[全221話完結済]彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる

野花マリオ

文字の大きさ
上 下
172 / 268
鐘技怪異談W❹巻【完結】

129話「ゴカイエレベーター」

しおりを挟む
「1」

 ーー「カネワザショッピングモール店エレベーター内」ーー

「こらこら。エレベーターボタンいたずらしちゃダメでしょ!」
 母親がエレベーターイタズラする子供に対して叱るのはよくあるあるだった。
 でも、私は知っている。
 エレベーター内でイタズラにボタンを押したらすることに……。
 聴かせてもいいかしら?
 そんなゴカイする恐ろしい怪異談に……ね。


 俺はバイト終わりに友人と帰り道だった。
 その間に俺と友人の間でガチャの話題で盛り上がっていた。
「やっぱり回すにはさー。単発が1番ええよなー」
「そうか?俺は石を貯め込んで一気に放出がええと思うがな」
 他愛もないくだらないいつもの話題だったのだ。
 しかし、俺が旅行したいという話題に移ると友人が薦めてくれた。
「それなら、いいのがあるぞ。おまえも来い」
 と、友人に言われるがままについてくことにした。

 ーー「とある廃墟のビル内」ーー

「ここだぜ」
 そこは誰も使われてなさそうな廃墟のビルだった。
「おい?大丈夫なのかよ!?一気に崩れ落ちる心配ないのか?」
「ははは。大丈夫だぜ。お前も入れよ」
 友人は蜘蛛の巣や埃などかき分けながら建物に入るとき俺も入る。
 そこにポツンと佇むエレベーターが設置していた。
 そして友人はエレベーターの足元に描かれてる赤い線を確認した後言った。
「うん。今日は1回やれるな。軽く説明するとな。このエレベーターはするんだよな」
「ゴカイ?……なんだよそれ」
「まーやればわかるだろう」と友人は早速エレベーターのボタンを開けてそこに見慣れない「回転」というボタンを押すと電光表示階数がバグりランダムの数式に変化して「ゴカイです」とアナウンスされてどこかの階数にたどり着くとそこは熱気に包まれるアマゾン熱帯雨林ついたのだ。
「こ、これは!?一体なんだ?」
「驚いたか?これはなしたから俺たちはワープしたんだよな」
「ふむ。異世界転移みたいなものか」
「違うぞ。このゴカイは俺たちの世界にある場所に転移したすぎない。スマホ見ろよ。ちゃんと表示されてるだろ?」
 ふむ。たしかにそうだな。
「なー?元の場所に戻る時どうすればいいんだ?」
「それなら普通に5階ボタンで戻れるぞ」
 と、友人が5階押すとそのエレベーターが閉じて元の場所に戻った。
「へー。じゃあ旅行し放題だな」
 俺が回転ボタンを押そうとすると友人が遮る。
「待て!今日はしてるようだ。見ろよ赤い線が4つ線引かれてるだろ?ゴカイ以上するとわけがわからない世界に迷い込むからな。1日ゴカイまでなら大丈夫だからな。このエレベーターは」
「そうなんだ。じゃあ来週の日曜日俺休みだから。そこまで我慢するよ」
「俺も行くぜ。来週の日曜日の早朝になるべく早い時間に来いよな」
「ああ。わかった」
 俺たちはその場でお開きした。

「2」

 ーー「当日」ーー

 早朝早い時間帯に来た俺は待ち伏せしてる友人とエレベーター内に入った。
「今日は何名きた?」
「一名だな。その方は管理者だから、早めに来て赤い線を消していくんだぜ」
「お?じゃあ4回もやれるな」
「アホ。後の利用者も考えろよな。俺たちが利用できるのはせいぜい1、2回だ。2回でも多いくらいだぞ?それ以上やると、晒し者させられるから注意しろ。あの監視カメラがそうだからな」
 と、友人の指摘通りに監視カメラが設置されていた。
「おう、気をつけるよ。じゃあ早速やろうぜ」
「ああ」
 俺たちはゴカイした。
 最初はどこかの山奥だったが途中から寒くなったので断念して元の場所に戻った。そして次はどこかの水族館だった。優雅に泳ぐ魚達を鑑賞して充分堪能させてもらった。

「3」

 俺はSNSの友人達にもゴカイエレベーター広めるとたちまちに火がついてトレンドになった。
 しかし、そのおかげでゴカイエレベーターが有志の間で完全予約制になってしまった。
 その時、彼らもゴカイしていたから……。

 ーーーーーー

「クソッタレが!!誰だよ!?バラしたやつは!!見つけたらタダじゃおかねーぜ!!」
 友人はキレていたが俺は黙っていた。
 なぜならバレたら半ごろしされるからな。
「……じゃあ。そろそろいこうぜ」
「ああ!そのために入念入りに準備していたからな!!」
     俺たちは防寒具などさまざま環境に対応できるモノを準備していた。
 俺たちは早速ゴカイを押す。
シテマス」
 そのアナウンスに奇妙な違和感が感じていたが俺たちだけでなく前の利用者もゴカイしていたようだ。
 俺たちはゴカイしてしまった。なぜならそこは見慣れない墓地だったから。
 その後、俺たちの行方を知る者はいない。

「4」

 私がとある場所でエレベーターのボタンを開きボタン押すとそこに彼女がいた。
「ごきげんよう。友紀さん」
 私はそのまま彼女とエレベーターに乗る。
 彼女は何も語らないしそこまで親しくない。
 私は彼女のことをゴカイしてるだろうか?と彼女はクスと笑った。
「私、あなたの事ゴカイしてるわね」
「え?」
 そしてエレベーターは5階に着くと彼女はそのまま降りた。
「……」
 彼女はそのまま最後まで私を見つめていた。
 その時、私の背筋の肩がブルっと寒さで震えていた。

ゴカイエレベーター  完
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

赤い部屋

山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。 真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。 東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。 そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。 が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。 だが、「呪い」は実在した。 「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。 凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。 そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。 「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか? 誰がこの「呪い」を生み出したのか? そして彼らはなぜ、呪われたのか? 徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。 その先にふたりが見たものは——。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...