うぅあおん…

くろ

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茜色の飲み物

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今日はまた、いつにもまして濃厚な茜色が、マジックテープで貼り付けたように、夕空に映えている。

よくよく観察すれば、ピンク、オレンジ、赤、紫、といった暖色系の集積のようにも見える。

感触を確かめる。
スベスベの表面から急に刺々しい飛沫が飛散したかと思えば、熱を持ち始め、最後には滑らかで柔らかな感触に落ち着いた。

音を聞いてみよう。
私はいつも、濡れた指先でグラスの縁に軽く触れ、慎重にその上を這わす、というやり方と同じ要領で音を反響させている。そうすると、鼓膜を通して、脳内、体内へと隈なく音を浸透させることができる。

さっそく反響が始まった。

柔らかで甘美な音色、明るくて活気に満ちた音色、力強くて熱狂的な音色、そして深く神秘的な音色。

スライドを織り交ぜながらベースラインを辿る四本の太い弦の音色が、耳に優しく心地よく鼓膜から浸透していく。カッティングを挟んだリズムギターの明るい音色が、エネルギッシュで活気よく脳内を駆け巡る。キックとスネアの力強い衝撃と、ハイハットのオープンクローズが交互に弾け、身体中に熱狂的な広がりを起こす。
最後はリバーブとエコーの掛かったギターが、落とすようにコードを掻き鳴らし、幻想的で神秘的な感覚をもたらすと共に、細部の隙間にまで行き渡るように音を揺れ動かす。
スカやレゲエに近しいものを感じる。

次に、香りを楽しむ。
ブルゴーニュ・グラスに三分の一ほど注ぎ込み、ゆっくりとスワリングをして香りを広げる。
金魚鉢のように膨らんだボウル一杯に溜め込んだ香りが、小さく窄んだリムから溢れ出た。それを鼻腔で吸い上げる。

甘く華やかな香り。爽やかでフレッシュな香り。力のあるスパイシーな香り。優雅でフローラルな香り。

桜。レモン。シナモン。ラベンダー。

私は、鼻先まで近づけたグラスをそのまま唇に当て、天を仰ぐ角度へと傾けた。
トロッとしたオリーブオイルのような舌触りの液体が、絡みつくように口内へと流れ込む。

甘みのある優しい味。みずみずしく爽やかな味。スパイシーな辛味。上品で繊細な苦味

桃。グレープフルーツ。僅かなchili pepper。ジャスミン。

それぞれの味覚を舌全体で転がすと、感情が湧いてきた。

優しさと愛情。活力と楽観。情熱と怒り。神秘と創造性。

その感情を喉の奥へと落とし込む。


ピンク、オレンジ、赤、紫
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