[全221話完結済]彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる

野花マリオ

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野花怪異談N④巻【完結】

46話「絵じゃないか?」

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「1」

 夏場の7月頃に開催する野花祭り。
 客はかなり老若男女で溢れている。
 開催場所は最近新商店街として生まれ変わった野花商店街である。
 祭り催す屋台はここで見られない物がたくさん溢れている。
 名古屋コーチンを使用した焼き鳥屋
 フィギュアのくじ引き屋
 石山県産フルーツをふんだんに使用したジュースなど売られている。
「へー。結構賑やかだね。東京じゃなかなか見れない物あるね」
「ここでは有名企業やベンチャー企業なども参加出店してますから」
 八木楓、榊原羅奈、永木桜、野花手鞠4人組は祭り模様した浴衣を着ていた。
「ねー?あれ見て」
 桜が指す方向に楓達も注目する。
「あれって肖像画だよね?しかも買っていく人もちらほらいるね」
 そこの祭り屋台は人の描かれた肖像画が売られていた。
「ねー?なんで肖像画が売られてるの?この祭りに」
 と、手鞠の問いかけに楓が答えてくれた。
「あそこにあるのは野花怪異談にまつわるいわくつきの肖像画ですよ。……そう、彼らのための」
 桜と羅奈、手鞠は冷たい風が流れて思わず身体を震えた。
「ねー。楓よかったらそれ、聴かせてくれない?その怪異談」
「ええ。いいでしょう。そうあれは~」
 楓はその怪異談を語ってくれた。

「2」

 私は江野絵梨花。歳は25。
 私は絵を求めている。
 そう素敵な絵をね。
 この辺りの絵の専門店で探していると。
 何やら店の外が騒がしい。
 ふと、なんだろうと思い一旦店の外に出ることした。
「絵じゃないか?絵じゃないか?絵じゃないか?」
 なにやら通路の道端で肖像画の絵を持って絵じゃないか?と連呼しながら行進していた。
 私はその肖像画の絵を見て思った。
 大したことないわね。
 肖像画には男性が描かれていたがはっきり行って私の好みではなかった。
 そして何やら派手な赤いチャイナドレスを着た妙齢な女性が彼らの絵じゃないか?の祭り集団の中にいて普通に歩いて羽根のついた扇子を持ち扇いでる。
 そして私に気がつくと妙齢の女性が尋ねた。
「どう?この絵はですか?」
 私はもちろん答えは決まっていた。
「えーーーー。なんか不細工だし。私の好みじゃないから、わ」
 妙齢の女性はそこで扇子を閉じて頷いた。
「よろしい」
 と、絵じゃないか?集団はどこかへ立ち去った。

 ーー「????」ーー

 ある小さな焼却炉に絵梨花がええわと断った肖像画に次々と燃やされていった。

 「3」

 私は江野絵梨花。
 今日は同人アニメショップでキャラクター原画を観ている。
 そして店の外が騒がしい。
 思わず店の外に出ると、また先週に出会った絵じゃないか?の祭り集団と遭遇した。
 彼らが掲げているのはアニメ風デザインされたイケメンの肖像画だった。
 うーん。私は二次元は別腹なのよね。
 やっぱり絵はリアルの三次元に限るわ。
 そして例の妙齢女性が現れて言った。
ですか?」
「遠慮しとくのでわ」
「よろしい」
 祭り集団はどこかへ立ち去って行った。

 ーー「????」ーー

 とある焼却炉にあのイケメンアニメの肖像画が焼却炉にどんどん入れられて燃やしていた。



 「4」

 私は江野絵梨花。
 今日は美術館に来ている。
 今日も私の好みの絵が見つからなかった。
 そして諦めて外に出ると、この前にあった絵じゃないか?の集団は祭り上げせずに肖像画を携えて静かに行進している。
 そして彼らの携えている私は肖像画に注目した。
 これだ!私の運命の人!
 私はその集団に近づいて言った。
「お願いです。その絵と一緒になりたいです!」
 彼らは動揺した。
 そして彼らのリーダーであるあの妙齢女性が言った。
「本当にの?後悔はしない?」
 私は迷わず大きな声で、
「えーーの!私一目惚れなのその絵ががな!!」
 妙齢女性はゆっくり微笑んで言った。
「よろしい」
 そして祭り集団は私を拍手してくれた。


 ーー「とある結婚式場」ーー

 人だかりできる会場。
 そこに新郎新婦がやってくる。
 ただし、新郎新婦の両親である。彼らが携えてるの彼らの子である肖像画の絵である。
 そして神父の目の前には結婚衣装を身につけていた新郎新婦の肖像画が描かれていた。

 「5」

「という怪異談よ。ま、彼らはあの世の見合い結婚相手だからね」
 桜達は顔を引き攣っていた。
「まー。私たちも将来的結婚するのかなぁ」
「まだ先の事よ。今が楽しければいいのよ!」
「羅奈はこの間好きな先輩に振られたからね」
「ちょっと桜!待ちなさい!」
「ちょっと!?待ってよ」
 楓はこの桜達のやりとり見て楽しんでいた。


 ーーと、楓達の背後に見つめるモノがいる。


 それは両眼が黒く塗り潰された和服を着た少女。

 彼女は楓と似ていた。

 その時、楓自身も気づいておらず背筋がぞわぁと感じていたが特に気にしてなかった。
 そしてその少女はクスクスと笑っていた。

 絵じゃないか?   完
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