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鐘技怪異談W❸巻【完結】

118話「マジギレZAN〜斬〜」

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「壱」

 ズシン、ズシンと校内が適度に揺れる。
 それらは全てとある生徒の所為であるから。
「……なぁ、もう少し静かに歩けないのか?」
「ウッス!すいやせん!」
 担任の正夢の問いかけに体育系ノリで話す彼女。
 彼女は大の大人正夢でもすっぽり隠れそうな体格の持ち主だった。
 ガチンコで喧嘩を売り出そうなら大抵の野郎達は返り討ちにされそうだった。
「もうすぐ着くから、なるべく大人しくしろよな」
「ウッス!」
 少し正夢は不安になりながらも目的地の教室に向かうだった。

 ーー鐘技高校2年3組クラス内ーー

「……ねー?あの机どう思う」
「ヤバいよね。あの椅子もそうだけど」
 クラスメイトなかではすでに転校生が来ることは持ちきりだった。しかしながら特注品である机や椅子のビックサイズを見てクラスメイト達のなかでは不安になっていた。
「よし、おまえら席についとけ」
 と、早速担任教師の正夢が来てクラスメイト達は席についた。
「……おまえ達に言っとくが驚くじゃないぞ?」
 と、緊張のおもうちで話す正夢の表情から見て例の転校生だと知る。
「入れ」と合図をすると早速転校生が教室内に入るが教室の入り口の扉の戸が体格に入りきらずに壊してしまった。
「……」
 その光景に生徒たちは恐怖で体が震えてしまうほどだった。
「ああ。また壊したか。……じゃあ、自己紹介頼むぞ馬具野」
「ウッス!」と体育系ノリで彼女は教壇の前にたち、自己紹介を始めた。
「あたいの名は馬具野絵瑠胃奈バグノレイナです。身長266センチ体重166キログラム 、スリーサイズはオール166!全て6をキープを維持してます。よろしくオネガシャス!!」
 彼女の馬鹿でかい自己紹介により教室のガラスを破壊するほどの爆音量に耳を塞ぐ生徒たちは気を失うほどだった。
「……馬具野少し声のトーン下げような」
「……ウッス」
 絵留胃奈にとっては最悪な転校生デビューの幕開けだった。

「ニ」

 あーあ。やっちゃったな。
 転校初日でやらかしたあたい。
 あたいは馬具野絵留胃奈。歳16ほど。
 大事なことは二回紹介した。
 自己紹介した後、みんなはあたいを腫れ物あつかいするかのように遠ざけてしまった。
 前の國の学校もこんな感じであったからな。
 そんな感じで授業もうわの空で放課後になるとあたいはそのまま帰宅の準備しようとすると、あの雪みたいな白い肌をした黒の着物きた女子生徒の元にクラスメイト達が集まるのだ。
「今回、紹介する怪異談は回乱BAN!です」
 (かいらんばん?)
 どうやら、あの鐘技友紀という女子生徒が怪異談を披露するみたいだった。
 あたいは少し立ち止まり何気に聞いてみた。
 そのゾクッとするような不気味な感じする怪異談に虜になっていた。
「以上よ。あなた」
 あ、ヤバ。
 相手はあたいに気づいてたようだった。
 そのときにいかに言い訳するかのように考えていると、取り付く暇もなく友紀が言った。
「あなた。私の怪異談はどうだった?」
 どうやら、感想を求められているみたいだ。当然あたいは正直に答えた。
「……こわくておもしろかった」
「そう」と友紀はあたいの反応を見て笑いかけた。
「ねー?馬具野さんも部活入らない?」
「そうだな。ま、本人よければな」
「え?え??あたい部活入ってもいいの?」
「当然だぜ。どんな野郎でも歓迎だぜ」
「……」
「どうしたの?馬具野ちゃん。泣かないで」
 初めて嬉し涙を浮かべた。
 このときあたいが友人が出来た瞬間だったから。
 この時喜んであたいは部活に入部した。

「三」

 ーー部室内ーー

「じゃあ。次は私ね。怪異談猫にごはん。あれはそう私の飾ってる肖像画の猫がねーー」
 あたいは正式に入部して部員達の怪異談を楽しんでいた。
「以上ね。次は馬具野さんお願いできるかしら?」
「ええ!?あたいが?無理だよ~」
 まさかの指名である。
 あたいは今日初めてお披露目という形だったからろくにネタとかなかったのである。
 そんな見かけた友紀さんがアドバイスしてくれる。
「大丈夫よ。そんな時は私たちが披露した怪異談を借りてお手本にすればいいのよ」
「そう、そう私も最初パクってやったからね」
「借りる……パクる」
 ふむ。それならあたいも出来そうだ。
 あたいは静かに目を瞑り瞑想する。
「ムムム」
「むむむ?」
「ムーチョランナデシスカ?」
「ムータイムズホームベリチョマカ」
 あたいは恵と謎の交信電波のやりとりした。
「あなたたち私たちに分かるような言語を会話しなさいよ」
 ふむ。少しやりとりしてるうちに遊んでいたが少し見えてきた。
「ひらき明太そばつゆよ。怪異談回乱BAN!を借りてお手本します。怪異談マジギレZAN~斬~ごゆりとご静聴下さいませ」
「マジギレZAN……元ネタの原型がとどめてない」
「なんか強そうだな」
 一応掴みはつかんだ。ここであたいは怪異談マジギレZANを披露した。

「四」

 ポツンとたたずむ村はずれの山道。
 そこに首無しの首玉地蔵が祀られている。
 毎年の夏頃に首玉地蔵に手頃な石をお供えという風習の決まり事があったから。
 その供えた石は一年経過すると忽然と無くなるのだった。
 そんな村の風習も数百年経過すると次第に廃れていった。
 そんな丁度決まり事を辞めてから十年経過した夏頃に悲劇が起こった。
 とある晩遅く夜道に村の若者達がそこでたむろしていると、その首玉地蔵の周辺にうろつく首無しのサムライがいた。
 若者達はその場に目撃すると何故か身動き取れず金縛りのように止まってしまった。そして首無しサムライは若者達に気づいてその場に駆けて一閃して若者達の首を綺麗に刎ねた。

 次の日、早朝、山菜採りに来た男性が首玉地蔵を見て悲鳴をあがる。
 それは首無し地蔵の頭に首を刎ねた若者達が供えられていたから。


「重くみた村の重鎮達は風習をないがしろせずに毎年首玉地蔵に石を供えるようにしたわ。あたいの怪異談は以上ね」
「……」
 みんな静かまりかえっていた。
 やっぱり土壇場で披露したけどダメだったろうか?
 すると、恵ていう子がパチパチと拍手を始める。それを釣られてみんなも拍手をし始めた。
「あ、ありがとう」
「よかったわ。馬具野さん」
 部長の友紀さんにもあたいの怪異談を褒めてくれた。
 あたいが唯一初めて友人達を引き合わせるきっかけとなった怪異談は現在大人になってもごくたまに披露してる。

マジギレZAN~斬~  完
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