[全221話完結済]彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる

野花マリオ

文字の大きさ
上 下
107 / 268
野花怪異談N⑥巻【完結】

68話「レアチーズケーキ」

しおりを挟む
「1」

 ーー「野花商店街」ーー

 ポツポツと人だかりができる商店街。
 肌寒くなった一月の冬は白い吐息が出るほど寒い季節である。
 ちょうど私、榊原羅奈と八木楓の妹瑠奈は親友八木楓の17歳の誕生日祝いにケーキをお買い求めるのだった。
「この辺りに美味しいケーキ屋さんがあるって聞いたけど?」
「たぶんあれだよ!」
 丁度、目の前に美味しいケーキ屋があったので入る。


 ーー「上島ケーキショップ店」ーー

「いらっしゃいませ」

 店はこぢんまりとして少し狭いがそれなりにいろんなケーキが売られていた。
 そうそう。一応お店の人にアレを尋ねないと……。

「あの?友人の誕生日祝いにケーキを買いたいのですが友人牛乳はダメで……」
「はい。当店では牛のミルクの代わりにヤギのミルクを使用してますのでご安心ください」
「うはぁ。どれも美味しそう」
 なるほど。
 それなら安心した私はいろんなケーキを見て回るがそこに目の張るケーキがあったのでずいぶん洒落たケーキだったのでそれにした。
「この石山名物レア地図ケーキください」
「はい。わかりました。少々お待ちください」
 店員さんがそのケーキを取り出して箱詰めする。
 そしてケーキ代を私と瑠奈が出してお会計を済ませた後、八木家に向かった。

 ーー八木家ーー

「ただいま。買ってきたわよ」
 私が帰宅すると楓が迎えてくる。当然小さい愛犬雅も忘れない。
「おかえりなさい。高かったでしょ?」
「いやぁ。まぁ、それなりだから大したことないよ」
「そうよ。半分は私が出したからね!お姉ちゃん」
「はいはい。ちょうど夕飯できたから、一緒に食べましょう」
「うんお構いなく」
 私と瑠奈は手を洗って席についた。

「2」

「ハッピーバスデー♪トゥーユー♫」
 真っ暗なロウソクを灯す明かりの中で私たち3人だけの誕生日会をやった。
 他の友人達や両親は受験や時間が都合とれず外部は私のみ。
 それでも楽しんでやれた。
「17歳お誕生日おめでとう楓」
「お姉ちゃんおめでとう」
「ありがとう。みんな」
 楓はロウソクの明かりを消して私は部屋の電気の明かりをつけた。
 そこで私たち3人はレア地図ケーキを切り分ける。
「お姉ちゃん。私久しぶり怪異談聴きたいな」
「そうね。ここんとこゴタゴタだったから披露しましょうか?誰から行く?」
「はいはーい。私いいのあるわよ。ちょうどレア地図ケーキにちなんだ怪異談ね」
「ふふふ。聴かせてくれるかしら?」
「うん。あれはそうーー」
 私は怪異談を披露した。

「3」

 とある商店街で壮年夫婦がやっているレアチーズケーキ屋さんがあった。
 その壮年夫婦が作るレアチーズケーキはSNS上で広まってたちまち人気行列店となった。
 そんな店に悲惨な殺人事件が起きた。
 夜分遅くに空き巣が入り、そのバッタリと遭遇した壮年夫婦はその場で殺害されたのだ。
 殺害現場は厨房であり鮮血が飛ぶほどの刺殺事件だった。
 犯人はすぐ捕まったが次の日、留置所を見回りきた警察官が犯人が非業な死を遂げて亡くなってるのを発見する。
 その亡くなった犯人の身体には地図のようなモノが身体に刻まれており、その指してる地図箇所は殺された壮年夫婦のレアチーズケーキ屋の住所が刻まれていたから。


「という怪異談だけど」
 みんなはだんまりしていたが瑠奈ちゃんが口を開いた。
「ひどいよ!」
「え?そんなにひどかった?」
「私、もうチーズケーキ食べられないじゃない。ううう」
「なんだそんなことか」
「瑠奈が食べないなら、私たちが食べましょうか?」
「ううう。食べる」
「はいはい。じゃあ次は私ね」
 小さな誕生日会だったけど、それなりに私たち3人は咲かせた。

 レアチーズケーキ   完
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

赤い部屋

山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。 真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。 東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。 そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。 が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。 だが、「呪い」は実在した。 「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。 凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。 そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。 「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか? 誰がこの「呪い」を生み出したのか? そして彼らはなぜ、呪われたのか? 徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。 その先にふたりが見たものは——。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...