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野花怪異談N⑤巻【完結】

60話「イシヤマリサーチ株式会社[お買い物編2]ー①ー」

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「1」

 ーー「野花駅08時15分」ーー

 駅の線路内で小鳥のさえずりが鳴く。
 身につけてる女子高生の流行りである腕時計を見て時間を気にする白粉肌の少女八木楓。
 髪を束ねてポニーテールにしてる。
 服装は黄色の野花柄の和服を身につけている。
 楓以外誰もいない。
 と、そこに電車が停車する。
 楓は迷わず鐘技駅行きの電車に乗り込んだ。

 ーー「電車内08時20分」ーー

 電車内はそこそこ人混みがする。
 楓はつり革でスマホいじって都市伝説や怖い噂など検索かけてネットサーフィンする。楓は少しの時間の間でも怪異談ネタを探している。
 しばらくすると終点鐘技駅で彼女はそこで降りた。

 ーー「鐘技駅構内08時27分」ーー

 そこそこ広い駅構内
 楓は自動改札機でスマホアプリ霊夏をかざして出る。
 そこに待ち合わせの場所に向かう。

「楓~!こっち、こっち」

 楓に向かって手を振る少女達。
 楓は少し早足で向かう。

「ごめんなさい。待った?」

「ううん。私たちも丁度来たところよ」

「そう。ではいきましょう」

 休日に楓達はショッピングモールのイシヤマデパートでお買い物するために向かう。
 楓と一緒に行くメンバーは永木桜、榊原羅奈、夢見亜華葉、黒木あかねである。
 永木桜と榊原羅奈はデニムのコーデでカラフルな服装着用してる。
 夢見亜華葉は鼠色のレトロワンピースを着用している。
そして黒木あかねはセーラー服の青色を着用している。
 今回保護者枠の梅田虫男はついてきてない。
 桜と羅奈の強い希望で女子のみお買い物になった。
 楓達はバスに乗り込み目的地に向かった。

「2」

 ーー「社員寮08時25分ーー

「安良田!起きてるか?」

 笠田知幸はある社員の部屋に出向きドアをノックする。

「はい!準備完了です」

 と、ドアから開けて少し寝不足気味の安良田悠人が来た。

「おい、大丈夫か?目の下に隈が出来てるぞ」

 笠田の心配に安良田は「大丈夫です」と言った。

「音成達はすでに乗ってるから、先に待ってるぞ」

 安良田は了解の返事をした。


 ーー「車内08時35分」ーー

 大型EVワゴン車の後部座席に乗り込む安良田。

「大丈夫?安良田君」

(パチパチ)

 加奈守と和田鍋は安良田を心配する。

「大丈夫だよ。今回は遅刻すまずにすんだよ」

 安良田は乾いた笑いをする。

「あたしも買い物関しては朝早く出発するからね。おちおち買い物できないし」

 谷中はあくびをする。

(パチパチ)

「あー。真鍋もそう思う?」

 谷中は誰もいない隣の左の座席を見て言った。

「全員乗ったか?」

 と、笠田が出発する準備をする。

「安良田君が最後だから無事全員乗ったわ♪」

「じゃあ。目的地のイシヤマデパートに行くぞ。先日チーム分けした俺のチームと音成のチームで各自買い物な。分かってると思うが今回会社のお金支給はないから、あくまでも自費だからな。ま、だれかさんみたく破産しても会社は助けないからな」

 クスクスとみんな笑う。

「ちょっ!?笠田!て、なんであんたまで笑うのよ。和田鍋」

 谷中は誰もいない隣の右座席を見て言った。

「じゃあ。出発するぞ」

 笠田は車のギアを入れて走り出した。

「3」

 ーー「音成茜の視点」ーー

 私の名前は音成茜、歳は24歳。
 5年前住んでる國からこの国へ移住して日本キ族パスポート労働滞在ピザを取り、去年正式に永住権を取った。
 両親はキ族であり、昔は礼察にお世話になった暴走貴族でもあり、一応私の黒歴史でもある。
 今回私たちは社員寮内のイシヤマデパートで1ヶ月おきに一回お買い物というイベントを行っている。私たちの社員の中には普段車が運転できない体質、幽霊社員を送迎している。
 今回同行するメンバーを紹介する。
 私の隣で運転する私たちのリーダー笠田知幸さんはぐーたらで女っ気もなくだらしがない。部屋中汚くて私のライバル視してる早田と同じレベルである。この前部屋に来た時はムカデの蟲が沸いて出て殺虫剤でムシイヤヤで駆除した。私は虫と蟲は苦手なのよね。
 次に2番目の後部座席を座ってるのはギャルねぇの姉貴谷中さんだ。彼女は体質悪化になってから、東京の水商売を辞めて地方の実家に戻った。彼女も独り立ちするためにこの会社に入社してお金を貯めて体質、幽霊キ族専用のキャバクラを開くのが夢らしい。その割には余計な無駄な出費とかするんだけどね。
 姉御左右に固めてるのは幽霊社員である。
 和田鍋辰也君と真鍋加奈さんだ。
 和田鍋君はたまにしか来ないので幽霊社員と揶揄われてるほど弄りやすい。ただあまりにもいじるとたまにバッチリ視えるようになる。かまってちゃんである。
 真鍋さんは社員寮にいた地縛霊である。彼女も引きこもり体質で物を投げ飛ばすなど荒れていて最初は大変だったがみんなの優しさに触れて次第に外も出歩くようになった。
 和田鍋君と違い常に降りて来て仕事も真面目に取り組んでるので笠田さんからもいっそのこと会社に取り憑いて住むか?ていう冗談も言える仲だ。
 最後部座席に座ってるのは3人は六山聖さんと加奈守美穂さん。そして私が意中気になる人安良田悠人君である。
 六山さんのご両親は立派な人であり、仕事は体質、幽霊、キ族に対しての経営コンサルタントをしている。うちの会社もそこでお世話になっている。
 加奈守さんは長い間、体質で引きこもりにあってたみたい。
 そして座談会で真鍋さんと加奈守さんと話し合う機会があってそれがきっかけで親友になった。生者と死者の垣根を分けた友情は美しく素晴らしいと思う。
 最後に私の想い人である安良田君である。彼の事を考えてるとご飯も喉が通らない……ごめん嘘ついた。きちんと毎日ご飯お代わりするほど三食食べてます。

「音成また、霊魂出てるぞ」

「ふぇ!?」

 私はまたボーとしてうっかりまた霊魂を呼び寄せてしまった。
 私は思いつめるとつい霊魂を呼び出す癖がある。この間はうっかり鹿の動物の霊魂を呼び出してあちこち動き周り捕まえて除霊するのは大変だったから、注意しないと。

「おい。そろそろ着くぞ。分かってると思うが中に入ったら、各自感染予防対策とソーシャルディタンスも忘れずにな」

(パチパチ)

 みんなは了解の返事をした。

「4」

 ーー「イシヤマデパート09時35分」ーー

 屋上で駐車場車を停めた後、デパート内に入り私たちは感染予防対策して、幽霊である和田鍋君と真鍋さんは別の入り口に入り、電光バグ混じりのエレベーターで1階に降りた。
 そこには多数の人混みができていた。
 イシヤマデパートは館内は広く石山県随一の店舗数を誇る。迷いやすいので森デパートて呼ばれるくらいである。
 ここの住人はもちろんこと、体質の方や幽霊住人、キ族住人の方も利用する。またここは跡地が墓地だったことから墓地の住人の交渉元、特別好条件下で墓を移転または現地雇用も進めていて真鍋さんの知人もここに勤めて暮らしている。

「じゃあ。今からスケジュール言うぞ。メンバーは俺と音成の各チームに分かれてお買い物な。で、昼食はフードペースで各自好きな物で食事した後午後で映画館を鑑賞した後余った時間で自由行動して帰宅だな」

 リーダーは仕切った後、次にメンバーを振り分ける。

「まず俺チーム。本屋と家電屋だ。家電屋は今すぐ購入できない物あるからめぼしい物があったら、俺に報告するようにな。で、今回俺のメンバー同行するのは、加奈守、六山、和田鍋の3名だな」

 呼ばれた彼らはうなずく。

「次、私チームね。私の所は服屋と靴屋ね。で今回、私のメンバー同行するのは、谷中姉御、真鍋さん。安良田君ね♪」

「よろしくお願いします」

 律儀に安良田君は言った。

「じゃあ各チームお買い物開始だ。はぐれるなよ」

 と、私たちは買い物開始することになった。
 私たちのチームとリーダーのチームは一緒に場所は違うがエレベーターを向かうことになった。
 エレベーターで誰もいない室内で私たちが乗ると、ブザーが鳴った。

「あれ?おかしいな。私たちで8名だし12名乗りだから、まだ余裕があるはずじゃ?」

「ああ。どうやらすでに乗ってるみたいだ。そこに5名乗ってるぞ」

 私は目を凝らして見ると薄っすらと青白い人達がいた。

「そっか。なら仕方ないわね。私たちチームはエスカレーターで行きましょう」

 私たちチームはエスカレーターで目的地3階の靴屋へ向かった。




 ーー「カネワザブーツショップ店09時57分」ーー


「あ、これいいな」

 私は白のドライビングシューズを選んだ。
 普段車の運転するから丁度よかった。
 履き心地はピッタリだった。

「音成さん。似合ってるよ」

「あ、安良田君……ありがと」

 私は恥ずかしさのあまり霊魂を呼び寄せる。

「お、お客様。ほかのお客様にご迷惑をおかけしますので呼び寄せるのはお控えください」

「あ、すみません」

 鬼のキ族の店員さんから注意されたのを我に返り呼び寄せるのおさえた。

(パチパチ)

「あら?真鍋さんもう購入決めたの?えーと、どれどれ」

 真鍋さんは私でも薄っすらとボヤけて視える。どうやらレインブーツを決めたようだ。
 私たちは精算レジに向かう。
 安良田君はめぼしい物はなかったみたい。
 谷中さんはリーダーから破産するって先程言われたのにたくさん靴を買ってるわね。
 そんなに靴を買い込んで大丈夫かしら?
 私たちは靴屋でお買い物に済み、次の場所に向かった。


 ーー「高山book Store同時刻」ーー

 一方、その頃笠田チームは、

「じゃあ、今からお買い物するぞ。一応1時間後に次の場所に向かうからな」

「はい了解です」

「あれ?笠田さん、和田鍋さんが見かけないのですが……」

「あ、本当だ」

「トイレ……ではなさそうだな。あいつは幽霊だからな。もう先程はぐれないようにと念を押したのに」

 結局、買い物を中断して和田鍋を探す羽目になった。

②へ続く
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