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野花怪異談N⑤巻【完結】
61話「草映画館2」
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「1」
ーー「石山県草山市硝子町」ーー
草が生えること有名なった草山市。
しかし、草山市が草ブランド反対した唯一の町がここ硝子町である。
この町は古くから硝子産業が盛んであり住人達もガラスのように繊細な心の持ち主である。
そんな場所に楓達もやってきた。
メンバーは八木楓、夢見亜華葉、星田星夏、永木桜、榊原羅奈、穴本八枝の6名である。
彼女達は繊細な住人達に充分注意しながら町で売られている硝子細工を見ていた。
そんな時にパリーンと割れる音がしたので何事かと人だかりが出来ている場所へ向かった。
「おまえさん売る物なんてない!!帰れ帰れ!」
「すみませんほんとすみません」
そこにいたのは草芸人である草壁草吉だがとある事情により、改名しており現在は石壁吉太と名乗っていた。
「どうかされましたか?吉太さん」
そんな事情を知ってる星夏は複雑な状況であった。
「ははは見苦しいところを見せちゃったな」
吉太は苦笑いしていた。
そんな不穏な空気をしていた場を楓が取り繕って事態を収拾させた。
そこで場所を変えて吉太を連れて話を聞いた。
ーー「山田甘味処」ーー
「どうしてみなさんは草……吉太さんを嫌ってるのですか?」
「はは。まー。以前く、映画に出演した時かな。この町は以前からく、……さのアレのせいでな。みんな傷ついているみたいなんだな」
と、吉太はお茶を一口飲んだ。
「そうですか。それで草……芸人を辞めたらしいですけど。それが理由ですか?」
と、楓と八枝は白玉ぜんざいを食べるが吉太の奢りということで3杯も食べていた。
「それが、吉太さんは草の言い過ぎでどうも草に呪われたらしいですの草だけにね」
と、星夏は草サイダーを一気飲みしてゲップするの我慢してる。
「……それ、よろしければ詳しく聞かせてもらいませんか?」
ピカと楓の両目が紅く光ったの見て桜や亜華葉も「もう一回やってみて」とねだる彼女達。
「ああ。俺でよければー」
と、吉太はその草を辞めた経緯を語りだした。
「2」
ーー「石壁の自宅」ーー
かつて草セリフに栄光を極めたお笑い芸人コンビ草はよしなも現在は解散して吉太の相方草奈を改めて奈緒と入籍して変わらず新婚生活を送っていたのである。そこでそこそこ30年のローンを組んだ一軒家を買うこと出来て住むことができたのだ。
「吉~洗濯モノを取り込んで~」
と、キッチンルームで焼飯を炒めて手を離させない奈緒はトイレ清掃してる吉太に頼む。
「おー。今から取り込むぞー」
便器を雑巾で磨いていた吉太は一旦中断して手をよく洗い洗濯機にある洗濯物を取り込みに向かう。
その時に吉太は居間で流れるシニアアイドルグループ草図金の草石鹸の草メロディを口ずさむ。
「くさ~だけに草石鹸と~♪」
と、口ずさんだ同時に「よしな!」と奈緒が叫ぶと同時に吉太の足元に画鋲が撒かれてうっかり足裏にグサっと踏みそうになった。
「大丈夫?吉太」
炒め物中断した妻奈緒の心配に吉太は何事も平静を装った。
「大丈夫だよ。草セリフ「よしな!」うぉっわ!?」
吉太の草セリフと同時に庭の窓ガラスがパリンと割れた。
「はぁー。大丈夫かしら」
奈緒の気苦労は絶えなかった。
吉太は草セリフの言い過ぎにより草だけにグサッという呪い案件が出てきたのだ。どうも夢山病院の担当医者によると草セリフを言わなければ大丈夫だろうと答えたので吉太は結婚した同時期に芸人コンビを解散したのだった。
「これを片付けたらお昼にしましょ」
奈緒の発言に頷いた吉太は割れたガラスの破片をちりとりでまとめて掃除した。
「3」
『俺のクッサマシンガンをぶち込んでやる』
テレビでクサウッドの草西部劇を悔いるように観る吉太。
その主演俳優が草マシンガンでやられそうになるとき草防弾チョキで防いでるの観て感心する。
「吉太。そろそろ焼飯食べてよ」
早く洗い物を済ませたい奈緒が苦言を言うと吉太は残りの焼飯を平らげる。
そこで彼らお昼を済ますと仕事先の地元のイシヤマテレビ局に向かう。
彼らはお笑い芸人引退した間でもタレントとして活動してそれなりにレギュラー数本持っていたのだ。
そんな草セリフ言わない彼らはバラエティの引っ張りだこであった。
そして時間に遅れないように奈緒が運転する軽自家用車に乗り込み目的地に向かった。
「4」
ーー「とあるバラエティスタジオ」ーー
ここでは大多数のタレント、俳優や若手芸人、動画配信者が参加してしゃべり合う番組である。
そこにタレント枠として吉太と奈緒が参加している。
「そういえば吉太さんは草セリフを辞めたみたいですが私生活はどうでしょうか?」
と、空気を読めない司会者に対して吉太は、
「もちろん、そのセリフを言わないように心掛けてます」
と、差し当たりのない回答をした。
ーー「吉太達の楽屋」ーー
「あああ!!あのクソ司会者ぜったいわざとよ。私たちがどんな境遇でいるの知らずに!!」
奈緒はイラついていた。
草セリフを辞めた吉太達だったがその人気をあやかりイジリというものをかけることで視聴率を上げていたからだ。
「そんなに気にすることじゃあねーよ」
と、孫の手で背中を掻いている吉太はなんでもないかのように平静を装っている。
もっとも元芸人なので新人イジリもよくあることなのでそれのおかげで注目してくれることだからありがたいことだった。
「吉太は甘いのよ。私たちがどれだけこのセリフに悩まされていたことか」
「はは。べつにたかが草セリフだろ?草大したことないて」
「よしな!」
と、吉太は寸前の所で楽屋にある尖った鉛筆からすかさず避けてしまう。
吉太は油断するとつい草セリフを喋るから奈緒にとっては悩みのタネであった。
と、しばらくすると楽屋からノックするので「どうぞ」と奈緒の一言で入らせた。
「失礼します。お二方のスケジュール調整の確認に参りました」
楽屋に入ってきたのはマネージャーの黒石だった。
彼女はそれなりに出てるところは出てるので胸ばかり見る吉太はなるべく視線をそらすが気になって見てしまうが奈緒におしおきされたくないのであさっての方向を見る。
「黒石、本日の出演スケジュールはどんな感じ?」
と、黒石は手帳を取り出して確認する。
「奈緒さんは本日の出演はもうありません。吉太さんは一本CM撮影がありますね」
「わかったわ。じゃあ私先に帰るから、終わったらチャットに入れといてね吉」
「ああ」
と、奈緒は先に帰宅して吉太はCM撮影の現場に向かった。
「5」
ーー「CMスタジオ」ーー
「あー。吉太さん。まずこの草納豆を食べて決めセリフ言っちゃてください」
「わかりました」
CM監督の指示の下撮影に入った。
そこで吉太はこの草納豆の蓋を開ける時、思わずあのセリフを言ってしまう。
「あー。なんだろうなクサ!あ、しまっ!?」
吉太は来るはずのグサ案件から身体を身を屈めて守ろうとするがいつまで経ってもグサリ案件がこなかった。
「カット!もー、吉太さんこの草納豆はクサイのしようがないから我慢してくださいね」
CM監督の忠告に耳を入らない吉太はどこかうわの空だった。
ーーーーーー
「どうしてなんだろうか?」
CM撮影終了後、吉太はまだ草セリフ案件のことで頭がいっぱいだった。
「お憑かれ様です」
「おう。お憑かれ様」
元後輩芸人達とバッタリ遭遇するときに1人の後輩芸人が吉太にからかってきた。
「吉太さん。弁当についてる緑の食べられない物てなんでしたけ?」
「それは草……あ!」
思わず草セリフを言ってしまったがやはりグサリ案件は来なかった。それを見た後輩芸人達はたじろぐ。
そして吉太が草セリフを連発して後輩芸人達が何度も何度もたじろぎ「もうええよ!」と1人の後輩芸人がキレるまでやっていた。
「6」
「もしかして吉太さんは草セリフは大丈夫かもしれませんね」
「……となると奈緒か」
吉太と後輩芸人達は自販機で飲み物買って一息ついた。
吉太には自分自身にある草セリフが問題ないことは安堵したが新たに気かがりなのは奈緒の事だった。
もし、彼女が草セリフでグサリ案件が起きるなら身の危険が及ぶ可能性があったので解決したかった。
そしてその頭の中で思考巡り合わせると一つのキーワードが思いついた。
「そうか!アレだな」
アレがわかると早速吉太はチャットで奈緒とグサリ案件対策を乗り出すのだった。
ーー「車内」ーー
吉太は奈緒の車の迎えを呼び出して車に乗り込んだ。
「あのさ、奈緒大事な話があるんだ」
「あら、私もよ」
「え?奈緒が……珍しいな。ま、いいや帰宅してからでもいいからまずおまえからな」
「ふふふ」
吉太達が帰宅するとその場で話し合いをした。
「え?できたてまさか!?」
「うん。1ヶ月だって」
すると吉太はテンションが舞い上がる。
「そうなんだ。かーー!!で、男なのか?それとも女の子か?よし今から両親に報告しようぜ。それからそれから」
その急ハイテンションについていけない奈緒は思わずあのセリフを言ってしまう。
「もーよしなって」
すると、キッチンから突然戸棚から包丁一本が飛び出して吉太の胸にひと突きで突き刺さる。
あっけなく倒れる吉太に対して呆然とする奈緒。
少し経った後、事態に気づき悲鳴をあげる奈緒。
彼はぴくりとも動かなかった。
しばらく彼女は泣いた。
そして彼女は彼の胸に抱きついて泣き喚くと彼はピクンと動きひょっこりと起き上がる。
死んだはずの彼が無事でいられたの服の下で着込んだ草防弾チョッキのおかげだった。
奈緒は吉太の無事であるとわかるとお互い抱きしめた。
草映画館2 終
「はい。OKでーす」
「ふぇーい。暑いな」
撮影終了した同時に出演者である草吉達も一息つく。
「お憑かれ様。あなた」
そこに女優である黒石が現れて草吉のためにスポーツドリンクとタオルを用意する。
その光景を目の当たりにする草奈は恨めしそうに見ていた。
そして草吉は草防弾チョッキを外して上半身裸のままタオルを拭いて草奈はそのまま現場を後にした。
「7」
ーー「草奈のアパート自室」ーー
草奈の住む自室は草はよしなの関連グッズに溢れていた。
そして草吉に見立てた人形を抱きしめてつぶつぶとつぶやく。
草奈は草吉となんならかの片思いをしていた。
そして彼女は彼によって選ばれるのだと自負していたが選ばれたのは別の女性だった。
その時に彼女の精神はどこまでも病んでいった。
ーー「天獄ギャハハスタジオ」ーー
「では、笑うまで帰さない天国か地獄どうぞ」
「どうぞ♪」
久しぶりの草はよしなの芸人コンビの出演が舞い込んできた。
そんな時草吉と草奈もチカラを込めてコントを開始する。
「草モデルはよしな」
このコントは草奈がカメラマンで草吉がモデルになる。そこでいくつか草吉が草セリフをするのだが観客は笑うどころかどよめきがわきおこる。
そこでスタッフは撮影を中断してディレクターが草吉達に向かう。
「ちょっと!?そんな草頭生やしたら笑えないよ!!」
「草頭?」
草吉の頭の髪の毛はボーボーと天井まで生やしていた。
「あなた大丈夫?」
そんな心配かけにきた黒石を見た観客達は悲鳴があがる。
「うっ黒石……おまえ」
「?」
黒石の顔面がしわくちゃのヨボヨボのおばあさんになっていた。
「8」
「それで黒石とはそのまま離婚になったんだがな」
「まぁ、お気の毒に」
と、途中スマホの着信が鳴り吉太は退席する。
その時羅奈があることに気づく。
「ねー。もしかして彼女……」
「証拠は何もないからね。女は怖いわね」
と、楓は食後のコーヒーを一口含んだ。
ーー「????」ーー
「もえもえクサクサ」
草奈と似た人物がとある一軒家の庭先でキズで引っ掻いたとある女性の写真のアルバムを燃やしていた。勢いよく燃える写真に彼女の表情は恍惚していて満足気だった。
草映画館2 完
ーー「石山県草山市硝子町」ーー
草が生えること有名なった草山市。
しかし、草山市が草ブランド反対した唯一の町がここ硝子町である。
この町は古くから硝子産業が盛んであり住人達もガラスのように繊細な心の持ち主である。
そんな場所に楓達もやってきた。
メンバーは八木楓、夢見亜華葉、星田星夏、永木桜、榊原羅奈、穴本八枝の6名である。
彼女達は繊細な住人達に充分注意しながら町で売られている硝子細工を見ていた。
そんな時にパリーンと割れる音がしたので何事かと人だかりが出来ている場所へ向かった。
「おまえさん売る物なんてない!!帰れ帰れ!」
「すみませんほんとすみません」
そこにいたのは草芸人である草壁草吉だがとある事情により、改名しており現在は石壁吉太と名乗っていた。
「どうかされましたか?吉太さん」
そんな事情を知ってる星夏は複雑な状況であった。
「ははは見苦しいところを見せちゃったな」
吉太は苦笑いしていた。
そんな不穏な空気をしていた場を楓が取り繕って事態を収拾させた。
そこで場所を変えて吉太を連れて話を聞いた。
ーー「山田甘味処」ーー
「どうしてみなさんは草……吉太さんを嫌ってるのですか?」
「はは。まー。以前く、映画に出演した時かな。この町は以前からく、……さのアレのせいでな。みんな傷ついているみたいなんだな」
と、吉太はお茶を一口飲んだ。
「そうですか。それで草……芸人を辞めたらしいですけど。それが理由ですか?」
と、楓と八枝は白玉ぜんざいを食べるが吉太の奢りということで3杯も食べていた。
「それが、吉太さんは草の言い過ぎでどうも草に呪われたらしいですの草だけにね」
と、星夏は草サイダーを一気飲みしてゲップするの我慢してる。
「……それ、よろしければ詳しく聞かせてもらいませんか?」
ピカと楓の両目が紅く光ったの見て桜や亜華葉も「もう一回やってみて」とねだる彼女達。
「ああ。俺でよければー」
と、吉太はその草を辞めた経緯を語りだした。
「2」
ーー「石壁の自宅」ーー
かつて草セリフに栄光を極めたお笑い芸人コンビ草はよしなも現在は解散して吉太の相方草奈を改めて奈緒と入籍して変わらず新婚生活を送っていたのである。そこでそこそこ30年のローンを組んだ一軒家を買うこと出来て住むことができたのだ。
「吉~洗濯モノを取り込んで~」
と、キッチンルームで焼飯を炒めて手を離させない奈緒はトイレ清掃してる吉太に頼む。
「おー。今から取り込むぞー」
便器を雑巾で磨いていた吉太は一旦中断して手をよく洗い洗濯機にある洗濯物を取り込みに向かう。
その時に吉太は居間で流れるシニアアイドルグループ草図金の草石鹸の草メロディを口ずさむ。
「くさ~だけに草石鹸と~♪」
と、口ずさんだ同時に「よしな!」と奈緒が叫ぶと同時に吉太の足元に画鋲が撒かれてうっかり足裏にグサっと踏みそうになった。
「大丈夫?吉太」
炒め物中断した妻奈緒の心配に吉太は何事も平静を装った。
「大丈夫だよ。草セリフ「よしな!」うぉっわ!?」
吉太の草セリフと同時に庭の窓ガラスがパリンと割れた。
「はぁー。大丈夫かしら」
奈緒の気苦労は絶えなかった。
吉太は草セリフの言い過ぎにより草だけにグサッという呪い案件が出てきたのだ。どうも夢山病院の担当医者によると草セリフを言わなければ大丈夫だろうと答えたので吉太は結婚した同時期に芸人コンビを解散したのだった。
「これを片付けたらお昼にしましょ」
奈緒の発言に頷いた吉太は割れたガラスの破片をちりとりでまとめて掃除した。
「3」
『俺のクッサマシンガンをぶち込んでやる』
テレビでクサウッドの草西部劇を悔いるように観る吉太。
その主演俳優が草マシンガンでやられそうになるとき草防弾チョキで防いでるの観て感心する。
「吉太。そろそろ焼飯食べてよ」
早く洗い物を済ませたい奈緒が苦言を言うと吉太は残りの焼飯を平らげる。
そこで彼らお昼を済ますと仕事先の地元のイシヤマテレビ局に向かう。
彼らはお笑い芸人引退した間でもタレントとして活動してそれなりにレギュラー数本持っていたのだ。
そんな草セリフ言わない彼らはバラエティの引っ張りだこであった。
そして時間に遅れないように奈緒が運転する軽自家用車に乗り込み目的地に向かった。
「4」
ーー「とあるバラエティスタジオ」ーー
ここでは大多数のタレント、俳優や若手芸人、動画配信者が参加してしゃべり合う番組である。
そこにタレント枠として吉太と奈緒が参加している。
「そういえば吉太さんは草セリフを辞めたみたいですが私生活はどうでしょうか?」
と、空気を読めない司会者に対して吉太は、
「もちろん、そのセリフを言わないように心掛けてます」
と、差し当たりのない回答をした。
ーー「吉太達の楽屋」ーー
「あああ!!あのクソ司会者ぜったいわざとよ。私たちがどんな境遇でいるの知らずに!!」
奈緒はイラついていた。
草セリフを辞めた吉太達だったがその人気をあやかりイジリというものをかけることで視聴率を上げていたからだ。
「そんなに気にすることじゃあねーよ」
と、孫の手で背中を掻いている吉太はなんでもないかのように平静を装っている。
もっとも元芸人なので新人イジリもよくあることなのでそれのおかげで注目してくれることだからありがたいことだった。
「吉太は甘いのよ。私たちがどれだけこのセリフに悩まされていたことか」
「はは。べつにたかが草セリフだろ?草大したことないて」
「よしな!」
と、吉太は寸前の所で楽屋にある尖った鉛筆からすかさず避けてしまう。
吉太は油断するとつい草セリフを喋るから奈緒にとっては悩みのタネであった。
と、しばらくすると楽屋からノックするので「どうぞ」と奈緒の一言で入らせた。
「失礼します。お二方のスケジュール調整の確認に参りました」
楽屋に入ってきたのはマネージャーの黒石だった。
彼女はそれなりに出てるところは出てるので胸ばかり見る吉太はなるべく視線をそらすが気になって見てしまうが奈緒におしおきされたくないのであさっての方向を見る。
「黒石、本日の出演スケジュールはどんな感じ?」
と、黒石は手帳を取り出して確認する。
「奈緒さんは本日の出演はもうありません。吉太さんは一本CM撮影がありますね」
「わかったわ。じゃあ私先に帰るから、終わったらチャットに入れといてね吉」
「ああ」
と、奈緒は先に帰宅して吉太はCM撮影の現場に向かった。
「5」
ーー「CMスタジオ」ーー
「あー。吉太さん。まずこの草納豆を食べて決めセリフ言っちゃてください」
「わかりました」
CM監督の指示の下撮影に入った。
そこで吉太はこの草納豆の蓋を開ける時、思わずあのセリフを言ってしまう。
「あー。なんだろうなクサ!あ、しまっ!?」
吉太は来るはずのグサ案件から身体を身を屈めて守ろうとするがいつまで経ってもグサリ案件がこなかった。
「カット!もー、吉太さんこの草納豆はクサイのしようがないから我慢してくださいね」
CM監督の忠告に耳を入らない吉太はどこかうわの空だった。
ーーーーーー
「どうしてなんだろうか?」
CM撮影終了後、吉太はまだ草セリフ案件のことで頭がいっぱいだった。
「お憑かれ様です」
「おう。お憑かれ様」
元後輩芸人達とバッタリ遭遇するときに1人の後輩芸人が吉太にからかってきた。
「吉太さん。弁当についてる緑の食べられない物てなんでしたけ?」
「それは草……あ!」
思わず草セリフを言ってしまったがやはりグサリ案件は来なかった。それを見た後輩芸人達はたじろぐ。
そして吉太が草セリフを連発して後輩芸人達が何度も何度もたじろぎ「もうええよ!」と1人の後輩芸人がキレるまでやっていた。
「6」
「もしかして吉太さんは草セリフは大丈夫かもしれませんね」
「……となると奈緒か」
吉太と後輩芸人達は自販機で飲み物買って一息ついた。
吉太には自分自身にある草セリフが問題ないことは安堵したが新たに気かがりなのは奈緒の事だった。
もし、彼女が草セリフでグサリ案件が起きるなら身の危険が及ぶ可能性があったので解決したかった。
そしてその頭の中で思考巡り合わせると一つのキーワードが思いついた。
「そうか!アレだな」
アレがわかると早速吉太はチャットで奈緒とグサリ案件対策を乗り出すのだった。
ーー「車内」ーー
吉太は奈緒の車の迎えを呼び出して車に乗り込んだ。
「あのさ、奈緒大事な話があるんだ」
「あら、私もよ」
「え?奈緒が……珍しいな。ま、いいや帰宅してからでもいいからまずおまえからな」
「ふふふ」
吉太達が帰宅するとその場で話し合いをした。
「え?できたてまさか!?」
「うん。1ヶ月だって」
すると吉太はテンションが舞い上がる。
「そうなんだ。かーー!!で、男なのか?それとも女の子か?よし今から両親に報告しようぜ。それからそれから」
その急ハイテンションについていけない奈緒は思わずあのセリフを言ってしまう。
「もーよしなって」
すると、キッチンから突然戸棚から包丁一本が飛び出して吉太の胸にひと突きで突き刺さる。
あっけなく倒れる吉太に対して呆然とする奈緒。
少し経った後、事態に気づき悲鳴をあげる奈緒。
彼はぴくりとも動かなかった。
しばらく彼女は泣いた。
そして彼女は彼の胸に抱きついて泣き喚くと彼はピクンと動きひょっこりと起き上がる。
死んだはずの彼が無事でいられたの服の下で着込んだ草防弾チョッキのおかげだった。
奈緒は吉太の無事であるとわかるとお互い抱きしめた。
草映画館2 終
「はい。OKでーす」
「ふぇーい。暑いな」
撮影終了した同時に出演者である草吉達も一息つく。
「お憑かれ様。あなた」
そこに女優である黒石が現れて草吉のためにスポーツドリンクとタオルを用意する。
その光景を目の当たりにする草奈は恨めしそうに見ていた。
そして草吉は草防弾チョッキを外して上半身裸のままタオルを拭いて草奈はそのまま現場を後にした。
「7」
ーー「草奈のアパート自室」ーー
草奈の住む自室は草はよしなの関連グッズに溢れていた。
そして草吉に見立てた人形を抱きしめてつぶつぶとつぶやく。
草奈は草吉となんならかの片思いをしていた。
そして彼女は彼によって選ばれるのだと自負していたが選ばれたのは別の女性だった。
その時に彼女の精神はどこまでも病んでいった。
ーー「天獄ギャハハスタジオ」ーー
「では、笑うまで帰さない天国か地獄どうぞ」
「どうぞ♪」
久しぶりの草はよしなの芸人コンビの出演が舞い込んできた。
そんな時草吉と草奈もチカラを込めてコントを開始する。
「草モデルはよしな」
このコントは草奈がカメラマンで草吉がモデルになる。そこでいくつか草吉が草セリフをするのだが観客は笑うどころかどよめきがわきおこる。
そこでスタッフは撮影を中断してディレクターが草吉達に向かう。
「ちょっと!?そんな草頭生やしたら笑えないよ!!」
「草頭?」
草吉の頭の髪の毛はボーボーと天井まで生やしていた。
「あなた大丈夫?」
そんな心配かけにきた黒石を見た観客達は悲鳴があがる。
「うっ黒石……おまえ」
「?」
黒石の顔面がしわくちゃのヨボヨボのおばあさんになっていた。
「8」
「それで黒石とはそのまま離婚になったんだがな」
「まぁ、お気の毒に」
と、途中スマホの着信が鳴り吉太は退席する。
その時羅奈があることに気づく。
「ねー。もしかして彼女……」
「証拠は何もないからね。女は怖いわね」
と、楓は食後のコーヒーを一口含んだ。
ーー「????」ーー
「もえもえクサクサ」
草奈と似た人物がとある一軒家の庭先でキズで引っ掻いたとある女性の写真のアルバムを燃やしていた。勢いよく燃える写真に彼女の表情は恍惚していて満足気だった。
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