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初ノ花怪異談Z【完結】
02話「給食隊長」
しおりを挟む「1」
ーー「201×年××月××日」ーー
九州地方と北海道と同等の広大な県域を持つ石山県。
人口800万人誇り、日本国内で唯一自治県を持つ。
この話の舞台となる怪異談は野花市にある去年設立した小学校にある。
そこでとある彼女達が楽しみにしてる給食で事件が起こる。その時彼女はーー。
企画 野花まり♂
構成 野花まり♂
脚本 野花まり♂
監督 野花まり♂
著作 野花まり♂
原作 彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる
ーー「野花小学校4年2組教室内」ーー
丁度昼休みの時間になった。
給食当番の人達は各自給食着に着替えて給食室に入り給食のおばちゃんからクラスの給食の鍋など取りに向かう。
今日の給食は鐘技市民も喜ぶカネワザカレーライスだ。
私たちも楽しみしてるんだけど……彼が黙ってなかった。
そう、私たちよりもクラスの男子さえも恐れるガキ大将の存在。
彼の名前は王田つよし。
ケンカもつよいし、チカラもつよい、勉強もつよくてカードゲームもつよしだ。
そして彼はいつも給食を仕切るからまた名も給食隊長と呼ぶ。
ちなみに隊長は昔のマンガにあったからみんなはそう呼んだ。
クラスのみんなは彼の事を口にさえも出来ずに恐ろしく思い避けてしまうほどだ。
そう、私でさえも……。
だから給食隊長が見張ってる間は下手な給食を盛り付けできないのだ。いつも給食を少なめにしてるのは最近フードロスを避けるために盛り付けるときはクラスのみんなが食べ残ししないようにしてる決まりがあるからだ。
なのでいつもいい子でありたい給食隊長は親に褒められるために先生達の権力に逆らえないという事情があるみたいだ。
なので先生だけ大盛りにしてるのはキノセイじゃないよ?
ま、物足りない私たちはお代わりするが優先的に給食隊長、次にクラスの男子それ以外はクラスの女子と食べるのが遅い子に振り分けられるのでほとんど何も残らないのがそうだから。とくに給食隊長に逆らった男子もいたが、給食隊長が給食当番の時に嫌いなおかずをその男子に当て付けに大量に盛り付けられたから、懲りたその男子は現在給食隊長の付き人になっている。
私たちクラスは仕方なく諦めムードが漂っていた。
「2」
「いただきまーす♪」
私たちはいただきます合掌のあと給食を食べ始める。
私たちは体育の授業でいっぱい動いたからお腹はもうぺこぺこである。しかし給食隊長はすでにカレーを平らげてカレーを大盛りによそっている。
クラスの男子は給食隊長の様子を見ながら、カレーのお代わりをしていた。
そして何杯もお代わりして結局3杯もお代わりして私たちが平らげてお代わりする頃にはすでにカレーの鍋は底になっていた。仕方なく私たちはご飯をお代わりするのだが……その時給食隊長はデザートであるフルーツポンチに向かうとしたがどうやらお腹いっぱいらしかったので手がつけなかった。
フルーツポンチはまだ大量に余ってるが誰も手をつけない。
なぜなら給食隊長の仕返しが怖いからね。
そんな時にとある彼女がカレーを食べきったのかお代わりに向かうが彼女は知らないのか、すでにカレーは食べ尽くしたことに。
彼女は変わった子であり、いつも三つ編みのおさげしてあり大人しい子だが怒らすとこわいのだ。
(ピカッ!)
そう、一瞬目が赤く光るから、今の感じね。
彼女はカレーの鍋の底をじっくりと眺めた後、フルーツポンチの鍋から大量に皿へよそって私たちは思わず「えーー!?」と声をあげそうになった。
この時、給食隊長がイラついてるのがうしろのすぐ近くの席だからわかる。
この後、何度もお代わりしてフルーツポンチのほとんど彼女が全て平らげてしまった。
この時から給食隊長と彼女のバトルが始まったのはこの日だったから……。
「3」
まず給食隊長は給食当番時に私たちが苦手そうな魚をわざわざ大きなやつを選んで彼女に給食盛りつけた。
「あら、美味しそう」
しかし、彼女は平然と食べ残しせずにおかわりするほどすべて平らげてしまった。
悔しそうにする給食隊長に今度は彼女が給食当番の時にお返しにあまり好きそうじゃない八宝菜を大盛りに盛り付けた。
給食隊長は吐きそうにながらもおかわりするほど平らげた。
そんなやりとりがしばらく続いてると事件が起こった。
それは彼女が給食当番の時である。
「おい!?おまえわざとだろ?」
「あら?給食隊長なら好き嫌いしないとね」
今日はオランダ煮である。
オランダ煮はナスビの煮付けのこと。
給食隊長はナスビが大の嫌いだった。
それを知ってる彼女はわざわざ大きなナスビをチョイスして盛り付けたからだ。
そんな給食隊長はあろうか逆ギレした。
「うるさい!こんなもんいるか!!」
給食当番の彼女に思いきりナスビをぶつけてしまって思いきり汁がかかってしまった。
「……」
「はは。ざまみろ!」
と、給食隊長はそのままよそった給食を自分の席に戻った。
でも、私は知ってる。
彼女が小さくつぶやいた言葉には私がすぐ給食隊長のとなりにいたからわかった。
彼女はこうつぶやいていた。
ーーあなた食べ物に怨まれるわよ。
その呪詛とも呼ばれる言葉に私は肩からの背筋がブルッと寒気を感じた。
そのあと私たちは何事もなく給食を食べていたがしばらく何も起こらなかった。
やはり私の気のせいなのかな?
それとも……。
「4」
「ただいまです!」
その日、給食隊長が敬礼して帰宅すると掲げたランドセルを放り出して早速楽しみしてるおやつを冷蔵庫から開けて見ると大量にナスビがあふれていた。
戸棚や籠からも全てナスビだらけだった。
「ただいま」
丁度、母親が買い物から帰宅したので青ざめた彼は一言文句いようと向かうが思わず絶句する。
なぜなら買い物籠にも全てナスビだらけだったから。
「お届けものでーす」
丁度、配達に送られてきた物は中身はナスビ。そして次々と給食隊長の自宅宛にナスビが送られてくる。
もはや家の中は踏み場がないナスビだらけ。
「うわあああああああ!?」
怖くなった給食隊長は家へ飛び出していく。彼の映る景色にはナスビしか見えなかった。
人も家も鳥も犬や猫もナスビだらけ。
そして錯乱していた彼は目の前にある大量のナスビ箱に衝突してそのままナスビに埋もれていきながらそのまま気を失った。
「5」
ーー「????」ーー
ん?なんだここは?
目の前に今まで食べ残した給食だらけだった。
ーー食べ残しは許さない。
え?
ーー食べ残しは許さない。
その目の前にある給食が俺に向かって襲ってきた。
ーー「夢山大学病院内」ーー
「……ん。ここは!?」
俺が目を覚ました時は丁度病院の病室にいた。
と、病室のドアからノックされて俺の名前が呼ばれたのでおそらく知らない女性だが病院の関係者だと思うので入らせた。
「どう?かなりうなされていたけど」
俺はそれを見て聞いてホッとする。なぜなら看護師さんは普通の綺麗な女性だった。だが……なんだがそわそわする。しかもなんだかいい匂い。
「つよしくん?」
「あ、大丈夫です!ぼ……俺、このとおりピンピンしてますから!」
その看護師さんは俺の事を見てクスクスと笑った。
しばらくしてその看護師さんと談笑してると食事が運ばれてきた。
「う……ナスビ」
俺の大嫌いなナスビづくしだった。
看護師さんがいうにはこの地域ではナスビが有名らしい。
やはりナスビはスルーかな。
「あらあら。食べ残しするの?君はたしか給食隊長でしょ?」
その時聞いて俺は思わずハッとする。
俺はたしかに給食隊長と呼ばれている。
ただ俺自身好き嫌いがあった。
母親からは『あなたはつよしでしょ?つよしなら強くなりなさい』と。
その時初めて思ったのだ。名前からして負けている給食隊長なんだということに自覚した。
「?どうしたの」
看護師さんの心配のよそに俺は迷わずこのナスビ野郎に戦って勝つことを決めた。
つよししっかりしろ!おまえならできるとみんなから応援してる気分になる。
だからそいつを思いきりかぶりついた。
~♪
その時に口から広がる苦味が次第に美味しく感じた。
「うめぇ~。こんなナスビ食べたの初めてだ」
王田つよし。意外とナスビの美味しさに気づく。
俺はただ食わず嫌いだったんだと。
なので俺はあの時ナスビを粗末したことを恥じた。
だから今度こそ真の給食隊長として好き嫌いやらずやっていこうと決めた日だった。
それ以来俺は食べる事に関しては好き嫌いがなくなった。
「6」
一週間入院していた給食隊長は生まれ変わったかのように私たち良き給食隊長として仕切っていた。
その時彼女と給食隊長は一時休戦を持ちかけて彼女も了承してうなずいたけど相変わらず犬猿の仲である。
そして私達も充分おかわりが行き届いてるのでこれも給食隊長のおかげだ。
私の名前?
秘密だよ。
クラス仕切るのはこのわたしだよ。おっほっほっほ。
「どうしたの楓ちゃん?」
「……なんでもないわ」
友人の亜華葉でもない誰かが私の名前が呼ばれた気がした。
キノセイかしら。
ーーと、手を大きく振ってるアイツか。
相変わらずつよしは私に因縁の対決するけど入院して人が生まれ変わったかのように穏やかになったけど。なんだかいやらしいそうな目つきしてるからクラスの女子から近よりがたいのよね。
「やぎーー!」
おまけに変な噂を立てないようにクラスから圧力かける気苦労もしないアイツはどうしようかしら?
私の悩みのタネはこれからもずっと絶えない。
ーー「つよしの自宅」ーー
「「「いただきまーす」」」
俺、つよし。
今日もがっつり動いたからお腹はぺこぺこである。
今日もナスビつくしであり、そのままナスの皮を剥いて食べる。
まだナスの恨みは解かれてない。でも、俺は給食隊長だから、食べ残しせずに平らげる。
明日の給食楽しみだな。
給食隊長 完
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