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野花怪異談N④巻【完結】
49話「おでんソード」
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「1」
ーー「とあるヨーロッパの街」ーー
数百年古くから変わらない赤レンガの建物。
この街では長年蓄積した文化と歴史を持つ。
そのため観光業が盛んで発展してきた。
しかし、現在は活気はなく観光客はおろか街の住人さえもめったに見せず、ほぼネズミや虫一匹もよりつけないほどゴーストタウンになっていた。
そこの街中に擦れる金属の足音。
少なくとも複数である。
かすかの音に反応して、建物の中の外から眺めていた1人の青年は口笛を鳴らしてほかの住人に知らせ続ける。
その音に気づいた住人は建物の木窓を開けて恰幅のいい中年女性達は鉄のフライパンとヘラなどでカンカンと鳴らし続けて至る所に鳴り響いて次第に街全体の住人が知られるようになった。
騒ぎを聞きつけた住人達は足取りを追う。街外れの路地からその根源となる彼らを見つける。
「おい!いたぞ」
1人の中年男性が他の住人に知らせて、彼らを取り囲むように人だかりできる。
人数は3人組だった。
前方から見て左側は長身の若い白髪ロングの美しい女性、中心は白髪と長い蓄えた白髭ずんむぐりした中年男性、右側は小柄な白髪の子綺麗な美少年に並んでいた。
その彼らは銀の甲冑を纏い、上から黒のマントを羽織っており、靴には白銀のブーツを履いていた。
彼らはゆっくりとした足取りで歩くと、住人達は彼らを鋭い眼光で睨み続けていた。
彼らはそんな住人達を戒めせずどこか罰悪そうにしていた。
そして若い青年が持っていた生たまごを彼らに向かって投げつけて、1人のずんむぐり体躯の白髭男性の肩のマントに当たる。
白髭男性はそんな住人の行為をなんでもなかったかのようにムシする。
それを腹を立てた住人の1人の老婆は生クリーム載せたパイ生地を白髭男性の顔にヒットする。顔はモロにかかりそれでもムシをする。
住人達は激昂して我こそは先に自宅や店に向かい白髭男性にあらゆるパイ生地や生たまごをぶつけていく。しかしそれでも白髭男性はムシ続けて耐えていた。
彼らは路地から大通りを出ると長蛇の住人達が待ち構えており、怒号と罵声が飛び交っていた。
彼らの前に茶髪のリーゼントを決めた黒のブランドスーツを着込んだ中年男性がきびきびとした足取りで彼らに向かう。
そして住人達はその中年男性を見かけると静まる。
中年男性は彼らの前に立つと彼らも足取りを止めた。
白髭男性は中年男性に向かって弱々しい声で言った。
「市長さんや。わしらはここを引き払うことにした」
市長と呼ばれた中年男性は哀れな白髭男性を一瞥した。
「クサイな。そのクサッた心も身体もクサイもんをクサイシャワーでさっぱりしたらどうだ?」
「……」
白髭男性の身体周りはべちゃべちゃで汚れており小蝿がたかっている。連れの2人もクサイので少し離れていた。
「ま、どこへ行くものなり去るといい」
市長は用件が済んだのか踵を返す。
「待ってくれ!」
白髭男性は市長を呼び止めた。
「なんだ?」
「す、すまないと思っている。わしらは必要じゃったんだあれが」
市長はそれを聞いて高笑いする。
「あれか!そうか、あれか……ククク。ならとっとと、失せろ!おまえ達の選定で俺たちの住人を根こそぎ奪っていきやがって!それだけじゃ飽き足らず、俺の息子まで選定で奪いやがって!!俺の息子はショックで俺の大事な息子が、息子が……娘になっちまったんだ!」
それを聞いた住人達が悲しくなり泣き叫ぶ。
そして悔しそうに市長の拳が強く握りしめる。
白髭男性は少し困惑したように顎髭をさすって口を開いた。
「いや?市長さんの息子さんは元からそうなりたいとみんなに言いふらしてたし。かと言って市長さんも大賛成してくれたじゃろ?」
住人達はすぐ黙り、何処からかその白髭男性の頭にうずらのゆでたまご一個が直撃した。白髭男性はあまりの痛さに頭を押さえた。
「茶番は終わりだ!さっさと出てけ。さもないと俺自身の手でおまえ達を選定してやるからな!」
「2」
市長と住人達が去った後、彼らは街外れの教会の墓地へ向かう。
「大丈夫?オルデン」
「あー、なんとかな」
オルデンと呼ばれた白髭男性は長身女性ルネからタオルを手渡され汚れまわりを拭く。
「オルデン隊長も黙ってないでやり返せばいいのに」
小柄な少年アレンはファインティングポーズをして拳を繰り出す素振りを見せる。
「いやいや、わしらはあくまでも平和的でいかなければならんのじゃ。王様の意向もあるからな」
オルデン達は王の勅命によりキ族と死者が棲む國から生者の国に出向き人々を選定して優れた者を集めている。
しかし選定にはリスクが伴う。下手をすれば選定を受ける者にとっては大事なアレが奪われるからだ。
そのためオルデン達の選定で奪われた国は数知らずオルデン達を入国禁止する国まで現れた。
「ついたわよ」
オルデン達は目的地の墓地につく。
「次の目的地はなんじゃったかな?」
「えーと、たしか日本の石山県です」
「そうか、あそこはサカナが美味いらしいからな。じゃあルネ頼むぞ」
ルネはうなずき、右手をかざしてビキビキと黒い渦が開き次第に人が入る大きさまでなる。そこからアレン、ルネ、最後にオルデンが中に入ると同時に黒い渦は消えた。
ーーTANABE-YAKITORI店ーー
~♪
店内にはピアノのジャズ曲が流れてカウンター席とテーブル落ち着いた洋と和が混ざり合う。
壮年のオーナー男性シェフが鶏肉と野菜が焼くにおいで客達は食欲をそそる。
この店は昨年オープンした洋風やきとり専門店である。
とそこに3人組の客が来店する。
「いらっしゃいませ……!?」
彼らを見るなりシェフは目を見開き、思わず自分が焼いてる串を忘れそうになる。シェフはその場で持ち直し、3人分の冷水を汲んで配る。
彼らはオルデン達だった。
オルデン達はカウンター席につく。
「ご注文は?」
シェフからは嫌な汗がかいており、緊張してる。オルデンは連れの代表となって注文をとる。
「店のオススメ定番メニュー」
「わかりました」
シェフは早速、調理をする。まず野菜は石山県産のブランドネギ、最高級の脂がノル鶏肉を使い、味付けには石山県の近海で取れる日ノ本塩で勝負する。その炭火で焼く充満するにおいでオルデン達は笑みを浮かぶ。そして十分焼き上がるとシェフはそれぞれ皿に盛り付けて配る。
「どうぞ。田辺のイシヤマフレンチモモ肉の焼き鳥になります」
オルデン達はうなずき焼き鳥をかぶりつく。
オルデン達は無我夢中に焼き鳥を食べている。
それも当然であった。
なぜなら彼らが食べさせたのはこの店では最高級の品であった。
食事を終えると彼らはおしぼりで手や口の周りの汚れを拭く。その後、彼らのうちで話し合いする。彼らの白熱する議論によりシェフの額からうっすらと嫌な水が流れ落ちる。そしてしばらくすると彼らの中で答えは決まったようだ。
「選定を行うか?」
「もちろんだ」
シェフの迷わない一言により、店の仕切りから出て彼らの前に立つ。
他の食事してる客からもざわめき始める。
「じゃあいくぞ」
オルデンの懐から剣のような形どった剣串を取り出してシェフに向かってかざす。
すると剣串の頭のとがった先から白いもやの渦が出る。
そしてシェフの口から青白いもやが出てかざした剣串に吸われていく。
「~!!」
吸われていくシェフは思わず声が出来ないほどなんとも言えないほど悶えていた。
しばらくして剣串は吸い付くしてもやは消えた。
シェフも解放されて息を吸い込む。
「終わったぞ。これは代金じゃ」
オルデンは剣串をしまい、黒財布から万札を取り出して支払い店を出た。
彼らを見送ると安堵した途端、シェフは違和感を感じ思わず口元を手でおさえる。
シェフは適当に先程の鶏肉を手頃な大きさを切り味付けして彼らが食べさせた焼き鳥を再現して焼く。そして出来上がった肉を食べて思わずシェフは言葉が出せなかった。アレが奪われた事を確認すると肩から崩れ落ちた。
ーー1週間後ーー
八木楓と永木桜と野花手鞠の少女3人はこの店に偶然立ち寄り建物眺めていた
「残念ね。あそこの店、張り切って盛り上げていたのに」
「そりゃ~仕方ないよ。アレを奪われたんだから」
ここの店にあった焼き鳥店は現在空き店舗になっていた。またこの店だけでなくオルデン達によってアレが奪われて店を廃業する店舗も出ていた。
「彼らは一体アレを集めてどうするつもりなのかしらね」
しばらくすると少女達は立ち去った。
「3」
ーー「カネワザおでん屋本川」ーー
~♪
店内では親父の趣味のクラッシックの曲が流れる。
この店の料理長である親父はつけたおでんの具材をいくつか取り出し皿に盛り付けて常連客の男性に渡す。
客は割り箸でおでんの具であるカニの香箱の中身をかぶりつき召し上がっている。
「大将~。腕を上げたねー♪」
「はは。いつもどおりさ」
親父と客は他愛もないアニメの雑談する。
そんな横目で憂いてる俺。
しかしそんな気にもせず客達が使った皿を洗う。
突如店の入り口の引き戸が開く。
「おう!いらっしゃい」
「!」
客は選定のオルデンとかいう奴らだった。
「大将、いつもの」
「わかった」
親父は皿を取り出しおでんの具材を盛った。
「……親父、例の奴らだぞ?」
親父に小声で教えたが親父は無視してオルデン達に品を出した。
「おまち」
「うむ」
オルデン達は出された品に手をつけて親父と雑談する。ゲームの話題で持ちきりだった。
そんな呑気に構える親父にため息を吐いた。
しばらくしてオルデン達は完食して立ち上がり、親父は店のカウンターから出て彼らの目の前に立った。
「じゃあ、いつものやるぞ」
「ああ」
オルデンとかいう奴は剣のような剣串を親父に向かってかざして選定を行った。
「~!」
剣串から青白いもやから出て親父の口からもモヤがでて、親父の口から剣串に吸い込まれるようなモヤがきて、親父は見てる俺が辛そうほど悶えていた。
しばらくすると剣串は十分吸い込んだのかもやは消えて親父は解放された。
オルデンは事が済むと剣串を丁寧に懐に仕舞って黒財布を取り出して俺がお会計してオルデン達は店を出た。親父は彼らを見送ると新たにおでんの具材を仕込みに取り掛かった。
「なぁ、親父はなんともないのかよ!?」
「あんなもんは大したことないさ」
親父はタバコを咥えてライターに火をつける。
俺は茶を飲む。
俺の名前は本川等、21歳。
タバコを蒸してるのは俺の実の父親本川鉄也であり、このおでん屋の料理長を務めてる。
俺たち親子は長年古く時代からおでん屋を営んでいる。親父は10年前死んだ祖父から店を引き継いで味の腕前もさっきの選定のやつらが毎週来るほどの折り紙つきだ。
で、俺はというと親父に弟子入りしたものの一年経過してるがおでんを仕込むのはまだ許されてなく、雑用と皿洗いばかりやらされている。いつかは親父の腕を認められて店を引き継ぐのが俺の夢だ。
「最近、やつらの目的はなんなのかな」
親父はタバコの煙を輪っかにして言った。
「なんでも國同士の戦争ためにアレが必要らしい。そのため俺たちみたいなものが白羽の矢が立ったらしい」
「だ、大丈夫なのかよ!?戦争て、親父は特に戦えるほどの力なんて持ってないだろ?」
俺は思わず声を荒げる。すると親父は甲高い笑いをした。
「ははは。大丈夫だ。やつらの國の戦争ていうものはごく平和的なものだ。それに選定というのは、俺たちみたいな者にとっては名誉みたいなものだな」
「はぁ……」
「そのうち逆に國から招待されるかもな?」と親父は張り切っていた。
と、誰かが来店する。
「いらっしゃい」
親父は吸ってたタバコを潰して応対した。
「いつもの頼む」
俺はギョッとする。そいつは頭が骸骨で出来ていたからだ!!
そして周囲には小さな妖精が飛びまわっていた。
親父はいつものように皿を盛り付けて品を出した。そして次に小皿を出して妖精が食べやすいように出した。
骸骨頭と妖精は食事を堪能していた。
「4」
ーー「石山県鐘技市鷹町永木ホテル40階三つ星高崎レストラン店内」ーー
「そうですか、高崎さん所にも来たんですか」
「僕は選定に熱心じゃなかったから、彼らは
普通に食事してそのまま帰ったよ」
八木楓、永木桜、加えて梅田虫男の3人は久しぶりに高崎のレストランで夜の食事をしていた。高崎オーナーは立ちながら楓達と世間話している。
「でも、選定って強制的じゃないんだよね」
「まぁ、彼らも本気で星を取る気はなかったでしょうね」
楓はカボチャスープをすくって飲んだ。
「星と言えば星バカだが、あいつ今何してんだ?」
「星夏さんなら海岸から見える星空でグラビア撮影してますよ。なんでも張り切ってましたから」
「星夏ちゃんノリノリだったね」
「ノリノリ」
「ノリにノッてるな。まぁあいつも信者だから星に関するものはやり込むからな」
虫男はノリノリで赤ワインを口に含む。
店員が弁当容器を運んできた。
「お待たせしました。ノリ弁です」
「きたきた♪」
楓達はノリノリトークしながら、店のオーダーでノリにノッたノリ弁を注文した。
ーー「カネワザおでん屋本川」ーー
親父はいつものようにおでん仕込んでると仕込む箸を地面に落としてしまう。
「おい、親父!」
親父は顔が赤く身体はフラフラで思わず俺は支える。
「親父酷い熱じゃないか!?今日は店休もうぜ」
「だ、大丈夫だ。これしきくらい」
親父の額を手に合わすと熱かった。親父の身体は生まれつき身体が弱い。
「なー。無理すんな。1日くらい休んでも罰は当たらないって!」
「だめだ!今日は絶対避けられない選定があるんだ!」
と、親父は手を振り払う。
「そんなに選定が大事なのかよ!?親父!無理すんな」
と、ちょうど親父と言い争ってると客が来店する。
「大将、本日最終選定を行うぞ!……ふむ」
オルデン達が来たようだ。親父を見て悟ったようだ。
と、親父は不意に気を失い倒れてしまう。
「親父!?」
俺は親父にかけよる。
「待たせたな」
と、オルデン達から後を遅れてやってきたのはどこぞの派手で高貴な羽衣と頭に何やら漢字の一文字の冠を被った黒髭を蓄えた中年男性が現れた。
「わしの名はオーデン・ソードキングⅣ世である。わし自ら最終選定を行う。してオルデン」
「はっ!」
「今回選定を受ける者はどなたじゃ?」
オルデンが言いかけようとした時、俺は迷わず、
「俺です!俺が今回選定を受けます!」
俺は親父の代わりに選定を受けることを決めた。
と、オデンⅣ世は自分の蓄えた髭をさすって言った。
「ふむふむ。よかろう。では一つだけ確認したい事がある。そのつけたおでんを仕込んだのは貴方か?」
「はい!」
「あい。わかった」
「5」
オデンⅣ世とオルデン達はカウンター席についた。
そして俺は倒れかけている親父を抱えて休憩室に休ませた。
俺は戻るとオーダーを取った。
「ご注文は?」
「オルデンが食べてるいつもの」
俺はうなずき皿にいつものようにおでんの具を盛り付けていく。普段からオルデン達が食べてるのを観察してるのでわかっていた。
「どうぞ」
「いただこう」
オデンⅣ世は出された品を手につける。ゆっくりと箸を進み無言で食べる。俺は緊張のあまり唾を呑み込む。ちなみにオルデン達は王の御前の前であるため遠慮した。
そしてオデンⅣ世は完食すると箸を置いた。
「では、そなたに最終選定の結果を申し渡す。受け取るがよい」
俺はオデンⅣ世の目の前に立ったことを確認すると、ふところからオルデンよりも立派な大きい剣串をかざした。
そこから勢いよく俺の口から白いもやの渦から剣串に吸い込まれていく。俺は悶えつつも必死に耐え切った。
オデンⅣ世は事が済むと剣串を仕舞い、次に立派な財布から一万札をカウンター席にそっと置いた。
「釣りはいらぬ」
オデンⅣ世はそう言って、店の出入り口に向かい去り際に再度言った。
「オルデンよ」
「ハッ!」
「この店にもう来ることはない」
オデンⅣ世とオルデン達はそのまま店を出て行った。
俺はしばらく呆気に取られてる時、ある違和感を感じて、おでんの具材を取り出して味見をする。それを気づいたときはもうすでに手遅れだった。俺は声が出せないほど嗚咽が出て泣き崩れていた。
ーー「カネワザ焼肉だらだら店内」ーー
「お待たせしました。イシヤマ牛タンです」
「おうきたな」
出された肉品を虫男は割り箸で焼いていく。
「ちょっと!?虫バカ、トングあるからそっちに使いなさいよ」
星夏は虫男にマナーを注意するが無視する。
「北臓さん。どうぞ」
「いやー、すまないね。花郎さん」
花郎は北臓にビールをお酌する。
「あ、この肉焦げてるよ」
翼は焦げてる肉を取り出して食べる。
楓達は北臓の奢りで焼肉をご馳走してもらった。
当初は八木楓、永木桜、梅田虫男、野花手鞠、部下の南田数人連れを誘う予定だったが虫男の計らいであれよこれよ誘ってるうちに知人と友人に釣られていき数十人も膨れあがってしまい、かなりの予算オーバーになってしまった。北臓本人は特に気にせず喜んではたいてくれた。ちなみに先月イシヤママンボウ宝くじで100万当たったのでそれほど出費は痛くなかった。
「そう言えばあの選定の人達もばったりいなくなったね」
桜は牛タンをレモンをつけて食べる。
「まぁ、彼らかすればシタ見のようなものですからね」
「選定でかなりのアレを奪われたらしいからな。ま、この業界バカ正直じゃない社会の闇だな」
「私、アレを奪われたらこの業界生きていけませんわ」
星夏は口元の汚れを星柄のハンカチで拭いてる。
「僕もそうですよー。でもアレを奪われたらなんとかやっていけるけど仕事や生活にも支障きたすから一般人も困るじゃないかな」
「私も困りますね」
と、楓は山羊の肉を焼いた。
ーー「????カラオケ店」ーー
「オレの~おしい花~♪」
オルデンの熱唱によりルネ、アレンは拍手する
「オルデン隊長、次僕やらさせてください」
「あら、次わたしよ」
アレンとルネは言い争う。
「まぁ、まぁ、選定の時間はたっぷりあるからな」
オルデンは自分の喉を確かめながら発声練習していた。
店から出ると辺りは建物が廃墟だらけのゴーストタウンだった。オルデン達が向かう先の背後には無数の青白い人達を連れていく。これらは全て選定でスカウトしてきた人達であった。
「じゃあ。次はここにしよう」
オルデン達が入った店の隣にある案内看板に
『独歳市へようこそ』と書かれていた。
おでんソード 完
ーー「とあるヨーロッパの街」ーー
数百年古くから変わらない赤レンガの建物。
この街では長年蓄積した文化と歴史を持つ。
そのため観光業が盛んで発展してきた。
しかし、現在は活気はなく観光客はおろか街の住人さえもめったに見せず、ほぼネズミや虫一匹もよりつけないほどゴーストタウンになっていた。
そこの街中に擦れる金属の足音。
少なくとも複数である。
かすかの音に反応して、建物の中の外から眺めていた1人の青年は口笛を鳴らしてほかの住人に知らせ続ける。
その音に気づいた住人は建物の木窓を開けて恰幅のいい中年女性達は鉄のフライパンとヘラなどでカンカンと鳴らし続けて至る所に鳴り響いて次第に街全体の住人が知られるようになった。
騒ぎを聞きつけた住人達は足取りを追う。街外れの路地からその根源となる彼らを見つける。
「おい!いたぞ」
1人の中年男性が他の住人に知らせて、彼らを取り囲むように人だかりできる。
人数は3人組だった。
前方から見て左側は長身の若い白髪ロングの美しい女性、中心は白髪と長い蓄えた白髭ずんむぐりした中年男性、右側は小柄な白髪の子綺麗な美少年に並んでいた。
その彼らは銀の甲冑を纏い、上から黒のマントを羽織っており、靴には白銀のブーツを履いていた。
彼らはゆっくりとした足取りで歩くと、住人達は彼らを鋭い眼光で睨み続けていた。
彼らはそんな住人達を戒めせずどこか罰悪そうにしていた。
そして若い青年が持っていた生たまごを彼らに向かって投げつけて、1人のずんむぐり体躯の白髭男性の肩のマントに当たる。
白髭男性はそんな住人の行為をなんでもなかったかのようにムシする。
それを腹を立てた住人の1人の老婆は生クリーム載せたパイ生地を白髭男性の顔にヒットする。顔はモロにかかりそれでもムシをする。
住人達は激昂して我こそは先に自宅や店に向かい白髭男性にあらゆるパイ生地や生たまごをぶつけていく。しかしそれでも白髭男性はムシ続けて耐えていた。
彼らは路地から大通りを出ると長蛇の住人達が待ち構えており、怒号と罵声が飛び交っていた。
彼らの前に茶髪のリーゼントを決めた黒のブランドスーツを着込んだ中年男性がきびきびとした足取りで彼らに向かう。
そして住人達はその中年男性を見かけると静まる。
中年男性は彼らの前に立つと彼らも足取りを止めた。
白髭男性は中年男性に向かって弱々しい声で言った。
「市長さんや。わしらはここを引き払うことにした」
市長と呼ばれた中年男性は哀れな白髭男性を一瞥した。
「クサイな。そのクサッた心も身体もクサイもんをクサイシャワーでさっぱりしたらどうだ?」
「……」
白髭男性の身体周りはべちゃべちゃで汚れており小蝿がたかっている。連れの2人もクサイので少し離れていた。
「ま、どこへ行くものなり去るといい」
市長は用件が済んだのか踵を返す。
「待ってくれ!」
白髭男性は市長を呼び止めた。
「なんだ?」
「す、すまないと思っている。わしらは必要じゃったんだあれが」
市長はそれを聞いて高笑いする。
「あれか!そうか、あれか……ククク。ならとっとと、失せろ!おまえ達の選定で俺たちの住人を根こそぎ奪っていきやがって!それだけじゃ飽き足らず、俺の息子まで選定で奪いやがって!!俺の息子はショックで俺の大事な息子が、息子が……娘になっちまったんだ!」
それを聞いた住人達が悲しくなり泣き叫ぶ。
そして悔しそうに市長の拳が強く握りしめる。
白髭男性は少し困惑したように顎髭をさすって口を開いた。
「いや?市長さんの息子さんは元からそうなりたいとみんなに言いふらしてたし。かと言って市長さんも大賛成してくれたじゃろ?」
住人達はすぐ黙り、何処からかその白髭男性の頭にうずらのゆでたまご一個が直撃した。白髭男性はあまりの痛さに頭を押さえた。
「茶番は終わりだ!さっさと出てけ。さもないと俺自身の手でおまえ達を選定してやるからな!」
「2」
市長と住人達が去った後、彼らは街外れの教会の墓地へ向かう。
「大丈夫?オルデン」
「あー、なんとかな」
オルデンと呼ばれた白髭男性は長身女性ルネからタオルを手渡され汚れまわりを拭く。
「オルデン隊長も黙ってないでやり返せばいいのに」
小柄な少年アレンはファインティングポーズをして拳を繰り出す素振りを見せる。
「いやいや、わしらはあくまでも平和的でいかなければならんのじゃ。王様の意向もあるからな」
オルデン達は王の勅命によりキ族と死者が棲む國から生者の国に出向き人々を選定して優れた者を集めている。
しかし選定にはリスクが伴う。下手をすれば選定を受ける者にとっては大事なアレが奪われるからだ。
そのためオルデン達の選定で奪われた国は数知らずオルデン達を入国禁止する国まで現れた。
「ついたわよ」
オルデン達は目的地の墓地につく。
「次の目的地はなんじゃったかな?」
「えーと、たしか日本の石山県です」
「そうか、あそこはサカナが美味いらしいからな。じゃあルネ頼むぞ」
ルネはうなずき、右手をかざしてビキビキと黒い渦が開き次第に人が入る大きさまでなる。そこからアレン、ルネ、最後にオルデンが中に入ると同時に黒い渦は消えた。
ーーTANABE-YAKITORI店ーー
~♪
店内にはピアノのジャズ曲が流れてカウンター席とテーブル落ち着いた洋と和が混ざり合う。
壮年のオーナー男性シェフが鶏肉と野菜が焼くにおいで客達は食欲をそそる。
この店は昨年オープンした洋風やきとり専門店である。
とそこに3人組の客が来店する。
「いらっしゃいませ……!?」
彼らを見るなりシェフは目を見開き、思わず自分が焼いてる串を忘れそうになる。シェフはその場で持ち直し、3人分の冷水を汲んで配る。
彼らはオルデン達だった。
オルデン達はカウンター席につく。
「ご注文は?」
シェフからは嫌な汗がかいており、緊張してる。オルデンは連れの代表となって注文をとる。
「店のオススメ定番メニュー」
「わかりました」
シェフは早速、調理をする。まず野菜は石山県産のブランドネギ、最高級の脂がノル鶏肉を使い、味付けには石山県の近海で取れる日ノ本塩で勝負する。その炭火で焼く充満するにおいでオルデン達は笑みを浮かぶ。そして十分焼き上がるとシェフはそれぞれ皿に盛り付けて配る。
「どうぞ。田辺のイシヤマフレンチモモ肉の焼き鳥になります」
オルデン達はうなずき焼き鳥をかぶりつく。
オルデン達は無我夢中に焼き鳥を食べている。
それも当然であった。
なぜなら彼らが食べさせたのはこの店では最高級の品であった。
食事を終えると彼らはおしぼりで手や口の周りの汚れを拭く。その後、彼らのうちで話し合いする。彼らの白熱する議論によりシェフの額からうっすらと嫌な水が流れ落ちる。そしてしばらくすると彼らの中で答えは決まったようだ。
「選定を行うか?」
「もちろんだ」
シェフの迷わない一言により、店の仕切りから出て彼らの前に立つ。
他の食事してる客からもざわめき始める。
「じゃあいくぞ」
オルデンの懐から剣のような形どった剣串を取り出してシェフに向かってかざす。
すると剣串の頭のとがった先から白いもやの渦が出る。
そしてシェフの口から青白いもやが出てかざした剣串に吸われていく。
「~!!」
吸われていくシェフは思わず声が出来ないほどなんとも言えないほど悶えていた。
しばらくして剣串は吸い付くしてもやは消えた。
シェフも解放されて息を吸い込む。
「終わったぞ。これは代金じゃ」
オルデンは剣串をしまい、黒財布から万札を取り出して支払い店を出た。
彼らを見送ると安堵した途端、シェフは違和感を感じ思わず口元を手でおさえる。
シェフは適当に先程の鶏肉を手頃な大きさを切り味付けして彼らが食べさせた焼き鳥を再現して焼く。そして出来上がった肉を食べて思わずシェフは言葉が出せなかった。アレが奪われた事を確認すると肩から崩れ落ちた。
ーー1週間後ーー
八木楓と永木桜と野花手鞠の少女3人はこの店に偶然立ち寄り建物眺めていた
「残念ね。あそこの店、張り切って盛り上げていたのに」
「そりゃ~仕方ないよ。アレを奪われたんだから」
ここの店にあった焼き鳥店は現在空き店舗になっていた。またこの店だけでなくオルデン達によってアレが奪われて店を廃業する店舗も出ていた。
「彼らは一体アレを集めてどうするつもりなのかしらね」
しばらくすると少女達は立ち去った。
「3」
ーー「カネワザおでん屋本川」ーー
~♪
店内では親父の趣味のクラッシックの曲が流れる。
この店の料理長である親父はつけたおでんの具材をいくつか取り出し皿に盛り付けて常連客の男性に渡す。
客は割り箸でおでんの具であるカニの香箱の中身をかぶりつき召し上がっている。
「大将~。腕を上げたねー♪」
「はは。いつもどおりさ」
親父と客は他愛もないアニメの雑談する。
そんな横目で憂いてる俺。
しかしそんな気にもせず客達が使った皿を洗う。
突如店の入り口の引き戸が開く。
「おう!いらっしゃい」
「!」
客は選定のオルデンとかいう奴らだった。
「大将、いつもの」
「わかった」
親父は皿を取り出しおでんの具材を盛った。
「……親父、例の奴らだぞ?」
親父に小声で教えたが親父は無視してオルデン達に品を出した。
「おまち」
「うむ」
オルデン達は出された品に手をつけて親父と雑談する。ゲームの話題で持ちきりだった。
そんな呑気に構える親父にため息を吐いた。
しばらくしてオルデン達は完食して立ち上がり、親父は店のカウンターから出て彼らの目の前に立った。
「じゃあ、いつものやるぞ」
「ああ」
オルデンとかいう奴は剣のような剣串を親父に向かってかざして選定を行った。
「~!」
剣串から青白いもやから出て親父の口からもモヤがでて、親父の口から剣串に吸い込まれるようなモヤがきて、親父は見てる俺が辛そうほど悶えていた。
しばらくすると剣串は十分吸い込んだのかもやは消えて親父は解放された。
オルデンは事が済むと剣串を丁寧に懐に仕舞って黒財布を取り出して俺がお会計してオルデン達は店を出た。親父は彼らを見送ると新たにおでんの具材を仕込みに取り掛かった。
「なぁ、親父はなんともないのかよ!?」
「あんなもんは大したことないさ」
親父はタバコを咥えてライターに火をつける。
俺は茶を飲む。
俺の名前は本川等、21歳。
タバコを蒸してるのは俺の実の父親本川鉄也であり、このおでん屋の料理長を務めてる。
俺たち親子は長年古く時代からおでん屋を営んでいる。親父は10年前死んだ祖父から店を引き継いで味の腕前もさっきの選定のやつらが毎週来るほどの折り紙つきだ。
で、俺はというと親父に弟子入りしたものの一年経過してるがおでんを仕込むのはまだ許されてなく、雑用と皿洗いばかりやらされている。いつかは親父の腕を認められて店を引き継ぐのが俺の夢だ。
「最近、やつらの目的はなんなのかな」
親父はタバコの煙を輪っかにして言った。
「なんでも國同士の戦争ためにアレが必要らしい。そのため俺たちみたいなものが白羽の矢が立ったらしい」
「だ、大丈夫なのかよ!?戦争て、親父は特に戦えるほどの力なんて持ってないだろ?」
俺は思わず声を荒げる。すると親父は甲高い笑いをした。
「ははは。大丈夫だ。やつらの國の戦争ていうものはごく平和的なものだ。それに選定というのは、俺たちみたいな者にとっては名誉みたいなものだな」
「はぁ……」
「そのうち逆に國から招待されるかもな?」と親父は張り切っていた。
と、誰かが来店する。
「いらっしゃい」
親父は吸ってたタバコを潰して応対した。
「いつもの頼む」
俺はギョッとする。そいつは頭が骸骨で出来ていたからだ!!
そして周囲には小さな妖精が飛びまわっていた。
親父はいつものように皿を盛り付けて品を出した。そして次に小皿を出して妖精が食べやすいように出した。
骸骨頭と妖精は食事を堪能していた。
「4」
ーー「石山県鐘技市鷹町永木ホテル40階三つ星高崎レストラン店内」ーー
「そうですか、高崎さん所にも来たんですか」
「僕は選定に熱心じゃなかったから、彼らは
普通に食事してそのまま帰ったよ」
八木楓、永木桜、加えて梅田虫男の3人は久しぶりに高崎のレストランで夜の食事をしていた。高崎オーナーは立ちながら楓達と世間話している。
「でも、選定って強制的じゃないんだよね」
「まぁ、彼らも本気で星を取る気はなかったでしょうね」
楓はカボチャスープをすくって飲んだ。
「星と言えば星バカだが、あいつ今何してんだ?」
「星夏さんなら海岸から見える星空でグラビア撮影してますよ。なんでも張り切ってましたから」
「星夏ちゃんノリノリだったね」
「ノリノリ」
「ノリにノッてるな。まぁあいつも信者だから星に関するものはやり込むからな」
虫男はノリノリで赤ワインを口に含む。
店員が弁当容器を運んできた。
「お待たせしました。ノリ弁です」
「きたきた♪」
楓達はノリノリトークしながら、店のオーダーでノリにノッたノリ弁を注文した。
ーー「カネワザおでん屋本川」ーー
親父はいつものようにおでん仕込んでると仕込む箸を地面に落としてしまう。
「おい、親父!」
親父は顔が赤く身体はフラフラで思わず俺は支える。
「親父酷い熱じゃないか!?今日は店休もうぜ」
「だ、大丈夫だ。これしきくらい」
親父の額を手に合わすと熱かった。親父の身体は生まれつき身体が弱い。
「なー。無理すんな。1日くらい休んでも罰は当たらないって!」
「だめだ!今日は絶対避けられない選定があるんだ!」
と、親父は手を振り払う。
「そんなに選定が大事なのかよ!?親父!無理すんな」
と、ちょうど親父と言い争ってると客が来店する。
「大将、本日最終選定を行うぞ!……ふむ」
オルデン達が来たようだ。親父を見て悟ったようだ。
と、親父は不意に気を失い倒れてしまう。
「親父!?」
俺は親父にかけよる。
「待たせたな」
と、オルデン達から後を遅れてやってきたのはどこぞの派手で高貴な羽衣と頭に何やら漢字の一文字の冠を被った黒髭を蓄えた中年男性が現れた。
「わしの名はオーデン・ソードキングⅣ世である。わし自ら最終選定を行う。してオルデン」
「はっ!」
「今回選定を受ける者はどなたじゃ?」
オルデンが言いかけようとした時、俺は迷わず、
「俺です!俺が今回選定を受けます!」
俺は親父の代わりに選定を受けることを決めた。
と、オデンⅣ世は自分の蓄えた髭をさすって言った。
「ふむふむ。よかろう。では一つだけ確認したい事がある。そのつけたおでんを仕込んだのは貴方か?」
「はい!」
「あい。わかった」
「5」
オデンⅣ世とオルデン達はカウンター席についた。
そして俺は倒れかけている親父を抱えて休憩室に休ませた。
俺は戻るとオーダーを取った。
「ご注文は?」
「オルデンが食べてるいつもの」
俺はうなずき皿にいつものようにおでんの具を盛り付けていく。普段からオルデン達が食べてるのを観察してるのでわかっていた。
「どうぞ」
「いただこう」
オデンⅣ世は出された品を手につける。ゆっくりと箸を進み無言で食べる。俺は緊張のあまり唾を呑み込む。ちなみにオルデン達は王の御前の前であるため遠慮した。
そしてオデンⅣ世は完食すると箸を置いた。
「では、そなたに最終選定の結果を申し渡す。受け取るがよい」
俺はオデンⅣ世の目の前に立ったことを確認すると、ふところからオルデンよりも立派な大きい剣串をかざした。
そこから勢いよく俺の口から白いもやの渦から剣串に吸い込まれていく。俺は悶えつつも必死に耐え切った。
オデンⅣ世は事が済むと剣串を仕舞い、次に立派な財布から一万札をカウンター席にそっと置いた。
「釣りはいらぬ」
オデンⅣ世はそう言って、店の出入り口に向かい去り際に再度言った。
「オルデンよ」
「ハッ!」
「この店にもう来ることはない」
オデンⅣ世とオルデン達はそのまま店を出て行った。
俺はしばらく呆気に取られてる時、ある違和感を感じて、おでんの具材を取り出して味見をする。それを気づいたときはもうすでに手遅れだった。俺は声が出せないほど嗚咽が出て泣き崩れていた。
ーー「カネワザ焼肉だらだら店内」ーー
「お待たせしました。イシヤマ牛タンです」
「おうきたな」
出された肉品を虫男は割り箸で焼いていく。
「ちょっと!?虫バカ、トングあるからそっちに使いなさいよ」
星夏は虫男にマナーを注意するが無視する。
「北臓さん。どうぞ」
「いやー、すまないね。花郎さん」
花郎は北臓にビールをお酌する。
「あ、この肉焦げてるよ」
翼は焦げてる肉を取り出して食べる。
楓達は北臓の奢りで焼肉をご馳走してもらった。
当初は八木楓、永木桜、梅田虫男、野花手鞠、部下の南田数人連れを誘う予定だったが虫男の計らいであれよこれよ誘ってるうちに知人と友人に釣られていき数十人も膨れあがってしまい、かなりの予算オーバーになってしまった。北臓本人は特に気にせず喜んではたいてくれた。ちなみに先月イシヤママンボウ宝くじで100万当たったのでそれほど出費は痛くなかった。
「そう言えばあの選定の人達もばったりいなくなったね」
桜は牛タンをレモンをつけて食べる。
「まぁ、彼らかすればシタ見のようなものですからね」
「選定でかなりのアレを奪われたらしいからな。ま、この業界バカ正直じゃない社会の闇だな」
「私、アレを奪われたらこの業界生きていけませんわ」
星夏は口元の汚れを星柄のハンカチで拭いてる。
「僕もそうですよー。でもアレを奪われたらなんとかやっていけるけど仕事や生活にも支障きたすから一般人も困るじゃないかな」
「私も困りますね」
と、楓は山羊の肉を焼いた。
ーー「????カラオケ店」ーー
「オレの~おしい花~♪」
オルデンの熱唱によりルネ、アレンは拍手する
「オルデン隊長、次僕やらさせてください」
「あら、次わたしよ」
アレンとルネは言い争う。
「まぁ、まぁ、選定の時間はたっぷりあるからな」
オルデンは自分の喉を確かめながら発声練習していた。
店から出ると辺りは建物が廃墟だらけのゴーストタウンだった。オルデン達が向かう先の背後には無数の青白い人達を連れていく。これらは全て選定でスカウトしてきた人達であった。
「じゃあ。次はここにしよう」
オルデン達が入った店の隣にある案内看板に
『独歳市へようこそ』と書かれていた。
おでんソード 完
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