[全221話完結済]彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる

野花マリオ

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鐘技怪異談W❺巻【完結】

140話「いぶめき神社」

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「1」※この怪異談は作者が実際に夢の中で体験をもとに作られた話です。

 ーー「????」ーー

 その鳥居をくぐり参道の砂利道をずっとまっすぐ歩くと、そこに拝殿があった。
 私はその拝殿に入ると祠があり数年前に亡くなったペットのシェッドランド犬フューマがいた。
 その神社名は、いぶ……あき?

 そこで私は目を覚ました。

 ーー「鐘技高校2年3組」ーー

 放課後のチャイムなるまで私は夢を見たいぶあきが気になっていた。
「葉子」
「……」
「葉子!」
「あ、何?」
 友人の志保に呼ばれてようやく気がついた私。
「今日、部活があるからあなたも参加するでしょ?」
「あ、うん」
 用件済んだ志保は部活に向かった。
 好きな部活にも気が回らず頭の中はいぶあきの事でいっぱいだった。

 ーー「部室内」ーー

「怪異談というより、私が見た夢がそれね……」

 部室で怪異談を披露すると友紀が私に尋ねた。

「それって、いぶめき神社のことかしら?」

「そう……かも。そのいぶめき神社のことを知ってるなら教えて」

「私もうろ覚えだけど、毎年、ペットの御利益をもらうためにペットを連れて参拝するんだけどね。そして死んだペット達と再会できる交霊ができるらしいわよ」

「へぇー。死んだペット達とこうれい?できるなら、私も参拝したいな」

 と、フューマと死んだときは悲しかったがまた会えるならばとその神社に教えてもらったがどうやら石山県内にあり、意外にも鐘技駅の乗り換えで行ける距離だった。
 あと、友紀達も同行するということで来週の日曜日その場所に向かうことにした。

「2」

 ーー「いぶめき神社」ーー

 鐘技高校のグランド場にあるくらいの広さを持ち、そこそこ広い。
 毎年、ペットを連れてご利益を求めて参拝客が多く訪れる。
 そこで私たちは早速死んだペットの交霊の受付場所に向かった。

「はい。受付しました。まずこの砂利道の参道から真っ直ぐ向かい拝殿に入った後、その祠で10分間のみペット達の交霊できます。それ以上過ぎますと取り返しつかないことが起きますのでご了承ください。それと」

「なにか?」

「神社内で写真を求められる場合もありますがなるべくしたがってください」

「わかりました」

 受付終えると私たちは交霊ができる神社に向かった。


 ーーーーーーー。

 交霊できる拝殿にはたくさんの行列参拝客が多かった。
 数時間並んだ後、ようやく私たちの番が来たので拝殿に入った。


 ーー「拝殿」ーー

「フューマ!」
「ワン」
 生前の懐かしいフューマだった。
     フューマは祭壇に鎖で繋げられていた。
 今でも変わりなさそうな感じであり、まるで生きてるような感じだった。
 フューマの大好物だったソーセージをあげると喜んで平らげた。
 しかし、再会する時間は惜しかったが数分で切り上げることにした。
「もういいの?」
 友紀が言うと私はうなずいた。
 私たちが神社内に出ようとする時写真を求められる中年男性がいたので記念日なると思い快く応じた。

「3」

「この辺りで食事にしましょうか」

 昼食時間は過ぎていたが私たちはお昼にした。
 ちょうどいぶめき神社の近くにうどん屋さんがあり中に入った。

「いらっしゃいませ」

 中はこじんまりとしたカウンターテーブル席だったが、私はふと空いた席に複数写真が置かれてることに気づく。

 そこに写ってる写真には知らない男女の背後に映るモヤがあった。

 私たちはその写真をじっくり眺める暇もなく店員さんが写真を片付け出したので私たちはそれ以上追求することはなかった。
 そしてうどんを注文して食べた後はそのままお開きとなって各自帰宅した。

「4」

 1週間が過ぎた頃、私の宛に封筒が届けられた。
 中を開けると以前、いぶめき神社内で写真を求められた時の私たちの写真だったがもう一枚あった。

「え!?これ」

 それは私が当時中学生の頃と生前フューマの写真だった。
 その場所は同じ拝殿だった。
 私は思い出したのだ、以前あのいぶめき神社にフューマを連れてご利益を得ようと……。その後フューマが体調が悪くなってそのまま亡くなったことも。
 私は青ざめてしまった。
 その時ふと思ったのだ。あの時交霊で約束事を破っていたら、どうなっていたか。
 私はもう二度といぶめき神社に向かうことはなかった。

 いぶめき神社   完
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