[全221話完結済]彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる

野花マリオ

文字の大きさ
上 下
192 / 268
鐘技怪異談W❻巻【完結】

147話「迷惑メイドロード」

しおりを挟む
「1」

 ーー「野薔薇屋敷邸」ーー

「「おかえりなさいませ真理亜様」」
 屋敷メイド達数十人一同が整列してもてなす。
「……」
 しかしその屋敷の主人の娘である真理亜は不機嫌だった。
 それもそのはず彼女自身メイド全員迷惑していたからだ。
「なぁ。おまえら」
「はい。なんでしょうか?真理亜様」
 メイド長である不咲真夜が尋ねる。
「おまえらメイドはなんで水着姿なんだよ!?しかもまた無駄遣いしやがって!!」
 メイド達は全員水着姿だった。
「あら、今回はいけると思ってましたが」
「いけるわけねーだろ!?」
 メイド達一同真理亜の説教により元のメイド服に着替えさせた。
 野薔薇家では、財政の管理はメイド長である不咲真夜が一任してるがごく稀に無駄な出費しておりいつも野薔薇家の家計が赤字ギリギリまでやりくりしていたから。

 ーー「鐘技高校2年3組クラス」ーー

「おはようございます」
「……」
 友紀の挨拶に真理亜は相変わらず不機嫌だった。
「どしただべか?真理亜」
「ああ。見てわかるだろ?」
「ああ。たしかに……」
 友紀の指摘する通りに彼女達がいた。
 そう、メイド達が付き添いしてるのはまだ目は瞑っていた。
 しかし、実際メイド達に迷惑していた。
「お前らなんで選挙活動してるんだよ!?」
 彼女達はメイドの選挙活動していた。クラスのみんなはこの状況に困惑気味であった。
「おい。友紀も実際に投票しないでいいからな?」
 真面目な友紀はちゃっかりとメイド選挙に1票を投じていた。
 この後騒ぎが大きくなった真理亜は生活指導言い渡されて彼女自身は納得出来なかった。
 そんな真理亜は部活動の怪異談を語る場で迷惑メイドに関する怪異談を一つ披露することになった。

「2」

 俺の名前は樹来誠、35歳。
 晩遅くまで居酒屋で飲み食いしたタクシー代をケチってその帰り道だったが……。
 道に迷ってしまった。
 スマホは途中電源が切れてしまって使えない。
 俺は酔っ払って道順に間違ってしまったのだろうか?
 現在いる場所はわからないが住宅街道であることわかるのだが……。
 と、そんな時にメイド服を着た女性が見かけたので声をかけてみた。

「すみません。あのここはどこなんですか?」

 するとそのメイドは答えた。

「ここはメイドロードですよ」

「は?」と思わず首を傾げたが、相手が何者だろうと場所がどうでもよかった。

「えと、近くに鐘技駅あります?」

 俺は鐘技駅の近く居酒屋で飲んでいたからわかる。
 ちょうど駅前の近くタクシーがあるから拾うと思った。
 するとメイドの女は道順を指して教えた。

「ここからまっすぐに行けば着きますよ」

「そうか、ありがとう。じゃあ俺はこの辺で」

 俺はメイドの女に教えた通り向かった。

 ーーーーーー。

「あれ?行き止まり!?」

 先程、メイドの女が教えてもらった道順は行き止まりで海岸まで来ていた。

「あのアマ!!適当に教えやがって!!」

 俺はさらにイラついていた。
 と、ちょうどメイド服の着た先程違う妙齢のマダムに見かけたので尋ねることに迷っていたが背に腹を変えれないと思い教えてもらった。

「この道順へ行けば着きますよ」

 その通りに道順に向かったがなぜかたどり着けなかった。
 俺はひょっとして揶揄われているだろうか?
 そこでもメイド服を着た別の女性を見かけたが無視してメイド以外を探し回った。
 しかし、それらしい通行人も見かけないまま眠気が来て俺はそのままゆっくりと眠りについた。

「3」

「……さん。……さん」

 誰かが呼びかける男の声がしたので目を覚ます。

「……ぅお?おまえ誰だ?」

「誰だじゃないわよ。こんなところに寝てたら風邪引くわよ」

 そいつはメイド服を着た男の娘だった。
 周囲を見渡すと明るかったのでどうやら俺はそのまま朝まで寝過ごしていたようだ。

「なー?この辺りにバス停かタクシーないか?」

 するとメイド野郎は言った。

「あるわよ。この道順を示せば……」

「いやまて!?その道順だと……ついて行ってもいいか?」

 俺はふと思った。
 確実に行ける方法はこいつについてけばいいと思ったから。
 するとあっさりと承諾を得た。

「いいわよ。ちょうど私もタクシーを利用するからね」

 俺はメイド野郎に道案内をしてもらった。

「4」

「おい!?まだかよ」

「えーと。たしかこの辺り……」

 メイド野郎にあれこれ数時間も経過して道案内していたが事があろうことにこいつも道に迷っていた。

「あ、間違えた。えへへ」

 俺はそれを聞いて堪忍袋が切れてそのまま俺は独自で調べて向かう。
 メイド野郎は何か言っていたが俺は無視して去った。


 ちょうど、明るい昼間ということもあり、一軒家を訪ねまわっていたが全部留守だった。
 それどころか、車も一台走ってる所はなかったがようやく念願の目当てであるタクシーが見かけたので手を挙げた。

 しかし、タクシーはすでに乗客がいたのか無視して走り出す。

 その時、俺は後悔したのだ。

 乗客に先程のメイド野郎が乗り込んでいたから。

 俺は途方に暮れた。

 あの時何が何でも信じていればよかったのだ。

 次こそは俺はメイドがなんでも信じようと思った。

「5」

 彼はその後、メイドに教えてもらった念願のタクシーにようやく乗り込むことができた。
 しかし、彼はまだ気づいてはなかった。タクシーの運転手もメイドであることを。
 そして出会った先のメイド全員骸骨姿であることに。
 そして彼が乗り込んだタクシーの行先は未だに知らず。

 ーー「野薔薇屋敷邸」ーー

「ただいま?」

 真理亜が屋敷に帰宅するとメイド全員は見かけなかった。
 しかも屋敷邸の中は真っ暗であった。
 そこに屋敷の洋室で明かりをつけるとメイド全員骸骨姿だった。

 真理亜はそこで悲痛な叫び声をした。
 そこでメイド長真夜が現れて昔のテレビバラエティによくある「ドッキリ大成功」と看板を持ちメイド全員ハイタッチする。
 この時真理亜はさらに不機嫌なったが真夜が作るイカチャーハンでご機嫌を直した。

 迷惑メイドロード   完
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

赤い部屋

山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。 真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。 東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。 そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。 が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。 だが、「呪い」は実在した。 「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。 凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。 そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。 「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか? 誰がこの「呪い」を生み出したのか? そして彼らはなぜ、呪われたのか? 徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。 その先にふたりが見たものは——。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...