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野花怪異談N⑤巻【完結】
58話「子猫のワル通ー 八木瑠奈視点side」
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「1」
※この怪異談は八木瑠奈が体験した恐怖怪異談である。
「おねぇちゃんのぶわぁか!!」
「待ちなさい!?瑠奈!!」
私は八木家を飛び出した中1の冬。
事の発端は些細な事だった。
ーー「八木家」ーー
「楓もそろそろ高校生だし、新しい和服を買ってあげようかな」
「そうですね。あなた」
「私も新しいの欲しいなぁ」
「瑠奈、あなたは去年買ったお洋服あるでしょ?」
「なんでよ!!あれは古いし。お姉ちゃんばっかずるい!!」
「わがまま言わないの!!」
「なんでよ!!」
………!
……っ
ーーーーーー。
「……みんななんて大嫌いだ死んじゃえばいいのに……」
途方を暮れてる私は公園でブランコを漕いでいた。
みんなはお姉ちゃんの味方をしていて私だけ悪者する。
お姉ちゃんはいつも服を買ってもらっているのだ。
ずるい……。
私はいらない子なんだと……。
「ねー?あなた1人なの?」
そんな時に誰かが私を呼びかける。
「あ……」
途中からブランコを漕ぐのやめた。
その人は綺麗なスタイルをした金髪のお姉さんだった。
「どうしたの?君」
その時自然と私は金髪お姉さんと打ち解けて会話するようになった。
「2」
「……そうなの。ふふふ♪」
「でね。私の推しはねー」
金髪お姉さんといろいろ話し合った。
好きな食べ物、アニメ、マンガ、ゲームなどとかね。
金髪お姉さんは私の話をよく聞いてくれた。私と同じ境遇で家族とよく喧嘩して家出したらしい。
そんな少なからず私の良き理解者が現れてとても嬉しかった。
「ねー?あなたの怪異談よかったら聴かせてちょうだい」
金髪のお姉さんは私の怪異談に興味深々だったから、私はとっておきの怪異談を語った。
その怪異談が私にとっての人生の分岐点だったから。
「3」
ーー「佐倉ミックスジュースバー店」ーー
ぽつぽつと客の出入りがする店。
この店は未成年でも安心して入れるちょっと大人の雰囲気がするジュースバーである。
俺はマスターにいつもの野菜ミックスジュースを頼む。
紹介遅れたな。
俺の名前は作原慎一、52歳。
この店の馴染みの常連客である。
俺はみんなからワルだと恐れておりいつものようにワル話を咲かせている。
そしてこの店に訪れてワル話をするには可愛い子猫ちゃん達がお目当てだ。
丁度、子猫ちゃん達がワル話を咲かせているので聞いてみた。
「でさー。あたしねー、こないだワルぃー家族にいかせてあげたのよ。なんでも子供を先にいかせたら、その親父泣きながら喚いていたのよー」
「ワルー。あたしも先日丁度おばあさんをいかせてあげたわ。なんでもあついあついて最期の瞬間まで念じていたわ」
ワルーと子猫ちゃん達早速ワル話を咲かせていた。
「ねー?しんちゃんはどんなワルいことしたの?」
「俺か?あー。そういえばババアの家に忍び込んでツボを割ったりダンスの中身を調べたくらいだなぁ。最後は息子から絞りとったけどな」
「「チョーワルーいじゃん」」
俺のワル話は大したことはない。
そんな子猫ちゃん達とワル話を咲かせたあと帰宅した。
ーー「????」ーー
寝静まる晩。
俺が布団で寝る時、じっと睨む正座する青白いおばあさんがいた。
「4」
今日もあの店に立ち寄りワル話を咲かせる。
ワル話のおかげでさらに俺を寄りつく輩はいなかった。
そしていつものように野菜ミックスジュースを頼んで子猫ちゃん達のワル話に参加する。
「ねー?あたしさー。とても古~い学校のやつらをいかせたら、もうかっちゃった♪」
「あたしもー同じく古ーい病院でおじいさんやおばあさん達をいかせたら儲かるよねー。しんちゃんも儲かってるよね?あそこ」
「ああ。おかげさまで財布がパンパンになるほど儲かったぜ。あの屋敷には丁度いいカモがあるからな」
「「すっごーい。さすがワルびれてるわねー」」
子猫ちゃん達はいっそうに感心して俺を惚れ込むのだ。
ふふふ。俺のセイバーが暴発するんだからな。
そして俺は一旦用事を思い出して早々に帰宅することになった。
ーー「????」ーー
俺が帰宅すると、窓ガラスに赤い手垢や顔がいたるところに張り巡らせていた。
ーーーーーー。
「しんちゃん、さー。けっこうやりこんでいてつかれてない?」
「そうだな。俺つかれやすいだよな」
子猫ちゃん達は俺の身体をほぐしてマッサージする。
そう、彼女達は真面目な霊媒師である。
そして俺がワル話咲かせてるのはテレビゲームのRPGの内容である。
「5」
「おしまい♪」
金髪のお姉さんはたいそう褒めてくれた。
「よかったわよ。瑠奈ちゃん」
お姉さんの名前は貝原恵美さん。
私もお姉さんもすでに親しい親友みたいな感じになっていた。
「じゃあ。私もとっておきの怪異談を披露するわね。ちょっとついてきてね」
「あ、はい」
恵美さんの指示に従って私はついていった。
どんどん人気のない場所までついていく。
「ここよ」
案内された場所は集合墓地だった。
そしてその墓には恵美さんの苗字が刻まれていた。
「恵美さん?」
恵美さんはいつのまにか忽然と姿を消した。
もしかして恵美さんは……。
これ以降私は恵美さんと二度会う機会はなかった。
「6」
ーー「八木家」ーー
「…………」
「どこに行ってたの?」
「……あ、うん」
ママの心配事に耳が入らない私だった。
私は一度怖い目にあったのだ。
あれは恵美さんの警告だったのだ。
だから、恵美さんは教えたかったかも。
「瑠奈!!」
丁度、私を探し回っていたお姉ちゃんが帰ってきた。
その時私が罰悪そうにしてるとお姉ちゃんは泣きながら私をビンタして強く抱きしめてくれた。
「お姉……ちゃん?」
「ばか!!バカルナ!!あなたはあなたはなんども心配かけるのよ!!」
後からわかったのだが、お姉ちゃんは決して自分のわがままで欲しい物を自分でねだって買ってもらったことないらしい。
お姉ちゃんは次期当主だから、欲しい物は自分でがまんして貯金して購入してるみたいだった。
そんなわがままをいう私のために金銭の工面を苦労してるて聞いたのみて私は恥じた。
そして私は……。
私はみんなからいらない子じゃなかった。
それなのに私はみんなに死んじゃえて酷いこと言ってしまった。
だから恵美さんが私に教えたのだ。
この怪異談をーー。
この日以降、私は無理に欲しい物をねだることはなくなった。
そして私はお盆の日に忘れずに家族と一緒に恵美さんの墓を訪れてお参りして怪異談をいくつか咲かせていた。
子猫のワル通ー八木瑠奈視点side 完
※この怪異談は八木瑠奈が体験した恐怖怪異談である。
「おねぇちゃんのぶわぁか!!」
「待ちなさい!?瑠奈!!」
私は八木家を飛び出した中1の冬。
事の発端は些細な事だった。
ーー「八木家」ーー
「楓もそろそろ高校生だし、新しい和服を買ってあげようかな」
「そうですね。あなた」
「私も新しいの欲しいなぁ」
「瑠奈、あなたは去年買ったお洋服あるでしょ?」
「なんでよ!!あれは古いし。お姉ちゃんばっかずるい!!」
「わがまま言わないの!!」
「なんでよ!!」
………!
……っ
ーーーーーー。
「……みんななんて大嫌いだ死んじゃえばいいのに……」
途方を暮れてる私は公園でブランコを漕いでいた。
みんなはお姉ちゃんの味方をしていて私だけ悪者する。
お姉ちゃんはいつも服を買ってもらっているのだ。
ずるい……。
私はいらない子なんだと……。
「ねー?あなた1人なの?」
そんな時に誰かが私を呼びかける。
「あ……」
途中からブランコを漕ぐのやめた。
その人は綺麗なスタイルをした金髪のお姉さんだった。
「どうしたの?君」
その時自然と私は金髪お姉さんと打ち解けて会話するようになった。
「2」
「……そうなの。ふふふ♪」
「でね。私の推しはねー」
金髪お姉さんといろいろ話し合った。
好きな食べ物、アニメ、マンガ、ゲームなどとかね。
金髪お姉さんは私の話をよく聞いてくれた。私と同じ境遇で家族とよく喧嘩して家出したらしい。
そんな少なからず私の良き理解者が現れてとても嬉しかった。
「ねー?あなたの怪異談よかったら聴かせてちょうだい」
金髪のお姉さんは私の怪異談に興味深々だったから、私はとっておきの怪異談を語った。
その怪異談が私にとっての人生の分岐点だったから。
「3」
ーー「佐倉ミックスジュースバー店」ーー
ぽつぽつと客の出入りがする店。
この店は未成年でも安心して入れるちょっと大人の雰囲気がするジュースバーである。
俺はマスターにいつもの野菜ミックスジュースを頼む。
紹介遅れたな。
俺の名前は作原慎一、52歳。
この店の馴染みの常連客である。
俺はみんなからワルだと恐れておりいつものようにワル話を咲かせている。
そしてこの店に訪れてワル話をするには可愛い子猫ちゃん達がお目当てだ。
丁度、子猫ちゃん達がワル話を咲かせているので聞いてみた。
「でさー。あたしねー、こないだワルぃー家族にいかせてあげたのよ。なんでも子供を先にいかせたら、その親父泣きながら喚いていたのよー」
「ワルー。あたしも先日丁度おばあさんをいかせてあげたわ。なんでもあついあついて最期の瞬間まで念じていたわ」
ワルーと子猫ちゃん達早速ワル話を咲かせていた。
「ねー?しんちゃんはどんなワルいことしたの?」
「俺か?あー。そういえばババアの家に忍び込んでツボを割ったりダンスの中身を調べたくらいだなぁ。最後は息子から絞りとったけどな」
「「チョーワルーいじゃん」」
俺のワル話は大したことはない。
そんな子猫ちゃん達とワル話を咲かせたあと帰宅した。
ーー「????」ーー
寝静まる晩。
俺が布団で寝る時、じっと睨む正座する青白いおばあさんがいた。
「4」
今日もあの店に立ち寄りワル話を咲かせる。
ワル話のおかげでさらに俺を寄りつく輩はいなかった。
そしていつものように野菜ミックスジュースを頼んで子猫ちゃん達のワル話に参加する。
「ねー?あたしさー。とても古~い学校のやつらをいかせたら、もうかっちゃった♪」
「あたしもー同じく古ーい病院でおじいさんやおばあさん達をいかせたら儲かるよねー。しんちゃんも儲かってるよね?あそこ」
「ああ。おかげさまで財布がパンパンになるほど儲かったぜ。あの屋敷には丁度いいカモがあるからな」
「「すっごーい。さすがワルびれてるわねー」」
子猫ちゃん達はいっそうに感心して俺を惚れ込むのだ。
ふふふ。俺のセイバーが暴発するんだからな。
そして俺は一旦用事を思い出して早々に帰宅することになった。
ーー「????」ーー
俺が帰宅すると、窓ガラスに赤い手垢や顔がいたるところに張り巡らせていた。
ーーーーーー。
「しんちゃん、さー。けっこうやりこんでいてつかれてない?」
「そうだな。俺つかれやすいだよな」
子猫ちゃん達は俺の身体をほぐしてマッサージする。
そう、彼女達は真面目な霊媒師である。
そして俺がワル話咲かせてるのはテレビゲームのRPGの内容である。
「5」
「おしまい♪」
金髪のお姉さんはたいそう褒めてくれた。
「よかったわよ。瑠奈ちゃん」
お姉さんの名前は貝原恵美さん。
私もお姉さんもすでに親しい親友みたいな感じになっていた。
「じゃあ。私もとっておきの怪異談を披露するわね。ちょっとついてきてね」
「あ、はい」
恵美さんの指示に従って私はついていった。
どんどん人気のない場所までついていく。
「ここよ」
案内された場所は集合墓地だった。
そしてその墓には恵美さんの苗字が刻まれていた。
「恵美さん?」
恵美さんはいつのまにか忽然と姿を消した。
もしかして恵美さんは……。
これ以降私は恵美さんと二度会う機会はなかった。
「6」
ーー「八木家」ーー
「…………」
「どこに行ってたの?」
「……あ、うん」
ママの心配事に耳が入らない私だった。
私は一度怖い目にあったのだ。
あれは恵美さんの警告だったのだ。
だから、恵美さんは教えたかったかも。
「瑠奈!!」
丁度、私を探し回っていたお姉ちゃんが帰ってきた。
その時私が罰悪そうにしてるとお姉ちゃんは泣きながら私をビンタして強く抱きしめてくれた。
「お姉……ちゃん?」
「ばか!!バカルナ!!あなたはあなたはなんども心配かけるのよ!!」
後からわかったのだが、お姉ちゃんは決して自分のわがままで欲しい物を自分でねだって買ってもらったことないらしい。
お姉ちゃんは次期当主だから、欲しい物は自分でがまんして貯金して購入してるみたいだった。
そんなわがままをいう私のために金銭の工面を苦労してるて聞いたのみて私は恥じた。
そして私は……。
私はみんなからいらない子じゃなかった。
それなのに私はみんなに死んじゃえて酷いこと言ってしまった。
だから恵美さんが私に教えたのだ。
この怪異談をーー。
この日以降、私は無理に欲しい物をねだることはなくなった。
そして私はお盆の日に忘れずに家族と一緒に恵美さんの墓を訪れてお参りして怪異談をいくつか咲かせていた。
子猫のワル通ー八木瑠奈視点side 完
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