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鐘技怪異談W❹巻【完結】
130話「馴染みの客が注文する料理店はいつもマズイ」
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「1」
黒岩と私は近くの居酒屋に向かった。
「お嬢。ここは私の奢りです」
「あら、遠慮なくいただくわね」
黒岩の奢りと聞いて遠慮なく注文する私。
今日の黒岩は珍しく懐が暖かったみたいだ。
しかし、途中で財布の中身をチェックすると顔色が悪くなるのはどうしてかしらね?
「どうしたの?黒岩、顔色悪いわよ」
「……ははは。いや、その」
どうやら、この店のメニューの値段見て思わずマズイ状況になったみたいだ。
仕方なく私の財布から出すことになって割り勘となった。
そんな、マズイ立場になった心境な怪異談があったためその場で披露することになった。
「2」
とある飲食店業界で噂があった。
なんでも出される料理を食べていつもマズイという客の存在が……。
その客にマズイと言わせたらたちまち繁盛するという。
そんな俺が出される料理はーー。
ーー「俺のスープ店内」ーー
俺はいつものようにスープを仕入れる。
この店は俺がウマイと思わせるスープ専門料理店だ。
しかし、あの客が来てからは閑古鳥が鳴くほど店は繁盛してない。
と、珍しく店の扉の引き戸が開けられる。
「いらっしゃい……て、あんたか」
「大将♪来たわよ。例のスープお願いね」
そう、例の彼女がいつもマズイという客だ。
しかし、俺が出す料理を食べると違うのである。
そして、いつものように彼女にスープをお出しする。
「うーん。今日も美味しいわ」
それを聞いて俺はがっくりと肩を下ろす。
やはりダメだった。
彼女は俺のスープを味わうといつもウマイと言う。
彼女は名を知れた美食家でもあり、店はないがしろできないし、別に営業妨害をしてないからな。
そのため店は彼女がもってるみたいなもんだった。
彼女はスープを完全飲み干したがマズイと言わせたことがなかった。
俺のスープが何がいけないだろうか?
俺は自問自答を繰り返しながらスープの試行錯誤を練り直した。
ーー「次の日」ーー
「いらっしゃい」
いつもの客が訪れてきた。
「大将いつもよりいい匂いするわね」
「そうだろう。そうだろう。少し香草を入れてみたんだ」
今回のスープは自身があった。
そして俺は秘伝のスープを彼女にお出しする。
すると彼女はスプーンで掬い味わって言った。
「うーまい」
今回もダメだったようだ。
一体俺のスープが何がいけないのだろうか?
やはりスープ自体ダメなんだろうなと。
今回も彼女は残さずスープを飲んでくれた。
しばらく俺はスープの研究した。
そして流行りの店や若者向けの味付けを研究してるうちに客がポツポツと入るようになった。しばらくして彼女もいつのまにか店に来なくなった時期が重なるのもそれだったから。
ーー「とある日」ーー
店が老若男女で活気だった頃。
彼女は珍しく店に訪れていた。
俺は自信があった。
なぜなら、大勢の客はいつもウマイと言わせてるからな。
そんな彼女に特製のスープをお出しした。
すると彼女は「マズイ!」とようやく言わせた。
やったぞ!と俺は喜んでいたが彼女はスープを残してお会計済ませた後、そのまま出ていった。
そして、彼女がマズイと言わせた以降店には客がよりつけなくなった。
俺は初心に還り、スープの素材を最初に戻したが失った客は取り戻せなかった。
彼女のマズイは本当にマズイに変わっていたからだ。
俺は大事なモノを見失っていたのだ。
そう、取り返しつかないほどの大事なモノを。
あれから数十年、俺は待ち続けていた。
姿が変わらない彼女がこの店に再び戻ってくることを。
そしていつものように老体にムチを打ってスープをお出しする。
彼女はいつものようにゆっくりと全て飲み干してくれた。
そして俺の顔を見て手を振ってそのままスゥーと煙のように姿を消した。
彼女は最期まで何も言わなかったが俺の中では大変満足していた。
「3」
ーー「鐘技家」ーー
私は珍しくカレーを作っている。
あー。いい香がする。
そんなときに黒岩がやってきた。
「おやおや。お嬢今日はカレーですか」
「そうよ。味見してくれる?」
と、黒岩に味見をすると少し険しい表情になってそのまま何も言わずに去っていた。
私はもしやと思いカレーの味見をしたが普通のカレー味である。
どうやら、例の怪異談に根に持っていたようだ。
そんな黒岩に唐辛子を10個ほど入れて口から火を吐かせる私だった。
馴染みの客が注文する料理店はいつもマズイ 完
黒岩と私は近くの居酒屋に向かった。
「お嬢。ここは私の奢りです」
「あら、遠慮なくいただくわね」
黒岩の奢りと聞いて遠慮なく注文する私。
今日の黒岩は珍しく懐が暖かったみたいだ。
しかし、途中で財布の中身をチェックすると顔色が悪くなるのはどうしてかしらね?
「どうしたの?黒岩、顔色悪いわよ」
「……ははは。いや、その」
どうやら、この店のメニューの値段見て思わずマズイ状況になったみたいだ。
仕方なく私の財布から出すことになって割り勘となった。
そんな、マズイ立場になった心境な怪異談があったためその場で披露することになった。
「2」
とある飲食店業界で噂があった。
なんでも出される料理を食べていつもマズイという客の存在が……。
その客にマズイと言わせたらたちまち繁盛するという。
そんな俺が出される料理はーー。
ーー「俺のスープ店内」ーー
俺はいつものようにスープを仕入れる。
この店は俺がウマイと思わせるスープ専門料理店だ。
しかし、あの客が来てからは閑古鳥が鳴くほど店は繁盛してない。
と、珍しく店の扉の引き戸が開けられる。
「いらっしゃい……て、あんたか」
「大将♪来たわよ。例のスープお願いね」
そう、例の彼女がいつもマズイという客だ。
しかし、俺が出す料理を食べると違うのである。
そして、いつものように彼女にスープをお出しする。
「うーん。今日も美味しいわ」
それを聞いて俺はがっくりと肩を下ろす。
やはりダメだった。
彼女は俺のスープを味わうといつもウマイと言う。
彼女は名を知れた美食家でもあり、店はないがしろできないし、別に営業妨害をしてないからな。
そのため店は彼女がもってるみたいなもんだった。
彼女はスープを完全飲み干したがマズイと言わせたことがなかった。
俺のスープが何がいけないだろうか?
俺は自問自答を繰り返しながらスープの試行錯誤を練り直した。
ーー「次の日」ーー
「いらっしゃい」
いつもの客が訪れてきた。
「大将いつもよりいい匂いするわね」
「そうだろう。そうだろう。少し香草を入れてみたんだ」
今回のスープは自身があった。
そして俺は秘伝のスープを彼女にお出しする。
すると彼女はスプーンで掬い味わって言った。
「うーまい」
今回もダメだったようだ。
一体俺のスープが何がいけないのだろうか?
やはりスープ自体ダメなんだろうなと。
今回も彼女は残さずスープを飲んでくれた。
しばらく俺はスープの研究した。
そして流行りの店や若者向けの味付けを研究してるうちに客がポツポツと入るようになった。しばらくして彼女もいつのまにか店に来なくなった時期が重なるのもそれだったから。
ーー「とある日」ーー
店が老若男女で活気だった頃。
彼女は珍しく店に訪れていた。
俺は自信があった。
なぜなら、大勢の客はいつもウマイと言わせてるからな。
そんな彼女に特製のスープをお出しした。
すると彼女は「マズイ!」とようやく言わせた。
やったぞ!と俺は喜んでいたが彼女はスープを残してお会計済ませた後、そのまま出ていった。
そして、彼女がマズイと言わせた以降店には客がよりつけなくなった。
俺は初心に還り、スープの素材を最初に戻したが失った客は取り戻せなかった。
彼女のマズイは本当にマズイに変わっていたからだ。
俺は大事なモノを見失っていたのだ。
そう、取り返しつかないほどの大事なモノを。
あれから数十年、俺は待ち続けていた。
姿が変わらない彼女がこの店に再び戻ってくることを。
そしていつものように老体にムチを打ってスープをお出しする。
彼女はいつものようにゆっくりと全て飲み干してくれた。
そして俺の顔を見て手を振ってそのままスゥーと煙のように姿を消した。
彼女は最期まで何も言わなかったが俺の中では大変満足していた。
「3」
ーー「鐘技家」ーー
私は珍しくカレーを作っている。
あー。いい香がする。
そんなときに黒岩がやってきた。
「おやおや。お嬢今日はカレーですか」
「そうよ。味見してくれる?」
と、黒岩に味見をすると少し険しい表情になってそのまま何も言わずに去っていた。
私はもしやと思いカレーの味見をしたが普通のカレー味である。
どうやら、例の怪異談に根に持っていたようだ。
そんな黒岩に唐辛子を10個ほど入れて口から火を吐かせる私だった。
馴染みの客が注文する料理店はいつもマズイ 完
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