[全221話完結済]彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる

野花マリオ

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野薔薇怪異談M【完結】

93話「落チ紙」

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 「1」

 世の中に手紙にまつわる話がある。
 メジャーなモノと言えば不幸な手紙が有名であるが中には呪われたいわくつきの手紙があることにみなさんはご存知だろうか?
 そんな呪われた手紙を拾ったある男性の物語である。


 ーー「石山県松山市棚木町」ーー

 俺はその場に捨ててあったカンを蹴ってそのまま帰路に向かう。
 俺の名前厚川真也あつかわしんや、32歳。
 職業は転々としてるからフリーターようなものだな。
 俺はむしゃくしゃしていた。
 彼女が寝取られていてしかも二股かけられていたからだ。
 しかも彼女は悪気もなく別れてくださいと頼まれたし。俺としては腹が立ったが相手の彼氏は手切れ金で場をおさめたので俺はしぶしぶと引き下がった。
 そしてこの場のむしゃくしゃをパチンコで全て使い果たししかも全てカスったのでかなりストレスが溜まっていた。
 そんな時である。
 俺がその場に何か踏んづけてしまった時にようやくその時振り返り手紙が落ちてることに気がついたのだ。
 ふと気になった俺はその手紙を拾って読むことにした。

 「2」

 ーー「九華喫茶店内」ーー

「それでどうしたの?その手紙」
「ああ。気味悪いから捨てたよあんなもん……」

 俺は元カノであるミサキと喫茶店で待ち合わせした。
 ミサキはこの手に詳しいオカルトライターだ。
 以前付き合っていたが今は良き友人関係である。
 ミサキは少しうーんとうなりひねった所で語った。
「それ、もしかしたらかしらね?」
「落ち紙?なんだそれ??」
「それはね。血で書かれたとおりになるいわくつきの手紙ね。しかも怨念こもった最悪な奴」
 俺はそれを聞いて席を立つ。
「おい!?冗談じゃねーぞ!!俺マジで呪われたのかよ!?」
 オカルトや幽霊が日常的になった時代に当然呪い系は犯罪になるくらい社会問題になってる。と、彼女は俺を落ち着かせようと席に座らせる。このとき当然俺はこの解呪の仕方を聞こうとする。
「ないわ。でも安心して手紙はこのように書かれてたのでしょ?『新しい彼女がつきあってあなたは死ぬ』つまり、彼女を作らなければ大丈夫ね♪」
 と、ミサキはそんな軽い事を言うが俺にとって永久的に彼女を作れなくなることを意味してるからな。
「簡単に言うなよな。じゃあ俺はそろそろ行くな」
 俺はコーヒーを一気に飲み干してミサキの分まで払った。
 コーヒーとサンドイッチ代はミサキの相談料金である。
     ミサキはそのままゆっくりと仕事用ノートパソコンを取り出して記事の執筆を始めた。
 店を出た後、俺はそのままバイト先に向かった。

 「3」

 ーー「丸山居酒屋チェーン店内」ーー

 夕方近くだというのに客がかなり多い。
 この戦場にも慣れた俺は一通り仕事をこなしていく。
「厚川君。これを2番テーブルに。はい!いらっしゃいませ」
 店長のオーダーもきちんとこなしていく。
 店長もいっそのこと正社員にならないか?と言われてるから、俺として迷うところだ。
 しばらくこなしていると定時になったので俺はタイムカードを切って店をあがるときに後輩の神川に呼ばれた。
「しんちゃん。話があるの」
「ああ。わかったぞ。手短にな」
 なんだか嫌な予感がするのは予想していた。
 そう、愛の告白だった。
 しかし、神川としては俺の好みのタイプだったが例の落チ紙があるのでいさぎよく断った。
 神川はそのままショック受けたのか、店の仕事を早退した。
 神川はそのまま仕事に来なくなった。
 俺はあの時どうすればよかったのだろうか?
     でも、まさかあんな事がおきるなんてな。

 「4」

 ーー「数年後」ーー

「真也!早く早く」
「ミサキ待てよ」
 俺とミサキは休日合間にドライブで海へきていた。
 崖から眺める海辺は格別だった。
 俺とミサキはなんならかのゆかりか復縁して恋人関係なった。
 なぜなら、新しい彼女じゃないからな。
 ミサキもミサキでなんらか俺のことを気にしていたようだ。
「しんちゃん。早くこっちきてよ」
「おい!?あぶねーぞ?そんなにあわ……」
 その時に俺は違和感を感じていたのだ。
 ミサキは数ヶ月間、俺おろか、家族や友人、知人、仕事の同僚に黙って失踪したことがあった。
 まさかと思うが彼女は……。
「しんちゃん。一緒にとべるかな?」
 それが彼女の最期かける言葉だった。
 俺はたしかに落チ紙通りの展開でまさか最期はてしまった。

 「5」

「という怪異談ですが、おばあさまどうでしょうか?」
「ふむ。そうだね。ズズズ。まぁまぁかね」
 私たちはゆっくりと茶を飲みながら怪異談を披露する。
 そこに友人の恵がいる。
 高井の死体は流石に持ち込んではないが一体何を使ってるかしらね。
 あー。ほうじ茶が美味しい。
 ズズズ。
 なんだかわね。
 ズズズ。
      はぁー。

「そういえば友紀。お前宛に手紙来てるよ」

「あら?一体なんでしょうか?」

 と、私はその封筒に手紙を読む。

「なになに?これはオチがある手紙です。あなたは外に出かけてるでしょう」

 これはまさか!?ラブレター!!

 私は早速外に出かけたが確かにオチた。

 鳥のフンがね。

 私は確かにひどくこんだ。


 落チ紙   完

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