[全221話完結済]彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる

野花マリオ

文字の大きさ
上 下
204 / 268
鐘技怪異談W❽巻【完結】

159話「嫁帰り道」

しおりを挟む
 「1」

 とある田んぼの田舎道。
     虫やカエルの鳴き声がする。
 彼女は遅い晩遅くに買い物の帰り道だった。
 明かりあまりなく、暗闇の真っ直ぐ田舎道を通過するだけだった。
 その時に田んぼの中心に人影が立っていることに目撃するがこの時彼女はカカシか何かだろうと思っていたが彼女の目を離した隙にポツポツと人影が増えていくのである。
 その数はひとつやふたつではなく数十から数百を超える数だった。彼女は怖くなり急いでこの場から離れるように帰った。
 その時以来、彼女はこの田舎道を通らず遠回りして帰宅するようになった。

「という怪異談ですよ」
 私はその怪異談を聞いてゾクと肩が身震いした。
 怪異談を語ってくれた彼女は、鐘技高校に通う〇〇さん。
 彼女もよく怪異談を語るらしい。
 まー、怪異談と言っても所詮は作りモノでしょ?と踏んでいた私だった。
「そろそろ、私夕飯の献立作らなきゃ行けないから私帰るわね」
 私は適当に会話を打ち切り帰路に向かう。
「おばさま、……帰り道気をつけてくださいね」
「あ、はいそうね」
 その言葉に一瞬だけ背筋から寒気を感じたが私は特に気にしてなかった。

 「2」

 私の名前は北長市子、42歳。
 夫と中1の娘がいる専業主婦である。
 私は買い物からの帰り道、偶然〇〇さんと会ってその場で怪異談を聞いたがその帰り道も田舎道の田んぼ道であった。
 その暗闇の田んぼ道を通過するたびにあの怪異談を思い出してしまうのだった。
 そんな時に限って現れてしまう。
「ひっ!?」
 その青白い人影が現れたから。
 しかし、よく見るとどうやらカカシのようだった。
 私は安堵したがそのカカシはマネキンのように人間とよく似せてあるから不気味に感じるのだ。
 そのカカシからまるで人の視線が感じてしまう……。
 そのカカシがゆっくりと笑ってるような気がした私は足早と帰宅する。
 そして次の日の早朝、飼い猫の散歩でここを通過するが、先程のカカシがいなくなっていた。
 田んぼ農家の人が片付けられたかどうか真偽はわからないがこの暗闇の田舎道はよくたびたびカカシが目撃するらしいと近所の中では噂になっていた。
 それを聞いた私は夜分遅くにこの帰り道は利用することはほぼなくなった。

 嫁帰り道   完
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

赤い部屋

山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。 真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。 東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。 そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。 が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。 だが、「呪い」は実在した。 「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。 凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。 そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。 「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか? 誰がこの「呪い」を生み出したのか? そして彼らはなぜ、呪われたのか? 徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。 その先にふたりが見たものは——。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...