[全221話完結済]彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる

野花マリオ

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鐘技怪異談W❽巻【完結】

164話「不思議な手蝶」

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 「1」

 肌寒い秋の暮れ。
 私は飼い犬の芝犬の散歩する。
 私の名前は荻山陽子。16歳。
 いつものように住宅街で散歩ルートを巡る。
 そんな時にふとポツンと落ちてるモノに目をかける。
 それは小さな手帳だった。
 私は散歩を中断してそれを拾う。
 ペラペラとめくるとまだ新品のようだった。
 私は注意深く周囲を見渡すと誰もいなく持ち主すら気配もなかった。
 その拾った手帳をあろうかと悪い私はネコハバすることを決めた。
 そこで私は得をしたなと鼻歌を歌っていた。

 ーーーーーーー。

 私の趣味は絵を描くことだった。
 特に蝶々がお気に入りで道端で見かけた蝶々をその場でスケッチする。
 片手間にスケッチするのでスケッチブックは尽きてしまうのだ。
 無論電子Padもあるが私はアナログ派である。
 だからちょうど手軽に描ける手帳が私が欲しいと思った所だった。
 暇さえあれば私は蝶々をデッサンしていた。

 ーー「鐘技高校2年2組」ーー

「陽子。私にも蝶々欲しい」
「いいわよ」

 私は暇さえあれば友人達に描いた蝶々を切って渡していた。
 その時に役立ていたのは手帳だった。
 結構手軽に切って渡せるから便利だったから。
 しかし結構いっぱい描いても手帳はまだ余分にページが余っていた。

 ーー「陽子の部屋」ーー

 私はいろいろ蝶々を描いたまま机の上に寝ていた。
 その時にふと、手帳を見てると私はひっと驚いてしまった。
 その手帳には不気味なゲシュタルト崩壊な蝶々が描かれていたから。
 記憶では私はその蝶々を描いた覚えはなかった。
 そしてペラペラめくると私はその手帳をすぐ閉じた。

 一瞬だが動いたのだ。

 その不気味な蝶々が……。

 私はおそるおそる手帳をとって開くとそこからブワーと手帳から蝶々が部屋中に飛び出し溢れてくる。
 飛び交う蝶々に翻弄しながら私は気を失った。

 しばらく目を覚ますと私はいつものように部屋にいた。あの溢れていた蝶々は忽然と姿を消した。
 私は思わず手帳を開くと描いたはずの手帳は全て空白のままだった。後日わかった事だが友人達に手渡した手帳の切れ端の蝶々も空白になっていた。
 私はこの手帳を不気味と感じて神木神社にお祓いしてその手帳は燃やされて供養された。
 その後、私の自宅周辺近くに不気味な蝶々が頻繁に目撃するようになった。

 不思議な手蝶   完
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