◯と△

くろ

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目糞鼻糞

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目糞の国には、たまに鼻糞が混じっていました。
目糞と鼻糞は、見た目にはさほどの違いは無く、区別がつきにくいのですが、目の良い目糞は必ずこれを見破って、何らかの圧力をかけるのでした。
目糞は、何故か理由は分からないのですが、鼻糞が嫌いだったのです。それは、目糞自身も忘れ去ってしまった、先祖達の時代に理由がありました。

何百年も前の話です。その頃、目糞と鼻糞はそこまで仲が悪い訳ではありませんでした。しかし、ある事件をきっかけに、目糞は鼻糞を避けるようになったのです。
鼻糞は、品性に欠ける部分がありました。そのため、勝負事においても勝てばいいとばかりに不正を働くのでした。そしてその不正を、鼻糞は絶対に認めないのでした。
目糞は鼻糞の不正を裁判で訴えたのですが、悪がしこい鼻糞は、法廷ではいい格好をし、嘘もうまくつくことができたので、まんまと無罪を勝ち取ったのでした。
目糞が鼻糞を避けるようになったのは、その時からでした。
目糞は初めは避けるだけでしたが、やがて暴言を吐くようになり、それが暴力へと変わっていき、酷い時には殺してしまったりもするのでした。
国は、そのことを咎めようとしませんでした。むしろそのことで、国に対しての不満の矛先が拡散することになるので、都合が良かったからです。
その流れが、現在まで続いているのでした。

ある時、真面目な目糞が「イジメはよくない!」と、声をあげました。
昔の流れを知らない目糞達は、鼻糞から漠然と漂う不確かな嫌悪より、目前のハッキリとしたただ美しい言葉に引っ張られました。
目糞は鼻糞に対して優しく接するようになりました。それで調子に乗った鼻糞が好き放題を始めました。元々品性に欠ける部分があるので、物をくれる相手にはとことん物をねだり、優しく接してくる相手には、とことん優しさを求めました。美しい言葉に洗脳された目糞は、鼻糞にとっていいカモでした。徐々に苦しめ、抵抗すればこれを道徳を後ろ盾に論破し、時には暴力に訴え、搾り取れるだけ搾り取ると、保険金を掛けて殺したりするのでした。
困り果てた目糞は、再び鼻糞を避けるようになりました。

両者が仲良く共存していくには、まだまだ時間が掛かりそうです。
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