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鐘技怪異談W❷巻【完結】

115話「うらみのマーク」

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「1」

 ーー「カネワザスーパーストア店」ーー

 ここは鐘技市内に展開するスーパーマーケット。
 さまざまな野菜、果物、魚、肉などが鐘技市内に揃う。
 そしてここではタイムセールスが盛んである。
 そう、その時間帯に狙って値引きの品を狙う私鬼村星華もその1人だ。
 と、丁度そこに半額のシールの値引きしてある御惣菜が貼られてるの見て私は狙いを定めた。
 ふむふむポテトサラダ、アジのフライなどリストアップしていく。
 私は今晩の夕食のおかずをイメージしてリスペクトしたあと狙い定めてつかむ。
 見事にポテトサラダ掴もうとしたが先に取られてしまった。
 気を取り直して他のやつも取ろうとしたが根こそぎ奪われてしまった。
 くやじぃー。
「おっ?星華じゃん」
 とその訛り癖の声は。
「む?来たわね!永遠のライバル」
 私の永遠ライバル鐘技友紀がいたから。

「2」

「ありがとうございました」

 私たちはスーパーで買い物終えると徒歩の帰り道ながら会話する。
「そっか。すこし遅くなったべか。あそこのスーパーは人気あるべからな」
「私も運が良ければたくさん買えるけどね」
 あのスーパーではかなり半額値引きやタイムセールスをよく頻繁に行うから、通常のスーパーより利用客は多い。今日はたまたま客が多かった方だから。
「いっそのこと値引きシール貼りつけておけばいいのよ。あらかじめね」
「はは。そんなことすればどこか儲けできなくなるから、潰れてしまうだべよ。それをうらまれるほどに……ね」
 友紀のつぶやいた瞬間、時が止まったかのように背筋がぞぞっとくる感じが、した。
「ふー。勿体ならずに早く披露しちゃいなさいよ」
「ふふふ。じゃあ披露するわね。あれは鐘技中学校に通う少女はーー」

「3」

 ーー「鐘技中学校2年3組クラス内」ーー

「おはよう」
「おはよう」
 登校してくるクラスメイト達は会話が賑やかである。
 しかし、そんな私が挨拶かけることができないほど根暗である。
 私の名前、佐藤順子。
 いじめられてはいないが存在いるかいないかの瀬戸際の私。
 いつも親友と呼べるほどの友達おらずぼっちで昼休憩時間帯は決まってトイレの個室に入り1人寂しく食べていたから。
 そんな日常に嫌でも私は耐え切るしかなかった。

「4」

 放課後、ろくに部活と呼べるほどのなかった私はいつものように早めに帰宅する。
 私はいつも浮いてる存在だった。
 なぜならクラスでミスを犯したから。
 ミスは私が自己紹介でつい趣味が昆虫採取であることにいろいろと自分語りをしているとみんなから避けられるようになってしまったからだ。次第に私も避けられていることに知ってしまい、いつのまにか根暗な存在として扱われるようになったからだ。
 そんな私自身わかってるから、来年から高校受験だからあと2年我慢すればなんとかなると思っていたから。
 でも、もし高校生になってもそうなるのかなぁ。
 と、不安になっていた時男の人が私を尋ねてきた。
「お嬢さん。そこのセミロングのお嬢さん」
 その人は怪しい黒の蝶ネクタイした黒のスーツを身に固めた中年男性紳士だった。
「あの……私になにか御用ですか?」
「はい。あなたにとてもピッタリなモノを授けようと思いましてね」
 私は不思議にその人に真摯に耳を傾けていた。


 ーー「数日後」ーー

「おはようみんな♪」
「おはよう順ちゃん」
 みんなは根暗だった私に注目してくれる。
 常に気にかけてくれるから、自然と私も明るく振る舞えることができる。
 あの怪しげなおじさんのおかげである。
 この「みんなのマーク」の花柄のシールのおかげである。
 このシールを身体に貼り付けるとみんながその人に注目してくれるのである。だからみんなも私に注目してくれて人気者になるのだ。
 しかし、効果は効きすぎるので注目したい時にだけ貼り付けるようにしている。今までは嘘のような嫌な日常が楽しい日常に切り替わっていた。
 私の人生の中で唯一高揚感があふれていた。
「順ちゃん。一緒にお昼食べよう」
「うん。いいよ」
 もう、ぼっちでトイレで食べることはなくなったのもこの日だったから。

「5」

「おはよう」
「おはよう……?」

 いつものように登校して挨拶するとみんなはよそよそしたかったのでなんでだろうなと思っているとどうやら、剥がれていたようだ。そこで私はいつものように身体を貼り付けるとみんなはいつものように気にかけていた。
 そう、この時からみんなの本性を曝け出したのこの日だったから……。

 私がいつものようにお昼で弁当を食べているとみんなからディスっていた。
 そう、便所飯というあだ名がみんなから定着されていたから。
 帰宅する時、外履きの靴や傘が全てゴミ箱に捨てられていた。
 どうやら、全てみんなのマークのせいだった。
 シールを剥がそうにも外せなかった。
 私は怖くなってそのまま学校から遅く帰宅するようになった。


「そうですか。だからあなたは私を探しに来たんですね」
「お願いします」
 みんなのマークを逆さに貼り付けると逆怨みのマークになるらしい。なので一度貼り付けるとなかなか外せないみたいだった。
 先程のおじさんに頼んでようやくみんなのマークを剥がすことができた。

「6」

「おはよう」

 クラスメイトは私の事を気にかけない。
 なぜなら、私はすでに死んでるから。
    案の定クラスメイトは誰も悲しむ者なんてなかった。
 そして昼休憩時間帯はクラスメイト達は弁当を持ちトイレの個室で食事する。
 そういうふうに仕向けたのは私だから。
 このみんなのマークを裏にクラスメイト全員の身体に貼り付けたので永久的に外すことはできない。おそらく死ぬまで剥がすことはできないだろう。
 そう、死ぬまで生前の間は苦しみを与えるといいわね。


 ーー「鐘技高校1年3組クラス内」ーー

「鬼村星華さーまーのーおーなーりー」
 いつものように下僕達が出迎えてくれる時、私はいつものように下僕達に気にかける。そこでヒソヒソと会話する下僕の耳を傾ける。
「聞いた聞いた?例のうわさ」
「あー。聞いたあのうわさだろ」
 うわさという耳をさらに傾ける。
 しかし、うわさというしか出てこないのである。
 やはり、私のいけないうわさなんだろうか?いやいや。私の家庭事情はみんなは知ってるはず。いやいや、やはりあのことなんだろうか?いやあれか?それなのか??という悶々とした表情で私は耳をピクピクと傾けるのだ。
「ほら、やっぱりでたわよ。あの耳」
「ああ。いいですわ。あの耳」
 後日、私の耳がうさぎのようにピクピクと動くといううわさが立てられていた。

 うらみのマーク   完
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