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俗ノ花怪異談X【完結】
173話「運命傘」
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「1」
ーー「石山県花咲市花沢町」ーー
土砂降りの豪雨。
その場にいる住人達も濡れるの避けるために傘を差して出歩く。
その住人の1人である永木桜も水玉模様の青の傘を差している。
彼女はこの近くの馴染みのゲームショップに訪れてその乙女ゲームの限定版を運良く購入した帰り道である。
彼女は戦利品の手提げ袋から降り注ぐ豪雨から濡れないよう慎重に出歩くが途中黒塗りの自動車が水たまりに通過するの見てとっさの条件反射で傘を構えるが少し遅かったようだ。
「…………」
身体中ずぶ濡れになってしまった。
そこで桜はスマホから例の合唱部の友人達の動画を再生して。
「いち」「にーの」「さんハイ!」
ガーンとリアクション取ろうとした時に再度黒塗りの自動車が水たまりが通過してモロ全身に水浸しになり、口から雨水が入り咳き込んだ。
「2」
ーー「永木屋敷邸」ーー
「お嬢様おかえりなさいませ……その前に着替えとお身体を洗い流してくださいね」
「…………」
執事長立花檸檬は桜のずぶ濡れ姿を察してタオルを差し出した。
お家柄の方針で周囲のSP警護や専用運転手はついてない。しかし永木財閥の会長孫娘であるため、遠くから要人警護は最京家が一任してるため、うかつに犯罪者からは手を出さなくなってる。それと桜自身も空手と柔道の初段黒帯を持ってるため最低限身の安全は守ることができるのだった。
桜はそのまま浴室に向かった。
ーー「大浴場」ーー
永木屋敷邸には立派な大浴場の自家温泉が湧き上がっている。
家族親族も浸かるが使用人やメイドにも開放されている。
当然ながら男湯と女湯も分けており安心して気軽に浸かることができる。
「うぃーー♪」
桜はそのままのぼせるほどゆっくり温泉に浸かった。
「3」
桜は身体を洗い流して私服のジャージに着替えると早速スマホを取り出して友人達が所属するSNSチャットを開く。
桜:うぃ。
羅奈:うぃ。
楓:こんばんわ。
桜:ばんちゃー。みんな。
少人数の親しい友人グループだがそれなり盛んであった。
桜:わたしさー。今日ゲームショップの帰り道、車に水たまり轢かれてずぶ濡れになったよ~。
楓:あら、風邪引かなかったですか?
桜:大丈夫。
羅奈:まぁ。バカは風邪引かないからねw
桜:(怒りのスタンプ画像)
楓:まぁまぁ。仕方ありませんよ。傘で防ごうにもタイミングもありますからね……。
桜はそのチャットの文面からゾクっとした鳥肌が立つ。
桜:もしかしてその傘にまつわる怪異談あるの?
楓:(おじきするスタンプ画像)
羅奈:(ゾクッとするスタンプ画像)
そこで楓からのチャット文面から直接怪異談を語られた。
「4」
土砂降りの雷雨。
景色は灰色だ。
通行人は好んでほぼ出歩かない。
俺は近くの酒屋で雨宿りしてる。
俺の名前は宮藤雷人。27歳。
休日にちょうどタバコを買いに出かけてタバコ買えた途端に土砂降りだった。
傘は持ってなく曇り日だったのが運のつきだった。
天気が晴れるまでなんとかやり過ごそうとした時に、突然黒の雨傘を差した目元が黒い妙齢の黒服女性が訪ねてきた。
「……あのぅ。もしやお困りですか?」
「お、おぅ。そうだが?この土砂降りでな」
するとその女性は俺に黒の雨傘を差し出した。
「あなたにあげます」
「え?いいのか」
俺は差し出された黒の雨傘をさした。
その女性にお礼を言おうとしたが忽然と姿を消した。
ーーーーーー。
俺は交差点の信号待ちしてると近くの道路で玉突き事故が発生した。
そしてその交差点を渡った住宅街で火事が何軒か起きていた。
そして目の前には水道管が破裂して水浸しになってしまった。
それ以外も多々トラブル続きだった。
そしてこれもすべて俺があの雨傘をさしたによるモノだった。
「……この雨傘は呪われている」
俺はこの雨傘を気味悪かったのでその場で捨てた。
誰かが拾って呪われるかも知れなかったが背に変えれなかった。
俺は全身ずぶ濡れになりながらもその場で走って帰路に向かう。
ようやく解放されるのだと安堵した途端にその場で勢いよくダンプカーに跳ねられる。
そこに走馬灯が出て身体が浮かぶ時に視界に先程の黒の雨傘をさした女性が見えた。
(……あれは、呪われる雨傘じゃなかったのか?俺の運命は決まっ……)
俺はそのまま地面に叩きつけられて意識が途絶えた。
ーーーーーーー。
「どうでしたか?彼は」
「ダメでしたね。あの傘を差していれば命は助かったのに」
「ははは。彼は運命的に命もう永くはなかったからな」
「せっかくデータは取れると思ったですが仕方ありません。次の被験者を探しましょう」
「5」
ーー「野花商店街」ーー
それは土砂降りの豪雨。
通行人もほぼ雨傘を差している。
桜はこの商店街にたまたま立ち寄った帰り道、八木楓を目撃する。
桜は楓を呼びかけようとするがちょうどそこに近くの古本屋で雨宿りする梅田虫男もいた。
楓達が楽しげに会話をするの見て桜は声をかけなくそのまま立ち去る。
その時に桜の胸に急激にズキンと感じる。
桜にとっては楓とは親しい友人のはずである。
その時の胸からくる苦しみは一体なんだろうか?と自分に問いかけた時にようやく気づくのである。
ーー彼女が本気で好きなことに……。
桜の本当の片思いの恋心はこの時から始まった。
運命傘 完
ーー「石山県花咲市花沢町」ーー
土砂降りの豪雨。
その場にいる住人達も濡れるの避けるために傘を差して出歩く。
その住人の1人である永木桜も水玉模様の青の傘を差している。
彼女はこの近くの馴染みのゲームショップに訪れてその乙女ゲームの限定版を運良く購入した帰り道である。
彼女は戦利品の手提げ袋から降り注ぐ豪雨から濡れないよう慎重に出歩くが途中黒塗りの自動車が水たまりに通過するの見てとっさの条件反射で傘を構えるが少し遅かったようだ。
「…………」
身体中ずぶ濡れになってしまった。
そこで桜はスマホから例の合唱部の友人達の動画を再生して。
「いち」「にーの」「さんハイ!」
ガーンとリアクション取ろうとした時に再度黒塗りの自動車が水たまりが通過してモロ全身に水浸しになり、口から雨水が入り咳き込んだ。
「2」
ーー「永木屋敷邸」ーー
「お嬢様おかえりなさいませ……その前に着替えとお身体を洗い流してくださいね」
「…………」
執事長立花檸檬は桜のずぶ濡れ姿を察してタオルを差し出した。
お家柄の方針で周囲のSP警護や専用運転手はついてない。しかし永木財閥の会長孫娘であるため、遠くから要人警護は最京家が一任してるため、うかつに犯罪者からは手を出さなくなってる。それと桜自身も空手と柔道の初段黒帯を持ってるため最低限身の安全は守ることができるのだった。
桜はそのまま浴室に向かった。
ーー「大浴場」ーー
永木屋敷邸には立派な大浴場の自家温泉が湧き上がっている。
家族親族も浸かるが使用人やメイドにも開放されている。
当然ながら男湯と女湯も分けており安心して気軽に浸かることができる。
「うぃーー♪」
桜はそのままのぼせるほどゆっくり温泉に浸かった。
「3」
桜は身体を洗い流して私服のジャージに着替えると早速スマホを取り出して友人達が所属するSNSチャットを開く。
桜:うぃ。
羅奈:うぃ。
楓:こんばんわ。
桜:ばんちゃー。みんな。
少人数の親しい友人グループだがそれなり盛んであった。
桜:わたしさー。今日ゲームショップの帰り道、車に水たまり轢かれてずぶ濡れになったよ~。
楓:あら、風邪引かなかったですか?
桜:大丈夫。
羅奈:まぁ。バカは風邪引かないからねw
桜:(怒りのスタンプ画像)
楓:まぁまぁ。仕方ありませんよ。傘で防ごうにもタイミングもありますからね……。
桜はそのチャットの文面からゾクっとした鳥肌が立つ。
桜:もしかしてその傘にまつわる怪異談あるの?
楓:(おじきするスタンプ画像)
羅奈:(ゾクッとするスタンプ画像)
そこで楓からのチャット文面から直接怪異談を語られた。
「4」
土砂降りの雷雨。
景色は灰色だ。
通行人は好んでほぼ出歩かない。
俺は近くの酒屋で雨宿りしてる。
俺の名前は宮藤雷人。27歳。
休日にちょうどタバコを買いに出かけてタバコ買えた途端に土砂降りだった。
傘は持ってなく曇り日だったのが運のつきだった。
天気が晴れるまでなんとかやり過ごそうとした時に、突然黒の雨傘を差した目元が黒い妙齢の黒服女性が訪ねてきた。
「……あのぅ。もしやお困りですか?」
「お、おぅ。そうだが?この土砂降りでな」
するとその女性は俺に黒の雨傘を差し出した。
「あなたにあげます」
「え?いいのか」
俺は差し出された黒の雨傘をさした。
その女性にお礼を言おうとしたが忽然と姿を消した。
ーーーーーー。
俺は交差点の信号待ちしてると近くの道路で玉突き事故が発生した。
そしてその交差点を渡った住宅街で火事が何軒か起きていた。
そして目の前には水道管が破裂して水浸しになってしまった。
それ以外も多々トラブル続きだった。
そしてこれもすべて俺があの雨傘をさしたによるモノだった。
「……この雨傘は呪われている」
俺はこの雨傘を気味悪かったのでその場で捨てた。
誰かが拾って呪われるかも知れなかったが背に変えれなかった。
俺は全身ずぶ濡れになりながらもその場で走って帰路に向かう。
ようやく解放されるのだと安堵した途端にその場で勢いよくダンプカーに跳ねられる。
そこに走馬灯が出て身体が浮かぶ時に視界に先程の黒の雨傘をさした女性が見えた。
(……あれは、呪われる雨傘じゃなかったのか?俺の運命は決まっ……)
俺はそのまま地面に叩きつけられて意識が途絶えた。
ーーーーーーー。
「どうでしたか?彼は」
「ダメでしたね。あの傘を差していれば命は助かったのに」
「ははは。彼は運命的に命もう永くはなかったからな」
「せっかくデータは取れると思ったですが仕方ありません。次の被験者を探しましょう」
「5」
ーー「野花商店街」ーー
それは土砂降りの豪雨。
通行人もほぼ雨傘を差している。
桜はこの商店街にたまたま立ち寄った帰り道、八木楓を目撃する。
桜は楓を呼びかけようとするがちょうどそこに近くの古本屋で雨宿りする梅田虫男もいた。
楓達が楽しげに会話をするの見て桜は声をかけなくそのまま立ち去る。
その時に桜の胸に急激にズキンと感じる。
桜にとっては楓とは親しい友人のはずである。
その時の胸からくる苦しみは一体なんだろうか?と自分に問いかけた時にようやく気づくのである。
ーー彼女が本気で好きなことに……。
桜の本当の片思いの恋心はこの時から始まった。
運命傘 完
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