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鐘技怪異談W❺巻【完結】
136話「最怖自動販売機」
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「1」
町外れの田舎の山奥の車道にポツンと一台の古い自動販売機があるの。
その自動販売機はだいぶ年季が入って老朽化してるから、ほぼ誰も利用してないと思われるわ。
でね、わたし見ちゃったの。その自動販売機がーーする所を……。
ーーーーーー
………………。
仕事の休暇を利用して私、アキ、ユータ、トミの4人を私が運転するワゴン車で心霊スポットからの晩遅くの帰り道だった。
「なー。悪ぃケイコ俺、トイレしたくなっちゃったわ」
「はぁ?もう少ししたらどこかでコンビニあるから待ってユータ」
「もー無理無理我慢できないだよ!!」
「ええー!?」
事あろかにユータがトイレしたくなったから、仕方なしにユータをどこかの車道のそばに車を停めてトイレをさせるようにした。
「2」
「早くしてねーー?」
「ああ」
ユータはその場でどうやら立ちションする。
無論、私たちは覗きにする趣味はないのであさっての方向を見たりスマホでいじっている。
私たちは心霊スポットで長時間山おくまでドライブしたが念願である幽霊どころか、人や獣さえも見かけないほどの物静かな場所だった。
実際の所拍子抜けしてガッカリした私たちだった。
その時ふと窓から見ていると、近くに自動販売機があった。
丁度いいと思い、私は飲み物を買おうと車降りたら、それは年季が入っており、自動販売機自体も鉄錆だらけで機能してなさそうなのでやめた。
「おう。丁度終わったぞ。どうした?お前も立ちションか?」
「ぶわぁか!違うわよ。飲み物買おうと思ったけど自動販売機が古臭そうからやめたのよ」
「ん?自動販売機?そんなもんあったか??」
「あるじゃん。……あれ?」
私が指し示した方向にあるはずの自動販売機が忽然と姿を消した。
「3」
事を済ませた私は再度車を走らせる。
「ケイコたら、そそっかしぃねー。この山おくに自動販売機なんてあるわけないじゃん」
「……ん。まぁ」
アキの言う通りである。
実際にこの通り道は私たちが一度通過している。
しかもこんな場所に堂々と自動販売機があるはずなんてなかった。
……私の見間違いだろうか?
私はハンドルを強く握りしめて運転していた。
ーーーーーー。
「ふわぁ。俺眠くなったよ。ついたら起こしてくれ」
「あたしも」
「僕も」
しばらく運転してると私以外の友人達は居眠りするようになった。
しばらく運転していたが山おくから抜け出せない。
走ってる車も私たちだけだ。
私もそろそろ眠たくなっていた。
こんな退屈になるほどのつまらない運転だった。
こんな事あるなら、心霊スポットに行こうなんて言わなければよかった。
ふと、そう思ってるときにハッと驚愕して急ブレーキをかけた。
「ちょ!?な、なに!?」
「ケイコ?どうしたのよ?」
私は思わず青ざめてしまったのだ。
……右窓際に自動販売機が立っていたから。
まるで私たちを追いかけるようにきっちりと付き纏っていたから。
しかし、再度車降りて周囲を確認するとその場にいた自動販売機はなかった。
たしかに自動販売機はあった。
「ねー?どうしたのケイコたっら?」
「……」
怖くなった私は急いでエンジンをかけて走らせた。
「4」
「おまえ。汗びっしょりだぞ?大丈夫か?」
「だ、大丈夫よ!!」
私は構わずハンドルを強く握りしめて走りだす。
「ちょっと!?スピード出しすぎよ?」
「……」
アキの忠告を無視する私。
私は一刻も早くこの場から逃げ出したかった。
その時、トミが自動販売機に気づいたが、私はそれを聞いた後、すぐアクセルを強く踏み出す。
アキ達が喚いていたが私は気にしなかった。
しかし、途中から私おろかみんなも気づいてしまったから。
私の手元に握るハンドルから強く握る青白い手が……。
そして走行中の車の窓際からいくつか自動販売機がたくさん横並びに立っていることに……。
どうやら私たちは自動販売機に取り憑かれてしまったようだ。
そして最期の瞬間は私の運転するワゴン車は山道のガードレールからはみ外れて車体はいくつか複雑に回転しながら衝突落下してガソリン液体が漏れて炎上した。
「5」
「黒岩。あれがそうじゃない」
「そのようですね」
私はご意見番黒岩が運転する自家用車に乗り込みとある山奥の場所に来ていた。
そこにあったのは献花する自動販売機がいた。
「最恐さん」
彼の名を呼ぶと返事をしてくれた。
彼もこの場所に来て毎年この場所で亡くなった彼を弔いするらしい。
なんでも親しい友を亡くしたみたいだから。
彼も最恐人工AIだが意思はあるのだ。
この世には人なざるモノや視えざるモノもあふれていたからね。
そんな彼もいつかさまようのだから……。
最怖自動販売機 完
町外れの田舎の山奥の車道にポツンと一台の古い自動販売機があるの。
その自動販売機はだいぶ年季が入って老朽化してるから、ほぼ誰も利用してないと思われるわ。
でね、わたし見ちゃったの。その自動販売機がーーする所を……。
ーーーーーー
………………。
仕事の休暇を利用して私、アキ、ユータ、トミの4人を私が運転するワゴン車で心霊スポットからの晩遅くの帰り道だった。
「なー。悪ぃケイコ俺、トイレしたくなっちゃったわ」
「はぁ?もう少ししたらどこかでコンビニあるから待ってユータ」
「もー無理無理我慢できないだよ!!」
「ええー!?」
事あろかにユータがトイレしたくなったから、仕方なしにユータをどこかの車道のそばに車を停めてトイレをさせるようにした。
「2」
「早くしてねーー?」
「ああ」
ユータはその場でどうやら立ちションする。
無論、私たちは覗きにする趣味はないのであさっての方向を見たりスマホでいじっている。
私たちは心霊スポットで長時間山おくまでドライブしたが念願である幽霊どころか、人や獣さえも見かけないほどの物静かな場所だった。
実際の所拍子抜けしてガッカリした私たちだった。
その時ふと窓から見ていると、近くに自動販売機があった。
丁度いいと思い、私は飲み物を買おうと車降りたら、それは年季が入っており、自動販売機自体も鉄錆だらけで機能してなさそうなのでやめた。
「おう。丁度終わったぞ。どうした?お前も立ちションか?」
「ぶわぁか!違うわよ。飲み物買おうと思ったけど自動販売機が古臭そうからやめたのよ」
「ん?自動販売機?そんなもんあったか??」
「あるじゃん。……あれ?」
私が指し示した方向にあるはずの自動販売機が忽然と姿を消した。
「3」
事を済ませた私は再度車を走らせる。
「ケイコたら、そそっかしぃねー。この山おくに自動販売機なんてあるわけないじゃん」
「……ん。まぁ」
アキの言う通りである。
実際にこの通り道は私たちが一度通過している。
しかもこんな場所に堂々と自動販売機があるはずなんてなかった。
……私の見間違いだろうか?
私はハンドルを強く握りしめて運転していた。
ーーーーーー。
「ふわぁ。俺眠くなったよ。ついたら起こしてくれ」
「あたしも」
「僕も」
しばらく運転してると私以外の友人達は居眠りするようになった。
しばらく運転していたが山おくから抜け出せない。
走ってる車も私たちだけだ。
私もそろそろ眠たくなっていた。
こんな退屈になるほどのつまらない運転だった。
こんな事あるなら、心霊スポットに行こうなんて言わなければよかった。
ふと、そう思ってるときにハッと驚愕して急ブレーキをかけた。
「ちょ!?な、なに!?」
「ケイコ?どうしたのよ?」
私は思わず青ざめてしまったのだ。
……右窓際に自動販売機が立っていたから。
まるで私たちを追いかけるようにきっちりと付き纏っていたから。
しかし、再度車降りて周囲を確認するとその場にいた自動販売機はなかった。
たしかに自動販売機はあった。
「ねー?どうしたのケイコたっら?」
「……」
怖くなった私は急いでエンジンをかけて走らせた。
「4」
「おまえ。汗びっしょりだぞ?大丈夫か?」
「だ、大丈夫よ!!」
私は構わずハンドルを強く握りしめて走りだす。
「ちょっと!?スピード出しすぎよ?」
「……」
アキの忠告を無視する私。
私は一刻も早くこの場から逃げ出したかった。
その時、トミが自動販売機に気づいたが、私はそれを聞いた後、すぐアクセルを強く踏み出す。
アキ達が喚いていたが私は気にしなかった。
しかし、途中から私おろかみんなも気づいてしまったから。
私の手元に握るハンドルから強く握る青白い手が……。
そして走行中の車の窓際からいくつか自動販売機がたくさん横並びに立っていることに……。
どうやら私たちは自動販売機に取り憑かれてしまったようだ。
そして最期の瞬間は私の運転するワゴン車は山道のガードレールからはみ外れて車体はいくつか複雑に回転しながら衝突落下してガソリン液体が漏れて炎上した。
「5」
「黒岩。あれがそうじゃない」
「そのようですね」
私はご意見番黒岩が運転する自家用車に乗り込みとある山奥の場所に来ていた。
そこにあったのは献花する自動販売機がいた。
「最恐さん」
彼の名を呼ぶと返事をしてくれた。
彼もこの場所に来て毎年この場所で亡くなった彼を弔いするらしい。
なんでも親しい友を亡くしたみたいだから。
彼も最恐人工AIだが意思はあるのだ。
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そんな彼もいつかさまようのだから……。
最怖自動販売機 完
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