[全221話完結済]彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる

野花怪異談N①巻 【完結】

16話「木になる」

　彼女が会ったのは10年前でしょうか。
　ワタシがある町に出向いた時に木読きどくさんていう方がいて、その方は町の人達に陳情して回ってたんです。
　なんでもこの町に木を植えて置かせて欲しいと言うことだったのです。住人ほとんどはどうでもよかったんですが町の町長さんがものすごく反対されたらしいのです。
　で、彼女も必死に食い下がらずに町長の説得して、首は縦にふらずそれでも彼女はあきらめずにこの町に残りました。
　で、ワタシは彼女と気になり、詳しい理由を聞くと、キニナルからというしか回答得られませんでした。
　そしてしばらくすると彼女はいなくなりました。彼女がいなくなった1年後のこと、町のとある所に奇妙な気味が悪い木が生えたんです。思わず町の住人が顔を顰めるほどでした。住人達もよほどだったのか、あの木を切らせて欲しいと役所に頼んだですが町の町長さんがどうもかなり強く反対されたみたいで陳情を握り潰しました。
　で、それを知った住人達は揉めて木を切る賛成派と反対派で対立でそれはもう激しかったです。賛成派の住人達は町長を辞めさせる為新しい町長を立てるために立候補を固めてその町長選挙の結果見事賛成派の新町長が圧倒的な勝利をしました。
　そしてあの木を切ることを決めた後、木の調査したら次の日旧町長が逮捕されました。それは旧町長はあの木が生えてるところに女性の死体遺棄の容疑らしいです。埋めた女性死体は死後20年経過してましたからワタシも驚きました。旧町長は長い間独裁と言えるほど長い間勤めてたから、悪事については表沙汰には出なかったみたいで。消えた木読さんなんですが旧町長は自供しましたがどうもあの木の付近で殺害して埋めたみたいですが未だに見つからずじまいです。彼女の失踪と女性の死体関連性としては現在もよくわかっていません。

「すごくキニナル話ですね」
　梅田虫男はブレンドコーヒーを飲む。
「ええ。ワタシもすごく気になり、彼女木読さんについて調べましたが結局何も情報得られませんでした」
「その木読さん。何をやりたかったんだろう？」
　と、あかねはゆでたまごを大量に塩をかけるがみんなは無視してる。
「まぁ。彼女は教えたかったんでしょうね。それと今回、佐田喜さんはなぜこの町を調べに来たんですか？」
　楓は佐田喜に問いかける。
「ああ、そうでした。実は……」

　木になる   完