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野花怪異談N②巻【完結】

20話「米グロス」

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 ー1ー

     夜がふけた真っ暗な静かなとある学校。
 そこでは誰も知らされずに毎週金曜日の晩に行われる秘密の儀式がある。
 と、今から謎の奇妙な衣装と仮面を身につけたカルトらしき集団が儀式を行うためある教室へ向かう。
 リーダーの長身の男が先導のもと、目的地の教室につき戸を開き入る。続けて中に入った配下達は蝋燭(100円ショップで買ったおもちゃの電灯ロウソク)に灯りをともす。
 リーダーの長身の男と幹部1人は仮面を取り外し身に纏った衣装を脱ぎ捨て配下の1人に渡して片付ける。
 リーダーらしき男性は周囲を見回してから口を開いた。
「よーし。今週も米グロスの刑をするぞ。だいご、地図を持ってきてくれ」
「はい。先生」
 リーダーの人物の名は梅田虫男。35歳。彼女いない歴35年。2年B組の担任教師。趣味は昆虫採取と売れない本収集。彼はこの世で数少ないムシの使い手無視家である。
「先生どうぞ」
「ああ」
 地図を手渡した幹部の彼の名は紙野だいご。16歳。彼女いない歴15年。2年A組男子生徒。趣味はクソゲー全般究めることとゲームソフトの取扱説明書収集。元カノは幼馴染の星田星夏である。
「よし。今日はどこにするかな」
 虫男は地図を教壇に広げて団員達は虫男に集まる。悩んでるとだいごが地図に指す。
「先生、この辺りはどうでしょうか?なんでもこのエリアでは焼き魚や刺身をなんでもマヨネーズをつけて食べるみたいですよ」
「なん……だと?」
 ざわめく団員たち。すると1人の女性団員が声を荒げる。
「そんな!?私でさえもトマトにマヨネーズつけるまでだよ。あと許せるとしたら、ゆで卵の黄身をつけるくらいだよ!」
 それを聞いた団員達はざわつくのやめる。
「ま、まあ、そうだな賢木さかき。……では、このエリアにしよう」
 虫男の指示のもと、だいごは黒弁当箱を取り出してみんなの家庭から集めた廃棄米粒を箸で掴み、広げた地図に一粒ずつつけて載せる。
 次に虫男は米粒中心にマジック赤ペンで"米"というマーカーのライン線で印を引く。最後に団員達は地図の中心に突き出した人差し指を交互に合わせて"米"というマークを作り最後に虫男がミニチュアのつぶ像を取り出して自分の胸元に持ち合わせて準備完了である。
「よし!みんないくぞ」
 団員達は目をつむり、小声でグロス、グロスと米粒が置いた数だけ唱える。そして虫男はつぶ像を中心の地図に掲げて、団員達は差し出した人差し指を天井を高く掲げて「米グロス!」と叫ぶ。最後の仕上げに虫男は持っているつぶ像を「粒!」と発声し、地図に広げて置かれてある米粒を潰して儀式は完了する。
「さぁー。終わったな。じゃあ、だいご!こいつをいつもの生ゴミのとこに捨ててきてくれ」
「ほーい」
 彼らは儀式の後片付けした後、まっすぐ帰宅した。そしてだいごは帰宅するとき使用した地図を生ゴミと一緒にまとめて捨てた。
 ※今回使用した地図は環境にやさしいリサイクルの草紙でできてます。一般の紙類などは各地方の行政区域にしたがって捨ててください。

 ーーとある地方のエリアーー

 その地方の住宅道路で原因不明の巨大魚の腐乱した物体がばら撒かれていた。1週間経過すると腐乱したようなものは消滅したが住人達はにおいなどがしみつきしばらくは魚が食べることは出来なかった。

ー2ー

 ーー教室内ーー

「さあ、今週も米グロスの刑をするぞ!だいご、いつもの頼むぞ」
「はい、先生」
 だいごはいつものように虫男に地図を手渡す。
 いつもと同じメンバーとこの週に集まり躊躇いもなく米グロスの刑を執行していた。
「さてと、だいご、どこがいいと思う?」
 虫男はだいごに意見を求めた。
「そうですね。目玉焼きに醤油派が少数派のソース派に対して村八分ならぬ町八分にされて酷い扱いを受けているエリアがありますよ。あ、このエリアです」
 だいごはそのエリアをさす。
「なーに!?聞き捨てられんな?俺はちなみに醤油派だけど……許せん!」
 そうだ!そうだ!と団員達はうなずく。そしてまた賢木が声を荒げる。
「そうよ!私は目玉焼きはごまだれかポン酢をかけるわ!この悪逆非道の行い許さない!」
 それを聞いた団員達はシーンと静まりかえる。
「ん……まぁ、好みは人それぞれだしな。じゃあ。パッパッと終わらせて帰るぞ!今夜ムシドラマ相方スペシャルみたいし」
 と、虫男はテキトーにパッパッと簡単な手早く儀式を行い、終わらせて帰宅してだいごに使用した地図を生ゴミとして捨てに頼んだ。
 ※今回使用した地図は環境にやさしいリサイクルの草紙でできてます。一般の紙類などは各地方の行政区域にしたがって捨ててください。

 ーーとある地方のエリアーー

 とある地方の各住居に大量の醤油がばら撒かれていて中は水浸しならぬ醤油浸しになっていた。被害にあってるのは全て目玉焼きの醤油派の住宅である。
 1週間すると醤油はきれいにさっぱりなくなったが彼ら多くは醤油が嫌いになったのは言うまでもない。

ー3ー

 ーー教室内ーー

 ハハハと賑やかに談笑する団員達。また彼らは儀式する時間的に余裕があるのかごはんにの話題で持ちきりだった。
「先生はごはんに何をかけてトッピングします?俺はチーズ混ぜてごはんを食べます。これが案外いけるんですよ」
 と、だいごはおいしそうに食べる素振りを見せた。
「俺か?俺はご飯にかけて食べるとしたら豆腐か茶碗蒸しだな。これもぐちゃぐちゃにしてから混ぜたらなかなかいけるぞ」
 虫男はニヤついてるがほかの団員達は青ざめている。
「どうした賢木?お手洗いか?」
 賢木はブルブルと身体を震えている。
 だいごは虫男に身体にひじをつきながらひそひそと小声で説明する。
(先生!まずいですよ。彼女の中では茶碗蒸しや豆腐のやらわかい固形物には神聖な物として扱われて下手なぞんざい扱う者には容赦ないですよ!)
「え!?マジで」
 すると賢木は虫男のバックから地図を取り出して緑の弁当箱から大量の米を広げた。
「お、おい、それ今日の俺の晩飯……」
 虫男の制止をふりきり賢木はどこからかいびつな恐ろしい悪魔の形どったつぶ像のビッグサイズのミニチュアを取り出す。
 団員達も思わず冷や汗をかいて、唾をごくりとのみこむ。
「デビルメッドサタン米グロス」
 賢木はそう宣言すると、それを思いっきり地図の置かれて米に何度も叩きつける。
 次第に米が粘り変色して最終的には黒色の餅みたく変形した。
「あー。すっきりした。紙野くん。これ先生が責任もって食べるまで帰さないでね」
「……あ、ああ」
 賢木はそのまま帰宅した。
「……」
 虫男は青ざめていた。
 ※この後、梅田虫男が責任持って美味しく召し上がりました。

 ーー八木家ーー

「いただきます♪」
 八木家久しぶり全員一同夕食を取る。
「……いただきます」
 最後に梅田虫男が夕食も加わる。
「先生、急にどうしたんですか?しばらく泊めてくれなんて、何かあったんですか?」
「……で」
 楓の問いかけに虫男は回答を拒否する。
「ムッシー?ごはん食べないの?おかずばかり食べてるよ。さっきから」
 と、楓の妹である瑠奈の指摘に対して「食べます」と虫男はした。しかし米を食べようと奮闘するがなかなか上手く食べない。
「あらあら、米だけにりましたね」
 母親はクスッと笑う。
「お母様、それは私のオチが言うセリフです」
「あら、なさい」
 楓は拗ねてしまい、頬をぷくーと餅のようにふくらませているの見て八木家一同は笑った。

「はははは」
「……何がおかしいですか?先生」
「……米野菜」

 ーー????ーー

 とある木造のアパートに焼けた餅のようにつきだされて部屋の中からは米粒のようなものがたくさん溢れていた。その米粒は意志があるかのように至るところに這いずりまわっていた。

 米グロス   完
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