[全221話完結済]彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる

野花怪異談N④巻【完結】

53話「彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる」

　※これは八木楓が体験した恐怖怪異談である。

「今日はどんな怪異談にしましょうか？」
　楓はいつものように怪異談をネタ探して回る。
　そして夕方遅くなるまで怪異談を探した。
「今日はこんな所ね」
　そしていつものように夕飯の支度をして洗い物した後、怪異談をまとめて就寝する。

　次の日
「今日はどんな怪異談にしましょうか？」
　楓はいつものように怪異談をネタ探して回る。
　そして夕方遅くなるまで怪異談を探した。
「まぁ、今日はこんな所ね」
　そして少し疲れながらもいつものように夕飯の支度をして洗い物した後、怪異談をまとめて就寝する。

　次の日
「はぁ……今日はどんな怪異談にしましょうか？」
　楓は少し眠気を感じながらも怪異談をネタ探して回る。そして夕方遅くなるまで怪異談を探した。
「……今日はこんな所かしら」
　今日は疲れてるのか、夕飯は軽く簡単な物にして洗い物した後、怪異談をまとめて就寝する。

　次の日
「……今日はどんな怪異談に……」
　楓はフラフラと少し立ちくらみしながらも怪異談をネタ探して回る。そして夕方遅くなるまで怪異談を探した。
「今日はこれでいいかしら……」
　夕飯の献立や洗い物する気力がないのか、出前を取り、怪異談をまとめて就寝する。

　次の日
「……かいだん……」
　楓は何か取り憑かれたように生気がないまま怪異談をネタ探して回る。そして夕方遅くなるまで怪異談を探した。
「…………」
　しゃべる気力も食べる気力ないのか、怪異談をまとめてそのまま朝を迎えた。

　次の日も次の日も繰り返し、怪異談を探した。
　そしてある日のこと彼女は夢を見た。

「今日はどんな怪異談にしましょうか？あら」
　楓はある女性に気づく。
　そこにやつれた青白い少女。
　それは紛れもなく怪異談を求める楓本人だった。
　そして周りに楓がたくさん溢れて怪異談を探す自分自身がいた。そして複数の楓が楓の身体やあちこち掴まれていき引きずりこまれる。

「ッ！？」
　楓は目を覚ました。
　身体をあちこち確認するが何もなかったかのように見えた。が、
　彼女の身体に違和感が感じて風呂場の洗面台に立ち服を脱ぎすてる。
「ッ！！？」
　身体あちこちにいくつか掴まれた手形の痕が残った。その手形は洗い落とそうとしてもいくらやっても取れなかった。

　楓はこの日から人前の素肌を見せず白粉肌を身につけるようになった。

　彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる   完