上 下
59 / 268
野花怪異談N②巻【完結】

27話「夢想家の君はとべるー①ー」

しおりを挟む
「1」
『夢想家の君へ、  
 わたしの夢は、青空より高く、  
 宇宙の彼方まで飛ぶこと。  
 でも、どうしたんだい?  
 君はなぜ、立ち止まるんだい?  
 飛ぶのが怖いのかい?  

 その気持ち、わかるよ。  
 わたしも、空へ飛ぶのは少し怖い。  
 だけど、空は君を支えてくれるよ。  

 え?まだ不安?  
 じゃあ、わたしが先に飛ぶね。  
 見ていてね。ぴょん、ぴょ~ん、と。  
 ほら、風を感じて浮かせるように。  

 さあ、次は君の番。  
 勇気を出して、一緒に跳んでみよう。  
 夢想家の君へ、  
 空を君の夢色で満たしてね。  
 いつだって、わたし達は見守っているよ。作:夢見飛鳥』




「おい、夢見!いい加減ちゃんと起きろよ!」

「ふぇわれぬれ~」

 俺は夢見を檄を飛ばして右腕を掴んで走る。
 俺たちは野花高校に急いで向かっている。
 今回夢見が通学時にいつものように寝坊して俺が迎えに行った時、玄関の前で布団を敷いて寝てるのは日常茶飯事である。夢見の家族はわざわざ玄関の近くにテーブル置き、食事している。彼女達の家族ではこれが当たり前の光景である。
 と。
 で、俺は何とか夢見を起こして食事をさせてトイレの中で制服を着替えさせた。
 も、もちろん俺は彼女と一緒にトイレは入ってないことだけ言っておくぞ!
 夢見は俺にリードされた状態で器用に居眠りしながら走る。
 ようやく学校の近くまで来ると生徒たちが通学してる。そこまで来ると俺たちは徒歩で向かい、俺が所属してる野球部達から冷やかしコールを受けても俺は知らんぷりしながら俺たちは学校の中に入った。

 ーー「野花高校1年B組クラス11時30分ーー

 梅田先生は黒板に『夢想家』と白チョークで書いた。

「えー。夢想家というのは、夢みたいなことばかり考えて実現できない人だな~。んで」
 梅田先生が俺に睨んで思わず教科書で顔を隠して夢見の方向をおそるおそる見る。
 梅田先生はゆっくりと夢見に近づく。
「ま、そこに夢を見てばかり現実を見ない。そこの目の前にいる奴のことだな。夢見」
 梅田先生の問いかけには動じなく堂々居眠りしてる夢見。
 そして何よりアレはまずいと思う俺。
「俺の授業を無視して堂々と居眠りするのは許そう……」
 梅田先生は般若の顔をしてわなわなと震えていた。
「……先生。俺は流石に止めたんですけどね」
 俺はきちんと理解するようにやらないよう説明した。ただ、夢見は半分居眠りしてたのか全く聞いてなかった。
 と。
 梅田先生は教室内全体を確認して深いため息を吐いた。
 そして夢見の足元からパサパサと何か落ちている。
「夢見だけじゃなく、この場でひとつ文句を言わせてもらおう。……おまえらこの状況で誰かおかしいって言えよ!?」
 夢見は自分の母親に髪を切らせていた。
 クラスメイト達全員は無言で無表情だった。
 夢見の両親は理髪店をやっている。
 俺のクラスメイトほとんどは夢見の理髪店で利用して散髪してる。俺もその1人で丸刈り坊主させてもらってる。
「あ、お母さん。少しよろしいですか?」
 梅田先生は夢見の母親の了解を得て、髪を切るの中断させた後、夢見に向かって息を吸い込んで、
「起きんかい!!」
「ひぎゃあッ!?」
 梅田先生の叫び声はクラス全体まで届いた。

 ー2ー

 ーー「同場所12時15分」ーー

「夢見さん。相変わらず居眠りしながら器用に食事しているね」
「そうね。彼女、一体どんな夢を見てるのかしら?」
 八木さんと永木さんは夢見が居眠りしながら器用に日の丸弁当を食べるの見てひそひそと会話してる。
「勝山くん。どうしたんだい?」
「……ううん。なんでもねぇ」
 一緒に食事してる和田岡がわざわざ遠目で夢見を見てるのを心配したようだ。
 と。
 俺は昆布巻き入りのおにぎりをかぶりつく。
 俺の名前は勝山大地。
 部活は野球部に所属して補欠である。
 そしてさっき居眠りしながら食事してる彼女が俺の幼馴染、夢見飛鳥だ。
 で、俺と一緒に食事してる四角縁の黒メガネしてる男子生徒は俺の親友、和田岡成斗だ。
 ちなみに和田岡は海苔弁を食べている。
 そして夢見に対してひそひそ会話してる彼女達2人は黒髪セミロングしてる八木楓さんと茶髪の永木桜さん。
 八木さんは家柄のしきたりで白粉肌にして、普段着も和服。
 永木さんは永木財閥グループの会長の孫でいいとこのお嬢さん。
 一応彼女達は食パンを召し上がっている。
 で、八木さんと永木さんは夢見と親しい友人柄なんだが夢見は1人で食事するのがいいらしい。
 その理由が夢を見たいからそうだ。
 夢見は毎日とべることしか考えてない。
 とべることならめちゃくちゃ真剣に取り組むがそれ以外はダメで成績も下の下。ギリギリである。
 と。
 とべることなるともう誰にも止めることが出来なくなる。この前夢見は、坂道を勢いつけて高台からとべるじゃないかと本気で考えたのでやめさせた。
 ちなみに夢見は煌めく長い黒髪と右目の泣きほくろの顔立ちとスラリとしたスタイルなので意外とモテる。
 告白された男子は全て玉砕されてる。理由は一緒にとべる人でないとダメらしいのこと。
 夢見はどこか頭のボルト一本取れてるのが俺たちクラスメイト全員同じ認識だ。
 で、こういう感じだから、先程弁当食べ終えた夢見はジュースと間違えてゴマだれドレッシングの容器を直接一気飲みして盛大に噴くのがいつものパターンである。
 と。
 星田さんがわざわざハンカチ持って夢見がこぼした汁まみれを拭いてくれた。
 彼女の紹介は以下省略ry。
「ちょっと!?扱いがひどくありませんの?」
 おっと彼女は誰に突っ込んでるのやら。
 星田さんはさっきから俺ににらみつけながらつぶつぶとつぶやいてる。
 その時、八木さんが星田さんに対してなんとかなだめてくれた。ちなみにこの怪異談では彼女の出番はこれっきりで終わる。
 と。
 あ、そうそうもう1人いたな。そこに作戦家である金髪のボブヘアーは天野つみれ。父親は自霊隊のバリバリの軍人であり、なんちゃらの突撃歩兵隊長であるらしい。その父親譲りなのかいつも作戦練ってるらしいから男には寄せ付けないオーラが出てる。

 (やれやれ)
 俺は残りのおにぎり全て喰らった後、お茶を一気に飲み干した。
「和田岡、学校終わったらいつものラーメン屋に行かない?」
「うん。いいよ」
 俺は和田岡に行きつけのラーメン屋に約束取り付けた。

 ーー「中山中華そば屋17時30分ーー

「はいよ。もやしニンニク入りラーメンスープ」
 俺達はいつもの日替わりスープを注文してスープに手をつけた。
 ここの店のラーメン親父は変わっており、いつもメニューがころころ変わる。
 たしか前はメンマのもやしサラダを出してくれた。
 俺達は麺が食べたいのだが親父は滅多に出せない。しかもここら辺でやってる飲食店はここくらいしかいないので住人もここよく利用する。
 と。
 俺の両親は共働きなので帰ってくるのはいつも遅い。なので俺が晩飯作る以外はこの店で済ますのがほとんどで今では常連客の1人である。
 (ハァー。チャーシュー麺喰いてー)
 厳つい親父姿を見て文句を言えない俺は諦めてスープを平らげた。

 ーー「勝山自宅19時30分」ーー

 ラーメン屋で食事終えた後、和田岡と別れて、そのまま自宅に直行してスマホやテレビを見る気力もない俺はベッドに潜り床についた。

 「3」

 ーー「????」ーー

 俺は目が覚めると誰もいない教室にいた。
 周囲を見渡すと教室には明かりがついていて窓の景色も多少明るかった。
 そしてしばらく地響きがしてだんだんと大きくなり全体的に適度で揺れていた。
「な!?なんだ?」
 俺は窓の外を目凝らして見ると、うぉっと驚いた。
 映画や特撮に出てきそうな怪獣らしきものが町を破壊しつくして暴れていた。
「……ウソだろ。めちゃ迫力ある…てか!?こっちに来る!」
 怪獣はゆっくりだがこちらに向かってくる。
「あわわ。どうする!?(ズシン)うぉ!?なんかめちゃ揺れた!?なんだ」
 俺は再度窓の外を注意深く見る。
 そこに怪獣と同じ大きさの少女らしき人物が戦っている。そして怪獣を俺にいる教室外の近くの場所に投げつけた。
 ズシンと教室内が大きく揺れた。
 (うぉっ!?まためちゃ揺れた。ん?女の子もこっちに跳んで向かってきた!!)
 少女らしき人物は一気に跳んで着地してズシンと建物内が一気に揺れた。
 そして俺は少女を見て愕然とする。
「え……?夢見!」
 右目なきほくろについて見慣れた顔、そしてうちの学校の制服。間違いなく夢見本人である。
 夢見は俺に気づいてないのか怪獣と対峙する。夢見は怪獣にプロレス技をいくつかしかけてくる。怪獣は夢見の圧倒にされるがまましてやられる。そして最後のトドメに夢見が飛んで一気に怪獣へ向かって踏みつけると怪獣は爆発した。
 夢見は怪獣を倒したことを確認するとどこかへまっすぐ空高く飛んで消えた。

 「4」

 ーー「勝山自宅05時08分」ーー

「ふ、フガッ!?」
 俺は目を覚ました。
 勢いよく身体を起こすと周囲を必死に確認すると、ここが現実だと分かると俺はホッと安堵した。
 身体の周りには嫌な冷や汗をかいている。
 スマホを取り出して時間を確認するとまだ時間的に余裕あるので俺は汗を流しにシャワーを浴びた。

 ーー「06時30分」ーー

『本日未明午前3時頃にデモ隊と機動隊の衝突により建物や住居が破壊される等被害がありましたー』
 朝のテレビニュースが流れる。
 いつもごく見慣れた光景。
「いただきます」
 今日の朝飯はご飯、さつまいもの味噌汁、納豆、たくあん以上だ。

 ーー「夢見理髪店07時24分」ーー

「夢見ー!迎えに来たぞー」
 俺はここから徒歩で10分の距離でつく夢見の店に着いた。夢見の店すぐ隣に自宅玄関がある。
「おはよー。勝」
 玄関から制服姿の夢見が出てきた。
 俺はビクッと驚いた。
「え……。おまえ起きてたのかよ?珍しいな。なんか悪い物でも食べたか?」
 そこに夢見は軽く俺の頭にチョップする。
「失礼ねー。わたしは起きるときは起きるわよ。ふふふ♪」
 夢見は鼻声で歌っていた。
 (夢見はやたら機嫌がいいな。なんかいい夢でも見たのがなぁ)
 俺たちは久しぶりにゆっくりと通学出来た。

 ーー「野花高校    1年B組クラス08時12分」ーー

「おはよー」
「おはよう」
 俺達はクラスメイトに挨拶する。みんなは俺達を見て驚いてる。いつもなら、こんな時間帯から来るとは思わずギリギリで来てるからだ。
「おはよう。夢見さん」
 八木さんが夢見に声をかけた。
「おはよう♪八木さん」
 夢見は八木さんと楽しく会話してる。会話の一部を聞いて見ると、どうやら永木さんは今日は休むらしい。
「おう。おまえら席につけ」
 しばらくすると梅田先生がやってきた。
 クラスメイト全員は席についた。
 俺はカバンから教材を取り出した。
「みんなにお知らせしとく。昨日このクラス4名が転校した。……ま、おまえらは気にやむことはないからな。では授業開始する」
 最近、俺たちの学校では転校が相次いでる。俺の野球部先輩や後輩たちも少ない。今はうちの学校は人数割れしそうな勢いだ。
「ん?夢見、起きてるとは珍しいな。なんか悪い物でも喰ったのか?」
 夢見は梅田先生に向かってあかんべぇしてる。
 (まさか先生が俺と同じセリフを言うとは思わなかったよ)

 「5」

 ーー「15時30分」ーー

 学校の放課後のチャイムが鳴った。
 クラスメイト達は帰宅準備に入った。
「勝山くん」
 和田岡が声をかけてくれた。
「おう。いつものとこなら、後で遅れるわ。部活に顔出ししなきゃいけないし」
「そうか。じゃあいつものラーメン屋さんで待ってるよ」
 俺は和田岡と別れた後、更衣室に出向きユニフォームに着替えてグランド場に向かった。

 ーー「グランド場16時00分」ー

 コーチの号令もと、野球部員全員集合して整列した。
「今年の甲子園選抜に向けて出場する選手を発表する」
 コーチは1人ずつ発表して部員は返事する。
「勝山!」
「は、はい!」
「おまえは補欠だったが選抜に入れ。以上だ。解散」
 どうやら、俺は初めてまともな試合に出してくれるらしい。
 部員達はすぐ更衣室に着替えて帰宅した。俺は和田岡の待つ場所に向かった。


 ーー「中山中華そば店18時06分ーー

 俺はいつものラーメン屋に入った。
「へい!いらっしゃい」
 手を振る和田岡のテーブル席についた。
 と。
 天野も来ていたのか。どうやら、焼肉タレもやし丼を食べてるな。これも美味そうだな。
「ん?和田岡、おまえ何食べてるんだ?」
「あー。これかい?ニラ卵とじ丼だよ」
 和田岡の食べる丼にはかすかな黄身がついてる。
「じゃあ。俺はそっちにしようかな?すいませーん。こいつと同じやつでー」
「あいよー」
 俺は和田岡と一緒のやつを頼んだ。俺は汗をかいてるのか、水一杯一気に飲んだ。
 俺達はしばらく雑談してると新しい客が入ってきた。
「へい!いらっしゃい」
 2人組の客が来店した。
「お、勝山と和田岡か」
「こんばんは。みなさん」
 梅田先生と八木さんだった。
 彼らもここに来るのは久しぶりだった。
「……こんばんは」
 と、遅れて入ってきたのは永木さんだった。
 (あれ?学校休んだじゃなかったのか?)
 永木さんは制服姿だった。
 梅田先生はカウンター席に座り、八木さんと永木さんはテーブル席に座った。
 梅田先生と永木さんはもやしニンニク焼きタレ丼と八木さんはもやしメンマスープを注文した。
「あーあ。お小遣い減らされちゃった」
「ま、仕方ないわよ」
 八木さんと永木さんは世間話している。
 一方梅田先生は置いてある雑誌を取り読んでる。
 和田岡は食事終えたのか、手元に置いてた新聞をじっくり読み始めた。
「へい!おまち」
 注文が来たので俺は飯に手をつけた。

 ーー「勝山自宅23時10分」ーー

「ふー。久しぶり遅くなったな」
 俺は食事を終えたあと和田岡達としばらく会話した後、店を出て帰宅した。
 遅く帰っても両親は相変わらずまだ仕事終わってない。俺はいつものように寝間着に着替えてそのままベッドに潜った。

 「6」

 ーー「????」ーー

「ふ……ふえ!?」
 俺は目を覚ますと、そこの地面タイルは何か将棋盤のようだ。しかも駒はビッグサイズ。
「ん?夢見!?て、なんだ?」
 俺と少し一回り小さいサイズの制服姿の夢見クローン集団が1人は指示を下しほかの夢見達が駒を運んで次々と駒を置いて積み上げていく。
「ふおお!?」
 2人組の夢見が将棋の駒を乗りエレベーターみたく起動して浮かび天井近くまでグラグラと駒を積み上げられていた。
「ん?また夢見!」
 今度は俺と同じ大きさの制服姿の夢見が頭上に掲げた将棋駒を走って向かっている。
 そして積み上げたグラグラ駒の近くに思いっきりそれを叩きつけた。
「と……?」
 どうやら将棋駒の『と』らしい。
 夢見は『と』を踏み台にして高く跳んだ。
 (ウソだろ……)
 夢見は高く跳び続けて、最後の積み上げた駒に乗る。
 と。
 彼女が駒に乗ったとたんバランス崩して、身体ごと駒が崩れる。
「こっちに来る!?」
 俺は逃げようとするが倒れてくる将棋の駒にどうすることも出来ず巻き込まれる。

 ーー「野花高校1年B組12時30分」ーー

「で、目を覚ましたら自分の部屋に居たわけよ」
「ふ~ん。そうなんだ」
 机に座る俺と普通に椅子で座る和田岡は昼飯済ませた後、あの夢の出来事を話した。
 夢見は昼食済ませた後、虫メガネとシリンダーを持ち出して俺たちのクラスで飼ってるカエルを取り出してじっくりと机に置きとべる観察してるみたいだ。その天野は夢見に対抗心を燃やしてカエルの飛ぶ飛距離を伸ばそうと作戦している。
 和田岡は今日の新聞読みながら聞いていた。
「でも、興味深いね。新聞読む?」
 俺は軽く頷き、新聞をもらい読む。
『石山タワーが崩壊』と最初のページの見出しが書かれていた。
 写真には瓦礫となった石山タワーの残骸がある。
「物騒になってきたな」
 俺は新聞をじっくり何度も読み返してるうちに急に眠気で意識を失った。

 ーー「????」ーー

「……ん?ええ!?」
 俺は目を覚ました同時に驚いた。
 先程、和田岡とあの夢の出来事を会話した新聞を読んだ後の記憶が全くない。
 そこの窓を開けたら。どうやら電車ぽかった。窓の景色はどこかの林らしい。
 そこに後方からものすごいスピードで一気に俺の方に向かって少女乗せた騎馬が電車のとなりに並んでやってきた。
「うぉっ!?」
 また夢見だった。
 積み上げ将棋の夢から3回目の夢見とエンカウント。
 騎馬を巧みに手綱を操る夢見。
 いつもと同じ制服を着ていた。
「おい!?夢見!!何してんだよ?」
 思わず夢見に声をかける。
「……………」
 (ガン無視)
 夢見は俺に眼中ないらしい。ただ俺のいる電車の場所で同じ速さに合わせて騎馬を走らせてるみたいだった。
 と。
 そこに一瞬風景が切り替わり海に変わる。
 (うぉっ!?電車が海の上に走ってる)
 電車と騎馬は海上を走っていた。
 そこに夢見が俺に電車の走ってる向こうをさした。
「へ?マジ!?」
 電車が走る方向には白い雲の坂道になっていた。
 電車が雲の坂道に入ると俺の身体ごと傾き、そしてまた急激に傾いてしばらくすると態勢を崩して最後尾の後部座席まであられない形で転んだ。そして身体が引っ張られるような感覚がきて俺は意識を失った。

 ②へ続く。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

【全64話完結済】彼女ノ怪異談ハ不気味ナ野薔薇ヲ鳴カセルPrologue

野花マリオ
ホラー
石山県野薔薇市に住む彼女達は新たなホラーを広めようと仲間を増やしてそこで怪異談を語る。 前作から20年前の200X年の舞台となってます。 ※この作品はフィクションです。実在する人物、事件、団体、企業、名称などは一切関係ありません。 完結しました。 表紙イラストは生成AI

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【完結済】昼にも巧妙な怖い話を読もう

野花マリオ
ホラー
夜にも奇妙な怖い話を語ろうの続編です。 この話は全てフィクションです。 あなたもこの巧妙に作られた怖い話を読みませんか? 表紙は生成AI

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

(ほぼ)5分で読める怖い話

涼宮さん
ホラー
ほぼ5分で読める怖い話。 フィクションから実話まで。

サクッと読める♪短めの意味がわかると怖い話

レオン
ホラー
サクッとお手軽に読めちゃう意味がわかると怖い話集です! 前作オリジナル!(な、はず!) 思い付いたらどんどん更新します!

処理中です...