。


 ーー「石山県野花市中木町内高樹家午前6時32分」ーー

「瑞希ーー!ごはんよーー」

 母親の目覚ましアナウンスの呼びかけにより、部屋のベッドから身体起こして軽く腕を伸ばす。
 そこで部屋の周囲をよく見渡すとあの黒い丸い塊はーー、

 バスケットボールサイズまで膨れ上がっていた。
「……………」

 私が部屋から出ようとするとその黒い塊は私のそばに常につきそい追いかけてきた。

「いただきまーす」
 私は母親が用意した朝食を食べる。
 そして私が食べてる最中でも黒い塊は頭の上にある。
 その黒い塊は別段とくに何もせずいて一緒に食事を摂る父親や母親は見えなかった。
 どうやら、私にしか見えないようだ。
 その黒い塊は少しウザかったし、追い払うにも触れようとすると透けてしまうのだった。
 一体、この黒い塊はなんなんだろうか?
 朝食終えて朝の着替えてるときもその黒い塊を終始気になっていた。

「2」

「行ってきます!」と野花高校に向かうために自転車通学する私。
 あの黒い塊も私が漕ぐスピードに合わせて常に追いかけてくる。
 振り切ろうとする気力もない私はそのまま野花高校に到着する。

 ーー「野花高校1年B組教室内」ーー

 昼食時間帯にクラスメイトの黒木あかねさんに霊視してもらうとその黒い塊の正体を教えてもらった。

「これは黒魂くろだまというモノね」

「黒魂?何それ」

「いわゆる魂のカスに蟲が群がった集合体ね。でも安心して生者に害意はないから、しばらくしたらいなくなるわよ」

「本当?」と私はそれを聞いて安堵した。

「3」

 ーー高樹家ーー

 私は黒い塊の存在を気にせずそのまま部屋でベッドで寝静まっているとビチビチと音がしたので目を覚ましてしまう。

 ーーそこに黒い塊から触手を生えたモノが私を捕えようとする。

 いやだいやだと私は必死に抵抗するが何やら身体が軽いのだ。
 ……その時私自身浮かんでいてそのベッドに眠る自身の姿も。
 私の身体はその黒い塊に吸い込まれて消失した。

「4」

「……どうですか?瑞希は」

 部屋でベッドに眠る瑞希を霊視した黒木あかねは首を左右に振ると母親は泣き崩れてしまった。
 彼女自身眠ってるが魂自身喰われていた。
 そして彼女の眠る天井には大人サイズの黒い丸い塊がビチビチと音を立てて浮かんでいた。

 黒魂(くろだま)   完

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