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今夜は塩ラーメン教
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麺国では、ある新興宗教が勢力を拡大させていました。
『今夜は塩ラーメン教』
という名前のこの宗教は
『塩ラーメンサイコーでっす!』
を唱えさえすれば救われるという、簡易救済を売りにした宗教でした。
教祖は座禅した状態で宙を浮くことができたそうです。それは、幹部だけが見ることの許された神々しい姿だったようです。
実際入信すると、やはり
『塩ラーメンサイコーでっす!』
を唱えさせられるのですが、実際やることは他にもたくさんありました。
座談会や自己啓発セミナー、教義の詳細な部分の勉強、お布施の仕方、各種修行プログラム等…
修行やお布施は強制ではありませんでしたが、早急に救われたいと願う麺はそれらを真面目に取り組み、周囲はそれを褒め称えます。それを見ると、なんとなく「やった方がいいかも?」と思わされる麺がほとんどでした。
実際、修行に取り組んだりお布施をしたりすると、気分は晴れやかになり、なんだか救われたような気分になりました。
その状態で周囲を見渡すと、自分より修行をしていない麺たちは堕落して見えました。
特に、他宗教の麺は、やるだけ時間の無駄なことをただひたすらやっているように見えたし、無宗教の麺に関しては、ただただ堕落していくだけの愚かな生き物でした。
そのため、ラーメン教信者にとって他の麺達は、獣以下の価値でしかありませんでした。
獣は魂のレベルがその位置に止まるのに対して、他の麺たちは魂のレベルが落ちていくからです。向上していけるくせに、堕落して落ちていくというのは、彼らにとって獣以下に見えたのです。
この考え方は
「獣以下なら殺してしまっても罪にはならない」
「殺してあげることで、この無駄な麺生から早く解放してあげる」
などと言う危険な発想に進展しました。
特に、まだ幼い、考え方の未熟な麺たちにとって、この危険な発想は自分たちの欲望を満たすためには好都合でした。
他人を支配したい、弄びたい、肉欲をぶつけたい、ころしてみたい…
このような自分勝手で醜悪な興味関心を、正当化して実行するのに、非常に都合が良かったのです。
表向きには、「自分たちは正しいことをやっているんだ」と振る舞いながらも、薄笑いを浮かべながら、涎にまみれながら、下品に叫びながら、快楽を貪っていたのです。
彼らの理念の一つに『勝たねばならない』という項目がありました。
それを実現するには、先ず教団の頭数を増やすことが大切でした。
彼らは強引な勧誘を行い、数年掛けて、何とか目標である『国の三分の一』の麺を『今夜は塩ラーメン教』信者に引き摺り込むことに成功しました。
なぜ三分の一なのかと言うと、例えば三十人の集団の内、十人が『今夜は塩ラーメン教』信者であった場合、ほとんどの場合、他二十人は何の宗教にも属していないか、属していたとしても少数で、その思考はバラバラです。こっちは十人しかいなくても、志を一つとした集団であり、連携の力があるので、この集団を掌握することができる可能性が非常に高いのです。うまくいけば全員を『今夜は塩ラーメン教』信者に引き摺り込むことも期待できます。
そのような手口によって、その三分の二以上の数が『今夜は塩ラーメン教』信者という地方も存在していました。
その地方に無宗教が運悪く引っ越しなどして来ようものなら地獄でした。
先ずは入信を迫られ、断ったりしようものなら、その日から嫌がらせが始まります。
挨拶は無視されて、ひそひそと噂話を聞こえるようにされ、家の中をしょっちゅう覗かれたり、庭にゴミを投げ入れられたり、配達物を探られたり…
執拗な嫌がらせにより自殺に追い込まれたり、時には直接ころされてしまう麺たちもたくさんいましたが、その証拠はすぐに隠滅されました。仮にテレビやネットで取り上げられて問題になったとしても、その筋の献金を大量にしており、根回し体勢もバッチリだったので、握りつぶして風化させることは簡単でした。
やがて、麺国の国民全員が『今夜は塩ラーメン教』に入信することになりました。
めでたしめでたし。
『今夜は塩ラーメン教』
という名前のこの宗教は
『塩ラーメンサイコーでっす!』
を唱えさえすれば救われるという、簡易救済を売りにした宗教でした。
教祖は座禅した状態で宙を浮くことができたそうです。それは、幹部だけが見ることの許された神々しい姿だったようです。
実際入信すると、やはり
『塩ラーメンサイコーでっす!』
を唱えさせられるのですが、実際やることは他にもたくさんありました。
座談会や自己啓発セミナー、教義の詳細な部分の勉強、お布施の仕方、各種修行プログラム等…
修行やお布施は強制ではありませんでしたが、早急に救われたいと願う麺はそれらを真面目に取り組み、周囲はそれを褒め称えます。それを見ると、なんとなく「やった方がいいかも?」と思わされる麺がほとんどでした。
実際、修行に取り組んだりお布施をしたりすると、気分は晴れやかになり、なんだか救われたような気分になりました。
その状態で周囲を見渡すと、自分より修行をしていない麺たちは堕落して見えました。
特に、他宗教の麺は、やるだけ時間の無駄なことをただひたすらやっているように見えたし、無宗教の麺に関しては、ただただ堕落していくだけの愚かな生き物でした。
そのため、ラーメン教信者にとって他の麺達は、獣以下の価値でしかありませんでした。
獣は魂のレベルがその位置に止まるのに対して、他の麺たちは魂のレベルが落ちていくからです。向上していけるくせに、堕落して落ちていくというのは、彼らにとって獣以下に見えたのです。
この考え方は
「獣以下なら殺してしまっても罪にはならない」
「殺してあげることで、この無駄な麺生から早く解放してあげる」
などと言う危険な発想に進展しました。
特に、まだ幼い、考え方の未熟な麺たちにとって、この危険な発想は自分たちの欲望を満たすためには好都合でした。
他人を支配したい、弄びたい、肉欲をぶつけたい、ころしてみたい…
このような自分勝手で醜悪な興味関心を、正当化して実行するのに、非常に都合が良かったのです。
表向きには、「自分たちは正しいことをやっているんだ」と振る舞いながらも、薄笑いを浮かべながら、涎にまみれながら、下品に叫びながら、快楽を貪っていたのです。
彼らの理念の一つに『勝たねばならない』という項目がありました。
それを実現するには、先ず教団の頭数を増やすことが大切でした。
彼らは強引な勧誘を行い、数年掛けて、何とか目標である『国の三分の一』の麺を『今夜は塩ラーメン教』信者に引き摺り込むことに成功しました。
なぜ三分の一なのかと言うと、例えば三十人の集団の内、十人が『今夜は塩ラーメン教』信者であった場合、ほとんどの場合、他二十人は何の宗教にも属していないか、属していたとしても少数で、その思考はバラバラです。こっちは十人しかいなくても、志を一つとした集団であり、連携の力があるので、この集団を掌握することができる可能性が非常に高いのです。うまくいけば全員を『今夜は塩ラーメン教』信者に引き摺り込むことも期待できます。
そのような手口によって、その三分の二以上の数が『今夜は塩ラーメン教』信者という地方も存在していました。
その地方に無宗教が運悪く引っ越しなどして来ようものなら地獄でした。
先ずは入信を迫られ、断ったりしようものなら、その日から嫌がらせが始まります。
挨拶は無視されて、ひそひそと噂話を聞こえるようにされ、家の中をしょっちゅう覗かれたり、庭にゴミを投げ入れられたり、配達物を探られたり…
執拗な嫌がらせにより自殺に追い込まれたり、時には直接ころされてしまう麺たちもたくさんいましたが、その証拠はすぐに隠滅されました。仮にテレビやネットで取り上げられて問題になったとしても、その筋の献金を大量にしており、根回し体勢もバッチリだったので、握りつぶして風化させることは簡単でした。
やがて、麺国の国民全員が『今夜は塩ラーメン教』に入信することになりました。
めでたしめでたし。
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