[全221話完結済]彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる

野花マリオ

文字の大きさ
上 下
111 / 268
野花怪異談N⑦巻【完結】

72話「黒子美人」

しおりを挟む
「1」

 ーー「八木家」ーー

 八木楓はすごく気にしていた。
 いつも白粉を身につけるときに目につく顔の右目尻にある黒子である。
 いや、素肌もアレがついてるが小さな黒子でも楓はすごく気にしていたから。
 と、突如楓の部屋に妹瑠奈が入ってくる。
「おねーちゃん、ここの数学分からなくて……あ」
「……」
「ごめん……」
「出てって!!」と楓はすごい剣幕により、妹瑠奈は一旦引き戸を閉めて部屋の外に出た。
 見られてしまった。
 それも知られたくない妹に。
 両親以外素肌を見せてないアレも……。
 楓は憤りを見せていたが一旦冷静になる。
 アレはいつかバレるのは時間の問題だった。
 しかしながら勝手に部屋に入り、無断で乙女の素肌を見られたのはいただけなかった。
 この場の怒りをどこにぶつけようか?と思索を巡らせていた。
 そこで素肌のアレを白粉で隠した後、瑠奈を部屋まで呼び寄せた。

 ーーーーーーー。

 楓の部屋で瑠奈の勉強を見ていた。
 しかし、気まずい雰囲気が流れる中、瑠奈はあまり集中できなかった。
 なぜなら2時間も罰として正座させられて足のつま先の感覚がなかった。
 そんな時、見逃さなかった楓は瑠奈の足先にチョンと指先を立てると頭の中にはと走る電流が流れてくる。
 それもお構いなく足先を攻め続ける。
「ちょ!?や、やめて~」
 もはや勉強どころではなかった。
 そして楓も足先が痺れだして瑠奈もお返しに攻め続けてちょっとしたレスリングにへと発展した。
 そこで気まずい雰囲気だった場は和み、元のよい仲のいい姉妹への関係に戻れたから。

 ーーーーーー。

 彼女達は一旦激しい運動して軽く息を整えた後、楓は事情を説明した。

「私が白粉肌を身につけるのはアレがあるけど他にもあるの」

「他にも?」

「この黒子ね。少し目立っていて……」

 その時、瑠奈はキョトンと首を傾げていた。

「そんなに気にするかな?私、おねーちゃんに黒子と言われるまで全然気がつかなかったよ」

「そう……」

「それに、黒子あっても可愛いよ。私なんて腕に黒子あるからね。でも黒子なんかで言われたことないしさ」

「そうかもね」

 言われてみれば幼い頃から黒子のことで他の人達から指摘はなかった。それどころか、可愛いと親しみ込めて呼ばれるのが唯一の救いであったから。

「そういえば。私、黒子に関する怪異談あるわよ」

「あら、聞かせてちょうだい♪」

 と、瑠奈の語る怪異談に耳を傾ける楓だった。

「2」

「やだ~黒子ついてる」

 私の名前は時川麗子、15歳。
 自分の部屋に手鏡で自分の顔元を確認すると、少し大きくなった左目尻の下の黒子だった。
 一応爪で摘んで取ろうかと思ったが後々痕が残ると思い泣く泣く諦めてそのままにした。
 次の日登校するときは大きなマスクをつけるよう決めた。

 ーー「野原高校1年2組」ーー

「おはよう」
「おはよう麗子は風邪?」
「まぁね……ゲフンゲフン」

 私が登校する間は仮病の扱いするがここで出会いたくない奴と遭遇する。

「あら、あなた登校してる間に風邪なんかしてませんでしたわよ?」

「ギク」と思わず否定しようとする。
 彼女の名前は城金佐知子。
 お嬢様であり家来を引き連れて鼻をつく彼女である。
 いつも私を目の敵にするのだ。
 と、佐知子は家来を使って私の身体を身動き取れなくする。

「ちょっと!?離して!!」
「どうせニキビでもついたのでしょう。そのブサイクな顔に潰してあげますわ」

 す、するどい。
 しかし、解せぬ。私は断じてブサイクではない取り消せ。
 そして家来から私のマスクが取り外されてしまう。
 それを見たクラスメイトは黙ってしまった。
 終わったと思った。
 頭の中は不登校の3文字がよぎった。
 笑いたければ笑うがよいと思っていたが実態は違っていた。
「まぁ、なんて素敵な黒子かしら」
「え?え?え?」
 佐知子は私を見て恍惚な表情を浮かぶ。
 それどころかクラスメイト達も私の黒子を見て褒め称えるのだった。
 私の人生の中でモテ期が到来した瞬間だった。

 ーー「次の日」ーー

「おはようございますみんな」

 私が登校するとみんなは私のことを女王様のように扱う。
 そんな佐知子は私の充実な配下だった。
 そして黒子は忘れずにケアするが日にちが経つごとにだんだんと大きくなっていたのはキノセイではなかったから……。

 ーー「数週間後」ーー

「おはようみんな」

 みんな私の黒子を見てドン引きする。
 そう、黒子は1メートルあろうかまで太くなっていたから。
 そしてかなり重たくなっていたが途中からブチと千切れてしまい大量の血が出ていた。
 どうやら、黒子ではなくダニかなんかであった。
 どうりでたびたび立ちくらみするのかと思った。
 その後、私は救急車に運ばれて一命取り留めたが傷痕ついた私は不登校になった。


 ーー「????」ーー

 一カ月間、私はひきこもりなった。
 しかし、黒子が失っても毎日、佐知子達が心配して家に訪ねてくるが面会拒否していた。
 それでも彼女達は私のことを心配してくれるから、一度登校しようかなと思った。
 こんな姿だけど……。

 ーー「当日」ーー

 登校する間はみんなは私のことを注目してくれる。
 そこに佐知子がいたので呼びかける。

「佐知子」

 すると彼女は私を見て微笑んで気絶した。
 そう、私の全身体は無数の目が開かれていたから。

 ーーーーー

「ねー?この怪異談のモデルてっさー誰かしら?」

「ふぇ!?え、えーと。その」

 どうやら楓の黒子を気にしてるのは家族にとっては周知だったと楓によるくすぐりの制裁により発覚した。そんなおしゃべり好きな犯人の元に向かう。

「あら?どうしたの楓?ちょ!?や、やめて~!!」

 その犯人はちょうど足を痺れていたので執拗に攻めていく。そこに反撃として向かいお互い彼女達の悲鳴が上がった。そこで楓も黒子に関してはどうでも良くなっていた。


 ーー「野花高校3年B組クラス」ーー

「おはようございます」

 楓は次の日、白粉肌を身につけるときに黒子を曝け出すようになった。その時に後輩の女子からモテ期の到来時に黒子がムシでないか充分鏡の中で確認していた。

 黒子美人  完
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

赤い部屋

山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。 真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。 東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。 そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。 が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。 だが、「呪い」は実在した。 「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。 凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。 そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。 「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか? 誰がこの「呪い」を生み出したのか? そして彼らはなぜ、呪われたのか? 徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。 その先にふたりが見たものは——。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...